1. 企業情報

ADR120S, Inc.は、再生医療・医療機器・医療ツーリズム、細胞治療を主力事業とする企業です。2025年7月に株式会社サイトリ細胞研究所からADR120S, Inc.へ商号変更しています。動物向けの細胞治療サービスやスポーツ医療にも注力し、医療機器・消耗品の販売を手掛けています。かつてはホテルビジネスなどのリアルアセット事業も展開していましたが、メディカル事業へのシフトを進めています。

主力製品・サービスの特徴:

同社は、男性ストレス性尿失禁や肝硬変治療のための「ECCI-50」、原発性直腸癌術後癒着防止のための「Cyt-006」などの細胞治療関連医療機器の研究開発を進めており、これらはパイプライン製品として開発段階にあります。また、細胞治療キットの販売も行っています。

2. 業界のポジションと市場シェア

再生医療分野は、病状により画期的な治療法となりうる有望な領域ですが、その市場はまだ発展途上にあり、研究開発には多大な時間と費用を要します。同社は独自の細胞治療技術やパイプラインを有しているものの、現時点では市場における明確な競争優位性や市場シェアを確立しているとは言えません。

業界内での競争優位性や課題について:

同社は特定の疾患領域で細胞治療のパイプラインを持つことが強みの一端となりえますが、現状では製品の販売不振や開発途上であることが課題です。バイオ・再生医療分野は、研究開発リスクや規制当局の承認プロセスが厳しく、収益化までの道のりが長期化する傾向があります。

市場動向と企業の対応状況:

国内経済が緩やかな景気回復基調にある一方で、物価上昇や通商政策、中東情勢などの不確実な外部環境が存在します。同社は、リアルアセット事業からメディカル事業への経営資源のシフトを戦略の柱としており、海外市場(サウジアラビアなど)への展開も目指していますが、これらはリスクを伴う新たな挑戦となります。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣が掲げるビジョンや戦略:

同社は、リアルアセット事業から再生医療を中心とするメディカル事業への事業構造転換を最重要戦略として掲げています。

中期経営計画の具体的な施策や重点分野:

中期経営計画では、メディカル事業において「セルーション遠心分離器」や「セルセラピーキット」の販売促進、そして海外事業展開(特にサウジアラビアなど)に注力していく方針です。

新製品・新サービスの展開状況:

決算短信からは、パイプライン製品である「ECCI-50」や「Cyt-006」の臨床試験・研究開発が進行中であることがうかがえます。しかし、これらが現時点で具体的な収益貢献に至っている状況ではありません。

4. 事業モデルの持続可能性

リアルアセット事業の縮小・売却が進み、メディカル事業への転換期にあります。再生医療分野への注力は将来的な市場ニーズと合致する可能性がありますが、現時点ではメディカル事業の収益化は不十分であり、事業の持続可能性には課題があります。特に、固定資産の減損損失計上や、売上高の大幅な減少は、収益モデルの変革期における不安定性を示しています。リアルアセット事業の売却に伴い、売上計上時期に大きな変動があり、これが短期的な業績の振れ幅を大きくしています。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向や独自性:

細胞治療技術の研究開発に注力しており、特定の疾患を標的としたパイプライン製品(ECCI-50、Cyt-006など)を有しています。これらの製品は、現在臨床試験・研究段階にあります。

収益を牽引している製品やサービス:

現状の決算短信からは、「セルーション遠心分離器の販売不振」や「セルセラピーキットの販売減少」が報告されており、現時点で収益を強力に牽引する主力製品は確立されていません。過去12カ月および2025年3月期は大幅な赤字を計上しています。

6. 株価の評価

現在の株価は815.0円です。
* EPS(会社予想): 7.95円
* PBR(実績): 25.35倍 (株価815円 / BPS32.15円)
* PER(会社予想): 102.52倍 (株価815円 / EPS7.95円)

業界平均PER 17.6倍、業界平均PBR 1.6倍と比較すると、同社のPERおよびPBRは大幅に高水準にあります。これは、現在の収益性と資産価値に比して、株価がかなり割高に評価されている可能性を示唆しています。ただし、EPSには特別利益が含まれる可能性があり、本業の収益力に基づく評価とは異なる点に留意が必要です。

