1. 企業情報
株式会社リテールパートナーズは、山口県の「丸久」、大分県の「マルミヤストア」、福岡県の「マルキョウ」といった地方の食品スーパーが経営統合した「食品スーパー連合」です。地域に密着した店舗展開を通じて、食品小売事業を主たる事業としています。
- 事業内容などのわかりやすい説明: 主に食品を中心とした商品を販売するスーパーマーケットを運営しています。地域ごとの食文化やニーズに合わせた商品開発や販売戦略を展開し、日々の生活必需品を提供する役割を担っています。
- 主力製品・サービスの特徴:
- スーパーマーケット事業: 生鮮食品、加工食品、日配品などを提供し、消費者ニーズに合わせた品揃えとサービスを追求しています。共同調達やプライベートブランド(PB)商品の開発にも力を入れ、価格競争力と品質向上を図っています。
- その他事業: 保険代理業、スポーツクラブ運営、食品製造(戸村フーズ等)など多角的な事業も手掛けており、特に食品製造では生産効率の向上と売価見直しにより利益貢献が見られます。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について:
- 競争優位性: 複数の地方スーパーが統合したことにより、仕入れの効率化、物流網の共通化、PB商品の開発・販売などにおいて規模の経済が働きやすくなっています。地域密着型の店舗運営と柔軟なサービス提供能力も強みです。
- 課題: 少子高齢化・人口減少による地域市場の縮小傾向、人件費・仕入原価・光熱費などの継続的なコスト上昇、そしてドラッグストアやディスカウントストアなど異業種からの参入による厳しい価格競争に直面しています。
- 市場動向と企業の対応状況:
- 物価高騰は客単価上昇に繋がる一方、消費者の生活防衛意識も高まっています。これに対し、同社は既存店の改装による集客力強化、物流拠点の整備による効率化、積極的なM&Aによるエリア拡大と事業規模の拡大(例:株式会社永野の株式取得)で対応し、成長基盤の強化を図っています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略: 地域に根差した食品スーパー事業を核としつつ、持続的な成長を実現するため、エリア拡大と収益性の向上を目指しています。
- 中期経営計画の具体的な施策や重点分野:
- 第3次中期経営計画(2025-2027年度)においては、短期的に既存事業エリアとサービス基盤の強化に成長投資を行います。
- 中長期的には、M&Aを含む事業領域の拡大、新たなサービスの展開を通じて成長を目指します。
- ROE(自己資本利益率)7%以上を目標に掲げ、収益性と効率性の向上、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進、人的資本への投資を重点分野としています。
- 新製品・新サービスの展開状況: 決算短信では、物流・加工センターの整備(RPG宮崎物流センター、宮崎ミートファクトリーなど)による効率化や品質向上、さらにはM&Aによる店舗網拡大が挙げられています。具体的な新製品・サービスの詳細な情報は開示されていませんが、PB商品の強化を通じて商品力を高める努力が継続されています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力: 主に食品スーパー事業の売上高に依存しており、物価上昇による客単価の増加や、既存店改装、新規出店、M&Aによる店舗数増加が収益ドライバーとなっています。共同調達やPB商品の開発強化により、市場の価格競争にも適応しようとしています。
- 売上計上時期の偏りとその影響: 2026年2月期第2四半期の中間決算では、通期予想売上高の約50.6%が進捗しており、売上計上時期に大きな偏りはないと見られます。小売業の特性上、年末商戦などの繁忙期はありますが、年間を通して安定した需要が見込める事業です。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性: 提供データからは、特定の画期的な技術革新に関する直接的な記述は見当たりません。しかし、DX推進への言及や、物流センター・精肉プロセスセンターの整備など、業務効率化と生産性向上を目的とした技術導入・活用が静かに進められていると考えられます。
- 収益を牽引している製品やサービス: スーパーマーケット事業全体が収益の大部分を占めています。特に、生鮮食品や惣菜など、消費者の日常ニーズに応える商品群が主力です。その他事業では、戸村フーズの食品製造が利益貢献しています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較:
- 現在の株価: 1,321.0円
- 会社予想EPS: 128.12円
- PBR(実績): 0.65倍
- BPS(実績): 2,038.03円
- 現在の株価は1株当たりの純資産(BPS)を下回っており、純資産価値に比べ割安な水準にあります。
- 業界平均PER/PBRとの比較:
- 業界平均PER: 21.3倍
- 業界平均PBR: 1.8倍
- 同社の会社予想PERは10.31倍、実績PBRは0.65倍であり、ともに業界平均を大きく下回っています。このことから、現在の株価は業界平均と比較して割安であると判断できます。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か: 直近10日間の株価は1315円から1349円の範囲で推移しており、やや軟調な動きです。50日移動平均線1350.80円、200日移動平均線1372.77円を下回っており、短期・中期的に下落トレンドを示唆しています。
- 年初来高値・安値との位置関係:
- 年初来高値: 1,529円
- 年初来安値: 1,162円
- 現在の株価1321.0円は、年初来高値から約13.6%下落した位置にあり、年初来安値からは約13.7%上昇した位置にあります。高値圏でも安値圏でもなく、中位の水準にあると言えます。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度: 直近の出来高は5万株前後で推移し、売買代金も6,722万円と比較的小規模です。市場の強い関心を集めているとは言えず、株価の変動には限定的な影響しか与えていないようです。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価:
