江崎グリコ (2206) 企業分析レポート
個人投資家の皆様へ、江崎グリコ(2206)に関する企業分析レポートをお届けします。本レポートは提供されたデータに基づき、客観的な情報整理を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。
1. 企業情報
江崎グリコは、「ポッキー」「プリッツ」「グリコ」などのチョコレート菓子やビスケット菓子で広く知られる大手食品メーカーです。菓子事業を中心に、アイスクリームなどの冷菓、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、カレーなどの加工食品、幼児向け飲料、ゼリー飲料、ベビーミルクなど多様な製品を展開しています。特に「アーモンド効果」などの健康志向製品や食品原料事業にも注力しており、国内外で事業を展開しています。
主力製品・サービスの特徴:
* 栄養菓子事業: 「ポッキー」「カプリコ」「バンホーテンチョコレート」「アーモンドピーク」「ビスコ」「フレンドベーカリー」など、幅広い層に親しまれています。
* 健康・食品事業: 「アーモンド効果」「幼児のみもの」「アイスの実」「パピコ」など、健康意識の高まりや冷菓需要に応える製品を提供。
* 乳業事業: 「BifiXヨーグルト」「カフェオーレ」「プッチンプリン」「ジャイアントコーン」など、日々の食卓に欠かせない製品からデザートまで多岐にわたります。
* 食品原料事業: 小麦たん白やファインケミカルなど、BtoBビジネスも展開しています。
* 海外事業: 中国、ASEAN、米国など、グローバル展開を強化しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
江崎グリコは日本の菓子・食品業界において大手の一角を占めており、特にチョコレート菓子やビスケット菓子、冷菓、乳製品においては高いブランド認知度と市場プレゼンスを有しています。多様な事業セグメントを持つことで、特定市場のリスクを分散し、事業基盤の安定化を図っています。
業界内での競争優位性や課題について:
* 長年にわたるブランド構築と品質への信頼が競争優位性となっています。
* 健康志向の高まりや多様化する消費者ニーズへの対応が重要課題であり、新たな製品開発やM&Aなどを通じて対応しています。
市場動向と企業の対応状況:
* 決算短信によると、国内市場では製品によっては厳しさが見られるものの、海外事業(特に中国、ASEAN)や「オフィスグリコ」、連結子会社化した株式会社Greenspoon(国内その他事業)などが売上を牽引しています。
* 一方で、米国における追加関税措置によるコストアップリスクも存在します。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げるビジョンや戦略:
* 提供データからは具体的なビジョンや戦略の詳細は読み取れません。
中期経営計画の具体的な施策や重点分野:
* 提供データからは中期経営計画に関する具体的な施策や重点分野の進捗状況は読み取れません。
新製品・新サービスの展開状況:
* 直近の決算短信では、「アーモンド効果」や「ジャイアントコーン」、「フレンドベーカリー」「ビスコ」などが前年同期比で売上を上回ったと報告されています。
* 国内その他事業において、株式会社Greenspoonを連結子会社化したことによる売上高純増が貢献しています。
4. 事業モデルの持続可能性
江崎グリコは、菓子、冷菓、乳製品、健康食品、加工食品、食品原料といった多岐にわたる事業ポートフォリオを持つことで、特定の市場変動リスクを分散しています。健康志向の「アーモンド効果」の好調や、パーソナルフードサービスを手掛けるGreenspoonの連結子会社化は、市場ニーズの変化への適応と新たな収益源の確保に向けた取り組みと評価できます。
売上計上時期の偏りとその影響:
* 提供データからは売上計上時期の偏りに関する情報は読み取れません。
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向や独自性:
* 具体的な技術開発の動向や独自性に関する情報は提供データからは読み取れません。
収益を牽引している製品やサービス:
* 決算短信のセグメント情報からは、健康・食品事業の「アーモンド効果」、乳業事業の「ジャイアントコーン」、栄養菓子事業の「フレンドベーカリー」「ビスコ」、食品原料事業の「ファインケミカル」、国内その他事業の「オフィスグリコ」および株式会社Greenspoon、海外事業の中国・ASEAN地域での売上が好調であることがうかがえます。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 5,500.0円
