事業内容などのわかりやすい説明
ロック・フィールドは、デパートの地下(デパ地下)を中心に全国展開する高級惣菜の製造・販売大手企業です。「RF1(アール・エフ・ワン)」をはじめ、「グリーン・グルメ」「いとはん」「神戸コロッケ」といった複数のブランドを展開し、高品質でこだわりのあるサラダや惣菜を提供することで知られています。中食(なかしょく、外食と内食の中間)市場において、家庭での調理負担軽減や、食卓を豊かにする役割を担っています。
主力製品・サービスの特徴
- RF1(アール・エフ・ワン): サラダを主力とした洋風惣菜のブランドで、同社の売上の約6割を占める基幹ブランドです。素材の鮮度や調理法にこだわり、見た目の美しさも重視した高級志向が特徴です。
- グリーン・グルメ: 和洋中の枠にとらわれない幅広い惣菜を提供するブランド。
- いとはん: 和惣菜を中心に提供し、日本の食文化を大切にした商品が特徴です。
- 神戸コロッケ: 揚げたてのコロッケやカツサンドなどを提供し、手軽に楽しめる惣菜が人気です。
- その他、健康志向のジュース・スープを提供する「ベジテリア」や、百貨店・商業施設以外の販路として卸売(外販)も手掛けています。
業界内での競争優位性や課題について
ロック・フィールドは、デパ地下というブランドイメージの高い立地を主戦場とし、高級惣菜というニッチ市場で確固たる地位を築いています。高品質な素材、こだわりの調理法、美しい盛り付けといったブランド力と商品開発力が競争優位性です。また、多ブランド展開により、顧客層やニーズの多様化に対応しています。
しかし、原材料費や人件費の高騰は収益性を圧迫する大きな課題です。また、デパートや商業施設の改装・退店に伴う売上減少リスクも抱えています。中食市場全体は拡大傾向にあるものの、多様な競合(スーパー、コンビニエンスストア、専門店など)との差別化を持続的に図っていく必要があります。
市場動向と企業の対応状況
中食・惣菜市場は、共働き世帯の増加や高齢化社会の進展を背景に、簡便性や質の高さが求められ拡大傾向にあります。しかし、足元では原材料費・人件費の上昇が続き、物価上昇による消費者の節約志向が高まることで、消費マインドが回復しきれていない状況です。
同社はこれに対応するため、店舗オペレーションの効率化、ファクトリーにおける機械化による生産性向上、人員配置の見直しなど、コストコントロールに注力しています。また、新たな顧客層の獲得に向けて、若年層をターゲットとした新ブランドの展開を計画しているほか、好調な卸売(外販)チャネルの拡大、会員組織向けの施策強化にも取り組んでいます。
経営陣が掲げるビジョンや戦略
決算短信からは明確なビジョンの記載は見られませんが、直近の取り組みからは、持続的な成長に向けた戦略として以下の点が挙げられます。
- 収益構造の改善: 原材料費・人件費の高騰に対し、徹底したコスト削減と生産性向上により、利益率の回復を目指しています。
- チャネル拡大と新規顧客獲得: デパ地下中心の事業モデルに加え、卸売(外販)の強化や、会員向け施策による顧客エンゲージメント向上、若年層をターゲットとした新ブランド展開による客層拡大を図っています。
- ブランド力の維持・向上: 高品質・高付加価値な商品提供を継続し、価格競争に巻き込まれないブランドポジションを維持・強化する方針です。
中期経営計画の具体的な施策や重点分野
中期経営計画に関する具体的な数値目標は開示されていませんが、資料からは以下の点が重点分野として読み取れます。
- 店舗改装とシステム投資: レジ入替や物流システムの改修など、店舗・システムへの投資を継続し、将来的な効率性向上と顧客体験向上を目指しています。ただし、短期的な休業や減価償却費の増加は利益を圧迫する要因となっています。
- 新ブランド開発: 新しい顧客層を獲得するための新ブランドの投入を計画しており、事業の多角化と成長ドライバーの創出を目指します。
- 生産・物流体制の強化: ファクトリーの機械化や人員配置の見直しなど、生産工程の改善により、製造コストの削減と供給能力の向上を図ります。
新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信では、具体的な新製品・新サービスの名称は明示されていません。しかし、若年層向けの新ブランド展開や、既存ブランドにおける季節商品や限定商品の投入を通じて、顧客の飽きさせない提案を行っていく方針であることが示唆されています。外販(卸)の伸長も新たな販路拡大における成果と言えます。
収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、主に百貨店や商業施設のテナントとして、高品質な惣菜を対面販売するものです。これにより高い粗利率を確保していますが、テナント料や人件費、物流費の負担も大きいです。
市場ニーズの変化に対しては、健康志向の高まりに応えるサラダや野菜中心のメニュー、働く世代向けの簡便性の高い商品を提供することで適応を図っています。また、外販(卸売)の強化や新ブランドの展開は、チャネル多様化によって単一チャネルへの依存リスクを低減し、市場ニーズの変化に対応する柔軟性を高める試みと言えます。会員組織施策も顧客との関係強化に繋がります。