- 売上高: 過去数年間は一旦減少したものの、その後は増加傾向にあり、過去12か月で270,521百万円を計上しています。
- 営業利益: 売上高と同様に改善傾向にあり、過去12か月で7,121百万円を計上しています。
- ROE(実績): 6.31%(過去12か月は6.50%)。ベンチマークの10%には及ばないものの、改善傾向にあります。
- ROA(過去12か月): 3.32%。ベンチマークの5%には届いていません。
- 過去数年分の傾向を比較:
- 売上高、営業利益ともに2023年2月期を底に、2024年2月期、2025年2月期(会社予想)と堅調に増加する見込みです。収益性は徐々に改善傾向にあります。
- 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):
- 2026年2月期第2四半期決算では、売上高進捗率約50.6%、営業利益進捗率約45.9%、純利益進捗率約49.2%でした。売上高は概ね計画通りに推移しているものの、利益面は通期予想に対してやや下振れ気味の進捗となっており、下半期の巻き返しが注目されます。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:
- 自己資本比率(実績): (連)66.7%。直近四半期では64.1%。小売業としては非常に高い水準であり、財務基盤は極めて強固です。
- 流動比率(直近四半期): 1.13。短期的な支払い能力に問題はありません。
- Total Debt/Equity(負債比率、直近四半期): 16.95%。負債が少なく、財務的な安定性が非常に高いことを示しています。
- 財務安全性と資金繰りの状況: 現金及び預金28,320百万円に対し、総負債14,832百万円とネットキャッシュの状況にあり、資金繰りは非常に良好です。
- 借入金の動向と金利負担: 借入金は存在しますが、豊富な現金でカバーされており、損益計算書上の純支払利息も軽微であることから、金利負担は経営に大きな影響を与える水準ではありません。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価:
- ROE(過去12か月): 6.50%。ベンチマークの10%と比較すると改善の余地があるものの、「普通」の評価です。
- ROA(過去12か月): 3.32%。ベンチマークの5%には届いていませんが、「普通」の評価です。
- 営業利益率(過去12か月): 2.01%。食品スーパー業界の一般的な水準であり、効率化による改善が期待されます。
- 粗利率(過去12か月): 約26.59%。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較: いずれの指標もベンチマークには達していませんが、着実な増収増益のトレンドにより、今後の改善が期待されます。
- 収益性の推移と改善余地: 売上・利益は増加傾向にあり、特にコスト管理やPB商品の強化、その他事業の利益率改善が今後の収益性向上に寄与する可能性があります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価: ベータ値は0.34であり、市場全体の値動きに対し株価の変動が小さい(約0.34倍)ことを示しています。景気変動に左右されにくいディフェンシブな特性を持つ銘柄であると言えます。
- 52週高値・安値のレンジと現在位置: 52週高値1,529.00円、52週安値1,162.00円に対し、現在の株価1321.0円はレンジの中位に位置しています。
- 決算短信に記載のリスク要因:
- 食料品の仕入れ価格、原材料価格、人件費、電力料などのコスト上昇。
- 競合他社との価格競争や集客競争の激化。
- M&Aに伴う統合リスクや、設備投資による財務負担の増加。
- 地政学的リスクや為替変動などの外部環境の変化。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較:
- PER(会社予想)10.31倍は、業種平均PER21.3倍と比べて約半分であり、強い割安感があります。
- PBR(実績)0.65倍は、業種平均PBR1.8倍と比べて大幅に低い水準であり、株価が純資産価値を下回る割安な状態です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
- 業界平均PER基準の目標株価: 2,729.80円
- 業界平均PBR基準の目標株価: 3,668.45円
- 割安・割高の総合判断: 現在の株価1321.0円は、業界平均と比較してPER、PBRともに極めて割安な水準にあり、大幅な割安傾向にあると判断できます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス):
- 信用買残: 27,700株
- 信用売残: 4,000株
- 信用倍率: 6.93倍
- 信用買残が売残を上回っていますが、絶対的な数量は多くなく、需給バランスへの大きな影響は限定的と見られます。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況):
- 経営陣持株比率(インサイダー保有率): 34.43%。経営層が多くの株式を保有しており、株主との利益一致度が高いと考えられます。
- 機関投資家保有比率: 14.08%。
- 大株主には、自社(自己株口)のほか、同業大手のアークスやバローホールディングスも名を連ねており、経営の安定性や業界内連携の可能性を示唆します。
- 大株主の動向: –(個別の売買動向を示すデータなし)
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析:
- 配当利回り(会社予想): 3.03%。比較的良好な水準です。
- 1株配当(会社予想): 40.00円(中間20円、期末20円)。前期から2円の増配予想です。
- 配当性向(会社予想): 26.44%(決算短信のEPSから概算すると約31.2%)。無理のない水準であり、利益成長に応じた安定配当への意欲が伺えます。
- 自社株買いなどの株主還元策: 直近中間期には自社株買いの目立った実施はありませんでした。
