以下、ヤギ(7460)の企業分析レポートをまとめました。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    ヤギは1893年創業の老舗繊維専門商社です。糸や生地といった繊維原料から、メンズ・レディースアパレル、スポーツウェア、ナイトウェア、寝具・インテリア用品などの二次製品まで幅広く展開しています。また、化粧雑貨、タオルなどのライフスタイル製品、さらには不動産賃貸事業も手掛ける多角的な事業構成が特徴です。近年はEC部門の強化や、「タトラス」等のブランド衣料品への取り組みを強化しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • アパレル事業: 最も売上・利益貢献が大きいセグメントで、OEM(相手先ブランドによる生産)の販売先拡大、新素材の採用(LAVATECHなど)、生産・物流コストの削減が奏功しています。
    • マテリアル事業: 綿糸・合成繊維などの繊維原料、ニット・テキスタイル、産業資材を提供。サステナブル原料(オーガニックコットン等)にも注力しています。
    • ライフスタイル事業: 化粧雑貨、タオル、生活用品などを扱います。ECチャネルの強化や販売価格の見直しにより堅調な部門もあります。
    • ブランド・リテール事業: 自社ブランドの運営や小売を手掛けます。MD(マーチャンダイジング)改善と出店戦略を進め損失縮小傾向にあります。
    • 不動産事業: 賃貸収入など安定的な収益源となっています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    ヤギは創業130年を超える歴史を持つ繊維専門商社の老舗であり、繊維産業の川上から川下まで広範囲なサプライチェーンを持つことが強みです。長年の取引で培われた国内外のネットワークとノウハウが競争優位性となっています。また、多角的な事業ポートフォリオを持つことで、特定の市場変動リスクを分散しています。
    一方、課題としてはマテリアル事業における為替変動や合成繊維市況の低迷、ライフスタイル事業での中国市場停滞やインバウンド需要の回復遅延など、外部環境に業績が左右されやすい点が挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    国内市場では緩やかな回復基調にあるものの、個人消費に力強さが見られない状況です。国際的には為替や原材料相場の変動、国際通商リスク(関税)などが事業に影響を与えています。
    同社はこれらの環境変化に対し、アパレル事業では新素材の採用や販売先拡大、コスト削減を実行しています。また、ライフスタイル事業におけるEC強化、マテリアル事業でのサステナブル原料の取扱い拡大など、市場ニーズの変化への対応を進めています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    中期経営計画2026「Heritage to the future」を推進しており、「事業」「グローバル」「グループ経営」「人材」「ESG」の5つの軸で収益力強化とポートフォリオの選択と集中を図ることを掲げています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • アパレル事業においては、OEM販売先の拡大、新素材(LAVATECHなど)の採用推進、生産・物流コストの最適化を通じて収益性の向上を目指しています。
    • ブランド・リテール事業では、MD改善と出店戦略の最適化により収益改善を図っています。
    • マテリアル事業では、サステナブル原料(オーガニックコットン等)の取り扱いを強化し、環境配慮型事業へのシフトを進めています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    アパレル事業における新素材「LAVATECH」の採用や、中長期的な成長を見据えたフェムテック製品の開発・販売などに取り組んでいます。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    繊維商社として素材調達から製品企画・製造・販売まで一貫して手掛ける事業モデルは、多様な市場ニーズに対応できる柔軟性を持っています。EC部門の強化やサステナブル素材への注力は、消費者の購買行動や環境意識の変化に合わせた適応努力を示しています。しかし、マテリアル事業が市況変動に影響を受けやすく、外部環境の変化への完全な耐性があるわけではありません。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    2026年3月期中間期の売上高および営業利益の通期予想に対する進捗率は、平年の半期比(50%)を下回っています。このことから、下期に業績が偏重する傾向がある可能性が示唆されます。アパレル事業などの季節性も影響していると考えられ、下期の売上回復が通期業績達成の鍵となります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    同社は繊維専門商社として、単なる商取引だけでなく、新素材の開発・採用にも積極的に取り組んでいます。アパレル事業で採用されている「LAVATECH」はその一例です。また、ラッセルニット製品やパウダーパフの製造など、特定の製品分野で独自の技術を有しています。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    現在、連結売上および利益において「アパレル事業」が最大の貢献をしており、OEM販売先の拡大、新素材の採用、生産・物流コスト削減が同社の収益を牽引しています。不動産事業も安定的な収益源となっています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 株価: 3,225.0円
    • EPS(会社予想): 315.44円
    • PER(会社予想): 10.22倍 (3,225.0円 ÷ 315.44円)
    • BPS(実績): 5,301.83円
    • PBR(実績): 0.61倍 (3,225.0円 ÷ 5,301.83円)
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 10.1倍
    • 業界平均PBR: 0.7倍
      同社のPERは業界平均とほぼ同水準であり、PBRは業界平均を下回っており割安感があります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    現在の株価 3,225.0円は、年初来高値 3,570円に比較的近い水準であり、高値圏にあると評価できます。年初来安値 1,718円からは大きく上昇しています。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値の約90%程度の水準で推移しており、上値余地は限定的である可能性があります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は9,500株、売買代金は30,781千円です。3ヶ月平均出来高(9.89k株)や10日平均出来高(6.92k株)と比較すると、本日の出来高は平均レベルまたはやや上回る程度ですが、絶対的な水準としては大きな取引量とは言えず、市場からの関心度が非常に高いとは言えません。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上(過去12か月): 83,614百万円
