以下は株式会社ドリコム(証券コード:3793)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    • ドリコムは、主にスマートフォン向けゲームの開発・運用を手掛ける企業です。アニメや漫画など人気のIP(知的財産)を活用したゲームが多いのが特徴です。また、自社配信だけでなく、他社が運営するプラットフォームへのコンテンツ提供も行っています。ゲーム事業を軸に、近年はWeb3事業の育成、さらには出版(ライトノベル、コミック、電子書籍)やアニメ、MD(グッズ)といったコンテンツ事業にも展開しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 主力は、有力IPを用いたスマートフォン向けゲームの開発・運用です。特に「Wizardry Variants Daphne」などの新規タイトルが売上を牽引しています。また、コンテンツ事業では電子コミックスが中心となっており、出版物の刊行拡大や人気シリーズの販売が好調です。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性としては、アニメや漫画など有力な外部IPを活用したゲーム開発・運用実績と、自社IP創出への取り組み、そしてWeb3や生成AIといった新技術への先行投資が挙げられます。課題としては、モバイルゲーム市場の競争激化によるユーザー獲得コストの高止まり、新規リリースしたタイトルの収益化が想定を下回り、減損損失が発生している点が挙げられます。特定の新作の成否が業績に大きく影響しやすい構造です。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • モバイルゲーム市場は引き続き競争が激しい状況です。ドリコムは、IPの二次展開(出版、アニメ、MDなど)による収益の多角化を進めており、Web3などの新しい技術領域への投資も行っています。これは、ゲーム以外の収益源を確保し、事業ポートフォリオのリスク分散を図るための対応と考えられます。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    • 中長期的な経営戦略として「IP×テクノロジー」でのグローバル展開とIP保有を目指しています。これは、既存のゲーム事業で培ったIP活用ノウハウと、最新テクノロジーを組み合わせることで、国内外での事業拡大と安定的な収益基盤の構築を目指すものです。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 決算短信では中期経営計画の具体的なKPIは詳述されていませんが、ゲーム事業では運用タイトルへの追加投資・体制強化、PC/コンソール向けオリジナル開発によるIP保有を目指しています。コンテンツ事業では、作品数の増加による販売拡大、またWeb3や生成AI活用等への先行投資を継続し、事業化を目指しています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    • 第1四半期に新規リリースしたモバイルタイトル「Wizardry Variants Daphne」等が売上増に寄与しています。しかし、このタイトルの回収可能性を再評価した結果、減損損失1,563百万円を計上しており、想定した収益には達していない状況です。コンテンツ事業では電子コミックスを中心に売上が増加しています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    • ドリコムの収益モデルは主にモバイルゲームの課金収益と、コンテンツ事業における出版物・電子書籍の販売収入です。市場ニーズの変化に対しては、IPの多角的な活用(ゲーム、出版、アニメ、Web3など)や、生成AIといった先進技術への投資を通じて適応を図ろうとしています。これは、ゲーム市場のトレンド変化が速い中で、リスクを分散し、新たな収益源を模索する試みと言えます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    • ゲーム事業は新作タイトルのリリース時期や大型イベント開催時期により売上が一時的に大きく変動する可能性があります。決算短信からは具体的な売上計上時期の偏りの記載はありませんが、新規タイトルの減損計上は、リリースのタイミングと想定収益とのギャップが影響している可能性があります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    • 企業情報には明確な技術開発の独自性に関する記述は少ないですが、決算短信のコンテンツ事業において「生成AI活用等への先行投資が継続」と明記されており、最新技術の事業への導入を進めていることが伺えます。これはコンテンツ制作効率化や新たなサービス創出に繋がる可能性があります。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • 「Wizardry Variants Daphne」を始めとする新規モバイルゲームタイトル、および既存の運用ゲームタイトル群がゲーム事業の売上を牽引しています。また、コンテンツ事業では電子コミックスが売上増に貢献しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価は419.0円です。
    • EPS(会社予想)は-45.17円であるため、PERは計算できません。
    • BPS(実績)は81.39円です。現在の株価419.0円はBPSを大きく上回っています。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • PBR(実績)は5.15倍です。業界平均PBRが3.5倍であることと比較すると、現在のPBRは業界平均よりも高い水準にあります。収益が赤字であるにもかかわらず、高めのPBRで評価されていると言えます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 直近10日間の株価は415円から451円の範囲で推移しており、現在の株価419.0円は直近の安値圏に近い水準にあります。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値1,064円、年初来安値415円に対し、現在の株価419.0円は年初来安値に非常に近い位置にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    • 直近の出来高は184,800株、売買代金は78,129千円です。Avg Vol (3 month) 115.37k株、Avg Vol (10 day) 103.5k株と比較すると、本日の出来高は平均より多く、市場の関心は低いとは言えませんが、株価の下落が伴っており、安値圏での売り圧力がある可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高は過去12か月で16,875百万円となり、前年同期比で+105.0%と大きく増加しています。しかし、営業利益、経常利益はいずれも赤字が拡大しており、親会社株主に帰属する純利益も大幅な赤字(△2,375百万円)となっています。
    • ROE(実績)は-66.52%、ROA(実績)は-0.82%と、いずれも大きくマイナスであり、資本効率は極めて低い状態です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • 売上高は2024年3月期に一時減少したものの、直近12か月および2025年3月期予想では回復基調にあります。一方で利益は2023年3月期をピークに悪化傾向が続いており、2025年3月期予想も純損失が計上されています。特に直近の中間期で大幅な減損損失を計上したことで、純損失が大きく拡大しています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    • 2026年3月期第2四半期(中間期)の売上高は8,238百万円で、通期予想17,500百万円に対し進捗率47.1%と、通常の均等進捗(50%)よりやや遅れています。