- 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策: –(情報なし)
- 株主還元方針: ROE7%以上を目標とし、安定的な営業キャッシュフローを創出し、適切な資金配分によって株主還元を強化する方針を掲げています。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析:
- 2026年2月期 第2四半期決算: 増収増益を達成。既存店客数の回復、客単価の上昇に加え、新規出店や改装効果が売上を伸ばしました。その他事業(食品製造等)の利益が大幅に改善し、全体的な収益向上に寄与しました。
- M&Aの実施: 当中間期に株式会社永野の株式を取得し連結子会社化しています。これは宮崎県における店舗網を拡大し、中長期的な成長に繋げる strategic move です。ただし、P/Lへの貢献は期末みなし取得のため、中間期には反映されていません。
- 物流拠点の整備: RPG宮崎物流センターや宮崎ミートファクトリーなどの物流・加工拠点を整備しており、効率的なサプライチェーン構築と品質向上を目指す投資を継続しています。
- 負ののれん発生益: 事業譲受に伴い、22百万円を特別利益として計上しました。これは一時的な利益貢献です。
- これらが業績に与える影響の評価: M&Aによる事業規模拡大と物流拠点整備は、中長期的な売上増加とコスト効率化に貢献すると期待されます。ただし、統合に伴うリスクや、初期投資によるキャッシュフローへの影響も考慮する必要があります。直近の決算では増収増益ではあるものの、利益進捗率がやや計画を下回っており、コスト上昇圧力への対応が引き続き課題です。
16. 総評
リテールパートナーズは、地方の食品スーパーを統合することで規模を拡大し、強固な財務基盤を持つ企業です。
強み (Strengths):
- 自己資本比率が高く、潤沢な現預金を持つ極めて健全な財務体質。
- 複数のスーパー統合による仕入れ・物流の効率化、PB商品開発などのシナジー効果。
- 地域密着型店舗による安定した顧客基盤とディフェンシブ性の高い事業。
- 積極的なM&Aによる事業エリア拡大と成長戦略。
- PER/PBRが業界平均と比較して大幅に割安なバリュエーション。
弱み (Weaknesses):
- ROE、ROAが業界のベンチマークを下回っており、資本効率の改善の余地がある。
- 営業利益率が低く、人件費や仕入れ価格、光熱費の高騰が収益を圧迫するリスク。
- 市場の関心度がそこまで高くなく、出来高が限定的。
機会 (Opportunities):
- M&Aによるさらなる事業拡大や新規事業への展開。
- 物流・加工プロセスの効率化投資によるコスト削減と生産性向上。
- DX推進による業務効率化と顧客体験向上。
- 地域特性を活かした独自の商品展開やサービス強化。
脅威 (Threats):
- 少子高齢化・人口減少による地方市場の構造的な縮小。
- 異業種からの参入を含む、小売業界における競争激化。
- コスト増大(人件費、仕入価格、エネルギーコスト)による収益圧迫。
- M&A後の統合作業におけるリスクや予期せぬ費用発生。
同社は、非常に安定した財務基盤と割安なバリュエーションを持つ一方で、収益効率の改善が今後の課題です。M&Aや設備投資が将来的にどれだけ収益貢献に繋がるか、またコスト上昇圧力にどう対応していくか、その進捗を注視することが重要です。配当利回りも魅力的な水準にあります。
17. 企業スコア
- 成長性: A
- 売上高は堅調に成長しており、直近四半期も前年同期比で7.3%の増収。M&Aによる事業規模拡大と既存店強化が奏功しているため、成長戦略は順調に進んでいると評価できます。
- 収益性: B
- ROE6.50%、ROA3.32%はベンチマークには達していませんが、過去数年の推移では改善傾向にあります。営業利益率は2.01%と一般的な小売業の水準ですが、今後の効率化投資による改善余地が期待されます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率66.7%(直近64.1%)と非常に高く、流動比率1.13、Total Debt/Equityも16.95%と極めて健全な財務状態です。現金保有も豊富で、財務基盤は非常に強固であると評価できます。
- 株価バリュエーション: S
- PER10.31倍、PBR0.65倍は、業界平均(PER21.3倍、PBR1.8倍)と比較して大幅に低い水準であり、現在の株価は極めて割安であると判断できます。
企業情報
| 銘柄コード | 8167 |
| 企業名 | リテールパートナーズ |
| URL | http://www.retailpartners.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 小売 – 小売業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,321円 |
| EPS(1株利益) | 128.12円 |
| 年間配当 | 3.03円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 3.0% |
| 5年後の想定PER | 10.3倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 148.53円 |
| 理論株価 | 1,531円 |
| 累計配当 | 17円 |
| トータル価値 | 1,548円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | 3.22% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 770円 | 385円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 961円 | 481円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 1,213円 | 606円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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