天龍製鋸 (5945) 企業分析レポート

個人投資家の皆様へ、天龍製鋸の企業分析レポートをお届けします。本レポートは、提供された情報に基づき、企業の現状と今後の展望を多角的に分析したものです。

1. 企業情報

天龍製鋸は、1909年創業の機械のこ製造の老舗企業です。特に「パス印」ブランドで知られ、木工用丸のこにおいては国内でトップシェアを誇ります。金属用チップソーの分野にも力を入れており、国内外で幅広く事業を展開しています。
主力製品である丸のこやチップソーは、木材加工、金属加工など様々な産業で使用される切削工具です。同社は、超硬工具、HSS工具、ダイヤモンドソーブレード、丸鋸・帯鋸、丸刃、マイターソーブレードなどの切削工具のほか、超硬チップソー用の機械や帯鋸加工機なども提供しています。
2025年3月期の連結事業セグメントでは、日本が売上高の62%を占めますが、中国12%、アジア7%、アメリカ13%、ヨーロッパ5%と、海外売上比率が51%に達しており、グローバルに事業を展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

天龍製鋸は、木工用丸のこで国内首位のポジションを確立しており、長年の歴史と技術力に裏打ちされたブランド力を有しています。金属用チップソーの分野でも拡大戦略を推進しており、市場での存在感を高めています。
市場動向としては、米国や欧州では景気減速傾向が見られるものの、中国では内需が持ち直し、日本経済もインバウンド需要に支えられて緩やかな回復が続いています。同社は、新中期経営計画において「グローバル市場に対応する販売・技術サポート体制強化による環境に配慮した製品及び高付加価値製品の拡販」を掲げており、多様な市場環境に対応する戦略を進めています。2025年3月期には、中国・アジア・アメリカの海外セグメントで住宅資材用チップソーの受注が増加し、売上・利益に大きく貢献しています。

3. 経営戦略と重点分野

同社は、2024年度から2026年度までの新中期経営計画を推進しており、初年度である2025年3月期においては、「環境負荷の低減に寄与する新製品の開発」、「既存技術の向上」、「販売活動の強化」を重点戦略として取り組みました。
2026年3月期に向けては、以下の重点施策を掲げています。
* グローバル市場に対応する販売・技術サポート体制強化による環境に配慮した製品及び高付加価値製品の拡販
* CO2排出削減を図るための新規設備投資による脱炭素生産の確立
* 人的資本経営、ウェルビーイング経営の実現

これらの施策を通じて、持続的な成長と企業価値向上を目指しています。

4. 事業モデルの持続可能性

同社は110年を超える歴史を持つ老舗企業であり、その長年の経験と技術力、そして「パス印」ブランドによる高い信頼性を基盤とした事業モデルは非常に安定しています。製品の用途が多岐にわたり、国内だけでなく海外にも広範な販売網を持つことで、特定の市場や産業の変動リスクを分散しています。
中期経営計画で掲げている環境配慮型製品や高付加価値製品への注力は、変化する市場ニーズへの適応力を高め、将来的な収益源の多様化にも繋がるでしょう。
売上計上時期の偏りについては、提供データからは具体的な情報はありません。

5. 技術革新と主力製品

天龍製鋸は、長年にわたり切削工具の開発・製造で培ってきた技術力を有しています。中期経営計画においても「既存技術の向上」や「環境負荷の低減に寄与する新製品の開発」を重点分野に据えており、継続的な技術革新に取り組んでいます。
現在の収益を牽引している主力製品は、木工用および金属用のチップソーです。特に木工用丸のこは国内で高いシェアを誇り、住宅資材分野での需要が安定しています。2025年3月期決算では、日本、中国、アジア、アメリカの各地域で住宅資材用チップソーや金属用チップソーの販売が好調に推移し、業績に貢献しました。

6. 株価の評価

現在の株価2,119.0円に対し、PER(会社予想)は13.46倍、PBR(実績)は0.53倍です。
業界平均PERが11.3倍であることと比較すると、同社のPERはやや割高な水準にあります。一方、業界平均PBRが0.5倍であることと比較すると、同社のPBRはほぼ同水準です。
EPS(会社予想)は157.47円、BPS(実績)は4,024.04円です。

