日本ペイントホールディングス(4612)企業分析レポート

株価:1,018円(2025-11-28終値)/市場:東証プライム/業種:化学(素材・化学)

1. 企業情報

  • 事業概要
    • 総合塗料大手。自動車、汎用(建築内外装・住宅リフォーム等)、工業用、船舶、表面処理、シーリング・接着剤、パテなどを展開。
    • 海外売上比率が高く(海外約90%)、NIPSEA(中国・東南アジア)、DuluxGroup(豪州など)、米州を含むグローバル体制。
    • 1879年創業。2014年に持株会社体制へ。筆頭株主はNipsea International(持株比率54.55%)。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 自動車用塗料:電着・中塗り・上塗り、樹脂部品用(バンパー・内装)向けを含む。
    • 汎用塗料(建築用):戸建から大型施設(マンション、オフィス、医療・学校)まで幅広く対応。
    • 工業用塗料:産機・建材・家電・OA機器等に使用。
    • 船底防汚塗料、表面処理(親水性・防錆等の機能性コーティング、基材フィルム)、シーリング・接着剤・パテ。
    • 連結事業構成(2024.12):自動車用12%、汎用64%、工業用6%、ファインケミカル1%、他塗料6%、塗料周辺11%。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 位置づけ
    • 総合塗料メーカーとして世界上位(世界4位とされる)。
    • アジア(特に中国)に強みを持つ一方、欧米・豪州にも展開。
  • 競争優位性・課題
    • 優位:アジアでの強固な販売網と高い海外売上比率、幅広い製品ポートフォリオ。
    • 課題:原材料価格や為替の変動感応度、地域景気や自動車生産動向の影響、短期流動性指標の改善余地。
  • 市場動向と対応
    • 2025年はAOC, LLCの買収寄与などで増収増益(1Q)。M&Aを活用した隣接領域(シーリング・接着剤等)強化が進展。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・戦略(概要)
    • コアの塗料事業の深耕に加え、塗料周辺・機能材料への拡張(M&A活用)。
    • 地域別ポートフォリオ最適化と収益性向上。
  • 中期経営計画の施策・重点分野
    • データなし(公表文言の具体策は未記載)。
  • 新製品・新サービス・M&Aの展開
    • 2025年3月:AOC, LLCの買収完了。2025年1Qに売上16,750百万円、営業利益5,958百万円を寄与。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルと適応力
    • 建築・再塗装需要等の継続性と、自動車・工業分野の新規塗装需要の両輪。
    • 地域・用途の分散により景気循環・単一顧客依存を緩和。
  • 売上計上時期の偏り
    • データなし。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向・独自性
    • 機能性コーティング(親水性、防錆など)や表面処理技術、電着・樹脂部品向け塗装技術などを保有。
  • 収益牽引製品・サービス
    • 売上構成比が高い汎用(建築)塗料が基盤(64%)。自動車、工業、表面処理・塗料周辺(シーリング・接着剤等)が収益拡張に寄与。

6. 株価の評価(バリュエーションの現状)

  • 現在株価:1,018円
  • 会社予想EPS(当期):68.97円 → 予想PER:約14.76倍
  • 実績BPS:685.34円 → 実績PBR:約1.49倍
  • 業界平均比較(Specialty Chemicals)
    • 平均PER:20.4倍 → 同社はPER面でディスカウント
    • 平均PBR:1.1倍 → 同社はPBR面でプレミアム
  • 参考目安価格
    • LTM EPS(63.83円)× 業界平均PER 20.4倍 ≒ 1,302円
    • 会社予想EPS(68.97円)× 20.4倍 ≒ 1,406円
    • BPS(685.34円)× 業界平均PBR 1.1倍 ≒ 754円
    • 機械的レンジ目安:754~1,406円(手法差による参考値)

7. テクニカル分析

  • トレンド
    • 直近終値:1,018円
    • 50日移動平均:1,003.6円(上回る)
    • 200日移動平均:1,088.2円(下回る)
  • 年初来レンジとの位置
    • 高値:1,352円/安値:919円
    • 現在は高値比約-24.7%、安値比約+10.8%(レンジ下寄り〜中腹手前)
  • 出来高・売買代金
    • 当日出来高:2.93百万株(3カ月平均4.47百万株、10日平均6.39百万株を下回る)
    • 売買代金:約29.8億円。直近の短期回復局面(11/17前後)で出来高増の場面あり。
  • 信用需給
    • 信用買残:2,282千株(前週比減少)
    • 信用倍率:14.76倍(買い長)
    • 信用売残:155千株(前週比増加)

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益の推移(連結)
    • 売上高:2021年998,276 → 2024年1,638,720 → 過去12カ月1,674,005(百万円)
    • 営業利益:2021年87,615 → 2024年187,648 → 過去12カ月216,362(百万円)
    • 増収増益基調。M&A寄与とコスト改善が示唆。
  • 収益性指標
    • 営業利益率(LTM):14.9%
    • ROE(LTM):10.79%/ROE(実績表示):8.64%
    • ROA(LTM):4.35%
  • 四半期進捗(2025年1Q vs 通期会社計画)
    • 売上収益:405,724/1,820,000 ≈ 22.3%
    • 営業利益:51,432/245,000 ≈ 21.0%
    • 親会社帰属利益:36,998/162,000 ≈ 22.8%
    • 1Qは増収増益(売上+5.6%、営業利益+24.7% 前年比)。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率
    • 実績(連):51.8%
    • 2025年1Q短信:40.7%(買収影響等で期首比低下)
  • 流動性・負債
    • 流動比率(直近):0.94(1.0を下回る)
    • 総有利子負債:1.42兆円/D/E(簿価):約87.4%
    • 現金等:3,496億円
  • 金利負担・借入動向
    • 金利費用(2024):19,786百万円、過去数年で増加傾向
    • 受取利息を差し引いたネット金利はマイナス(費用超過)