7. テクニカル分析

直近の株価は815円であり、年初来高値990円、年初来安値642円のレンジの中央やや下方に位置しています。ここ10日間の株価推移は、812円から862円の範囲内で小幅な変動が見られます。
出来高は3,600株、売買代金は2,940千円と非常に少なく、市場の関心度は低い水準であり、流動性も限定的であると言えます。

8. 財務諸表分析

売上、利益の傾向:

過去数年間の売上高は大きく変動しており、特に2025年3月期は122百万円(前年同期比92.2%減)と大幅に減少しました。これは、リアルアセット事業(ホテル金沢の株式譲渡など)の売却による影響が大きいです。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、2025年3月期にそれぞれ△806百万円、△864百万円、△2,140百万円と継続して大幅な損失を計上しています。2024年3月期に一時的に純利益を計上しましたが、これは特別利益によるものと推測され、本業の収益性は依然として厳しい状況です。

ROE、ROAなどの指標:

ROEは-142.71%(実績)、ROAは-14.34%(過去12か月)と、いずれも大幅なマイナスであり、収益性は極めて低い状況です。

四半期決算の進捗状況:

直近四半期(2025年6月期)の具体的な損益状況は提示がありませんが、通期予想(2026年3月期)では売上高1,060百万円(前年比767.5%増)と大幅な売上回復を見込むものの、営業損失△123百万円、経常損失△138百万円と、依然として本業の赤字継続を予想しています。親会社株主に帰属する当期純利益は71百万円の黒字予想ですが、これは特別利益(新株予約権戻入益)を計上する影響とされています。

9. 財務健全性分析

自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:

2025年3月期の自己資本比率は11.8%と非常に低い水準であり、財務の健全性に懸念があります。2024年3月期の44.3%から大きく低下しており、これは多額の純損失計上による影響です。流動比率は直近四半期で5.47と高いものの、これは流動資産の内訳や運転資金の状況を詳細に確認する必要があります。

財務安全性と資金繰りの状況:

「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在」と決算短信に記載されており、短期的な資金繰りには厳しい状況が示唆されています。主要株主からの資金支援の意向表明や、信託受益権譲渡による資金調達、新株予約権戻入益の計上など、財務改善に向けた動きが見られますが、根本的な解決策となるかは今後の進展次第です。

借入金の動向と金利負担:

損益計算書では、継続的に多額のインタレスト費用が計上されており、借入金が一定程度存在する可能性を示しています。財務活動によるキャッシュフローは2025年3月期にプラス転換していますが、これは資金調達によるものです。

10. 収益性分析

ROE、ROAともに大幅なマイナスであり、一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)を大きく下回っています。売上総利益も過去12か月で-36,755千円、営業利益も-732,171千円と赤字であり、各種利益率も極めて低い状況です。事業構造転換の途上にあり、リアルアセット事業の縮小とメディカル事業の本格的な収益化が遅れていることが、収益性の悪化に直結しています。今後、メディカル事業の進展と収益貢献がなければ、現状の収益性の改善は難しいと評価されます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値: 0.10と非常に低く、市場全体の変動に対する感応度は小さい傾向にあります。これは、特定の事業環境や企業固有の要因が株価に与える影響が大きいことを示唆している可能性があります。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値990円、安値642円に対し、現在の株価815円はレンジの中央やや下方に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因:
    • リアルアセット事業からメディカル事業への転換に伴う事業リスク
    • メディカル事業における製品の販売不振や開発の遅延
    • 海外事業展開に伴う為替変動や地政学リスク、制度・規制リスク
    • 「継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在」という記載があり、最も重要なリスク要因として財務的な不安定性が挙げられます。

12. バリュエーション分析

PER(会社予想)102.52倍、PBR(実績)25.35倍は、業種平均PER 17.6倍、業界平均PBR 1.6倍と比較して大幅に高水準です。これは、現在の業績や資産価値に対して株価が非常に割高に評価されていることを示しています。提示された目標株価(業種平均PBR基準)87円と比較しても、現在の株価815円は大きく乖離しています。
総合的に判断すると、現在の株価は割高であると評価されます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況: 信用買残が1,968,700株と発行済株式数約893万株の約22%を占めており、買い方が多く捕まっている状況が見られます。信用売残は0株のため、信用倍率は0.00倍となっています。これは需給が買い方に偏っており、将来的な上値の重さにつながる可能性があります。
  • 株主構成: 経営陣持株比率、安定株主の状況:インサイダー保有比率が78.12%と非常に高く、経営陣や特定の株主が株の大部分を保有しています。浮動株が非常に少ないため、流動性が低く、わずかな売買でも株価が大きく変動する可能性があります。機関投資家比率は7.92%です。

