ニッピ (7932) 企業分析レポート
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
ニッピは、コラーゲンやゼラチンを基盤とした多岐にわたる事業を展開している企業です。食肉加工用のコラーゲンケーシング、食品や医薬品、写真フィルムなどに使われるゼラチン、コラーゲン由来の化粧品、自動車内装などに使用される皮革製品の製造販売が主力です。その他にも、iPS細胞研究支援などのバイオ関連製品、賃貸不動産、有機穀物や輸入食材の販売も手がけています。旧大倉財閥グループの一員であり、東京都足立区に本社を構え、本社周辺の再開発にも関与しています。 - 主力製品・サービスの特徴
- コラーゲン・ケーシング事業: ソーセージなどの食肉製品に使われる、天然の腸に代わる人工ケーシングを提供。多品種少量生産のニーズに対応していますが、生産性への課題を抱えています。
- ゼラチン関連事業: 食品、医薬品(カプセルなど)、医療、写真フィルムなど幅広い用途で利用されるゼラチンや、健康食品・化粧品原料となるコラーゲンペプチドを製造販売。原料調達の見直しや生産性改善により、高い収益性を実現しています。
- 化粧品関連事業: コラーゲンを主成分とする化粧品、スキンケア、ヘルスケア、機能性食品を販売。固定客の獲得により増益傾向にあります。
- 皮革関連事業: 自動車内装用や靴用など、様々な種類の皮革製品を供給。中国自動車市場の減速や米国通商政策の影響を受けやすい状況です。
- 食品その他事業: 有機穀物や輸入食材のほか、iPS細胞培養基質にも使われる組換えヒトラミニンタンパク質といったライフサイエンス製品、動物向けサプリメントなどを扱い、成長分野として期待されています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
ニッピは、コラーゲン・ゼラチン製品において長年の歴史と技術的蓄積があります。特にコラーゲン・ゼラチンなどの応用分野が広く、食品、医薬、化粧品、工業と多様なニーズに対応できる点は強みです。iPS細胞関連事業への注力は、将来的な成長ドライバーとなり得る高付加価値分野への取り組みを示しています。一方で、コラーゲン・ケーシング事業においては多品種少量生産による生産性低下、皮革関連事業では海外市場の動向(特に中国の自動車市場や米国の通商政策)に大きく左右されるという課題を抱えています。 - 市場動向と企業の対応状況
ゼラチン・ペプタイド市場では海外での価格競争が激しいものの、同社は原料調達の見直しや生産性改善により利益率を大幅に向上させています。化粧品関連事業では、固定顧客化の進展が収益に貢献しています。一方で、皮革関連事業では中国自動車市場の冷え込みや米国の通商政策が需要減少に繋がっており、厳しい市場環境にあります。コラーゲン・ケーシング事業では、原料や人件費の高騰に加え、多品種少量生産への対応が生産性低下を招き、一部設備で減損損失を計上するなど構造的な課題に直面しています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
提供データからは、具体的な経営ビジョンや長期戦略に関する詳細な記述はありませんが、決算短信におけるセグメント情報の分析から、ゼラチン関連事業や化粧品関連事業でのコストダウンや固定顧客化推進による収益性改善が重要な戦略として実行されていると推察されます。また、iPS細胞関連のライフサイエンス分野への取り組みは、将来の成長を見据えた重点分野であると考えられます。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
データなし。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信上、具体的な新製品・新サービスの展開状況についての言及はありませんが、ライフサイエンス分野でのiPS細胞関連製品(組換えヒトラミニンタンパク質など)の開発・提供は継続されています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
ニッピの収益モデルは、コラーゲン・ゼラチンという共通の基盤技術から派生する多様な製品群(食品、医薬、化粧品、工業、バイオ)に支えられています。これにより、特定の市場変動リスクを分散できるポートフォリオを構築しています。iPS細胞関連事業への参入は、再生医療といった将来性の高い市場ニーズへの適応を示すものであり、技術革新を取り込みながら事業の持続可能性を高めようとする姿勢が見られます。一方で、皮革事業のように外部環境に大きく左右される事業も抱えており、ポートフォリオ全体での最適な資源配分が重要となります。 - 売上計上時期の偏りとその影響
データなし。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