    • 営業利益(過去12か月): 3,863百万円
    • 純利益(過去12か月): 3,586百万円
    • ROE(過去12か月): 8.49%
    • ROA(過去12か月): 3.07%
  • 過去数年分の傾向を比較
    • 売上高は2023年3月期から2025年3月期予想まで横ばいですが、粗利益と営業利益は過去数年間で着実に増加傾向にあり、収益性が改善しています。
    • 純利益とEPSは過去3年間で大きく成長しており、特に2024年3月期から2025年3月期予想にかけて大幅な増加が見込まれています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期(中間期)の決算では、売上高が通期予想の43.9%、営業利益が38.3%の進捗となりました。これは半期の通常進捗(50%)を下回る水準です。しかし、親会社株主に帰属する中間純利益は通期予想の63.2%に達しており、これは関係会社株式売却益や受取配当金の増加、法人税負担の軽減といった非営業要因による影響が大きいと分析されます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 54.5%(中間期末 56.3%) – 非常に健全な水準です。
    • 流動比率(直近四半期): 235% – 短期的な支払能力は極めて良好です。
    • 総負債/株式(直近四半期): 27.83% – 負債への依存度が低く、財務安全性は高いです。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    高水準の自己資本比率と流動比率は、同社の財務が非常に安定していることを示しています。現金及び預金は中間期末で6,941百万円と前期末から減少しましたが、これは営業活動によるキャッシュフローのマイナスや自己株式の取得などによるものです。しかし、過去12か月の営業キャッシュフローは4.2Bとプラスであり、全体の資金繰りに大きな問題は見られません。
  • 借入金の動向と金利負担
    総負債額は12.46Bですが、自己資本と比較して小さいです。金利負担を示すNet Non Operating Interest Income Expenseは非常に小さく、金利負担は経営に大きな影響を与えていません。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12か月): 8.49%
    • ROA(過去12か月): 3.07%
    • 営業利益率(過去12か月): 3.11%
    • 純利益率(過去12か月): 4.29%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(8.49%)およびROA(3.07%)は、それぞれ一般的なベンチマークである10%と5%を下回っています。しかし、ROEは改善傾向にあり、目標達成に向けて進んでいる状況です。
  • 収益性の推移と改善余地
    損益計算書から、過去数年間で粗利率、営業利益率、純利益率ともに改善傾向にあります。特に近年の純利益の成長は著しいです。アパレル事業の好調が全体の収益性を押し上げていますが、マテリアル事業の収益性低下やブランド・リテール事業の赤字(損失縮小中)が改善余地として存在します。これらの事業の立て直しが進めば、さらなる収益性向上が期待できます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は-0.13と非常に低い値を示しています。これは、市場全体の動きに対して株価が逆相関またはほぼ独立して動く傾向があることを示しており、市場リスクの影響を受けにくいディフェンシブな特性を持つ可能性があります。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は3,570.00円、52週安値は1,718.00円です。現在の株価3,225.0円は52週高値に近い水準に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信では、原材料価格や為替変動、国際通商リスク(関税)、中国市場やインバウンド需要の回復遅延、景気動向の不確実性、在庫変動などが事業に影響を与えるリスク要因として挙げられています。特に、マテリアル事業では合成繊維市況の低迷、ライフスタイル事業では中国市場の停滞などが業績にマイナス影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 同社のPER(会社予想10.22倍)は、業界平均PER(10.1倍)とほぼ同水準です。
    • 同社のPBR(実績0.61倍)は、業界平均PBR(0.7倍)を下回っており、PBR基準では割安感があります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 会社予想EPS 315.44円 × 業界平均PER 10.1倍 = 約3,187円
    • 実績BPS 5,301.83円 × 業界平均PBR 0.7倍 = 約3,711円
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価(3,225円)は、PER基準での目標株価(約3,187円)とほぼ同水準であり、PBR基準での目標株価(約3,711円)よりは割安です。 PBRの割安感は魅力的ですが、PERは平均的であり、株価が年初来高値圏にあることを考慮すると、絶対的な割安感は限定的と判断できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は337,900株に対して信用売残は800株と極めて少なく、信用倍率は422.38倍と非常に高い水準にあります。これは、将来的な売り圧力が存在する可能性を示唆しており、需給面では株価の上昇余地を抑制する要因となりえます。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    大株主には「自社共栄会」(10.44%)、清原達郎氏(7.29%)、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行などの金融機関が上位に名を連ねており、安定株主が多い構造と推測されます。経営陣(代表者名 八木隆夫氏)の持株比率は3.47%です。
  • 大株主の動向
    –(データなし)

