株式会社ナカニシ (7716) 企業分析レポート

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    株式会社ナカニシは、主に歯科用・外科用・一般産業用の高速回転機器を製造・販売しているメーカーです。特に歯科用製品においては世界トップクラスのシェアを誇ります。海外売上比率が88%と非常に高く、グローバルに事業を展開しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 歯科事業: 歯科治療で使用されるエアタービン、コントラアングル、切削機器などの高速回転ハンドピースが主力です。高い技術力と品質が特徴で、世界中の歯科医に利用されています。
    • DCI事業: Dental Care/Services向けに、歯科診療所やDSO(Dental Service Organization)向けの製品・サービスを提供しています。
    • 外科事業: 外科手術用に使用される高速回転機器などを扱っており、近年特に成長が著しい分野です。
    • 機工事業: 歯科・外科で培った高速回転技術を応用し、一般産業用の切削・研磨機器などを提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    ナカニシは歯科用高速回転機器分野において世界トップクラスの地位を確立しており、これが最大の競争優位性です。長年培った精密な高速回転技術とグローバルな販売網が強みです。一方、直近ではDCI事業の採算悪化が課題として挙げられています。これはDSO(Dental Service Organization)向けの販売が一服したことが要因と見られます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    世界経済は地域によって差があるものの、歯科・外科分野の需要は安定していると考えられます。特に外科事業は国内、北米、欧州、アジアの各地域で増収を記録し、全社の成長を牽引しています。海外比率が高いことから、為替変動や地政学リスクの影響を受けやすい側面もあります。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    決算短信からは具体的な中期経営計画の進捗状況に関する記述は見られませんが、セグメント情報からは外科事業の拡大が明確な重点分野であることが読み取れます。また、DCI事業の採算改善が喫緊の課題と認識されている可能性があります。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    データなし
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    今回の決算短信では具体的な新製品・新サービスの展開状況についての記載はありませんでした。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    ナカニシの収益モデルは、高精度な歯科・外科用医療機器の製造・販売を中核としています。口腔ケアや医療ニーズは世界的に安定しており、高齢化や医療技術の進展に伴い、今後も一定の需要が見込まれます。海外比率の高さは地域分散によるリスクヘッジにも寄与しています。DCI事業におけるDSO向け販売のような新たな流通チャネルへの対応も、市場ニーズの変化への適応を示唆します。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データなし