    • 営業利益は△574百万円の損失で、通期予想500百万円に対し上期で既に赤字です。
    • 親会社株主に帰属する中間純損失は△2,362百万円と、通期予想△1,300百万円を既に大きく上回る損失が計上されており、通期目標達成には下期での大幅な業績改善が不可欠な状況です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(中間期)は23.5%であり、前期末の34.6%から大きく低下しています。安定水準とされる40%を大きく下回っており、財務健全性には懸念があります。
    • 流動比率(中間期)は約1.27倍(6,621百万円 / 5,218百万円)であり、短期的な支払い能力は確保されています。
    • Total Debt/Equity(直近四半期)は163.79%と高く、負債への依存度が高い財務体質です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    • 純資産が前期末の4,719百万円から中間期で2,431百万円に減少しており、財務安全性は悪化しています。営業キャッシュフローは+754百万円とプラスを維持しており、本業でのキャッシュ創出はできていますが、投資活動や財務活動を通じて最終的な現金及び現金同等物は減少しています。
  • 借入金の動向と金利負担
    • 長期借入金は減少していますが、「1年内返済予定の長期借入金」が1,738百万円から1,870百万円に増加しており、短期の返済負担が存在します。金利負担は「Net Non Operating Interest Income Expense」が年間で-72百万円程度であり、大きな額ではありませんが、負債の増加や金利上昇局面では注意が必要です。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績)は-66.52%、ROA(実績)は-0.82%であり、いずれも大幅なマイナスです。収益性が非常に低いことを示しています。
    • 営業利益率(過去12か月)は-13.07%、Profit Marginは-14.07%と、本業および全体の利益率がマイナスであり、現状では収益をほとんど生み出せていない状況です。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    • 一般的なベンチマークであるROE 10%、ROA 5%と比較して、大幅に下回っており、収益性で大きな課題を抱えています。
  • 収益性の推移と改善余地
    • 過去数年間で収益性は悪化傾向にあり、直近中間期には減損損失も計上され、純損失が拡大しました。収益性を改善するためには、新規タイトルの収益化を着実に進めること、運用タイトルの継続的な改善、そして広告宣伝費や開発費などのコスト管理が不可欠です。コンテンツ事業における投資回収も重要なポイントです。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    • β値は-0.44です。これは市場全体の動きに対して逆方向に動く傾向があることを示唆しますが、ゲーム業界の特性や、急激な業績変動も考慮すると、データ解釈には注意が必要です。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値は1,064円、52週安値は415円です。現在の株価419.0円は52週安値に非常に近い位置にあり、過去1年で見ると安値圏にあります。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 決算短信に記載のリスク要因として、主に以下が挙げられます。
    • 新作タイトルの収益性が想定を下回ることによる追加減損のリスク。
    • ユーザー獲得コスト(広告費等)やプラットフォーム手数料の高騰。
    • 借入金の返済スケジュールと資本比率低下による財務リスク。
    • 市場競争の激化、およびIPコンテンツの受容性による収益変動リスク。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • EPS(会社予想)がマイナスであるため、PERは評価できません。
    • PBR(実績)は5.15倍です。業界平均PBRは3.5倍であるため、PBR基準では業界平均と比較して割高な水準にあります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • BPS(実績)81.39円に対し、業界平均PBR3.5倍を適用した場合の目標株価は284.865円(約285円)です。提供データによる「目標株価(業種平均PBR基準)」は295円であり、現在の株価419.0円はこれを上回っています。
  • 割安・割高の総合判断
    • 現在の株価は年初来安値圏にありますが、利益が大幅な赤字でPERが算出できないこと、PBRでは業界平均と比べて割高であること、また、算出された目標株価レンジを下回っていることを総合すると、バリュエーションを正当化する収益力が現時点では不足しており、割高と判断される可能性があります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残は2,016,500株、信用売残は478,000株で、信用倍率は4.22倍です。信用買残が多く、潜在的な売り圧力が存在する可能性があります。前週比では買残、売残ともに減少していますが、依然として買残が多い状態です。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 筆頭株主は代表の内藤裕紀氏が33.84%、次いでバンダイナムコホールディングスが18.85%を保有しており、大株主による安定的な保有が見られます。 insidersが62.17%を保有しており、経営陣の意向が企業運営に強く反映される可能性があります。
  • 大株主の動向
    • データから大株主の最近の具体的な動向は確認できません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想)および1株配当(会社予想)は「—」です。決算短信によると、中間配当は0.00円で無配、期末配当も未定であり、年間配当予想も未定です。前期も通期0.00円でした。
    • 利益が赤字であるため、配当性向の算出は適切ではありません。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    • 現時点で、自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する記載はありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する記載は、提供データからは確認できません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 2026年3月期第2四半期決算短信において、第1四半期にリリースしたモバイルタイトル「Wizardry Variants Daphne」に係る将来収益の再評価により、減損損失1,563百万円を特別損失に計上したことが重要なトピックスです。
    • ゲーム事業では新規タイトルが売上に寄与した一方で、減損損失の計上、変動費やソフトウェア償却費・広告宣伝費の増加によりセグメント損失となりました。
    • コンテンツ事業は電子コミックスが中心に売上増となり、セグメント損失は縮小しています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    • 新規タイトルの投入により売上高は増加していますが、減損損失の計上は当該タイトルの収益性に対する会社の期待値が下方修正されたことを示し、利益面を大きく圧迫しています。今後、既存タイトルの収益化とコスト管理、そして新規事業への投資がどのように利益に結びつくかが焦点となります。中間時点で通期純損失予想を大きく超過しているため、下期での急速な業績回復が期待されます。