- EPS(会社予想): 125.66円
- PER(会社予想): 43.77倍
- BPS(実績): 4,272.31円
- PBR(実績): 1.29倍
- 業界平均PER: 19.5倍
- 業界平均PBR: 1.3倍
江崎グリコの予想PER43.77倍は、業界平均PER19.5倍と比較して大幅に割高な水準にあります。PBR1.29倍は業界平均PBR1.3倍とほぼ同水準です。PERのみで判断すると、現在の株価は業界平均と比較して割高感があると言えます。
7. テクニカル分析
- 現在の株価: 5,500円
- 年初来高値: 5,538円
- 年初来安値: 4,348円
- 52週高値: 5,538.00円
- 52週安値: 4,347.00円
現在の株価5,500円は、年初来高値および52週高値(5,538円)に非常に近い高値圏に位置しています。直近10日間の株価推移を見ても、5,289円から5,500円まで上昇しており、堅調な動きが見られます。
出来高・売買代金から見る市場関心度:
* 本日出来高: 109,700株
* 本日売買代金: 603,985千円
* Avg Vol (3 month): 146.65k株
* Avg Vol (10 day): 166.28k株
本日の出来高は直近3ヶ月平均や10日平均を下回っており、高値圏での取引としては市場の関心度がやや低下している可能性も示唆されます。
8. 財務諸表分析
損益計算書(年度別比較):
| 指標 | 過去12か月 | 2024年12月期 | 2023年12月期 | 2022年12月期 | 2021年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| Total Revenue (百万円) | 341,600 | 331,129 | 332,590 | 303,921 | 338,571 |
| Gross Profit (百万円) | 128,294 | 127,668 | 123,850 | 110,749 | 158,033 |
| Operating Income (百万円) | 5,458 | 11,070 | 18,626 | 12,852 | 19,314 |
| Net Income (百万円) | 8,190 | 8,113 | 14,133 | 8,099 | 13,519 |
過去数年の売上高は3000億円台で推移していますが、2023年12月期は微減。過去12ヶ月では増加しています。営業利益および純利益は年度によって変動が大きく、2023年12月期は前年比で大きく減少しており、過去12ヶ月の営業利益はさらに減少傾向にあります。
収益性指標:
* ROE(実績): (連)3.04% (過去12ヶ月: 2.67%)
* ROA(実績): (連)1.25% (過去12ヶ月: 1.25%)
ROEおよびROAは、過去数年及び過去12ヶ月ともに低水準で推移しており、資本および資産の効率的な活用には課題が見られます。
四半期決算の進捗状況(2025年12月期 第1四半期):
* 売上高: 77,339百万円 (前年同期比 △2.1%)
* 営業利益: 2,628百万円 (前年同期比 △63.8%)
* 経常利益: 3,658百万円 (前年同期比 △51.6%)
* 純利益: 2,453百万円 (前年同期比 △52.1%)
* 通期売上高予想: 370,000百万円 (第1四半期進捗率 20.9%)
* 通期営業利益予想: 18,000百万円 (第1四半期進捗率 14.6%)
* 通期純利益予想: 12,000百万円 (第1四半期進捗率 20.4%)
第1四半期は売上高が減少し、営業利益、経常利益、純利益が前年同期比で大幅な減益となりました。通期予想に対する進捗率は売上高で約21%、純利益で約20%と順調に見えますが、営業利益の進捗率は約15%とやや低く、計画達成には今後の回復が求められます。会社側は通期業績予想を変更していません。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率(実績): (連)72.0% (直近四半期: 74.3%)
- 流動比率(直近四半期): 1.96
- 負債比率 (Total Debt/Equity, 直近四半期): 1.09%
自己資本比率は70%を超えており、財務基盤は非常に強固で盤石と言えます。流動比率も1.96と高く、短期的な支払い能力にも全く問題ありません。負債比率も非常に低く、借入金はTotal Debt 2.96B円、Total Cash 55.17B円と現金等で十分にカバーできる水準であり、財務健全性は極めて高い状況です。金利負担も低く抑えられています。