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    創業以来培ってきた高速回転技術が同社の核となる技術であり、歯科用ハンドピースや外科用切削機器など、精密機器分野でその独自性を発揮しています。この技術を基盤として、医療分野だけでなく工業分野にも展開しています。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    主力である歯科事業が最大の売上・利益を誇りますが、直近では外科事業が売上高、営業利益ともに大幅な成長を見せており、新たな収益ドライバーとして注目されます。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在株価: 2,005.0円
    • 予想EPS (連): 100.03円
    • 予想PER (連): 20.04倍
    • 実績BPS (連): 1,432.59円
    • 実績PBR (連): 1.40倍
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 17.5倍
    • 業界平均PBR: 1.1倍
      現在のPER 20.04倍とPBR 1.40倍は、いずれも業界平均と比較してやや高い水準にあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    現在の株価2,005円は、直近10日間の高値圏(2,046円)と安値圏(1,915円)の中間からやや高い位置にあります。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値2,619円、年初来安値1,756円に対し、現在の株価2,005円は年初来高値から約23%低い位置、年初来安値からは約14%高い位置にあり、年間レンジの中央やや下方に位置しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    直近の出来高332,800株は、3ヶ月平均出来高179.78k株、10日平均出来高226.54k株と比較して増加しており、市場の関心はやや高まっている可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去数年間は一貫して増加傾向にあり、2021年の約448億円から「過去12か月」実績では約776億円へと顕著な成長を遂げています。
    • 営業利益: 2022年に153億円を記録した後、2023年142億円、2024年145億円、過去12か月138億円と、増収にもかかわらず横ばいからやや減少傾向にあります。これは売上原価や販売費及び一般管理費の増加が影響している可能性があります。
    • 純利益: 2023年には特別な要因(Total Unusual Items: +11,547百万円)により227億円と大幅に伸びましたが、2024年85億円、過去12か月50億円と、一過性要因を除けば変動が見られます。直近12か月では、純利益が大きく減少している点が懸念。
    • ROE (実績): 7.34%(過去12か月5.67%)。
    • ROA (実績): 5.54%(過去12か月5.54%)。
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は安定して成長していますが、営業利益および純利益は直近で変動が大きく、特に利益率が低下傾向にある点が確認されます。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2025年12月期第3四半期累計の通期予想に対する進捗率は、売上高72.9%、営業利益80.2%、親会社株主に帰属する四半期純利益73.8%です。売上高は通期予想に対しやや遅れのペースですが、利益は比較的順調な進捗と言えます。しかし、前年同期比では増収減益となっており、特にDCI事業の営業損失転換や為替差損、支払利息増加、過年度法人税等の一過性費用が利益を圧迫しています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 連結76.3%(直近四半期73.3%)。極めて高く、財務基盤は非常に強固で健全性が高いと評価できます。
    • 流動比率: 直近四半期で3.81(381.5%)。流動負債に対する流動資産が非常に多く、短期的な支払い能力に十分な余裕があります。
    • 負債比率 (Total Debt/Equity): 直近四半期で22.17%。負債純資産比率も低く、レバレッジが低い安定した財務状況です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率、流動比率ともに非常に高い水準であり、財務安全性は極めて良好です。潤沢な現金及び預金(約534億円)も保有しており、資金繰りに懸念はないと判断されます。
  • 借入金の動向と金利負担
    決算短信によると総負債は増加しており、長期借入金の増加が指摘されています。それに伴い支払利息も増加傾向にありますが、現時点では高い自己資本比率と現金水準により、金利負担が財務を大きく圧迫している状況ではありません。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE (実績): 7.34%(過去12か月5.67%)
    • ROA (実績): 5.54%(過去12か月5.54%)
    • Profit Margin: 8.44%
    • Operating Margin (過去12か月): 15.10%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROAは5%のベンチマークをクリアしていますが、ROEは10%のベンチマークを下回っています。営業利益率も過去数年間で低下傾向にあり、収益性には改善の余地があると言えます。
  • 収益性の推移と改善余地
    売上高は増加していますが、営業利益率は2022年の約31.6%から「過去12か月」の15.10%へと大幅に低下しており、収益性は悪化傾向にあります。これは、売上原価の増加や販管費の増加、為替差損、DCI事業の採算悪化などが要因として挙げられます。DCI事業の収益改善、コスト効率化、為替変動リスクへの対応などが収益性改善の鍵となるでしょう。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値は0.15と非常に低く、市場全体の変動と比較して株価の変動が小さい、安定性の高い銘柄であると言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値2,619円、52週安値1,756円のレンジに対し、現在の株価2,005円はレンジの中央よりやや下方に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 為替変動: 海外売上比率が高いため、為替変動による為替差損が発生するリスクがあります(直近四半期でも為替差損を計上)。
    • 原材料・部品価格の上昇・供給問題: 製造業であるため、原材料価格の高騰や供給網の混乱は利益を圧迫する可能性があります。
    • DCI事業の需要回復遅延: DCI事業の採算悪化が指摘されており、この回復が遅れる場合、全体の利益に影響を与える可能性があります。
    • 金利上昇: 短期借入金は減少していますが、長期借入金が増加傾向にあり、金利上昇は支払利息の増加を通じて純利益を圧迫するリスクがあります。
    • 過年度税務調査に関する追加負担: 直近で過年度法人税等の計上がありましたが、今後の税務リスクも考慮が必要です。
    • 地政学リスク: グローバル展開しているため、各国の政治・経済情勢の変化や貿易摩擦などが事業に影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想)20.04倍は業界平均17.5倍と比べて割高です。
    • PBR(実績)1.40倍は業界平均1.1倍と比べて割高です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 1,060円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 1,581円
      現在の株価2,005円は、これらの目標株価レンジと比較すると割高感が示唆されます。
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価は、業界平均PERおよびPBRに基づくバリュエーションでは割高と判断されます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残が107,100株(前週比+7,600株)と増加し、信用売残が11,800株(前週比-500株)と減少しています。信用倍率は9.08倍であり、買い残が高水準で積み上がっているため、需給バランスはやや悪化傾向にあると言えます。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    自社(自己株口)10.75%、日本カストディ銀行(信託口)5.00%、ナカニシE&N4.85%、中西千代4.67%、公益財団法人NSKナカニシ財団3.98%など、特定の法人や創業者一族が大株主として名を連ねており、安定株主比率は高いと考えられます。インサイダー保有比率が23.38%、機関投資家保有比率が35.35%です。
  • 大株主の動向
    データなし

