1. 企業情報

  • ナトコは、塗料、インク、ファインケミカル、合成樹脂、関連製品の製造・販売を行う中堅化学メーカーです。
  • 事業は「塗料」「ファインケミカル」「蒸留」の3つのセグメントに分かれています。
  • 主力製品・サービスの特徴:
    • 塗料事業: 金属用、住宅建材用、工作機械向けなどの産業用塗料が中心。最近ではDICグループからの内装建材用塗料事業譲受により製品領域を拡大しています。
    • ファインケミカル事業: スマートフォンアクセサリー、光学フィルム向けコーティング剤や、自動車内装部品用コーティング剤などを展開しています。
    • 蒸留事業: 廃溶剤の回収、蒸留再生、各種シンナーの販売、産業廃棄物の収集運搬・処分を行っており、環境負荷低減に貢献しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 塗料業界における中堅メーカーの位置づけです。
  • 業界内での競争優位性や課題について:
    • 競争優位性としては、特定の産業用途に特化した製品開発力と、溶剤リサイクルという環境に配慮した事業モデルが挙げられます。
    • ファインケミカル事業における「モビリティ向け」の需要回復遅れが課題です。
  • 市場動向と企業の対応状況:
    • 世界経済の不透明感、原材料価格の高騰、為替変動が事業リスクとして認識されています。
    • M&A(三丸化学の子会社化)を通じて塗料事業の強化と連結範囲の拡大を図り、環境変化に対応しようとしています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略:
    • 2025-2027年度の中期経営計画を策定し、サステナビリティ方針を掲げています。
    • 成長投資としてM&A、DX(デジタルトランスフォーメーション)、R&D(研究開発)を重点分野としています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野:
    • M&A戦略の一環として、2025年6月30日に三丸化学株式会社を子会社化し、塗料事業の強化を図っています。
    • 塗料事業ではDICグループからの内装建材用塗料事業譲受を進めています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照):
    • 決算短信に具体的な新製品・新サービスの直接的な記述はありませんが、事業譲受による事業領域拡大を進めています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力:
    • 塗料事業は幅広い産業に展開し、事業譲受でポートフォリオを強化しています。
    • 蒸留事業は廃溶剤リサイクルという循環型ビジネスモデルであり、環境意識の高まりとともに持続可能な事業として評価できます。
    • ファインケミカル事業での自動車向け需要の低迷は、市場ニーズの変化への適応速度が課題となる可能性があります。
  • 売上計上時期の偏りとその影響:
    • データなし