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    会社予想1株配当は111.00円であり、現在の株価に基づく配当利回りは3.44%と比較的魅力的な水準です。配当性向は32.73%で、連結純利益に対して無理のない範囲で配当を実施していると言えます。過去5年平均配当利回りは3.40%と安定しています。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    2025年9月26日取締役会決議により、上限360,000株の自己株式取得を決定し、既に320,000株、総額1,004.8百万円を取得しています。これは資本効率の向上と株主還元への積極的な姿勢を示すものです。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    –(データなし)

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年11月10日に発表された2026年3月期第2四半期決算短信では、親会社株主に帰属する中間純利益が前年同期比134.4%増と大幅な増益を達成しました。この主な要因は、関係会社株式売却益257百万円や受取配当金の増加、および法人税等調整額の減少といった非営業収益・税務要因によるものです。営業利益もアパレル事業の好調に牽引されて26.6%増益となりました。
    また、2025年9月26日には自己株式取得を実施しており、株主還元への意欲を示しています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    中間純利益の大幅増は非営業要因が大きく、通期業績への持続的な貢献は営業利益の動向に依存します。アパレル事業の継続的な好調は、今後の営業利益を支える主要な材料となるでしょう。自己株式取得は1株当たり利益(EPS)の向上に寄与し、株主還元の強化としてポジティブに評価されます。通期予想は据え置かれているため、下期での営業利益の堅調な推移が注目されます。

16. 総評

ヤギは、繊維専門商社としての長い歴史と多様な事業ポートフォリオを背景に、安定した事業基盤を築いています。特に財務健全性は極めて高く、安定的かつ積極的な株主還元策も魅力です。
近年の業績は回復基調にあり、主力のアパレル事業が成長を牽引しています。しかし、中間期の営業利益の進捗は通期予想に対しやや遅れており、純利益の大幅増が非営業要因によるものである点は留意が必要です。下期での営業利益の巻き返し、特にマテリアル事業の市況回復とブランド・リテール事業の黒字化が今後の成長の鍵となるでしょう。

- 財務健全性が高く、配当利回りも魅力的な水準。
- アパレル事業の成長性やサステナブル素材への取り組みはポジティブ。
- PBRは業界平均よりも割安感がある。
- 信用倍率が非常に高く、需給面での潜在的な重圧がある。
- 中間純利益の裏側にある非営業要因を理解し、通期営業利益の進捗を注視する必要がある。
- 株価は年初来高値圏にあるため、短期的には調整リスクも考慮される。
  • 強み・弱み・機会・脅威の整理
    • 強み:
    • 長い歴史と多様な事業ポートフォリオによる安定した事業基盤。
    • 極めて高い財務健全性と安定的なキャッシュフロー(通期ベース)。
    • 積極的な株主還元姿勢(増配傾向、自社株買い)。
    • アパレル事業の好調と新素材開発力。
    • 弱み:
    • マテリアル事業の市況変動への脆弱性。
    • ブランド・リテール事業の赤字体質(改善中)。
    • 直近中間期営業CFがマイナス。
    • 信用買残の高さによる需給の悪化リスク。
    • 機会:
    • サステナブル素材市場の拡大とECチャネルの強化。
    • 新興国市場でのアパレル需要の取り込み。
    • 不動産事業の安定収益寄与。
    • 脅威:
    • 原材料価格・為替変動リスク、国際通商リスク。
    • 中国市場およびインバウンド需要の回復遅延。
    • 国内個人消費の低迷。

17. 企業スコア

  • 成長性: B
    • 売上は横ばい〜微増で推移。アパレル事業は堅調だが、マテリアル事業の不振が全体の成長を抑制。中間期の営業利益進捗もやや遅れ気味。
  • 収益性: B
    • ROE 8.49%、ROA 3.07%は一般的なベンチマークを下回るものの、過去数年で改善傾向。中間純利益の増益は非営業要因が大きい。営業利益率は約3%台で推移。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率56.3%、流動比率235%、負債比率27.83%と、極めて優れた財務安全性を有しています。
  • 株価バリュエーション: B
    • PERは業界平均並み、PBRは業界平均より割安です。株価が年初来高値圏にある点を考慮すると、絶対的な割安感は限定的と判断します。

企業情報

銘柄コード 7460
企業名 ヤギ
URL http://www.yaginet.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,225円
EPS(1株利益) 315.44円
年間配当 3.44円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 10.2倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 365.68円
理論株価 3,737円
累計配当 19円
トータル価値 3,756円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 3.10% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,867円 934円 × 算出価格を上回る
10% 2,332円 1,166円 × 算出価格を上回る
5% 2,943円 1,471円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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