1. 企業情報

グローリーは、貨幣処理機の大手メーカーであり、紙幣や硬貨の計数・識別・整理・入出金を行う機器を開発、製造、販売しています。国内市場では金融機関向けに高いシェアを持ち、海外では小売業や交通機関向けに事業を拡大しています。

主力製品・サービスの特徴:

  • 金融市場向け: セルフレジ対応の硬貨・紙幣入出金機、窓口用現金処理機、小型紙幣計数機・分類機、硬貨分類機・包装機など、現金の効率的な管理と受付を支援する多様な製品。
  • 流通・交通市場向け: 両替機、ハイブリッド入金機、電子マネーリーダー、スマートロッカー、自動精算機、医療支払機など、店舗や施設における決済・現金管理の効率化ソリューション。特に海外市場での展開を強化しています。
  • 遊技市場向け: パチンコ店などで使用される計数ユニットや景品保管機。
  • その他サービス: 顔認証システムや協働ロボットなど、貨幣処理技術で培ったノウハウを応用した新規分野への展開も見られます。

事業セグメント別では、海外市場が連結売上構成比で57%を占め、最も大きな収益源となっています。

2. 業界のポジションと市場シェア

グローリーは、貨幣処理機市場において日本の大手企業としての地位を確立しており、特に国内の金融機関向けでは強い競争優位性を持っています。近年は海外市場、とくに小売業向けソリューションで急成長を見せています。

競争優位性や課題:

  • 長年にわたる技術開発と顧客基盤によって築かれた製品の信頼性と品質が強みです。
  • 多岐にわたる製品ラインナップとグローバルな販売・サービスネットワークも競争力の源泉です。
  • 一方、キャッシュレス決済の普及は、中長期的に現金処理機の需要に影響を与える可能性があります。

市場動向と企業の対応状況:

  • キャッシュレス化の進展に対応するため、同社は決済機器の多様化や、現金精算・管理の効率化ニーズに応えるソリューション提供に注力しています。また、顔認証システムなど、貨幣以外の「認証」技術への応用を通じて、新規事業領域の開拓も進めています。

3. 経営戦略と重点分野

データには具体的な経営陣が掲げるビジョンや中期経営計画の詳細は記載されていません。

4. 事業モデルの持続可能性

収益モデル:

貨幣処理機および関連システムの製造・販売、ならびに保守サービスが主な収益源です。海外市場(特に流通・交通市場向け)の拡大が、近年における成長の重要な要素となっています。

市場ニーズの変化への適応力:

キャッシュレス化は逆風であるものの、現金取扱いの効率化、セキュリティ強化、人件費削減といったニーズは依然として存在します。同社は高機能な貨幣処理機や自動精算機によってこれらのニーズに応えています。また顔認証システムなど、非現金分野への事業展開も進めており、将来的な事業ポートフォリオの転換を図ろうとしていると考えられます。

売上計上時期の偏り:

データからは売上計上時期の偏りに関する具体的な情報は読み取れません。

5. 技術革新と主力製品

技術開発の動向や独自性:

貨幣処理技術における長年の経験とノウハウを持ち、その技術力は金融機関向け市場での高いシェアに裏付けられています。近年では顔認証システムや協働ロボットといった新たな分野への技術展開も見せており、事業領域の拡大に積極的に取り組んでいます。

収益を牽引している製品やサービス:

事業セグメント別売上構成比からは、海外市場(57%)、流通・交通市場(19%)、金融市場(15%)が主要な収益源であることが示されています。特に海外市場向けの製品およびサービスが収益全体を牽引していると考えられます。

6. 株価の評価

現在の株価3,929.0円に対し、会社予想EPSは209.25円、実績PBRは0.94倍、実績BPSは4,186.61円です。
* PER(会社予想): 18.78倍
* PBR(実績): 0.94倍

業界平均PER16.6倍と比較すると、グローリーのPERはやや高い水準にあります。一方、業界平均PBR1.4倍と比較すると、グローリーのPBRは0.94倍と1倍を下回っており、純資産価値に比べて株価が割安であると評価できます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移: 過去10日間の株価は3,731円から3,929円の範囲で推移し、本日は高値圏で取引を終えています。
  • 年初来高値・安値との位置関係: 年初来高値4,080円に対し、現在の株価3,929円は非常に近く、高値圏に位置しています。年初来安値2,136円からは大幅な上昇を見せています。
  • 移動平均線: 50日移動平均線3,722.58円、200日移動平均線3,249.35円をいずれも上回っており、上昇トレンドが継続していると見られます。
  • 出来高・売買代金: 本日の出来高は110,900株、売買代金は4億3,532万5千円でした。市場関心度が極端に高いわけではありませんが、安定して取引が行われています。

8. 財務諸表分析

過去数年間の損益計算書を見ると、同社の業績は大きく変動しています。
* 売上高:
* 2022年3月期: 226,562百万円
* 2023年3月期: 255,857百万円
* 2024年3月期: 372,478百万円 (大幅増収)
* 2025年3月期(予想): 369,017百万円 (微減予想)
* 過去12か月実績: 337,810百万円