ニッピはコラーゲン・ゼラチン技術を核としており、その応用範囲の広さが独自性です。特にiPS細胞研究をサポートする組換えヒトラミニンタンパク質などは、高度なバイオ技術開発の成果であり、今後の成長が期待される分野です。 - 収益を牽引している製品やサービス
2026年3月期第2四半期の実績では、ゼラチン関連事業(セグメント利益 1,169百万円、前年同期比+92.4%)と化粧品関連事業(セグメント利益 582百万円、前年同期比+22.6%)が大幅な増益を達成しており、現在の収益を牽引している主力製品群と言えます。
6. 株価の評価
- PER(会社予想): (連)14.29倍
- PBR(実績): (連)0.93倍
- EPS(会社予想): (連)904.15円
- BPS(実績): (連)13,848.67円
- 前日終値: 12,820円
現在の株価12,820円は、会社予想EPS904.15円に基づくPER14.18倍(= 12,820円 / 904.15円)となります。PBRは実績BPS13,848.67円に基づく0.93倍(= 12,820円 / 13,848.67円)であり、簿価をやや下回る水準です。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 業界平均PER: 10.0倍
- 業界平均PBR: 0.5倍
業界平均PER10.0倍と比較すると、現在のPER14.18倍は割高です。また、業界平均PBR0.5倍と比較しても、現在のPBR0.93倍は割高な水準にあります。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は12,810円~13,170円のレンジで推移しており、本日の終値12,920円はレンジ中央よりやや高めの水準です。大きな変動は見られず、概ね横ばいから若干の上昇トレンドを示しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値:13,270円、年初来安値:4,900円
現在の株価12,920円は、年初来安値4,900円から大きく上昇し、年初来高値13,270円に非常に近い高値圏に位置しています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日の出来高は1,400株、売買代金は17,980千円と、非常に低い水準です。直近10日間の出来高も数千株程度で推移しており、市場の関心度は低いと言えます。流動性が低いため、株価が大きく変動する可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高(中間):24,020百万円(前中間期比 △3.9%)- 減収
- 営業利益(中間):2,056百万円(前中間期比 +24.9%)- 大幅増益
- 経常利益(中間):2,146百万円(前中間期比 +37.7%)- 大幅増益
- 親会社株主に帰属する中間純利益:1,351百万円(前中間期比 +21.9%)- 大幅増益
- ROE(実績):6.34%
- ROA(中間期計算値):2.92% (営業利益2,056百万円 / 総資産70,393百万円)
売上高は減少したものの、ゼラチン関連や化粧品関連事業の収益性改善およびコスト削減努力により、営業利益、経常利益、純利益は大幅な増益を達成しました。ROEは6.34%と一般的ベンチマークの10%を下回りますが、ROAは2.92%とまずまずの水準です。 - 過去数年分の傾向を比較
前中間期と比較して、売上高は減少したものの、利益面は大きく改善しています。これは特定のセグメントでのコスト構造改革が奏功した結果と考えられます。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
- 通期予想売上高49,000百万円に対し、中間実績24,020百万円で進捗率49.0%。
- 通期予想営業利益3,800百万円に対し、中間実績2,056百万円で進捗率54.1%。
- 通期予想純利益2,600百万円に対し、中間実績1,351百万円で進捗率52.0%。
売上高はほぼ通期予想の半分の進捗ですが、営業利益と純利益は50%を超えており、通期予想に対しては順調かやや前倒しで進捗していると言えます。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績):56.8% – 高い水準で安定しており、財務基盤は強固です。
- 流動比率(中間期計算値):185% (流動資産27,939百万円 / 流動負債15,083百万円) – 非常に良好な水準であり、短期的な支払い能力に問題はありません。
