2026年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
エグゼクティブサマリー
- 業績の方向性:増収減益(売上高:+5.1%、営業利益:△12.7%、経常利益:△17.4%、親会社株主に帰属する四半期純利益:△12.2%)。売上は増えたが収益性が低下。
- 注目すべき変化:包括利益が前年同期の+3,265.95億円→当期は△64.68億円に大幅悪化(主因:為替換算調整勘定の大幅なマイナス)。自己株式取得(約3,999億円)により自己株式が増加し純資産が減少。
- 今後の見通し:通期会社予想(2026年3月期)を据え置き(売上高2.40兆円、営業利益6,350億円、親会社株主に帰属する当期純利益4,700億円)で、Q1の進捗は売上・利益ともに通期比約26%で概ね順調(四半期比では通常ペース)。ただし為替・市況等の不確実性を注記。
- 投資家への示唆:売上は堅調だが商品市況・為替の影響でマージン圧迫が目立つ。包括利益の大幅変動や大規模な自己株取得/借入増加など財務構造の変化点に留意を。
基本情報
- 企業概要:
- 企業名:信越化学工業株式会社
- 主要事業分野:塩化ビニル等の生活環境基盤材料、電子材料(シリコンウエハー、露光材料等)、機能材料(シリコーン等)、加工・商事・技術サービス
- 代表者名:代表取締役社長 斉藤 恭彦
- URL:https://www.shinetsu.co.jp/jp/
- 報告概要:
- 提出日:2025年7月24日
- 対象会計期間:2026年3月期 第1四半期(連結、2025年4月1日〜2025年6月30日)
- 決算説明会:有(機関投資家・証券アナリスト向け)。補足資料あり。
- セグメント:
- 生活環境基盤材料事業:塩化ビニル、苛性ソーダ等
- 電子材料事業:シリコンウエハー、露光材料、マスクブランクス、希土類磁石等
- 機能材料事業:シリコーン、特殊化学品、セルロース製品等
- 加工・商事・技術サービス事業:容器、成型品、商社機能、技術サービス
- 発行済株式:
- 期末発行済株式数(普通株式、自己株式含む):1,984,995,865株
- 期中平均株式数(四半期累計):1,901,895,111株(当第1四半期)
- 自己株式数:112,202,429株(当第1四半期、取得に伴い増加)
- 時価総額:–(株価情報は未提供)
- 今後の予定:
- 次回決算発表/株主総会/IRイベント:–(本資料に記載なし)
決算サプライズ分析
- 予想vs実績(会社予想=2025年4月25日公表の第1四半期予想、ならびに通期予想は本短信に記載のもの)
- 売上高:実績628,549百万円(6,285億円)→予想610,000百万円(6,100億円)に対して達成率約103%(上振れ)
- 営業利益:実績166,803百万円(1,668億円)→予想166,000百万円(1,660億円)に対して達成率約100.5%(ほぼ予想どおり)
- 経常利益:実績181,621百万円(1,816億円)→予想176,000百万円に対して約103%(上振れ)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益:実績126,428百万円(1,264億円)→予想120,000百万円に対して約105%(上振れ)
- サプライズの要因:
- 売上は増収(各セグメントで増加)が寄与。一方で営業利益率は低下(売上高営業利益率 31.9%→26.5%)しており、主因は市況悪化による販売価格の下押しや原価増、為替差損の発生(営業外費用に為替差損計上)など。
- 包括利益は為替換算調整勘定の大幅マイナス(△141,132百万円)で前年同期の大幅プラスから急悪化。
- 大型の自己株式取得(約3,999億円)と配当支払等により現金が減少し、長期借入金が増加(有利子負債増)。
- 通期への影響:
- Q1は通期予想に対し売上・営業利益・純利益ともに約26%で、四半期ベースの通常進捗(25%目安)をやや上回る進捗。通期予想(売上2.40兆円、営業利益6,350億円)は据え置かれているが、為替と主要市況(特に塩化ビニル・一部汎用品・半導体関連の需給)の動向により不確実性あり(会社注記)。予想修正の有無:直近公表からの修正あり(但し本資料掲載の数値が最新見通し)。