売上は2024年3月期に大きく伸長しましたが、2025年3月期は微減予想です。
  • 営業利益:

    • 2022年3月期: 10,196百万円
    • 2023年3月期: 522百万円 (大幅減益)
    • 2024年3月期: 51,111百万円 (大幅回復)
    • 2025年3月期(予想): 35,174百万円 (減益予想)
    • 過去12か月実績: 22,345百万円

    営業利益は2023年3月期に大きく落ち込みましたが、2024年3月期に急回復しました。しかし、2025年3月期は再び減益が予想されています。
    * 純利益:
    * 2022年3月期: 6,410百万円
    * 2023年3月期: -9,538百万円 (赤字転落)
    * 2024年3月期: 29,590百万円 (黒字転換、大幅増益)
    * 2025年3月期(予想): 16,053百万円 (大幅減益予想)
    * 過去12か月実績: 11,557百万円

    純利益も営業利益と同様に2023年3月期に赤字に転落しましたが、2024年3月期には大きく回復しました。2025年3月期は大幅な減益が予想されており、収益の安定性には課題が見られます。
    * 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):

    過去12か月の実績は、売上、営業利益、純利益ともに2025年3月期通期予想に対して90%から70%程度の水準に留まっています。特に利益面では、残り期間で巻き返しが必要な状況です。

    9. 財務健全性分析

    • 自己資本比率(実績): 53.3%

    一般的な優良企業の目安とされる40%を大きく上回っており、非常に高い財務健全性を示しています。
    * 流動比率(直近四半期): 1.90倍

    短期的な支払能力を示す流動比率は、200%(2.00倍)を下回っていますが、190%(1.90倍)は依然として安全圏であり、十分な短期支払い能力があります。
    * 負債比率(Total Debt/Equity)(直近四半期): 36.19%

    負債が自己資本に対して少なく、財務は非常に健全です。
    * 資金繰りの状況:

    直近四半期の総現金は518.6億円に対し、総負債は821.5億円。ネットで見れば約302.9億円の負債超過ですが、十分なキャッシュポジションを維持しています。営業キャッシュフローも過去12か月で502.9億円と潤沢であり、安定した資金創出力があります。
    * 借入金の動向と金利負担:

    Net Non Operating Interest Income Expenseは年間で20億円程度の支払い超過ですが、これは全体の利益規模から見て過度な負担ではありません。

    10. 収益性分析

    • ROE(過去12か月): 5.40%

    一般的なベンチマークとされる10%を下回っており、資本を効率的に活用して利益を生み出す能力には改善余地があります。
    * ROA(過去12か月): 3.33%

    一般的なベンチマークとされる5%を下回っており、総資産に対する収益力は平均以下です。
    * 各種利益率:
    * 売上総利益率(過去12か月): 42.8%
    * 営業利益率(過去12か月): 5.88%
    * 純利益率: 3.57%

    売上総利益率は比較的良好ですが、営業利益率と純利益率は改善の余地があります。
    * 収益性の推移と改善余地:

    2023年3月期の赤字転落と2024年3月期のV字回復に見られるように、収益の安定性には課題があります。2025年3月期の減益予想もこれを裏付けています。ROE、ROAともにベンチマークを下回っていることから、事業構造改革やコスト効率化などを通じた資本効率および収益性の向上が求められます。

    11. 市場リスク評価

    • ベータ値(5Y Monthly): 0.11

    ベータ値が非常に低く、市場全体の変動に対する感応度が低い、比較的ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
    * 52週高値・安値のレンジと現在位置:

    52週高値は4,080.00円、安値は2,136.00円です。現在の株価3,929.0円は、52週レンジの上限に非常に近い位置にあります。
    * 決算短信に記載のリスク要因:

    提供データには具体的な記載がありません。一般的に考えられるリスク要因としては、キャッシュレス化の進展による主要市場の縮小、海外事業における為替変動リスクや地政学リスク、技術革新競争の激化などが挙げられます。

    12. バリュエーション分析

    • 業種平均PER/PBRとの比較:
    • 現在のPER (会社予想): 18.78倍
    • 業界平均PER: 16.6倍
    • 現在のPBR (実績): 0.94倍
    • 業界平均PBR: 1.4倍

    PERでは業界平均よりやや割高ですが、PBRでは業界平均より割安であり、純資産価値に比べて低い評価を受けています。
    * 目標株価レンジの算出:
    * 業種平均PER基準: EPS 209.25円 × 業界平均PER 16.6 = 3,473.85円
    * 業種平均PBR基準: BPS 4,186.61円 × 業界平均PBR 1.4 = 5,861.25円
    * 割安・割高の総合判断:

    PER基準で現在の株価はやや割高感があります。しかしPBRが1倍を下回っており、純資産と比較して現在の株価は割安と判断することもできます。収益性の不安定さを考慮すると、バリュエーションは平均的な水準にあると評価できます。