7. テクニカル分析

直近の株価2,119.0円は、年初来高値2,171円に近く、高値圏で推移していると言えます。年初来安値は1,680円であり、現在の株価は年間レンジの上限に近い位置にあります。
50日移動平均線は2,109.54円、200日移動平均線は1,960.35円であり、現在の株価は短期・中期の移動平均線を上回っており、上昇トレンドを示唆しています。
直近の出来高は3,600株、売買代金は7,577千円と、平均出来高(1.39k株/3ヶ月平均、1.16k株/10日平均)と比較しても比較的低い水準にあります。これは、市場の関心度が限定的である可能性を示唆しており、流動性には注意が必要です。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:

    • 2022年3月期: 14,390百万円
    • 2023年3月期: 13,530百万円
    • 2024年3月期: 11,935百万円
    • 2025年3月期: 13,131百万円 (前年同期比10.0%増)
    • 2026年3月期 (予想): 13,800百万円 (前年度比5.1%増)

    売上高は2024年3月期に一時減少しましたが、2025年3月期には大きく回復し、2026年3月期も増収を予想しています。
    * 営業利益:
    * 2022年3月期: 2,786百万円
    * 2023年3月期: 1,736百万円
    * 2024年3月期: 1,242百万円
    * 2025年3月期: 1,826百万円 (前年同期比47.1%増)
    * 2026年3月期 (予想): 1,830百万円 (前年度比0.2%増)

    営業利益も2024年3月期を底に2025年3月期に大きく回復しました。2026年3月期は横ばいを予想しています。
    * 当期純利益:
    * 2022年3月期: 2,130百万円
    * 2023年3月期: 1,655百万円
    * 2024年3月期: 1,226百万円
    * 2025年3月期: 1,506百万円 (前年同期比22.8%増)
    * 2026年3月期 (予想): 1,420百万円 (前年度比5.7%減)

    純利益も同様に2025年3月期に回復しましたが、2026年3月期は微減を予想しています。
    * 収益性指標:
    * ROE(実績): 4.24%
    * ROA(過去12か月): 2.93%
    * 売上高営業利益率(2025年3月期): 13.9%

    ROE、ROAは一般的なベンチマークと比較して低い水準ですが、営業利益率は比較的健全です。
    * 四半期決算の進捗状況:

    直近の2025年3月期決算では、売上高、営業利益、経常利益、純利益ともに前年同期比で大幅増益を達成し、好調に推移しました。特に海外セグメント(中国、アジア、アメリカ)における住宅資材用チップソーの受注増加や工場稼働率向上が寄与しました。通期予想に対しては、売上高は増加、利益はほぼ横ばいから微減の予想となっています。

    9. 財務健全性分析

    同社の財務は極めて健全です。
    * 自己資本比率(実績): 91.9%

    これは非常に高い水準であり、財務基盤が極めて強固であることを示しています。
    * 流動比率(直近四半期): 14.90倍

    短期的な負債に対する支払能力が非常に高く、資金繰りに全く問題がない状態です。
    * 負債比率: データなし。ただし、自己資本比率の高さから負債が非常に少ないことが推測されます。
    * 総現金(直近四半期): 11.95B円

    潤沢な手元資金を保有しており、経営の安定性が高いです。
    * 借入金の動向と金利負担: インタレスト費用が過去12か月で319千円と極めて低く、金利負担は insignificant (極めて小さい) です。これは借入金が非常に少ないことを示しています。

10. 収益性分析

  • ROE(実績): 4.24%
  • ROA(過去12か月): 2.93%
  • Profit Margin: 12.52% (過去12か月)
  • Operating Margin: 13.66% (過去12か月)

