1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    株式会社Amaziaは、スマートフォン向けマンガアプリ「マンガBANG!」を主軸とした電子コミック事業を展開しています。無料でマンガを読み始められ、一部課金や広告収入で収益を得るフリーミアムモデルを採用しており、特に男性向けコンテンツに強みを持っています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • Manga BANG!: 新作、名作、恋愛小説のコミック化など、多岐にわたるジャンルのマンガを提供する主力アプリ。ユーザーの読書習慣に合わせたサービスを提供しています。
    • Manga BANG Comics: オリジナルマンガの制作レーベル。自社でIP(知的財産)を創出し、アプリ内での独占配信や外部展開を目指しています。
    • Fandom Tokyo: 日本のアニメ・マンガ関連グッズを海外向けに販売する越境EC(電子商取引)サービスです。
    • Manga Tote: 主に女性ユーザーをターゲットとしたマンガアプリ。
    • Tokyo Anime News: 海外のアニメ・マンガファン向けに英語で情報を提供するニュースサイトです。
    • ITソリューション事業: SES(システムエンジニアリングサービス)やSEOメディア運営なども手掛けています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    国内の電子書籍市場は拡大傾向にありますが、競合他社が多く、競争が激化しています。また、広告市況の変動も収益に影響を与えています。Amaziaはフリーミアムモデルによる幅広いユーザー獲得と、オリジナルIP強化による差別化を図っています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    電子書籍市場は拡大しているものの、広告単価の低下やアクティブユーザー数(MAU)の減少が課題です。これに対し、同社は広告宣伝費を大幅に抑制して費用構造を改善しつつ、アプリ内のユーザー課金や広告表示の最適化を図っています。また、オリジナルマンガの強化や越境EC「Fandom Tokyo」といった新規事業で海外市場への展開も進めています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    同社は2025年9月期を「先行投資期間」と位置付け、広告宣伝費抑制による収益性改善と、オリジナルIP強化や越境EC展開による中長期的な成長基盤の構築を目指しています。2026年9月期以降の再成長と黒字化を目標としています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    詳細な中期経営計画の数値は開示されていませんが、エンターテイメント事業では、オリジナルIPの強化に加え、アプリ外課金の導入を通じて収益源の多様化を図る方針です。ITソリューション事業ではSESの拡大と、選択と集中による事業の黒字化を目指しています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    • Manga BANG Comics: オリジナルマンガ制作レーベルが好調で、電子売上を含め前年比+62.8%と大幅な成長を遂げています。新たなIP創出の兆しが見られます。
    • Fandom Tokyo: 越境EC事業として順調な立ち上がりを見せ、月間売上が10百万円を超えるなど、今後の収益貢献が期待されています。
    • ITソリューション事業: オンライン診療支援事業は、広告掲載基準等の変更により2025年11月中に事業終了予定です。SEOメディア「LogsFix」は苦戦しており、業務提携や新サービス投入を検討しています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社の収益はマンガアプリ内での課金と広告収入が主要です。国内電子コミック市場の拡大は追い風ですが、競争激化と広告市況悪化に対応するため、オリジナルIP強化や越境ECによる事業多角化を進めています。アプリ外課金導入など、収益モデルの柔軟な適応を計画しており、持続可能性を高めるための取り組みを行っています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データなし。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    具体的な技術革新に関する詳細なデータは提供されていません。しかし、主力であるマンガアプリの運営ノウハウや、オリジナルマンガ制作におけるIP開発力が競争力の源泉となります。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    主力は「マンガBANG!」アプリです。直近では「マンガBANGコミックス」によるオリジナル作品が好調であり、今後の収益を牽引する可能性があります。また、越境EC「Fandom Tokyo」も新しい収益の柱として期待されます。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 株価: 325.0円
    • BPS(実績): 128.25円
    • EPS(会社予想 2026年9月期): -22.20円 (赤字)
      EPSが赤字のため、PER(株価収益率)は算出できません。PBR(株価純資産倍率)は株価325.0円 ÷ BPS 128.25円 = 2.53倍です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PBR: 3.5倍
      同社のPBR 2.53倍は業界平均PBR 3.5倍と比較して割安水準にあります。ただし、同社が赤字であること、実績ROEが大幅なマイナスであることから、PBRのみで割安と判断するには慎重な検討が必要です。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近の株価は大きく下落しており、11月26日に年初来高値705円を記録した後、12月5日には325円と半値以下になっています。現在の株価水準は、短期的には安値圏にあると見られます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 705円 (11月26日)
    • 年初来安値: 250円
      現在の株価325円は、年初来高値から大幅に離れ、年初来安値250円に近い位置にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は922,000株、売買代金は315,511千円と、売買が活発に行われています。特に、株価が急落した直近数日間(12月1日~5日)は、数百万株単位の出来高を記録しており、市場の関心は非常に高い状況ですが、主に株価下落に伴う売りや短期的な売買が中心と考えられます。50日移動平均(312.56円)と200日移動平均(304.11円)をわずかに上回っていますが、過去の推移から見ると不安定な状況です。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 2,843百万円(2025年9月期)。過去数年間、減少傾向が続いています。
    • 営業損失: △361百万円(2025年9月期)。前年の△401百万円から損失は縮小しました。
    • 親会社株主に帰属する当期純損失: △372百万円(2025年9月期)。前年の△589百万円から損失は縮小しました。
    • ROE(実績): -36.10% (過去12か月)。
    • ROA(実績): -13.23% (過去12か月)。
