青山商事(8219)の企業分析レポートを個人投資家の皆様向けにご説明します。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    青山商事は、紳士服専門店の最大手として知られ、「洋服の青山」や「THE SUIT COMPANY」などを全国に展開しています。主力のビジネスウェア事業のほか、クレジットカード事業(AOYAMAカード)、印刷・メディア事業、雑貨販売事業、靴修理・合鍵作製などを手掛ける「ミスターミニット」のような総合リペアサービス事業、飲食店などのフランチャイジー事業、不動産事業など、多角的にビジネスを展開しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    売上全体の約68%を占める「ビジネスウェア事業」が中核であり、メンズスーツ、シャツ、ネクタイ、シューズ、カジュアルウェア、レディーススーツなどを提供しています。特に郊外型の大型店舗展開が特徴です。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    青山商事は紳士服業界のトップランナーであり、長年にわたるブランド認知度と広範な店舗網が強みです。しかし、ビジネスウェア事業では、リモートワークの普及やビジネススタイルのカジュアル化といった市場の変化により、スーツ需要が構造的な減少傾向にあります。これは直近の中間決算においてもメンズスーツ販売着数減少として顕著に表れており、喫緊の課題となっています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    スーツ市場の縮小に対応するため、既存店の活性化に加え、カジュアル需要に対応した新業態「AO+」や「みんなのスーツ」を展開し、客層の拡大と新たな需要の創出を図っています。また、CRM(顧客関係管理)の強化や、非ビジネスウェア事業(カード、フランチャイジー、リペアなど)の収益基盤強化を通じて、事業ポートフォリオの転換を進めています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    同社は中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)において、株主還元策の強化と持続的な成長に向けた事業構造改革を推進しています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    具体的には、ビジネスウェア事業の売上回復(新ブランド、店舗施策、CRM強化など)と粗利率の改善(価格政策、販促抑制)を最重要課題としています。また、カード事業やフランチャイジー事業などの非ビジネスウェア事業の成長も重点分野としています。
  • 新製品・新サービスの展開状況
    「AO+」や「みんなのスーツ」といった新業態・新ブランドの展開により、既存のスーツ専門店とは異なる顧客層へのアプローチを強化しています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    主な収益源であるビジネスウェア事業は、市場ニーズの変化(カジュアル化、リモートワーク)に直面しており、新業態やサービス展開で適応を図っています。カード事業やフランチャイジー事業、リペアサービス事業の好調は、事業ポートフォリオの多角化による収益安定化に貢献しており、収益モデルの持続可能性を支える要素となっています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データなし。一般的に小売業は、特定時期(入学・入社シーズン、年末商戦など)に売上が集中する傾向がありますが、具体的な売上計上時期の偏りについては、提供されたデータからは判断できません。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    提供されたデータからは、特定の技術革新に関する具体的な記述は確認できません。主にアパレル製品の素材開発や機能性向上、店舗運営の効率化、EC・CRMシステムへの投資などが考えられます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    連結事業の売上高の68%を占める「ビジネスウェア事業」が引き続き売上の大部分を占めています。直近の中間期においてはセグメント損失を計上していますが、カード事業、フランチャイジー事業、総合リペアサービス事業は好調に推移し、全体の収益を下支えしています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 2,375.0円
    • EPS(会社予想): 195.70円
    • BPS(実績): 3,570.87円
      現在の株価はBPSを下回っており、企業が持つ純資産価値に対して市場からの評価が低い状況です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想): 12.11倍 (業界平均PER: 21.3倍)
    • PBR(実績): 0.66倍 (業界平均PBR: 1.8倍)
      PER・PBRともに業界平均と比較して大幅に低い水準にあり、割安と評価できる可能性があります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 年初来高値(52週高値): 2,596円
    • 年初来安値(52週安値): 1,764円
    • 現在株価: 2,375円
      現在の株価は年初来高値から約8.5%下に位置し、年初来安値からは約34.6%上に位置しており、直近のレンジでは中高値圏にあります。
      50日移動平均線(2,358.46円)と200日移動平均線(2,239.95円)を上回っており、短期、中期的な上昇トレンドを示唆しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    • 本日出来高: 146,900株
    • 本日売買代金: 350,300千円
    • 過去3ヶ月平均出来高: 296,510株
      本日の出来高および売買代金は、過去3ヶ月の平均と比較して少なく、市場の関心はやや低下している可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高(過去12ヶ月):192,259百万円
    • 営業利益(過去12ヶ月):12,004百万円
    • 純利益(過去12ヶ月):9,171百万円
    • ROE(実績):5.30%
    • ROA(実績):2.40%
  • 過去数年分の傾向を比較