ROEとROAは、一般的なベンチマーク(ROE 10%以上、ROA 5%以上)と比較すると低い水準にあります。これは、財務健全性が非常に高い(自己資本比率が高い、負債が少ない)一方で、その資本を効率的に活用しきれていない可能性を示唆しています。
一方で、営業利益率や純利益率は二桁を維持しており、本業での稼ぐ力自体は悪くありません。2025年3月期は大幅増益を達成しており、収益性は改善傾向にあります。今後の課題は、強固な財務基盤を活かし、さらなる資本効率の向上を図ることです。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値(5Y Monthly): 0.10

    ベータ値が0.10と非常に低いことは、市場全体の動きに対する感応度が低い、すなわち、市場の変動の影響を受けにくいことを示しています。これは安定性を重視する投資家にとってはポジティブな要素です。
    * 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値2,171円、52週安値1,680円に対して、現在の株価2,119.0円は高値圏に位置しています。
    * 決算短信に記載のリスク要因: 決算短信では、「米国トランプ大統領による各種政策、米中の貿易摩擦の再燃への懸念、地政学的緊張の高まりなどにより、経営環境は依然として予断を許さない状況が続く」と述べられています。天龍製鋸は海外売上比率が51%と高いため、これらの国際情勢や外部環境の変化による影響を受けるリスクがあります。特に、中国やアメリカでの好調な売上が継続するかどうかは、国際政治経済の動向に左右される可能性があります。為替変動リスクもグローバル企業として内在しますが、直接の言及はありません。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較: 同社のPER(会社予想13.46倍)は業種平均PER(11.3倍)と比較してやや割高な水準です。

    同社のPBR(実績0.53倍)は業種平均PBR(0.5倍)と比較してほぼ同水準です。
    * 目標株価レンジの算出: 業種平均PERを適用した場合の目標株価: 2,070円

    業種平均PBRを適用した場合の目標株価: 2,012円
    * 割安・割高の総合判断: 現在の株価2,119.0円は、業種平均倍率を適用して算出した目標株価レンジ(2,012円~2,070円)と比較すると、やや割高感があります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況: 信用買残が243,900株ある一方で、信用売残は0株です。このため信用倍率は0.00倍となっています。売残がゼロである状況は、株価上昇時に踏み上げ要因がないことを意味します。一方で、出来高が少ないため、信用買いが増えた際の需給関係が価格に与える影響は限定的となる可能性があります。
  • 株主構成: 自社(自己株口)が19.88%、自社社員持株会が6.15%を保有しており、安定株主の比率が高いです。経営陣持株比率(Insiders)は23.70%であり、経営陣が会社の株式を一定程度保有しています。また、静岡銀行、遠鉄タクシー、河合楽器製作所などの事業会社、あいち銀行、浜松磐田信用金庫などの金融機関が主要株主に名を連ねており、安定した株主構成と言えます。
  • 大株主の動向: データなし。

14. 株主還元と配当方針

同社は株主還元に積極的です。
* 配当利回り(会社予想): 3.73%

これは現在の市場環境において比較的高い水準であり、インカムゲインを重視する投資家にとっては魅力的です。
  • 1株配当(会社予想): 79.00円
  • 配当性向(Payout Ratio): 44.78%

    配当性向5割超を掲げているという情報もあり、高い水準で株主への利益還元を行っています。
    * 配当実績: 2024年3月期 55.00円 → 2025年3月期 82.00円 → 2026年3月期(予想) 79.00円と、年によって変動があるものの、安定して高水準の配当を維持する方針が見られます。
    * 自社株買いなどの株主還元策: データなし。
    * 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策: データなし。

15. 最近のトピックスと材料

2025年3月期の決算では、売上高13,131百万円(前年同期比10.0%増)、営業利益1,826百万円(同47.1%増)、純利益1,506百万円(同22.8%増)と大幅な増収増益を達成しました。特に、中国、アジア、アメリカの海外セグメントにおける住宅資材用チップソーの受注増加や、工場稼働率の向上が業績を大きく牽引しました。アメリカでは金属用・住宅資材用チップソーともに好調でした。
今後の見通しとしては、2026年3月期は売上高13,800百万円(同5.1%増)と増収を予想していますが、営業利益は1,830百万円(同0.2%増)、純利益は1,420百万円(同5.7%減)と、利益はほぼ横ばいか微減を見込んでいます。これは、積極的な先行投資や人件費などの経費増加が影響している可能性があります。
中期経営計画で掲げられた「環境に配慮した製品及び高付加価値製品の拡販」、「脱炭素生産の確立」、「人的資本経営」といった取り組みは、長期的な競争力強化と企業価値向上に寄与する重要な材料と言えます。