    13. 市場センチメント分析

    • 信用取引の状況:
    • 信用買残: 21,800株
    • 信用売残: 42,400株
    • 信用倍率: 0.51倍

    信用倍率が1倍を下回る「売り長」の状態であり、需給面では株価の上昇要因となる可能性があります。買残が減少傾向にある点も注目されます。
    * 株主構成:

    日本マスタートラスト信託銀行、日本生命保険などの機関投資家が大株主に名を連ねており、安定株主が多い構造です。自社による保有(自己株口、社員持株会、取引先持株会)も合計して約11%を占めており、経営の安定性に寄与しています。
    * 大株主の動向:

    データからは直近の大株主の具体的な売買動向は読み取れません。

    14. 株主還元と配当方針

    • 配当利回り(会社予想): 2.85%
    • 1株配当(会社予想): 112.00円
    • 配当性向: 52.89%

    利益に対する配当の比率(配当性向)は50%を超えており、株主還元に対して積極的に取り組む姿勢が見られます。
    * 自社株買いなどの株主還元策、株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策:

    提供データには具体的な記載がありません。

    15. 最近のトピックスと材料

    今後のイベントとして、2026年2月5日に次の決算発表、2026年3月30日に権利落ち日を迎える予定です。その他の適時開示情報(大型受注、新製品発表、拠点展開など)に関する詳細は提供データにはありません。

    16. 総評

    グローリーは、貨幣処理機市場のリーディングカンパニーとして確固たる地位を築いており、特に国内金融機関向けに強みを持っています。近年は海外市場や新規事業分野への展開を通じて、事業領域の拡大を図っています。

全体的な見解:

同社は、自己資本比率53.3%と非常に高い財務健全性を誇り、安定したキャッシュフローを創出しています。また、ベータ値が低いため、市場全体の変動リスクに強いディフェンシブな特性を持っています。株価は年初来高値圏にありつつも、PBRが1倍を割れている点は割安感を示唆しており、信用倍率が売り長であることも短期的な需給面では好材料です。
一方で、2023年3月期の赤字転落、2025年3月期の減益予想など、収益性が不安定である点が課題です。ROE 5.40%やROA 3.33%も業界平均やベンチマークを下回っており、資本効率の改善が求められます。キャッシュレス決済の普及という中長期的な市場環境の変化への適応力と、新規事業の収益貢献が今後の成長の鍵となります。
* 強み (Strengths):
* 貨幣処理機分野における高い技術力と国内外での強固な市場地位。
* 極めて高い財務健全性(自己資本比率、流動比率、負債比率)。
* 市場変動リスクに強いディフェンシブな銘柄特性(低ベータ値)。
* PBRが1倍を下回り、純資産価値から見た割安感がある。
* 信用需給が売り長で、短期的な株価の押し上げ要因となる可能性。
* 弱み (Weaknesses):
* 本業の市場がキャッシュレス化の進展により中長期的に縮小するリスク。
* 過去数年の業績変動に見られる収益の不安定性、2025年3月期の減益予想。
* ROE、ROAが一般的なベンチマークを下回っており、資本効率の改善が課題。
* 機会 (Opportunities):
* 海外市場(特に小売業向け)でのさらなる事業拡大。
* 顔認証システムや協働ロボットといった新規技術・市場への参入と成長。
* 現金取り扱い業務の効率化・省人化ニーズへの高機能ソリューション提供。
* 脅威 (Threats):
* キャッシュレス決済の加速的な普及とそれによる需要の減少。
* グローバル展開における為替変動、地政学リスク、国際競争の激化。
* 原材料高騰やサプライチェーン問題による生産コスト上昇。

17. 企業スコア

  • 成長性: C

    2024年3月期は大幅増収を見せたものの、2025年3月期は売上・利益ともに減益予想です。直近四半期の売上成長率も前年比マイナスであり、安定的な成長軌道に乗っているとは判断しにくい状況です。
    * 収益性: C

    営業利益率5.88%、純利益率3.57%は高くなく、ROE 5.40%、ROA 3.33%も一般的なベンチマークを下回っています。過去数年の業績変動も大きく、収益の安定性および効率性に課題が見られます。
    * 財務健全性: S

    自己資本比率53.3%(高水準)、流動比率1.90倍(安全圏)、負債比率36.19%(低水準)と非常に健全な財務体質を維持しています。潤沢な営業キャッシュフローとキャッシュポジションも評価ポイントです。
    * 株価バリュエーション: B

    PERは業界平均よりやや割高ですが、PBRが1倍を割っており、純資産価値から見ると割安感があります。収益性の課題を考慮すると、現在の株価は平均的な水準で、極端な割安・割高ではありません。


企業情報

銘柄コード 6457
企業名 グローリー
URL http://www.glory.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 3,929円
EPS(1株利益) 209.25円
年間配当 2.85円

予測の前提条件

予想EPS成長率 5.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

予想EPS 267.06円
理論株価 4,006円
累計配当 17円
トータル価値 4,022円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) 0.47% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 2,000円 1,000円 × 算出価格を上回る
12% 2,282円 1,141円 × 算出価格を上回る
10% 2,498円 1,249円 × 算出価格を上回る

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By ジニー

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