      売上減少と利益の赤字が継続しており、収益性は低い状況です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は2021年9月期の7,507百万円から2025年9月期の2,843百万円へと大幅に減少しています。営業利益および純利益は2022年9月期から赤字が続いていましたが、2025年9月期は広告宣伝費の抑制などにより損失額が縮小しました。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    開示された決算短信は2025年9月期の通期実績であり、四半期ごとの進捗状況に関する詳細な情報は提供されていません。2026年9月期の通期予想では、売上高3,076百万円(+8.2%)、営業損失△131百万円、親会社株主帰属当期純損失△146百万円と、引き続き赤字を見込むものの、損失額は縮小する計画です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 57.7%(2025年9月期)。一般的に40%以上が安全圏とされるため、比較的高い水準であり、財務の安定性を示唆しています。
    • 流動比率: 209%(2025年9月期)。100%を超えれば短期的な支払い能力に問題がないとされ、良好な水準です。
    • 負債比率(負債/純資産): 約61%(2025年9月期)。負債が純資産を大きく上回る水準ではなく、健全です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率や流動比率といった指標上は高い財務健全性を示していますが、営業キャッシュフローは△451百万円と大幅な赤字であり、期末現金及び現金同等物は928百万円から460百万円へと半減しています。このキャッシュバーン(現金の流出)が続く限り、資金繰りには注意が必要です。
  • 借入金の動向と金利負担
    損益計算書にNet Non Operating Interest Income Expenseはわずかな記載であり、借入金に関する詳細な動向や金利負担の大きな影響は見られません。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE: -34.08% (過去12か月)。
    • ROA: -13.23% (過去12か月)。
    • 営業利益率: -4.99% (過去12か月)。
      全ての収益性指標がマイナスであり、収益性は極めて低いと評価されます。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE及びROAともに一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を大きく下回っており、大幅な赤字の状態です。
  • 収益性の推移と改善余地
    売上は減少傾向ですが、2025年9月期は広告宣伝費の抑制により営業損失額が縮小しました。2026年9月期も損失縮小を見込んでいますが、黒字化には至っていません。オリジナルIPの成功、越境EC「Fandom Tokyo」の収益拡大、アプリ外課金の導入などが収益性改善に向けた重要な要素となります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値は0.47(5年月次)と、市場全体の変動に比べて株価の変動が小さいとされるディフェンシブな特性を示しています。しかし、年間ボラティリティが75.68%と高水準であるため、個別銘柄のリスクは依然として高いと言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は705円、52週安値は250円です。現在の株価325円は、52週高値から大幅に下落し、安値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信では、以下のリスク要因が挙げられています。
    • 広告市況の悪化、MAU(月間アクティブユーザー数)の減少、ヒットIPの不確実性といった事業環境の変動。
    • 営業キャッシュフローの赤字継続による資金調達リスク。
    • 規制(医療広告等)による事業モデル変更や事業停止リスク(オンライン診療支援事業の終了)。
      為替や地政学リスクに関する具体的な記載はありません。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    PERは赤字のため評価できません。PBRは2.53倍であり、業界平均PBR 3.5倍と比較すると割安に見えます。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    BPS 128.25円 × 業界平均PBR 3.5倍 = 448.875円。これをPBR基準での目標株価とします。
  • 割安・割高の総合判断
    PBR基準では現在の株価325円は目標株価448.875円に対して割安感があります。しかし、企業が継続的に赤字であり、EPSがマイナスの状態では、一般的にPERを用いたバリュエーションが困難です。また、ROEも大幅なマイナスであり、単にPBRが低いだけで割安と判断することは危険です。キャッシュフローの悪化も継続しているため、事業の抜本的な収益改善が不可欠です。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は484,600株と前週比で+211,300株も大幅に増加しており、信用売残は401,900株と減少しています。この結果、信用倍率は1.21倍です。信用買残の急増は、株価上昇時に上値の重しとなりやすい需給悪化を示す可能性があります。株価急落局面での逆張り買いが大きく入っている可能性があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    経営陣である佐久間亮輔氏が35.51%、江口元昭氏が23.68%を保有しており、経営陣による持株比率が非常に高く(インサイダー保有比率64.91%)、経営の安定性は高いと言えます。機関投資家による保有比率は2.33%と低いです。
  • 大株主の動向
    データなし。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    会社予想の配当利回りは0.00%、1株配当は0.00円であり、無配です。赤字のため配当性向も算定できません。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信には、自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する記載はありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし。
    現状、株主還元には消極的な方針です。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年9月期決算短信によると、主なトピックスは以下の通りです。
    • 主力であるエンターテイメント事業において、広告宣伝費の抑制によりセグメント損失からセグメント利益に転換(+5.8百万円)。
    • 「マンガBANGコミックス」の電子売上を含む売上が前年比+62.8%と好調。
    • 越境EC「Fandom Tokyo」が月間売上10百万円超を達成し、順調に立ち上がっています。
    • ITソリューション事業ではSESが売上拡大するも、先行投資により損失が拡大。オンライン診療支援事業は事業終了予定。
  • これらが業績に与える影響の評価
    広告宣伝費の抑制は短期的な損失縮小に貢献しましたが、売上高の低迷は継続しています。マンガBANGコミックスと越境ECは今後の成長ドライバーとして期待され、収益多角化に繋がる可能性があります。オンライン診療支援事業の終了は一時的な損失計上や将来の収益源喪失に繋がる可能性がある一方、不採算事業からの撤退として評価できます。来期も赤字予想であり、新規事業の早期収益化がキャッシュフローの改善と黒字化への鍵となります。

