1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    NCDは独立系の情報サービス企業で、主にシステム開発、システム運用・保守サービス、そして駐輪場管理システムや運営を手がけています。ITサービスと社会インフラ(駐輪場)という2つの柱で事業を展開しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • システム開発事業: 金融・保険・建設業界などを中心に、システムの構築からパッケージソリューションの提供、アプリケーションの保守・運用まで幅広く対応しています。
    • サポート&サービス事業: インフラの構築、運用・保守、さらにビジネスをサポートするサービスを提供し、顧客のIT環境を安定稼働させています。
    • パーキングシステム事業: 駐輪場の建設・運営・管理(「ECOPOOL」など)、駐輪場管理システムの販売、自治体へのコンサルティングまで、ワンストップで提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性: 独立系であるため多様な顧客ニーズに対応しやすい柔軟性があります。情報サービスと駐輪場事業という異なる分野の組み合わせはユニークで、リスク分散にも寄与しています。特に駐輪場事業における実績とノウハウは独自の強みです。
    • 課題: IT業界全体で人材獲得競争が激化しており、人件費や外部要員費の上昇が利益を圧迫しています。また、大型IT案件の獲得や採算性によって業績が変動する可能性があります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 国内のIT投資は、DX推進、生成AI、クラウド移行などを背景に堅調な需要が続いています。
    • NCDは、中期経営計画「Vision2026」の下、人的資本への投資(賃上げなど)、新サービスの開発、生成AIの活用といった先行投資を積極的に行い、中長期的な競争力強化と市場ニーズへの対応を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    経営陣は「Vision2026」(中期経営計画の最終年度)のもと、人的資本への投資を最重要課題の一つと位置づけています。これにより、競争力のある人材の確保と育成を進め、持続的成長の基盤を強化する戦略です。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 人的資本経営: 賃上げや教育研修など、社員への投資を継続し、人材力の強化を図ります。
    • 新サービス・新規事業開発: 変化する市場ニーズに対応するため、新たなサービスや事業の創出に注力します。
    • 生成AI活用: 最先端の技術を取り入れ、サービス品質の向上と効率化を進めます。
    • パーキングシステム事業の収益性向上: 料金改定、内製化、データ活用を推進し、次世代駐輪場への投資も行います。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信では具体的な新製品名の記載はありませんが、「新サービス開発」や「生成AI活用」への投資、および「次世代駐輪場への投資」が行われていることが示されています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    • ITサービス事業は、企業のDX需要やクラウド移行、AI導入といった市場ニーズの高まりが追い風となっており、人材力の強化を通じてこれらのニーズに対応していく方針です。
    • 駐輪場事業は、都市インフラの一部として安定した需要が見込めます。料金改定や内製化、データ活用による効率化を進めることで収益力の維持・向上を目指します。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    2026年3月期の中間決算では、売上高の進捗率が通期予想の48.2%と概ね均等に進んでいます。一方で営業利益と純利益の進捗率はそれぞれ43.3%と42.6%で、やや遅れが見られます。これは、比較的利益率の高い大型IT案件の終了や、人件費・外部要員費の上昇、一時的な投資コストが影響しており、下期での採算性回復が通期目標達成の鍵となります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    決算短信では「生成AI活用」への投資が重点分野として挙げられており、最新のテクノロジーを積極的に事業に取り込む姿勢が見られます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • 最も売上構成比が高いのは「システム開発事業」(約41.9%)であり、中心的収益源です。
    • 「サポート&サービス事業」(約32.1%)も着実に成長しており、安定した収益を上げています。
    • 「パーキングシステム事業」(約25.9%)はユニークな事業として、特定の市場で強みを発揮し、収益に貢献しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在株価: 2,700.0円
    • EPS(会社予想): 201.71円
    • BPS(実績): 988.98円
    • PER(会社予想): 13.39倍 (2,700円 ÷ 201.71円)
    • PBR(実績): 2.73倍 (2,700円 ÷ 988.98円)
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 17.6倍
    • 業界平均PBR: 1.6倍
    • NCDのPER (13.39倍) は業界平均 (17.6倍) より割安な水準です。
    • NCDのPBR (2.73倍) は業界平均 (1.6倍) より割高な水準です。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 年初来高値: 3,175円
    • 年初来安値: 1,931円
    • 現在株価: 2,700円
    • 現在株価は年初来高値から約15%下落、年初来安値から約40%上昇した水準にあり、高値圏と安値圏の中間やや高値寄りといった位置づけです。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    現在の株価は、年初来高値の約85%水準、年初来安値の約140%水準に位置しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    直近10日間の出来高は19,600株から65,700株で推移しており、本日の出来高31,000株、売買代金83,048千円は直近の平均的な水準です。特段の市場の過熱感や冷え込みは見られず、平均的な関心度で推移しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去数年間で堅調に増加しており、2022年3月期の205億円から2025年3月期予想の301億円へと成長軌道にあります。
    • 営業利益: 2024年3月期までは大幅な伸びを見せましたが、2025年3月期予想および過去12ヶ月では利益の伸びに一服感があります(減益見込み)。
    • 純利益: 営業利益と同様の傾向を示しており、2024年3月期までは増加、直近では減益見込みです。
    • ROE(実績): (連結)26.96% (過去12ヶ月21.77%)。非常に高い資本効率を示しています。
    • ROA(実績): (過去12ヶ月)10.03%。総資産を効率的に活用していることを示します。