10. 収益性分析

  • マージン
    • 営業利益率:14.9%(LTM)
    • ネットマージン:データ混在のため数値明記は控え、増益基調を確認。
  • ROE・ROA
    • ROE:10.79%(ベンチマーク10%と同水準〜やや上)
    • ROA:4.35%(ベンチマーク5%に概ね近接)
  • 推移と改善余地
    • 2021→LTMで利益率改善。短期流動性や金利負担の抑制が中期の課題。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値:データなし
  • 52週レンジ:919~1,352円/現在1,018円(レンジ下寄り)
  • ボラティリティ・リスク指標
    • 年間ボラティリティ:32.69%
    • シャープレシオ:0.41
    • 最大ドローダウン:-37.55%
  • リスク要因(短信記載)
    • 明示的記載:データなし(一般に原材料・為替・地域情勢の影響は受けやすい)

12. バリュエーション分析(再掲・整理)

  • 業種平均PER/PBRとの比較:PERは割安、PBRは割高の組み合わせ
  • 機械的目標株価レンジ
    • PER基準:1,302円(LTM)~1,406円(会社予想EPS)
    • PBR基準:754円
  • 総合判断(定量比較)
    • 割安・割高感は指標により差。収益見通しと資本効率の持続が鍵。

13. 市場センチメント分析

  • 信用動向
    • 信用倍率14.76倍(買い長)。買残は前週比減少、売残は増加。
  • 株主構成
    • インサイダー保有推定:59.12%/機関投資家:16.39%
    • 筆頭:Nipsea International 54.55%
    • 安定株主・信託銀行の比率が相応に存在。自己株式0.91%。
  • 大株主動向
    • 個別の増減はデータなし(直近名寄せ状況は表参照)。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 2025年予想:年16円、配当利回り約1.57%
    • 1株当たり配当性向:25.1%(目安)
    • 権利落ち予定:2025-12-29
  • 自社株買い等:データなし
  • ストックオプション等:データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 2025年1Q決算(IFRS)
    • 売上+5.6%、営業利益+24.7%、最終利益+25.7%(前年比)
    • AOC, LLCの買収寄与が増収増益に貢献
  • 大型受注・新製品・拠点展開:データなし

16. 総評

  • まとめ
    • アジアを中心とするグローバル展開と、汎用(建築)塗料を軸にした安定基盤を保有。M&Aで塗料周辺領域を取り込み、収益性指標(営業利益率、ROE)は一定水準。
    • 財務面では自己資本比率は十分だが、直近期首の低下(買収影響)と流動比率<1、金利負担増は注視ポイント。
    • バリュエーションはPER面で相対的に低位、PBRは業界平均超。テクニカルには50日線上・200日線下のレンジ内推移。
    • 収益成長の持続(NIPSEA、中国動向、建築再塗装需要)
    • M&A後の統合効果と資本効率(ROE/ROIC)のトレンド
    • 原材料・為替・金利の影響と資金繰り(流動比率・金利費用)
    • バリュエーションのミックス(PER割安×PBRプレミアム)
  • SWOT
    • 強み:アジアでの強固な事業基盤、幅広い製品群、汎用塗料の安定需要、M&A実績
    • 弱み:短期流動性指標の弱さ、金利負担の増加、PBRのプレミアム
    • 機会:建築再塗装・省メンテ需要、機能性コーティング拡大、周辺領域の深化
    • 脅威:原材料・為替の変動、地域景気・自動車生産の減速、地政学的リスク

17. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:A
    • 売上・利益の増加、1Qでの高い増益、M&A寄与を評価。
  • 収益性:A
    • 営業利益率14.9%、ROE約10.8%と指標面で良好。
  • 財務健全性:A
    • 自己資本比率51.8%(1Qで40.7%に低下)。流動比率0.94、D/E約87%と課題もあるが、自己資本比率基準ではA評価。
  • 株価バリュエーション:B
    • PERは業界平均比で低位、PBRは高位。総合して中立。

参考データ
– 株価・出来高(2025-11-28):始値1,027.5/高値1,029/安値1,009/終値1,018/出来高2,928,800株、売買代金約29.8億円
– 時価総額:約2.41兆円、発行済株式数:約23.71億株
– 会社予想:売上収益1.82兆円、営業利益2,450億円、EPS 68.97円
– Piotroski F-Score:3/9(B:普通)
– リスク指標:年ボラ32.69%、シャープ0.41、最大DD -37.55%

注記
– 本資料は公開データの範囲で整理したもので、投資勧誘や売買助言を目的とするものではありません。
– データがない事項は「データなし」とし、推測は行っていません。各種数値は出所により差異があり得ます。最新の決算短信・適時開示をご確認ください。


企業情報

銘柄コード 4612
企業名 日本ペイントホールディングス
URL http://www.nipponpaint-holdings.com/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

現在の指標

株価 1,018円
EPS(1株利益) 68.97円
年間配当 1.57円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 14.8倍

5年後の予測値

予想EPS 79.96円
理論株価 1,180円
累計配当 9円
トータル価値 1,189円

現在価格での試算リターン

試算年率リターン(CAGR) 3.15% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 591円 296円 × 算出価格を上回る
12% 675円 337円 × 算出価格を上回る
10% 738円 369円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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