財務指標
- 貸借対照表(主な増減・ポイント)
- 総資産:5,242,699百万円(52,426.99億円)←前期末5,636,601百万円(△3,940億円)
- 純資産:4,314,219百万円(43,142.19億円)←前期末4,837,585百万円(△5,233億円)
- 自己資本比率:79.0%(前期 82.6%)→ 79.0%(安定水準)
- 有利子負債残高:244,700百万円(2,447億円)←前期末227百万円(大幅増)→借入増(長期借入金237,375百万円計上)により増加
- 現金及び預金:1,460,964百万円(14,609.64億円)←前期末1,708,438百万円(△2,475億円、自己株買い等による減少)
- 損益計算書(主要項目、金額は百万円、前年同期比%表記)
- 売上高:628,549百万円、前年同期比 +5.1%(増収/金額差 +30,619百万円)
- 売上総利益:225,831百万円(前年242,591百万円、△6.9%)
- 販管費:59,027百万円(前年51,568百万円、増加)
- 営業利益:166,803百万円、前年同期比 △12.7%(減少。営業利益率26.5%→前年31.9%、△5.4pp)
- 経常利益:181,621百万円、前年同期比 △17.4%
- 親会社株主に帰属する四半期純利益:126,428百万円、前年同期比 △12.2%
- 1株当たり四半期純利益(EPS):66.48円(前年72.21円、△7.9%)
- 進捗率分析(通期予想に対する進捗、通期は百万円表示)
- 通期売上高進捗率:628,549 / 2,400,000 = 26.19%(基準は25%で通常ペース)
- 通期営業利益進捗率:166,803 / 635,000 = 26.26%
- 通期純利益進捗率(親会社株主):126,428 / 470,000 = 26.89%
- 過去同期間との比較:前年Q1進捗(売上597,930/前期通期25,612,000=約23.34%)と比べると売上進捗は改善。
- 財務安全性:
- 自己資本比率79.0%(安定水準。目安:40%以上で安定)。
- 負債合計 928,479百万円(9,284.79億円)。有利子負債急増(長期借入金計上)により財務費用やレバレッジに変化。
- 流動比率:流動資産2,874,270 / 流動負債443,897 = 約647.7%(高水準、流動性は良好)
- 効率性:
- 売上高営業利益率:26.5%(前年同期31.9%→低下。利幅圧縮が課題)
- ROE(年換算):11.5%(前年13.2%→低下)
- ROIC(年換算):16.0%(前年19.1%→低下)
- セグメント別(売上/営業利益、前年同期比)
- 生活環境基盤材料:売上2,444億円(+5%)、営業利益528億円(△22%)
- 電子材料:売上2,402億円(+6%)、営業利益831億円(△7%)
- 機能材料:売上1,100億円(+3%)、営業利益240億円(△10%)
- 加工・商事・技術サービス:売上339億円(+7%)、営業利益71億円(+1%)
- 財務の解説(要点)
- 売上は4セグメントとも増収だが、原材料市況・販売価格の下落や販売構成の影響で営業利益率が低下。
- 為替の円高影響で在外子会社の資産・負債が円換算で減少し、包括利益が影響を受けた。
- 大規模な自己株式取得(約3,999億円)により現金減少、借入で資金調達した結果、有利子負債が増加。
配当
- 配当実績と予想:
- 中間配当(予想):53円(2026年3月期見通し)
- 期末配当(予想):53円
- 年間配当予想:106円(前年実績106円、据え置き)
- 配当性向(通期予想):42.4%(前年39.3%→上昇、会社公表値)
- 配当利回り:–(株価情報なし)
- 特別配当の有無:特別配当なし。自己株式取得は株主還元策として実施。