16. 総評

Amaziaは、主力であるマンガアプリ事業の売上減少が継続しているものの、広告宣伝費の大幅な抑制により2025年9月期の営業損失を縮小させました。特に、オリジナルIPを強化する「マンガBANGコミックス」の好調や、海外市場をターゲットとした越境EC「Fandom Tokyo」の立ち上がりは、今後の新たな収益源としての可能性を秘めています。
一方で、最大の懸念は、営業キャッシュフローの継続的な赤字と、それに伴う現金及び現金同等物の大幅な減少です。財務指標としては自己資本比率や流動比率は健全に見えますが、キャッシュフローの状況を注視し、新規事業の早期収益化や資金調達の必要性を判断することが重要となります。
株価は年初来高値から大きく下落し、現在は安値圏にありますが、会社の赤字が続く見通し(2026年9月期予想も赤字)であり、PERでの評価は困難です。PBRは業界平均よりも低い水準ですが、低いROEやキャッシュフローの課題を考慮すると、単なる割安とは判断しにくい状況です。信用買残の増加も短期的な需給悪化を示すサインとして注意が必要です。

-   **成長への期待**: オリジナルIP強化と越境ECの成長が既存事業の課題を克服する鍵となるか。
-   **資金繰りの重要性**: 大幅な営業キャッシュフローの赤字と現金減少が続く中で、いかに資金ショートを回避し、投資を実行していくか。
-   **収益改善の確実性**: 広告費抑制による損失縮小は評価されるが、本格的な黒字転換と安定した収益確保の具体的な道筋が示されるか。
  • 強み・弱み・機会・脅威の整理
    • 強み (Strengths):
    • マンガアプリ「マンガBANG!」という既存のユーザー基盤。
    • オリジナルIP「マンガBANGコミックス」の好調な立ち上がりと成長。
    • 越境EC「Fandom Tokyo」による海外市場開拓の可能性。
    • 高い自己資本比率と流動比率(ただしキャッシュフローは課題)。
    • 経営陣による支配率が高く、経営が安定。
    • 弱み (Weaknesses):
    • 継続的な売上高の減少と営業・純利益の赤字。
    • 大幅な営業キャッシュフローの赤字と現金残高の急減。
    • 広告市況の悪化とMAU減少による主力事業の収益性低下。
    • ITソリューション事業の不振と一部事業からの撤退。
    • 機会 (Opportunities):
    • 堅調に拡大する国内電子書籍市場。
    • オリジナルIPを活用した多角的な展開(メディアミックス、海外展開)。
    • 円安環境下での越境EC事業の成長可能性。
    • 脅威 (Threats):
    • 電子コミック市場における競争のさらなる激化。
    • 広告市況の不確実性と広告単価の変動リスク。
    • 新規事業への先行投資が先行し、キャッシュバーンが悪化するリスク。
    • 資金調達の必要性が生じた場合の条件悪化リスク。
    • ヒット作品創出の不確実性。

17. 企業スコア

  • 成長性: C
    売上高は減少傾向にありますが、マンガBANGコミックスや越境ECの新規事業が成長ドライバーとなる可能性を秘めているため、今後の動向が注目されます。ただし、足元では全体の売上減少をカバーするには至っておらず、2026年9月期予想も小幅な増収に留まっています。
  • 収益性: D
    営業利益、純利益ともに赤字が続いており、ROE(-34.08%)やROA(-13.23%)は一般的なベンチマークを大幅に下回っています。広告費抑制による損失縮小は見られますが、依然として収益性の改善が最重要課題です。
  • 財務健全性: C
    自己資本比率57.7%や流動比率209%は数値上は健全ですが、営業キャッシュフローの大幅な赤字(-451百万円)により現金残高が急減している点は非常に大きな懸念材料です。このまま赤字が続くと、資金繰りに影響が出る可能性があります。
  • 株価バリュエーション: C
    PERは赤字のため算出不能です。PBR(2.53倍)は業界平均(3.5倍)を下回りますが、ROE(-34.08%)が大幅な赤字であり、事業実態を十分に反映しているとは言えません。現在の状況では、割安とは判断しにくいと評価します。

企業情報

銘柄コード 4424
企業名 Amazia
URL https://amazia.co.jp/
市場区分 グロース市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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By ジニー

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