売上計上時期の偏りとその影響
決算短信からは売上計上時期の季節的な偏りに関する具体的な言及はありませんが、小売業であるため年末年始やGW、お盆などのイベント時期、百貨店の催事などに需要が集中する可能性があります。
2026年4月期第1四半期の営業利益進捗率が通期予想のわずか0.7%と非常に低いことから、会社が通期目標を達成するためには、第2四半期以降、特に下期に売上・利益が大きく伸びることを前提としている可能性が示唆されます。これは、上半期に実施される店舗改装やシステム改修の影響が落ち着くことや、販促活動の強化、新ブランド・新サービスの寄与などが集中するためと考えられます。
技術開発の動向や独自性
提供データからは、具体的な食品加工技術やIT技術に関する独自の技術開発の動向は確認できません。「ファクトリーの機械化」や「物流システム改修」といった表現が見られることから、生産効率向上やサプライチェーン最適化のためのシステム導入には積極的であると考えられますが、詳細な技術開発の独自性はデータなしです。
収益を牽引している製品やサービス
引き続き「RF1」ブランドのサラダや洋風惣菜が同社の収益を最も大きく牽引しています。連結事業構成比でもRF1ブランドが61%を占めており、その中でもサラダが中心的です。また、最近では外販(卸)事業が前年同期比で大幅に伸長しており、今後新たな収益の柱となる可能性を秘めています。
6. 株価の評価
現在の株価1,419.0円は、以下の指標と対比されます。
- EPS(会社予想)に基づくPER: 会社予想EPS 35.63円に対し、現在の株価PERは39.83倍です。
- BPS(実績)に基づくPBR: 実績BPS 1,093.61円に対し、現在の株価PBRは1.30倍です。
- 業界平均との比較:
- 業界平均PER 19.5倍と比較すると、同社の予想PER 39.83倍は大幅に割高感があります。
- 業界平均PBR 1.3倍と比較すると、同社の実績PBR 1.30倍はほぼ同水準であり、適正な範囲内と言えます。
PER基準ではかなりの割高感が見られるものの、PBR基準では業界平均並みであり、財務健全性の高さが評価されている可能性もあります。ただし、収益性が低い中でこのPER水準が正当化されるかについては注意が必要です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移: 直近10日間の株価は1,417円から1,460円のレンジで推移しており、前日終値1,419円は直近の安値圏に位置しています。
- 年初来高値・安値との位置関係: 年初来高値1,652円、年初来安値1,391円に対して、現在の株価1,419円は年初来安値に近い位置(安値圏)にあります。
- 移動平均線との関係: 50日移動平均線1,461.50円、200日移動平均線1,527.18円をいずれも下回っており、短期・中期的に下降トレンドにあることを示唆しています。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度: 直近10日間の平均出来高53.2k株は、3ヶ月間の平均出来高84.19k株を下回っており、市場の関心はやや低下している可能性があります。売買代金はデータなし。
総合的に見ると、株価は年初来安値圏にあり、移動平均線も下回っていることから、テクニカル分析上は弱気のシグナルが出ています。
売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去数年で緩やかな増加傾向にあり、2024年4月期まで510億円台を維持していました。しかし、直近12か月の実績(2025年4月期とみられる)では51,184百万円と微減、2026年4月期第1四半期も前年同期比△1.5%と減収傾向にあります。
- 営業利益: 2022年4月期2,155百万円、2023年4月期1,501百万円、2024年4月期1,738百万円と推移し、直近12か月では1,243百万円と鈍化傾向。特に2026年4月期第1四半期は10百万円と前年同期比△96.8%の大幅減益で、極めて低い水準にあります。
- 純利益: 同様に鈍化傾向にあり、直近12か月では329百万円と大きく落ち込んでいます。
- 収益性指標:
- ROE(実績): 1.13%
- ROA(過去12か月): 1.64%
- 営業利益率(過去12か月): 0.10%
これらの収益性指標は非常に低く、収益性が大幅に悪化していることが示唆されます。
過去数年分の傾向を比較
2022年4月期はコロナ禍からの回復で好調でしたが、以降の期は売上は微増傾向にあるものの、コスト高や設備投資負担により利益は減少傾向にあります。特に直近の収益性の悪化は顕著です。粗利率も2024年4月期では約57.7%、2026年4月期第1四半期で約57.1%と微減傾向であり、販管費の増加と合わせて利益を圧迫しています。
四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年4月期通期予想に対し、第1四半期(5月-7月)の進捗状況は以下の通りです。