- 株主還元方針:中間・期末配当を各53円で据え置き。自己株式取得(上限2億株、最大5,000億円の枠)を実施中(うち87,393,400株、3,999億円を取得済)。
セグメント別情報
- セグメント別状況(当第1四半期、百万円)
- 生活環境基盤材料:売上244,400 / 営業利益52,808(売上+5%、営業利益△22%)。塩化ビニルは地域差あり価格回復は限定。北米は堅調だがアジア等で価格低迷。
- 電子材料:売上240,229 / 営業利益83,110(売上+6%、営業利益△7%)。半導体用途で強い需要分野に注力。露光材料の新拠点(群馬県伊勢崎市)建設を推進。
- 機能材料:売上110,013 / 営業利益24,041(売上+3%、営業利益△10%)。汎用品市況の回復無し、機能性製品で補完。
- 加工・商事・技術サービス:売上33,904 / 営業利益7,121(売上+7%、営業利益+1%)。半導体ウエハー関連容器や自動車向け製品が増加。
- 前年同期比較:各セグメント売上は増加する一方、営業利益は全体的に圧縮(特に生活環境基盤の利益率悪化が大きい)。
- セグメント戦略:電子材料での露光材料拠点強化、機能材料ではシリコーンを活かした課題解決(PFAS代替等)、生活環境基盤では精密なフル生産・フル販売とインフラ投資密着。
中長期計画との整合性
- 中期経営計画:本短信内に中期数値は明示されていないが、投資(2026年3月期予想投資額3,700億円)を積極的に実施し成長投資を継続。
- KPI達成状況:ROE・ROICは前年より低下しているが会社は投資を継続して市場需要対応(半導体材料等)を図る方針。
競合状況や市場動向
- 競合他社との比較:同業他社との相対評価データは本資料に記載なし(→–)。
- 市場動向:米国の関税政策やそれに対する各国の対応、中国の輸出規制等が事業に不確実性を与えている。半導体関連では用途・分野により需要はまだら模様だが成長分野に注力。
今後の見通し
- 業績予想:
- 通期予想(2026年3月期、連結、百万円):売上高 2,400,000(△6.3% YoY)、営業利益 635,000(△14.4%)、経常利益 700,000(△14.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益 470,000(△12.0%)、1株当たり当期純利益 250円。
- 第1四半期実績は通期予想に対し売上・利益とも約26%の進捗で、現時点では通期見通し達成可能性は維持。ただし会社は「業績予想には不確実性あり」と明記(為替、米国関税交渉、市況等)。
- 予想の信頼性:会社は過去の実績を踏まえつつ保守的な前提も織り込む姿勢。ただし為替・政策リスクが高く変動要因大。
- リスク要因:為替変動(円高の影響で包括利益や海外資産換算に影響)、原材料価格・販売市況、米国の関税動向・各国の対応、中国の輸出規制、半導体市場の需要変動等。
重要な注記
- 会計方針等:当四半期における会計方針の変更・見積り変更等は無し。
- その他重要事項:
- 四半期連結財務諸表に対する任意の期中レビュー報告書あり(EY新日本)。重要な不備は指摘されていない。
- 自己株取得(上限2億株・最大5,000億円)を実施中。6月30日までに約87.4百万株、3,999億円を取得済。
- 為替想定レート(会社想定、2025年7月以降):US$ ≒ 140円程度、EUR ≒ 160円程度(注記)。
上記の内容は、AIによる自動要約に基づいて作成されたものであり、正確性や網羅性について保証するものではありません。内容の解釈や利用に際しては、必ず公式の決算短信 をご参照ください。信頼性を確保するよう努めていますが、情報の完全性についてはご自身での確認をお願い致します。
企業情報
| 銘柄コード | 4063 |
| 企業名 | 信越化学工業 |
| URL | http://www.shinetsu.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.4)」によって自動生成されました。
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