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性:
    • 具体的な技術開発の独自性に関する詳細な記載はありませんが、ファインケミカル事業で高度なコーティング剤を提供しており、R&Dを重点分野としています。
  • 収益を牽引している製品やサービス:
    • 第3四半期累計では「塗料事業」が売上10,711百万円(前年同期比+13.9%)、セグメント利益819百万円(+29.1%)と、最も大きな売上と利益を上げ、業績を牽引しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較:
    • 株価: 1,568.0円
    • PER(会社予想): 12.09倍 (1,568.0円 ÷ 129.74円)
    • PBR(実績): 0.50倍 (1,568.0円 ÷ 3,159.61円)
    • 現在の株価は、BPSの半分程度の評価となっています。
  • 業界平均PER/PBRとの比較:
    • 業界平均PER: 15.9倍、業界平均PBR: 0.7倍
    • ナトコのPER(12.09倍)、PBR(0.50倍)ともに業界平均を下回っており、割安であると言えます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か:
    • 直近10日間の株価は1,545円から1,568円の範囲で推移しており、概ね横ばいまたは微上昇傾向です。現在の株価1,568円は、直近10日間のレンジ内では高値寄りです。
  • 年初来高値・安値との位置関係:
    • 年初来高値: 1,869円、年初来安値: 1,290円
    • 現在の株価1,568円は、年初来高値から約16.2%低い水準、年初来安値から約21.5%高い水準に位置し、高値圏と安値圏の中間よりもやや安値寄りの位置にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度:
    • 本日の出来高: 1,800株、本日の売買代金: 2,818千円
    • 平均出来高(3ヶ月): 6,980株、平均出来高(10日): 3,320株
    • 直近の出来高は平均出来高に比べて低調であり、市場の関心度は低いと評価できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価:
    • 売上高: 緩やかに増加傾向(2021年190億円→過去12ヶ月220億円)。
    • 営業利益: 2021年から2024年までは減少傾向でしたが、直近12か月では改善が見られます(過去12ヶ月14.7億円)。
    • 純利益: 2021年から2023年まで減少後、直近2年と過去12ヶ月は概ね横ばいです(過去12ヶ月9.4億円)。
    • ROE(実績): 4.12% (過去12か月は4.67%)
    • ROA(実績): 2.96%
  • 過去数年分の傾向を比較:
    • 売上は安定推移。営業利益、純利益は低下傾向でしたが、直近12ヶ月で営業利益は回復基調です。純利益は特別利益の影響で四半期は良好です。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):
    • 2025年10月期第3四半期累計は、売上高75.3%、営業利益69.0%、純利益80.6%の進捗。純利益は三丸化学子会社化に伴う「負ののれん発生益」の特別利益が寄与しており、営業利益の通期達成には第4四半期の挽回が重要となります。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:
    • 自己資本比率(実績): 79.0% (直近四半期78.8%) – 非常に高く、財務は極めて安定しています。
    • 流動比率(直近四半期): 3.69倍 (369%) – 短期的な債務返済能力は非常に高いです。
    • 負債比率(直近四半期): 約26.0% – 極めて低い水準です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況:
    • 財務安全性は極めて高く、現預金110.5億円と潤沢な資金を保有しており、資金繰りに余裕があります。
  • 借入金の動向と金利負担:
    • 金利負担は過去12か月で511千円と極めて低く、ほとんどありません。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価:
    • ROE (4.67%) とROA (2.96%) は、一般的なベンチマーク(ROE 10%以上、ROA 5%以上)を大きく下回っています。
    • 営業利益率(過去12か月): 6.36%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較:
    • ベンチマークを大きく下回っており、資本効率の改善が課題です。
  • 収益性の推移と改善余地:
    • 営業利益率は改善傾向にあるものの、ROE・ROAは低いままです。M&Aや高付加価値製品の育成が収益性改善に寄与するかが注目されます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価:
    • ベータ値(5Y Monthly): 0.14 – 市場全体の変動に対する株価の感応度が極めて低く、ディフェンシブな特性を持つと言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置:
    • 52週高値: 1,869円、52週安値: 1,290円
    • 現在株価1,568円は、52週レンジの中間点に近く、やや安値寄りの水準です。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等):
    • 世界経済の不透明感、原材料価格・エネルギー価格の高騰、為替変動(為替差損計上済)、自動車関連需要の回復遅延、M&Aに伴う統合リスク。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較:
    • ナトコのPER、PBRともに業界平均を下回っており、割安感があります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
    • 目標株価(業種平均PER基準): 2,063円 (129.74円 × 15.9倍)
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 2,212円 (3,159.61円 × 0.7倍)
    • 目標株価レンジは約2,063円~2,212円。
  • 割安・割高の総合判断:
    • 現在株価1,568円は目標株価レンジに対して約24~29%低い水準であり、業界平均と比較して割安であると判断できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス):
    • 信用買残: 37,500株、信用売残: 0株、信用倍率: 0.00倍
    • 信用売りがほとんど入っておらず、買い方が一方向に傾いている状況です。出来高が少ないため、信用残高の需給への影響は限定的かもしれません。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況):
    • 経営陣の保有割合が高く、自社共栄会や自社(自己株口)も上位株主であり、安定株主が多いと推測されます。経営の安定性は高いと考えられます。
  • 大株主の動向:
    • データなし

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析:
    • 1株配当(会社予想): 52.00円
    • 配当利回り(会社予想): 3.32% (株価1568.0円)
    • Payout Ratio(過去12か月): 41.48% (予想配当性向は約40.1%)
    • 配当利回り3.32%は、現在の市場環境下では魅力的な水準です。
  • 自社株買いなどの株主還元策:
    • 決算短信には記載なし
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策:
    • データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等):
    • 2025年6月30日付けで三丸化学株式会社を子会社化。
    • DICグループからの内装建材用塗料事業譲受(2024年7月1日)。
  • これらが業績に与える影響の評価:
    • 三丸化学の子会社化により、第3四半期累計では「負ののれん発生益」が特別利益として計上され、純利益を押し上げています。また、連結範囲拡大による売上・利益への寄与も見込まれ、塗料事業の成長に貢献するでしょう。
    • これらの施策は、中期経営計画に沿った戦略的投資であり、今後の持続的な成長に向けたポジティブな材料と評価できます。

16. 総評

ナトコは、塗料、ファインケミカル、蒸留事業を展開する中堅化学メーカーであり、極めて強固な財務体質が特徴です。自己資本比率は高く、潤沢な現預金を保有し、金利負担もほとんどありません。M&Aや事業譲受を通じて主力である塗料事業の強化を進めており、環境に配慮した蒸留事業も持続可能性のある事業モデルとして評価できます。
株価はPER、PBRともに業界平均を下回っており、バリュエーション面では割安感があります。高い配当利回りも魅力的で、市場全体の変動に強いディフェンシブな特性も持ち合わせています。
一方で、収益性には課題が見られます。ROE、ROAともに一般的なベンチマークを下回っており、資本効率の改善が求められます。過去数年間は利益成長が鈍化傾向にありましたが、直近では営業利益に回復の兆しが見られます。ただし、四半期純利益は特別利益によって押し上げられている点には注意が必要です。

17. 企業スコア

  • 成長性: B
  • 収益性: C
  • 財務健全性: S
  • 株価バリュエーション: A

企業情報

銘柄コード 4627
企業名 ナトコ
URL http://www.natoco.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,568円
EPS(1株利益) 129.74円
年間配当 3.32円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 12.1倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 150.40円
理論株価 1,818円
累計配当 18円
トータル価値 1,837円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 3.21% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 913円 457円 × 算出価格を上回る
10% 1,140円 570円 × 算出価格を上回る
5% 1,439円 719円 × 算出価格を上回る

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。