    過去数年間の売上高は増加傾向にあり、2022年3月期から2024年3月期にかけて営業利益および純利益も大幅に改善してきました。しかし、2025年3月期の予測純利益は前年実績を下回る見込みであり、直近12ヶ月の純利益も予測値を下回っています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期 第2四半期(中間期)の決算は、売上高が通期予想の41.6%の進捗とやや遅れ、営業利益は通期予想の0.55%という大幅な未達となりました。前年同期比では減収減益であり、中核のビジネスウェア事業がセグメント損失を拡大させている状況です。通期予想を達成するためには、下期に大幅な業績回復が必要となります。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(直近四半期): 57.0% (実績: 55.8%) → 非常に高い水準で、企業の安定性を示しています。
    • 流動比率(直近四半期): 3.14倍(314%) → 非常に高く、短期的な支払い能力に優れています。
    • 負債比率 (負債/純資産、直近四半期): 約0.72倍(72%) → 比較的健全な財務状態です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    総現金(直近四半期)は640.6億円、過去12ヶ月の営業キャッシュフローは174.4億円、フリーキャッシュフローは96.4億円と、潤沢な現金と安定したキャッシュ創出能力があります。財務安全性は非常に高く、資金繰りに懸念は見られません。
  • 借入金の動向と金利負担
    短期・長期借入金を含む総負債は778.4億円ですが、自己資本と比較して健全な水準です(負債/自己資本比率43.96%)。金利負担も営業利益に比して小さいです。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績): 5.30%
    • ROA(実績): 2.40%
    • 売上総利益率(過去12ヶ月): 約51.8% → 高い粗利率を維持しています。
    • 営業利益率(過去12ヶ月): 約6.24%
    • 純利益率(過去12ヶ月): 約4.77%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(5.30%)は一般的なベンチマークである10%を下回っており、ROA(2.40%)も同様に5%を下回っています。資本効率および資産効率には、まだ改善の余地があると言えます。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年で利益は改善傾向にありますが、直近の中間期決算では営業利益率が0.09%と大幅に低下しました。中核のビジネスウェア事業における販売数量の回復と、効率的なコスト管理による利益率向上が収益性改善の重要な要素となります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5年月間)は-0.46です。これは、市場全体が上昇する局面で株価が下落し、市場全体が下落する局面で株価が上昇する傾向がある、という逆相関性を示唆しています。このため、市場の景気動向とは異なる要因で株価が変動する可能性があります。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値2,596円、52週安値1,764円に対し、現在株価2,375円は高値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信では、個人消費の落ち込み、物価上昇や米国関税などの外部環境要因、スーツ需要の構造変化、在庫・価格競争、店舗運営コストなどがリスク要因として挙げられています。為替や地政学リスクについては明示的な記述はありません。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想): 12.11倍に対し、業種平均は21.3倍。
    • PBR(実績): 0.66倍に対し、業種平均は1.8倍。
      現在の株価は、業種平均と比較してPER、PBRともに低い水準にあり、割安と判断されます。特にPBRが1倍を大きく下回っている点は注目されます。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業種平均PER基準目標株価: 195.70円(EPS)× 21.3(業種平均PER)= 4,167円
    • 業種平均PBR基準目標株価: 3,570.87円(BPS)× 1.8(業種平均PBR)= 6,428円
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価2,375円は、業界平均倍率を用いた目標株価レンジと比較して大幅に割安な水準にあります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 351,200株(前週比 +4,000株)
    • 信用売残: 88,800株(前週比 +9,900株)
    • 信用倍率: 3.95倍
      信用倍率は約4倍であり、買い残が売り残を上回る需給バランスではありますが、信用売残も増加しており、需給に大きな偏りは見られません。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    インサイダー(経営陣)保有比率は15.85%、機関投資家保有比率は27.62%です。大株主には日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの信託口が上位を占め、安定株主が一定割合を占めています。
  • 大株主の動向
    データなし。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 5.74%
    • 1株配当(会社予想): 136.00円
    • 配当性向(Payout Ratio): 84.28%
      配当利回りは非常に高く、安定した配当を維持する姿勢がうかがえます。配当性向はやや高い水準ですが、株主還元への意欲の表れと考えられます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    上限140万株、取得価額30億円の自己株式取得を2025年11月12日から2026年3月24日の期間で実施予定です。これは、株価の下支えとEPS向上に寄与する積極的な株主還元策です。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析
    2026年3月期 第2四半期決算発表では、売上高と営業利益が通期予想に対して大幅に未達という結果が示されました。特に主力であるビジネスウェア事業の苦戦が影響しています。一方で、自己株式取得の実施と1株を3株とする株式分割の発表があり、これらは株主還元強化と株式流動性向上を図るポジティブな材料とされています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    中間決算の低調は短期的には業績に対する懸念材料となりますが、自己株式取得はEPSを押し上げ、株式分割は投資単位の引き下げを通じて投資家層の拡大と流動性向上に繋がり、中長期的には株価上昇をサポートする可能性があります。ただし、通期予想達成には下期の業績回復が不可欠であり、その進捗が今後の焦点となります。