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は着実に成長していますが、利益面では2024年3月期に大きく伸びた後、人件費増加や先行投資、大型案件終了の影響で、2025年3月期予想と直近の中間期で減益に転じています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期(中間期)の売上高進捗率は通期予想に対して48.2%と概ね順調です。しかし、営業利益の進捗率は43.3%、純利益は42.6%とやや遅れており、会社側は下期での利益回復を見込んでいると判断されます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(直近四半期): 50.9% (前期末48.4%)。非常に安定した財務基盤です。
    • 流動比率(直近四半期): 2.37倍。短期的な支払い能力も極めて良好です。
    • 負債比率(直近四半期): 約94.6%。負債は純資産の範囲内に収まっており、過度な負債に依存していません。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率、流動比率がともに良好であり、現金・預金も74.3億円と豊富に保有しています。財務安全性は非常に高く、資金繰りに懸念はないと判断されます。
  • 借入金の動向と金利負担
    総負債は8.49億円と少なく、プレタックスインカム(税引前利益)に対する金利負担も軽微です。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12か月): 21.77%
    • ROA(過去12か月): 10.03%
    • 営業利益率(過去12か月): 9.02%
    • 純利益率(過去12か月): 5.44%
      いずれの指標も高い水準にあり、企業が高い収益性を誇っていることを示しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE (21.77%) はベンチマークの10%を大きく上回り、ROA (10.03%) もベンチマークの5%を大幅に超えています。これは、NCDが資本と資産を非常に効率的に活用し、高い収益力を生み出していることを意味します。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年は高収益を維持してきましたが、2026年3月期中間決算では人件費や外注費の高騰、採算性の高い案件の終了などにより利益率が一時的に低下しました。中期計画で進めている人的資本投資は中長期的な成長に繋がるものの、短期的には利益率を圧迫する可能性があります。今後は、コストコントロールと効率的な事業運営を通じて、利益率の改善が求められます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値 (5Y Monthly): 0.27。この値は1未満であり、NCDの株価は市場全体の変動に比べて感応度が低い、すなわちディフェンシブな特性を持つ銘柄であると評価できます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 3,175.00円
    • 52週安値: 1,932.00円
    • 現在株価: 2,700.0円
      現在株価は52週レンジの中間よりやや高値寄り(高値から15%下、安値から40%上)に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 人件費や外部要員費の上昇、採用競争の激化: IT人材の需給逼迫によるコスト増。
    • 大型案件の獲得および採算性の変動: 受注状況や案件の特性により業績が大きく変動する可能性。
    • 子会社の案件取り込み時期の遅延: グループ全体の業績に影響。
    • 通信事業者のサービス終了に伴う移行コスト: 一時的な費用負担。
    • マクロ要因(為替、物価上昇、海外経済、通商政策等): 経済状況の変化による事業環境の悪化。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • NCDのPER(会社予想)13.39倍に対し、業界平均PERは17.6倍であり、PER基準では割安と言えます。
    • NCDのPBR(実績)2.73倍に対し、業界平均PBRは1.6倍であり、PBR基準では割高と言えます。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 201.71円 (EPS) × 17.6倍 = 約3,549円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 988.98円 (BPS) × 1.6倍 = 約1,582円
  • 割安・割高の総合判断
    PER基準では目標株価3,549円に対して現在の株価2,700円は割安感がありますが、PBR基準では目標株価1,582円に対しては割高感があります。高いROEを維持している企業は、PBRが高くなる傾向があるため一概に割高とは言えませんが、総合的にはPERの割安感を評価しつつ、PBRの割高感を考慮して中立的な判断が必要です。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 63,700株
    • 信用売残: 6,500株
    • 信用倍率: 9.80倍
      信用買残が信用売残を大きく上回っており、需給バランスは売り方が優位とは言えません。しかし、発行済株式数(880万株)と比較すると信用買残の絶対量は限定的であり、需給悪化の影響は現時点では小さい可能性があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    大株主には自社(自己株口)、光通信KK投資事業有限責任組合、事業法人、自社社員持株会、代表者などが含まれており、比較的安定した株主構成です。経営陣の保有比率も一定程度あり、経営へのコミットメントは高いと見られます。
  • 大株主の動向
    提供データからは特定の売買動向は読み取れません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 1株配当(会社予想): 120.00円(前期70円から増配予想)
    • 配当利回り(会社予想): 4.44% (株価2,700円ベース)。これは高水準の配当利回りです。
    • 配当性向(過去12ヶ月): 48.14%。安定的な配当維持が可能な適切な水準です。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    自己株式を619,800株保有していますが、直近の決算短信では新たな自社株買いの発表は記載されていません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    決算短信には記載がありません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 2025年11月7日に2026年3月期 第2四半期決算短信(連結)と、2026年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせが公表されました。
    • 通期売上高は上方修正されましたが、営業利益と純利益は下方修正されました。
  • これらが業績に与える影響の評価
    売上高の上方修正は事業の堅調さを示唆しますが、利益の下方修正は、主に人件費高騰や外部要員費、採算性の高い大型IT案件の終了、および中期計画で進めている人的資本投資や新サービス・次世代駐輪場への先行投資が一時的に利益を圧迫しているためと説明されています。今後は、これらの投資が業績にどう反映され、利益率が回復するかが注目されます。