- 売上高: 23.3% (12,471百万円 / 53,500百万円) – 通期の約1/4に満たないやや遅い進捗。
- 営業利益: 0.7% (10百万円 / 1,411百万円) – 極めて低い進捗率であり、通期目標達成には大幅な下期での巻き返しが必要です。
- 純利益: -1.1% (△10百万円 / 931百万円) – 第1四半期は赤字で、通期黒字化目標に対して非常に厳しい状況です。
会社は通期予想を据え置いていますが、第1四半期の実績からは、その達成にはかなりの上振れ要素が必要であることが読み取れます。
自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績): (連)81.9%(直近四半期 82.3%)と非常に高く、財務基盤が極めて安定していることを示します。
- 流動比率(直近四半期): 3.42(342%)と非常に高く、短期的な支払い能力に全く問題がない極めて良好な水準です。
- 負債比率(Total Debt/Equity、直近四半期): 1.23%と非常に低く、ほとんど負債がないに等しい状態です。
財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率、流動比率、負債比率のいずれもが極めて優れており、財務安全性は非常に高いと評価できます。手元現金も125.8億円と潤沢であり、安定した資金繰りが期待されます。
借入金の動向と金利負担
直近四半期の有利子負債合計は350百万円と非常に少なく、金利負担もほとんどない状況です。これは、同社が自己資金を主とした堅実な経営を行っていることを示しています。
ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績): 1.13%
- ROA(過去12か月): 1.64%
- 営業利益率(過去12か月): 0.10%
- 粗利率(2026年4月期 第1四半期): 約57.1%
一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE 10%、ROA 5%といった一般的な優良企業のベンチマークと比較すると、同社の収益性指標は非常に低い水準にあります。特にROEとROAが低迷しており、投下資本に対する利益創出能力が課題となっています。粗利率は57%台と高いものの、販管費の増加により営業利益率がわずか0.10%にまで低下している点が懸念されます。
収益性の推移と改善余地
過去数年で営業利益、純利益ともに低下傾向にあり、直近四半期では営業利益がほぼゼロ、純損失計上となるなど、収益性が大幅に悪化しています。
改善余地としては、以下の点が挙げられます。
- コスト構造改革: 原材料価格や人件費の高騰に対するさらなるコスト削減努力が必要です。ファクトリーの機械化や店舗オペレーションの効率化がどこまで寄与するかが鍵となります。
- 販管費の抑制: 各種システム投資による減価償却費の増加や店舗レジ入替費用などが利益を圧迫しており、これらの投資が将来の生産性向上にどのように結びつくか、また、投資回収のスピードが重要です。
- 売上ミックスの改善: 高収益ブランドや外販チャネルの拡大により、全体の利益率改善を図る必要があります。
ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.30であり、市場全体の動きに対する株価の感応度が低いことを示しています。これは、市場全体が大きく変動しても、同社の株価は比較的安定している傾向にあることを意味し、市場リスクに対して相対的に堅固な特性を持つと言えます。
52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値1,652.00円、52週安値1,391.00円に対して、現在の株価1,419.0円は安値圏のほぼ中央に位置しており、52週安値に近づいています。
決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信では、以下のリスク要因が挙げられています。
- 原材料価格および人件費のさらなる上昇: 外部環境変化によるコスト増は、同社の主要な収益圧迫要因です。
- 大型商業施設・百貨店の改装・退店による店舗影響: 主要な販売チャネルにおける変動は、売上に直接的な影響を与えます。
- システム更改や設備投資による減価償却・一時費用: 中長期的な成長のための投資が、短期的な収益を圧迫する可能性があります。
- 消費マインド低下による来店数減少: 物価上昇が続く中で消費者の購買意欲が低下することが、売上に影響を与えるリスクがあります。
為替や地政学リスクについては、直接的な影響の記載はありませんが、原材料の輸入依存度によっては間接的な影響を受ける可能性があります。
業種平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 39.83倍(業界平均 19.5倍)→ 業界平均より大幅に割高。
- PBR(実績): 1.30倍(業界平均 1.3倍)→ 業界平均とほぼ同水準。