10. 収益性分析
- ROE(過去12ヶ月): 2.67%
- ROA(過去12ヶ月): 1.25%
- Profit Margin(過去12ヶ月): 2.02%
- Operating Margin(過去12ヶ月): 5.75%
江崎グリコのROE(2.67%)は一般的なベンチマークとされる10%を大きく下回っており、ROA(1.25%)も5%のベンチマークを下回っています。これは、企業の自己資本や総資産を活用して利益を生み出す効率性が低いことを示唆しています。過去の利益率を見ると、変動はあるものの、高水準とは言えません。第1四半期の営業利益率も3.4%と低迷しており、収益性の改善が重要な課題であると考えられます。
11. 市場リスク評価
- ベータ値 (5Y Monthly): -0.03
ベータ値が-0.03と非常に低い(ほぼゼロに近い)ことは、市場全体の動き(S&P 500の変動など)に対して、江崎グリコの株価がほとんど連動しないか、あるいはごくわずかに逆方向に動く傾向があることを示唆しています。これは、食品業界という生活必需品を扱う安定性の高い業種特性によるものと考えられます。
* 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値5,538円、安値4,347円に対し、現在の株価5,500円は高値圏に位置しています。
* 決算短信に記載のリスク要因: 決算短信には「米国による追加関税措置によるコストアップ」が言及されており、グローバル展開における外部環境リスクとして注目されます。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER: 19.5倍
- 業種平均PBR: 1.3倍
- 目標株価(業種平均PER基準): 2,511円 (EPS 125.66円 × 業界平均PER 19.5倍)
- 目標株価(業種平均PBR基準): 5,554円 (BPS 4,272.31円 × 業界平均PBR 1.3倍)
現在の株価5,500円は、業界平均PER基準の目標株価2,511円と比較すると大幅に割高感がありますが、業界平均PBR基準の目標株価5,554円とはほぼ同水準です。PERとPBRの両方で割安・割高を判断すると、PBRが適正水準である一方で、利益水準に比してPERがかなり高いため、総合的にはやや割高と判断できます。
13. 市場センチメント分析
- 信用買残: 27,100株 (前週比 +800株)
- 信用売残: 77,300株 (前週比 +6,200株)
- 信用倍率: 0.35倍
信用売残が信用買残を大きく上回る信用倍率0.35倍は、需給面では将来的な買い戻し(ショートカバー)期待があることを示唆しており、株価の下支え要因となる可能性があります。
* 株主構成:
* 日本マスタートラスト信託銀行(信託口): 9.92%
* 自社(自己株口): 7.02%
* 掬泉商事: 6.03%
* 大同生命保険: 5.11%
* ステート・ストリート・バンク&トラスト505223: 4.09%
* 経営陣持株比率: % Held by Insiders 19.12%
* 安定株主の状況: 特定の信託銀行や生命保険会社、友好企業が上位株主として名を連ねており、安定株主が比較的多いと考えられます。自社(自己株口)が7.02%を保有している点も安定性を高めます。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 1.73%
- 1株配当(会社予想): 95.00円 (中間45.00円、期末50.00円)
- 配当性向 (Payout Ratio): 69.94%
会社予想の年間配当は95.00円であり、配当性向は約70%と高く、利益を株主へ還元する姿勢が見られます。配当利回りは1.73%であり、市場全体の水準と比較して特別高いというわけではありません。
* 自社株買いなどの株主還元策: 「自社(自己株口)」の保有割合が高いことから、過去に自社株買いを実施していることが示唆されますが、直近の具体的な自社株買いの動向に関する情報は提供データからは読み取れません。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析: 2025年12月期第1四半期決算短信において、国内その他事業の売上高成長に「株式会社Greenspoonを連結子会社化したことによる売上高純増」が貢献したと報告されています。これは、パーソナルフードサービスといった新たな分野への展開を強化する動きであり、今後の成長ドライバーとして注目されます。