16. 総評

天龍製鋸は、110年を超える歴史と「木工用丸のこ国内首位」という強固な事業基盤を持つ老舗企業です。極めて高い自己資本比率(91.9%)と潤沢な現金(11.95B円)に裏打ちされた財務健全性は非常に高く、安定した経営を続けています。グローバル展開も進んでおり、海外売上比率は51%に達し、市場リスクの分散が図られています。
近年は、世界経済の変動や原材料高騰の影響を受けつつも、2025年3月期は海外市場での好調を背景に業績が大きく回復しました。中期経営計画では、環境配慮型製品や高付加価値製品の開発・拡販、脱炭素生産、人的資本経営を重点分野として掲げており、持続的な成長に向けた意欲を示しています。
一方で、ROEやROAは一般的なベンチマークと比較して低く、資本効率の改善が今後の課題として挙げられます。また、現在の株価は各種バリュエーション指標から見ると、業界平均と比較してやや割高感があります。出来高が少ないため、流動性リスクも留意が必要です。
* 強み:
* 木工用丸のこで国内首位、110年超の歴史とブランド力。
* 極めて強固な財務体質(高自己資本比率、高流動比率、潤沢な現金)。
* 海外売上比率51%のグローバル展開によるリスク分散。
* 高配当利回り(会社予想3.73%)と安定した配当方針。
* ベータ値0.10と市場感応度が低い安定銘柄。
* 弱み:
* ROE、ROAが業界平均や一般的なベンチマークと比較して低い(資本効率に改善余地)。
* 出来高が少なく、市場の注目度が限定的。
* 機会:
* 環境配慮型・高付加価値製品の開発・拡販による市場ニーズへの対応。
* 中国、アジア市場でのさらなる成長(2025年3月期の実績は好調)。
* 脱炭素生産への取り組みによる企業価値向上と競争力強化。
* 脅威:
* 世界経済の景気後退や米中貿易摩擦再燃、地政学的リスクによる経営環境の不確実性。
* 原材料価格の高騰や為替変動リスク(グローバル事業故)。

17. 企業スコア

  • 成長性: A

    2025年3月期は増収増益を達成し、特に海外セグメント(中国、アジア、アメリカ)における住宅資材用チップソーの受注増加が好調を牽引しました。2026年3月期も増収予想で、新製品開発・拡販戦略も推進しています。
    * 収益性: B

    営業利益率13.66%は健全な水準ですが、ROE4.64%、ROA2.93%は一般的なベンチマーク(ROE10%、ROA5%)を下回っており、資本効率には改善の余地があります。
    * 財務健全性: S

    自己資本比率91.9%、流動比率14.90倍、潤沢な現金を保有しており、財務体質は極めて強固で盤石です。
    * 株価バリュエーション: C

    PER(会社予想13.46倍)は業界平均PER(11.3倍)と比較してやや割高な水準にあります。PBR(実績0.53倍)は業界平均PBR(0.5倍)と同水準ですが、目標株価レンジ(業種平均PER/PBR基準)を下回るため、現在の株価には割高感が伴います。


企業情報

銘柄コード 5945
企業名 天龍製鋸
URL http://www.tenryu-saw.com/
市場区分 スタンダード市場
業種 建設・資材 – 金属製品

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 2,119円
EPS(1株利益) 157.47円
年間配当 3.73円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 13.5倍

5年後の予測値

予想EPS 182.55円
理論株価 2,457円
累計配当 20円
トータル価値 2,478円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) 3.18% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,232円 616円 × 算出価格を上回る
12% 1,406円 703円 × 算出価格を上回る
10% 1,538円 769円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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