目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 目標株価(業種平均PER基準): 246円
- 目標株価(業種平均PBR基準): 1,422円
(注:目標株価(業種平均PER基準)は、現在の株価および会社予想EPSから大きく乖離する数値であり、提供されたデータを基に記載しています。会社予想EPS 35.63円に業界平均PER 19.5倍を適用すると、約695円になります。これは使用するEPSの基準年度が異なる可能性を示唆します。)
割安・割高の総合判断
業種平均PER基準では目標株価が現在の株価に対し大幅に割安(割高とも解釈できる)と示され、PBR基準ではほぼ適正水準と評価されます。ただし、会社予想EPSに基づくPERは業界平均を大きく上回っており、現在の株価は収益性から見ると割高であると判断できます。財務健全性は極めて高い一方で、極めて低い収益性に対して市場が高いPERを付けている状況であり、今後の利益回復期待が織り込まれている可能性もありますが、現状では割高感が強いと言えます。
信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 78,200株(前週比 -2,900株)
- 信用売残: 197,600株(前週比 -4,500株)
- 信用倍率: 0.40倍
信用倍率が1倍を下回っており、信用売残が信用買残を大きく上回る「売り長」の状態です。これは、将来的な株価下落を予想する売り方が多いことを示唆しますが、一方で、買戻し需要が発生すれば株価の上昇要因となる可能性(踏み上げ)も秘めています。直近で信用買残・売残ともに減少しており、信用取引による需給は中立~やや好転の方向に向かいつつあると見られます。
株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
- インサイダー保有比率: 22.95%
- 機関投資家保有比率: 25.06%
大株主には株式会社岩田(8.59%)とその個人筆頭株主である岩田弘三氏(2.93%)が名を連ねています。また、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が7.48%を保有し、主要な金融機関や自社関係者(持株会、自己株口)も上位にランクインしています。安定株主が比較的多く、経営の安定性に寄与していると考えられます。経営陣の持株比率も一定程度あり、株主と経営陣の利害一致に繋がり得るでしょう。
大株主の動向
提供データからは直近の大株主の動動は確認できません。
配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 1.69% (株価1419円に対し24.00円)
- 1株配当(会社予想): 24.00円
- 配当性向(会社予想EPS 35.63円に基づく概算): 約67.3%
配当利回りは1.69%と、そこまで高くはありませんが、会社予想EPSに対する配当性向は67.3%と高水準です。これは、現在の低い収益性にも関わらず、株主への還元意欲が高いことを示しています。今後、利益が回復すれば配当額の維持・増配の余地も出てくる可能性があります。
自社株買いなどの株主還元策
提供データからは自社株買いの実施実績や方針に関する記載はありませんでした。
株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
提供データからは株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する記載はありませんでした。
15. 最近のトピックスと材料
適時開示情報(2026年4月期 第1四半期決算短信)から
- 減収減益: 第1四半期は売上高が前年同期比1.5%減、営業利益は96.8%減と大幅な減収減益となりました。これは、百貨店・商業施設の改装に伴う休業や退店、店舗レジ入替や物流システム改修による減価償却費の増加、原材料費・人件費の上昇が主な要因です。
- 外販(卸)の伸長: 主要ブランドの売上が微減傾向にある中、外販(卸)チャネルは前年同期比119.1%と大きく伸長しています。これは、新たな販路開拓が進んでいることを示唆します。
- 特別損失の計上: 減損損失16百万円を特別損失として計上しました。
- 通期予想は据え置き: 第1四半期の厳しい結果にも関わらず、会社は通期業績予想を修正していません。これは、下期での利益回復や売上伸長に自信があることを示唆しているものの、その達成へのハードルは高いと考えられます。
これらが業績に与える影響の評価
- 短期的な業績への影響: 店舗改装やシステム投資のような一過性の費用や減価償却費の増加は、短期的に収益を圧迫する要因となります。第1四半期の大幅な減益は、これらの影響が色濃く出た結果と考えられます。
- 中長期的な業績への影響: 卸売の伸長や新ブランド展開、ファクトリーの機械化、店舗オペレーションの効率化などは、中長期的な売上拡大と収益性改善に貢献する可能性があります。これらの施策が計画通りに進み、コスト削減効果が発現すれば、通期目標達成への道筋が見えてくるでしょう。
16. 総評