14. 株主還元と配当方針

配当利回り(会社予想)および1株配当(会社予想)は「–」であり、実績でも2024年3月期、2025年3月期ともに0.00円と無配です。2026年3月期の配当も0.00円と予想されており、現時点では株主還元策としての配当は行われていません。自社株買いや株式報酬型ストックオプションに関する情報は提示されていません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 2025年3月期 決算短信: 大幅な売上高減少と純損失を計上。リアルアセット事業の縮小とメディカル事業への転換状況が報告されています。
  • 「継続企業の前提に関する重要な疑義」の存在: 企業の存続に関する懸念が明記されています。
  • 資金調達に関する動き: 2025年5月30日に信託受益権譲渡による資金調達を予定しており、主要株主からも5億円を上限とする資金支援の意向表明書を入手しているとのこと。これらは財務状況改善のための方策です。
  • 特別利益(新株予約権戻入益)の計上に関するお知らせ: 2026年3月期の純利益予想に計上される71百万円は、この特別利益によるものであるとされています。

これらは、短期的な資金繰りの改善や純利益の黒字化に寄与する可能性がありますが、本業の収益性が改善されたわけではない点に注意が必要です。

16. 総評

ADR120Sは、リアルアセット事業から再生医療を中心とするメディカル事業への抜本的な事業構造転換を進めている途上にあります。将来性のある分野へのシフトは期待されますが、現状ではメディカル事業の本格的な収益化に至っておらず、大規模な赤字が継続しています。特に2025年3月期には大幅な売上高減少と多額の純損失を計上し、自己資本比率も大きく低下するなど、財務状況は非常に厳しい状態にあります。「継続企業の前提に関する重要な疑義」が生じていることは、投資家にとって重大なリスク要因です。
資金調達や特別利益の計上といった財務改善策が講じられていますが、これらは一時的なものであり、本業の収益力回復が喫緊の課題です。現在の株価は、大幅な赤字と脆弱な財務基盤に比して、PER・PBRともに市場平均を大きく上回る水準にあり、割高と判断されます。

強み:

  • 将来性のある再生医療分野への重点的な事業シフト
  • 特定の疾患をターゲットとした細胞治療のパイプライン(ECCI-50, Cyt-006)の研究開発

弱み:

  • 継続的な営業損失、経常損失、純損失
  • 極めて低い自己資本比率と「継続企業の前提に関する重要な疑義」
  • 主力製品・サービスの収益貢献が限定的
  • 売上高の大幅な減少と不安定な業績
  • 流動性が低く、信用買残が多い需給状況

機会:

  • 再生医療市場の潜在的な成長
  • 海外市場(サウジアラビア等)への事業展開

脅威:

  • 再生医療分野の研究開発リスクと承認プロセスの長期化
  • 競合他社との厳しい競争
  • 不安定な財務基盤と倒産リスク
  • 外部環境の変化(為替、地政学、規制など)

17. 企業スコア

  • 成長性: D (過去の大幅な売上減少、新事業の収益化は道半ば)
  • 収益性: D (ROE、ROA、各利益率が大幅なマイナス)
  • 財務健全性: C (自己資本比率が低く、継続企業の前提に疑義)
  • 株価バリュエーション: D (PER、PBRともに業界平均を大きく上回り、実態に比して割高)

企業情報

銘柄コード 3750
企業名 ADR120S
URL https://adr.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 815円
EPS(1株利益) 7.95円
年間配当 0.00円

予測の前提条件

予想EPS成長率 8.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

予想EPS 11.68円
理論株価 175円
累計配当 0円
トータル価値 175円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) -26.47% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 87円 44円 × 算出価格を上回る
12% 99円 50円 × 算出価格を上回る
10% 109円 54円 × 算出価格を上回る

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By ジニー

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