- 負債比率(中間期計算値):73.3% (負債29,783百万円 / 純資産40,609百万円) – 一般的に100%以下が健全とされており、許容範囲内です。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率、流動比率ともに良好であり、財務安全性は高いと評価できます。営業キャッシュフローはプラスであり、投資キャッシュフローは抑制的です。期末現金及び預金は9,261百万円と潤沢であり、安定した資金繰りが維持されています。 - 借入金の動向と金利負担
短期借入金4,757百万円、長期借入金5,924百万円で合計借入金は10,681百万円です。現金及び預金9,261百万円を考慮すると、純負債は約1,420百万円と限定的であり、金利負担は経営に大きな影響を及ぼす水準ではないと推測されます。具体的な金利負担額のデータはありません。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績):6.34%
- ROA(中間期計算値):2.92%
- 売上総利益率(中間期計算値):28.6%
- 営業利益率(中間期計算値):8.56%
売上総利益率および営業利益率は前中間期と比較して改善しており、収益性向上への取り組みが評価できます。 - 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE6.34%は一般的な目安とされる10%を下回っています。ROA2.92%も目安とされる5%を下回ります。ただし、直近の中間期で利益率が改善している点は評価できます。 - 収益性の推移と改善余地
前中間期と比較して、売上高は減少したものの、営業利益率が6.58%から8.56%へと改善しており、特にゼラチン関連事業での生産性改善や化粧品関連事業での固定顧客化が奏功しています。コラーゲン・ケーシング事業と皮革関連事業の収益性改善が今後のROE・ROA向上への改善余地となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
データなし。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
年初来高値:13,270円、年初来安値:4,900円
現在の株価12,920円は、52週(年初来)レンジの高値圏に位置しており、大幅な上昇を経験した後です。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
- 原材料価格の変動:主要事業のコストに直結するリスク。
- 為替変動:海外取引や原料輸入に影響を与えるリスク。
- 中国自動車市場の冷え込み:皮革事業の需要に大きな影響。
- 米国の通商政策(関税など):皮革事業の輸出需要に影響。
- 多品種少量化への対応コスト増:コラーゲン・ケーシング事業の生産性低下要因。
- 予期しない追加の減損や特殊項目:コラーゲン・ケーシング事業で既に減損を計上しており、今後も発生する可能性。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 現在のPER(会社予想): 14.29倍
- 現在のPBR(実績): 0.93倍
- 業界平均PER: 10.0倍
- 業界平均PBR: 0.5倍
現在のPER14.29倍は業界平均10.0倍に対し約1.4倍、PBR0.93倍は業界平均0.5倍に対し約1.8倍と、いずれも業界平均よりも割高な水準にあります。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- PERベース目標株価: 904.15円(EPS)× 10.0倍(業界平均PER)= 9,041.5円
- PBRベース目標株価: 13,848.67円(BPS)× 0.5倍(業界平均PBR)= 6,924.3円
- 割安・割高の総合判断
現在の株価12,920円は、業界平均PERおよびPBRを適用した目標株価レンジ(約6,924円~9,041円)を大きく上回っており、バリュエーションの観点からは割高であると判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 169,400株
- 信用売残: 0株
- 信用倍率: 0.00倍
信用売残が0株であるため、信用倍率は0.00倍となっています。信用買残が比較的多く(発行済株式数2,889,000株に対し約5.8%)、株価上昇時には将来的な売り圧力となる可能性がありますが、売残がないため、一方向の需給偏りが存在します。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
大株主にはリーガルコーポレーション(12.29%)、大成建設(7.68%)、SBI証券(5.71%)、中央建物(4.02%)、東京建物(3.46%)、みずほ銀行(2.39%)、みずほ信託銀行(2.08%)など、事業関連企業や金融機関が名を連ねています。これらは比較的安定株主として機能する可能性があります。経営陣持株比率はデータがないため不明です。 - 大株主の動向