16. 総評

青山商事は、紳士服業界のトップ企業として強固な財務基盤と多様な事業ポートフォリオを持つ一方、中核事業の市場構造変化という課題に直面しています。直近の中間決算では、ビジネスウェア事業の苦戦が全体の利益を押し下げ、通期予想(増益)達成には下期の大幅な回復が必要という厳しい状況が示されました。
しかし、同社は高水準の配当に加え、自己株式取得や株式分割といった積極的な株主還元策を打ち出しており、株主を重視する姿勢は評価できます。また、現在の株価は業界平均と比較してPBRが1倍を大きく下回るなど、割安な水準にあると判断されます。

  • 課題と回復の見通し: 主力事業の回復施策(新ブランド、店舗戦略、CRM強化)が下期にどの程度奏功し、通期業績予想が達成されるかに注目が必要です。
  • 非ビジネスウェア事業の貢献: カード、フランチャイジー、リペアサービスといった多角化事業が、今後どの程度全体の収益を牽引できるかが重要です。
  • 株主還元の魅力: 高い配当利回りと積極的な自社株買いは、株価下支えと長期的な投資魅力を高める可能性があります。
  • バリュエーション: 業界平均と比較して割安な株価は、今後の業績改善や市場評価の向上によっては上昇余地があると考えられます。

強み・弱み・機会・脅威 (SWOT分析):

  • 強み (Strengths):
    • 紳士服業界トップのブランド力と全国展開の店舗網。
    • 多角的な事業ポートフォリオによる収益安定化努力。
    • 極めて高い財務健全性(自己資本比率、流動比率、豊富なキャッシュ)。
    • 高配当利回り、自社株買い、株式分割など積極的な株主還元策。
    • 高い売上総利益率。
  • 弱み (Weaknesses):
    • 中核であるビジネスウェア事業のスーツ販売数量減少と市場構造変化への適応遅れ。
    • 直近中間期決算における営業利益の大幅未達と通期業績予想の下期偏重。
    • ROEおよびROAが業界ベンチマークを下回る資本効率。
  • 機会 (Opportunities):
    • 多様化するビジネススタイルやカジュアルニーズへの新たな商品・サービス展開。
    • 非ビジネスウェア事業(カード、フランチャイジー、リペア)のさらなる成長。
    • EC強化やCRMによる顧客エンゲージメントの向上。
    • 株式分割による投資家層の拡大と市場流動性の向上。
  • 脅威 (Threats):
    • 個人消費の低迷や物価上昇による購買意欲の減退。
    • ビジネスウェア市場の継続的な縮小と構造変化。
    • 競合他社との価格競争激化。
    • 外部環境の変化(景気変動、サプライチェーンの混乱など)。

17. 企業スコア

  • 成長性: C (売上成長率の停滞、中核事業の苦戦、中間決算の進捗の低さから判断)
  • 収益性: C (営業利益率と純利益率の低迷、ROE/ROAがベンチマーク以下、中間期営業利益の大幅減益から判断)
  • 財務健全性: S (自己資本比率57.0%、流動比率3.14倍、D/E比率43.96%など、すべてにおいて非常に高い水準で判断)
  • 株価バリュエーション: S (PER12.11倍、PBR0.66倍がいずれも業界平均を大きく下回る水準であることから判断)

企業情報

銘柄コード 8219
企業名 青山商事
URL http://www.aoyama-syouji.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 小売 – 小売業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,375円
EPS(1株利益) 195.70円
年間配当 5.74円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 12.1倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 226.87円
理論株価 2,747円
累計配当 31円
トータル価値 2,779円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 3.19% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,382円 691円 × 算出価格を上回る
10% 1,725円 863円 × 算出価格を上回る
5% 2,177円 1,089円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。