16. 総評

NCDは、システム開発・運用サービスと駐輪場事業の二本柱で安定成長を続ける企業です。過去数年間の売上成長は堅調で、ROE・ROAともに非常に高い水準を維持しており、財務健全性も盤石です。また、高水準の配当利回りも魅力です。
しかし、直近の中間決算では、人件費高騰や大型案件の収益性変化、成長投資が利益を圧迫し、通期利益予想の下方修正に至りました。これは、短期的には収益性悪化の要因となりますが、中期経営計画に基づく先行投資であり、将来の競争力強化と成長のための施策と捉えることもできます。

- **強み**: 安定的な多角化事業、実績ある売上成長、高い収益性・財務健全性、高配当利回り、PERベースでの割安感。
- **弱み**: 短期的な利益率の低下、人件費高騰によるコスト圧力、大型案件の採算変動リスク。
- **機会**: DX・AI・クラウド移行といったIT投資の拡大、駐輪事業の社会インフラとしての安定需要、中計に基づく事業強化。
- **脅威**: IT人材獲得競争の激化、経済情勢の変化、同業他社との競争。

足元の利益率回復が今後の注目点ですが、長期的な視点では、堅実な事業基盤と戦略的な成長投資が評価される余地があるでしょう。

17. 企業スコア

  • 成長性: B
    売上高は過去数年堅調に成長し、中期計画でAI活用や新サービス開発に投資しています。しかし、直近の中間期で利益成長が鈍化傾向にあるため、中立的な評価としました。
  • 収益性: A
    ROE 21.77%、ROA 10.03%と一般的なベンチマークを大幅に上回る高水準にあり、非常に高い資本効率と資産効率を示しています。直近の利益率低下も見られますが、依然として優良な収益性です。
  • 財務健全性: S
    自己資本比率50.9%(直近四半期)、流動比率2.37倍、Total Debt/Equity 10.40%と、いずれも極めて良好な水準です。現金保有も潤沢であり、財務安全性は最高レベルです。
  • 株価バリュエーション: B
    PERは業界平均と比較して割安ですが、PBRは割高です。高ROEがPBRを押し上げる傾向もあるため、総合的には中立的な評価としました。

企業情報

銘柄コード 4783
企業名 NCD
URL https://www.ncd.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,700円
EPS(1株利益) 201.71円
年間配当 4.44円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 13.4倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 233.84円
理論株価 3,131円
累計配当 24円
トータル価値 3,155円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 3.17% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,569円 784円 × 算出価格を上回る
10% 1,959円 980円 × 算出価格を上回る
5% 2,472円 1,236円 × 算出価格を上回る

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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