- 業績への影響の評価: 第1四半期の連結では減収減益となりましたが、Greenspoon社の連結化は国内その他事業の売上を押し上げており、今後の寄与が期待されます。一方で、米国による追加関税措置のコストアップ懸念は、今後のグローバル事業展開におけるリスク要因となります。
16. 総評
江崎グリコは、多様なブランドと製品ポートフォリオを持つ日本を代表する食品メーカーです。強固な財務体質と安定した株主構成を背景に、堅実な事業運営を行っています。
全体的な見解:
江崎グリコは、菓子・乳製品・加工食品といった幅広い分野で競争力を持つ大手食品メーカーです。第1四半期決算では減収減益となりましたが、通期予想は増収増益を見込んでおり、特に海外事業や新規事業(Greenspoon社)に成長の芽が見られます。財務は極めて健全であり、安定性は非常に高いです。しかし、収益性指標(ROE、ROA)は業界平均や一般的なベンチマークを下回っており、資本効率の改善が課題です。また、株価はPER基準で業界平均より割高感があり、足元では高値圏で推移しています。
* 強み: 盤石な財務基盤(高自己資本比率)、多様なブランドポートフォリオ、国内・海外での幅広い事業展開、安定株主の存在。
* 弱み: 収益性の低さ(ROE、ROAがベンチマークを下回る)、直近四半期業績の減益、市場平均と比較して割高なPER。
* 機会: 健康志向製品の需要拡大、海外市場(特にアジア)での成長余地、新規事業(Greenspoonなど)による収益源の多様化。
* 脅威: 原材料価格の高騰、為替変動、競合激化、米国による追加関税措置などの外部環境リスク。
17. 企業スコア
以下の4観点で評価を行いました。欠損データは「B(中立)」とし、一過性損益は除外しています。
* 成長性: C
* 直近の第1四半期決算では減収減益となり、通期予想に対する営業利益の進捗率もやや低いです。「健康・食品事業」「乳業事業」「栄養菓子事業」で売上高が前年を下回っており、成長性には懸念が見られます。
* 収益性: C
* ROE 2.67%、ROA 1.25%と、一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を大きく下回っています。過去12ヶ月の営業利益率も5.75%と、資本及び資産の効率的な活用と利益創出力に課題があります。
* 財務健全性: S
* 自己資本比率が直近で74.3%と非常に高く、流動比率も1.96と健全です。Total Debt/Equityは1.09%と極めて低く、負債が少なく潤沢な現金を保有しており、財務基盤は盤石です。
* 株価バリュエーション: C
* 予想PER 43.77倍は業界平均PER 19.5倍と比べて大幅に割高な水準にあります。PBRは業界平均並みですが、利益水準から考えると現在の株価には割高感が見られます。
企業情報
| 銘柄コード | 2206 |
| 企業名 | 江崎グリコ |
| URL | http://www.glico.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 食品 – 食料品 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
現在の指標
| 株価 | 5,500円 |
| EPS(1株利益) | 125.66円 |
| 年間配当 | 1.73円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 8.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
| 予想EPS | 184.64円 |
| 理論株価 | 2,770円 |
| 累計配当 | 11円 |
| トータル価値 | 2,780円 |
現在価格での試算リターン
| 試算年率リターン(CAGR) | -12.75% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,382円 | 691円 | × 算出価格を上回る |
| 12% | 1,578円 | 789円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,726円 | 863円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.4)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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