16. 総評

ドリコムは、有力IPを活用したゲーム開発を主軸とし、コンテンツ事業やWeb3事業など多角化を目指す企業です。売上高は新規タイトルの貢献などにより大きく増加していますが、利益面では既存・新規タイトルの収益化が課題となっており、直近では減損損失を計上するなど大幅な赤字を計上しています。

  • 強み
    • 有力な外部IPを活用したゲーム開発・運用実績と、自社IP創出への意欲。
    • コンテンツ事業(出版、Web3など)への多角化と、生成AIなど新技術の活用推進。
    • 営業キャッシュフローがプラス基調であり、本業での一定のキャッシュ創出能力。
  • 弱み
    • 新規リリースゲームの収益化リスクと、それに伴う減損損失の発生。
    • 利益率の低迷と大幅な純損失の継続。
    • 自己資本比率の低下と高い負債比率による財務健全性への懸念。
    • 新中期経営計画の具体的なKPI資料の記載がないため、経営戦略の進捗把握の難しさ。
  • 機会
    • IP市場の継続的な成長と、Web3・生成AIといった新技術を活用した新たな収益機会の創出。
    • 既存運用タイトルの継続的なプロモーションやイベントによる収益改善。
    • コンテンツ事業の拡大による収益基盤の多様化。
  • 脅威
    • モバイルゲーム市場における競争激化と、ユーザー獲得コスト(広告宣伝費)の高止まり。
    • 新規ゲームタイトルのヒット作が出にくいことや収益化の遅れ。
    • 財務体質の悪化による資金調達環境の変化や、金利上昇による借入金負担の増加。

17. 企業スコア

  • 成長性: B
    • 売上高は大幅に増加(前年比+105.0%)しており、新規製品展開も行われていますが、新規タイトル由来の減損損失があるため、実質的な成長性には不透明感も残ります。下期での利益貢献が通期予想達成の鍵です。
  • 収益性: D
    • 粗利率は一定ありますが、営業利益率-13.07%、ROE -66.52%、ROA -0.82%と、いずれの収益性指標も大幅なマイナスであり、ベンチマークを大きく下回っています。
  • 財務健全性: D
    • 自己資本比率は23.5%と40%の基準を大きく下回り、負債比率も高いです。流動比率は1.27と短期的な支払い能力は確保されていますが、全体の財務健全性は低いと評価されます。連結中間期において、親会社株主に帰属する中間純損失は通期予想を既に上回り、純資産も減少しています。
  • 株価バリュエーション: D
    • EPSがマイナスであるためPERは評価できません。PBR5.15倍は業界平均3.5倍と比較して割高であり、目標株価295円も現在の株価を下回っています。収益性・財務健全性を考慮すると、割高と判断されます。

企業情報

銘柄コード 3793
企業名 ドリコム
URL http://www.drecom.co.jp/
市場区分 グロース市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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