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 2.69%
    • 1株配当(会社予想): 54.00円
    • 配当性向(Payout Ratio): 86.48% (過去12か月ベース)
      配当利回りは比較的良好ですが、配当性向が86.48%と非常に高い水準にあります。これは直近の純利益減少を反映していますが、この水準が持続可能であるかについては、今後の利益成長が重要となります。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    株主情報にて自己株口が10.75%存在しますが、最近の自社株買いに関する適時開示情報はこの分析では確認できませんでした。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年12月期 第3四半期決算短信によると、以下の点が挙げられます。
    • 売上高は増加しましたが、EBITDA、営業利益、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比で減益となりました。
    • 特に外科事業は国内外で大幅な増収増益を記録し、好調を持続しています。
    • DCI事業では、DSO向け販売の一服により営業損失を計上し、全体の利益を圧迫しました。
    • 為替差損(457,729千円)や支払利息の増加(125,599千円)が利益に影響を与えました。
    • 2021年〜2023課税年度に関する税務調査の結果、過年度法人税等1,185,484千円が特別損失として計上され、純利益の減少要因となりました。
  • これらが業績に与える影響の評価
    外科事業の拡大は企業全体の成長ドライバーとして期待されますが、DCI事業の不振と為替・金利変動、および一過性の法人税負担が短期的な利益を圧迫しました。通期業績予想は維持されており、会社は残りの期間で利益を回復させると見込んでいますが、DCI事業の改善と外部環境の変化には引き続き注意が必要です。

16. 総評

ナカニシは、世界トップクラスの歯科用高速回転機器メーカーであり、高い技術力とグローバルな販売網を確立している企業です。財務基盤は非常に強固で、手元資金も潤沢であり、安定性は高いと評価できます。外科事業が成長を牽引しており、今後の収益の柱として期待が持てます。
しかし、直近の決算では売上は伸長しているものの、利益が伸び悩んでおり、特にDCI事業の営業損失転換が課題となっています。為替変動や金利上昇、過年度の税負担といった外部要因も利益を圧迫しました。現在の株価は業界平均と比較して割高感があり、高い配当性向も今後の利益成長への期待を反映していると考えられます。

  • 強み:
    • 歯科用高速回転機器において世界トップクラスの市場ポジションと高い技術力。
    • 海外売上比率が高く、市場をグローバルに分散している。
    • 自己資本比率が高く、流動性も潤沢な極めて健全な財務体質。
    • 外科事業が成長ドライバーとして明確な存在感を示している。
  • 弱み:
    • 直近の営業利益率・純利益率が低下傾向にある。
    • DCI事業の収益性が悪化し、営業損失に転換した。
    • 株価のバリュエーションが業界平均と比較して割高感がある。
    • 配当性向が現状の利益水準に対してかなり高い。
  • 機会:
    • 世界的な高齢化や医療水準の向上に伴う歯科・外科医療機器の需要拡大。
    • 外科事業のさらなる成長と市場シェア拡大。
    • 技術力を活かした新規事業分野への展開。
  • 脅威:
    • 為替変動による収益へのネガティブな影響(海外比率が高いため影響大)。
    • グローバルな金利上昇による支払利息増加。
    • 原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱。
    • DCI事業の回復遅延や競争激化。
    • 特定市場における経済状況の悪化や地政学リスク。

17. 企業スコア

  • 成長性: B (売上成長は堅調だが、一部事業の課題と利益成長の鈍化が見られるため)
  • 収益性: C (ROE、ROAはベンチマークに届かず、営業利益率が低下傾向にあるため)
  • 財務健全性: S (自己資本比率73.3%と極めて高く、流動比率も十分であるため)
  • 株価バリュエーション: C (PER、PBRともに業界平均と比較して割高であるため)

企業情報

銘柄コード 7716
企業名 ナカニシ
URL http://www.nsk-nakanishi.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 電機・精密 – 精密機器

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,005円
EPS(1株利益) 100.03円
年間配当 2.69円

予測の前提条件

予想EPS成長率 5.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 127.67円
理論株価 1,915円
累計配当 16円
トータル価値 1,931円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) -0.75% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 960円 480円 × 算出価格を上回る
10% 1,199円 599円 × 算出価格を上回る
5% 1,513円 756円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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