ロック・フィールドは、デパ地下を中心とした高級惣菜市場で「RF1」などのブランドを展開する品質重視の企業です。極めて高い自己資本比率と潤沢な手元資金を持ち、財務健全性は非常に優れています。これは長期的な安定経営の基盤となります。
しかし、直近の業績は、原材料費・人件費の高騰、店舗改装やシステム投資に伴う減価償却費の増加により、収益性が大幅に悪化している点が最大の懸念材料です。特に2026年4月期第1四半期の営業利益は前年同期比96.8%減と壊滅的な水準であり、通期予想に対する進捗率も非常に低いです。ROE、ROA、営業利益率も業界平均や一般的なベンチマークを大きく下回っています。
株価は年初来安値圏にあり、テクニカル分析上は軟調な動きを示しています。バリュエーションでは、PBRは業界平均並みですが、PERは会社予想ベースで業界平均を大幅に上回っており、現在の収益性を考えると割高感が強いと評価できます。これは、市場が同社のブランド力や将来的な経営施策による利益回復に期待している可能性も示唆しています。
今後の注目点は、卸売(外販)のさらなる拡大、若年層向け新ブランドの展開の成否、そして最も重要なコストコントロールと生産性改善による収益性の回復です。会社が据え置いた通期予想の達成に向けて、第2四半期以降にどのような具体的な成果を出せるかが、投資家の評価を左右するでしょう。
- 強み:
- デパ地下に強固なブランドポジションと高い認知度
- 多ブランド展開による多様な顧客ニーズへの対応力
- 極めて高い自己資本比率と潤沢な現金による優れた財務健全性
- 堅実な無借金経営に近い財務体質
- 弱み:
- 原材料費・人件費高騰による利益率の継続的な圧迫
- 店舗改装やシステム投資による一時的な収益悪化
- 非常に低いROE、ROA、営業利益率といった収益性の課題
- デパートチャネルへの依存度が高いことによるリスク(商業施設の改装・退店)
- 機会:
- 中食市場の構造的な成長(共働き、高齢化)
- 卸売(外販)チャネルの拡大による新たな収益源の確立
- 新ブランド展開による客層拡大と事業の多角化
- システム投資や機械化による将来的な生産性・効率性向上
- 脅威:
- 消費マインドの低迷や節約志向の強まり
- 競合他社との競争激化(スーパー、コンビニ、新興惣菜店など)
- 原材料価格やエネルギーコストのさらなる高騰
- 地政学リスクや為替変動による原材料調達コストの上昇
17. 企業スコア
- 成長性: C
- 売上は微減傾向、直近四半期の営業利益は大幅減。通期予想も第1四半期進捗が非常に低い。新ブランドや外販の伸びは一部貢献するが、全体成長を牽引するには至らず。
- 収益性: D
- ROE 1.13%、ROA 1.64%、営業利益率 0.10%と極めて低い水準。ベンチマークを大幅に下回り、収益性が最大の課題。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率82.3%、流動比率342%、負債比率1.23%と、いずれの指標も非常に優れており、極めて高い財務の安全性を持つ。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想)39.83倍は業界平均19.5倍に対し大幅に割高。PBRは業界平均並みだが、極めて低い収益性から見て、総合的には現在の株価には割高感が強い。
企業情報
| 銘柄コード | 2910 |
| 企業名 | ロック・フィールド |
| URL | http://www.rockfield.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 食品 – 食料品 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,419円 |
| EPS(1株利益) | 35.63円 |
| 年間配当 | 1.69円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 8.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 52.35円 |
| 理論株価 | 785円 |
| 累計配当 | 11円 |
| トータル価値 | 796円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | -10.92% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 396円 | 198円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 494円 | 247円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 624円 | 312円 | × 算出価格を上回る |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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