データなし。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 4.90%
- 1株配当(会社予想): 633.00円
- 配当性向(通期予想計算値):約70.0% (1株配当633円 / 予想EPS904.11円)
配当利回り4.90%は高水準であり、投資家にとって魅力的な水準です。配当性向約70.0%も高水準であり、利益を積極的に株主還元に回す方針が見て取れます。
- 自社株買いなどの株主還元策
中間期での自己株式取得は僅少とされており、配当が主な株主還元策であると推測されます。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2026年3月期第2四半期決算短信において、特に重要なトピックとして以下の点が挙げられます。- コラーゲン・ケーシング事業における減損損失計上: 当中間期において、多品種少量化による生産性低下や原料・人件費上昇の影響を受け、一部設備に427百万円の減損損失を特別損失として計上しました。これは当該事業の構造的な課題を示すものです。
- ゼラチン関連事業および化粧品関連事業の収益性大幅改善: ゼラチン関連事業では原料調達見直しと生産性改善、化粧品関連事業では固定顧客化の進展により、両セグメントともに大幅な増益を達成しました。
- これらが業績に与える影響の評価
コラーゲン・ケーシング事業の減損計上は、一時的に特別損失として純利益を圧迫しますが、事業の構造改革が急務であることを示唆しています。一方で、ゼラチンおよび化粧品関連事業が堅調な利益成長を見せていることは、減収ながらも会社全体の利益を押し上げており、複数事業ポートフォリオの強みを発揮しています。これらの結果、通期業績予想は据え置かれ、中間期時点で純利益52.0%の進捗と順調に推移しています。
16. 総評
ニッピは、コラーゲン・ゼラチンという汎用性の高い技術を基盤に、食品から医薬品、化粧品、工業材料、さらにはiPS細胞関連のライフサイエンス分野まで多岐にわたる事業を展開する企業です。2026年3月期第2四半期決算では、売上高は減少したものの、ゼラチン関連や化粧品関連事業の収益性改善が奏功し、営業利益は大幅な増益を達成しました。財務状況は自己資本比率56.8%と非常に健全であり、高水準の配当利回りも魅力です。
しかし、コラーゲン・ケーシング事業では多品種少量生産による生産性低下と減損損失計上、皮革関連事業では海外市場の冷え込みといった構造的な課題を抱えています。株価については、年初来高値圏にあり、業界平均と比較してPER、PBRともに割高感が見られます。また、出来高は低く、市場の関心度は限定的です。
- **強み**: コラーゲン・ゼラチン技術の幅広い応用性、多様な事業ポートフォリオによるリスク分散、iPS細胞関連事業といった成長分野への取り組み、強固な財務体質、高水準の配当利回り。
- **弱み**: コラーゲン・ケーシング事業および皮革関連事業における構造的な課題と外部環境への脆弱性、低い市場流動性。
- **機会**: iPS細胞関連事業のさらなる成長、ゼラチン・化粧品事業における収益改善の継続、本社再開発などの不動産価値向上。
- **脅威**: 原材料価格や為替の変動、激化する国際競争、中国経済の減速や地政学リスク、コラーゲン・ケーシング事業の再編圧力。
総合的に見ると、安定した財務基盤と高い株主還元意欲を持つ一方、主力事業の一部に構造的課題を抱えています。現在の株価は割高感があり、投資検討にあたっては、今後の収益改善の継続性、特に課題事業の構造改革の進捗、そして低流動性による価格変動リスクを慎重に見極める必要があります。
17. 企業スコア
- 成長性: B(売上は横ばい〜微減傾向ながら、iPS細胞関連など将来の成長分野への投資も見られる。事業間の明暗が分かれるが、全体としては中立的な成長期待。)
- 収益性: B(ROE 6.34%、ROA 2.92%と一般的なベンチマークを下回る。しかし、利益率は前中間期比で改善傾向にあり、特定の事業セグメントでは高収益を達成している。)
- 財務健全性: A(自己資本比率 56.8%、流動比率 185%と非常に良好。負債比率も低く、借入金に対する現金比率も高い。強固な財務基盤を持つ。)
- 株価バリュエーション: C(PER 14.29倍、PBR 0.93倍。業界平均PER 10.0倍、PBR 0.5倍と比較すると、割高圏にあると判断される。)
企業情報
| 銘柄コード | 7932 |
| 企業名 | ニッピ |
| URL | http://www.nippi-inc.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – その他製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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