1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    アイビーシーは、情報通信技術(ICT)インフラの性能監視を行うソフトウェアの開発、販売、およびサポートを提供する企業です。具体的には、サーバー、ネットワーク、データベースなどのITシステムが正常に機能しているかをリアルタイムで監視し、トラブルの予兆を検知したり、性能 bottlenecks を特定したりするツール「System Answerシリーズ」を主力製品としています。この分野では「パイオニア」を自称しており、ICTインフラ管理支援サービスに注力しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    中核をなすのは、自社開発の運用管理ソフトウェア「System Answerシリーズ」のライセンス販売です。このライセンスは高い更新率を誇り、安定的な収益源となっています。その他、クラウド、セキュリティ、ネットワークなどのITシステム運用サービス、システム導入におけるコンサルティング、および関連機器の物販も手掛けています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    ICTインフラ性能監視のパイオニアとして、長年の経験と技術蓄積による高い競争優位性を持ち合わせています。主力製品である「System Answerシリーズ」は、96%という高いライセンス更新率を維持しており、顧客からの信頼と製品品質の高さを示しています。一方、サービス売上が前期比で減少している点は課題であり、市場ニーズの変化や競合他社の動向への継続的な対応が求められます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    デジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーントランスフォーメーション(GX)の推進、サイバーセキュリティ強化への需要増大が市場の追い風となっています。同社は、自治体や製造業を中心に導入実績を拡大しており、これらの市場トレンドに合致した製品・サービスを提供しています。また、ライセンス販売を軸としたストックビジネス(定期収入)の拡大を経営方針とし、収益の安定化・成長を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    具体的な中期経営計画の数値目標は明示されていませんが、経営方針として「ライセンス中心の事業拡大とストック化の推進」を掲げています。これは、主力製品である「System Answerシリーズ」のライセンス販売を強化し、継続的な収益を確保することで、安定成長を目指す戦略です。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    ライセンス販売の拡大、ITシステムライフサイクル全体を通じたコンサルティング・ソリューション提供の強化、そしてストックビジネスの拡大が具体的な施策として挙げられています。高いライセンス更新率は、この戦略が機能していることを示唆しています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信には、具体的な新製品や新サービスの展開に関する詳細な記載はありません。しかし、主力製品「System Answerシリーズ」の継続的な機能強化や、DX・セキュリティといった市場トレンドに合わせたソリューションの提供を通じて、事業を拡大していく方針と見られます。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    ソフトウェアライセンス販売を主体とするストック型収益モデルを確立しており、高い更新率(96%)が収益の安定性と持続性を支えています。DXやサイバーセキュリティ強化といった現代のITシステム運用に不可欠なニーズに対応しており、市場の変化への適応力は高いと評価できます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    決算短信において、売上計上時期の偏りに関する特段の記載はありません。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    「ICTインフラ性能監視のパイオニア」として、自社開発の「System Answerシリーズ」を中核技術としています。具体的な技術開発動向の詳細は開示されていませんが、ITインフラの複雑化や多様化に対応するため、継続的な製品強化と技術革新に取り組んでいると推察されます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    2025年9月期において、売上高1,248百万円(前期比+20.6%)を計上した「System Answerシリーズ」のライセンス販売が収益を最も強力に牽引しています。このライセンス事業は同社の高収益性の一因でもあります。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 934.0円
    • EPS(会社予想): 75.21円 より、予想PER = 934.0円 ÷ 75.21円 = 12.42倍
    • BPS(実績): 409.01円 より、実績PBR = 934.0円 ÷ 409.01円 = 2.28倍
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 17.6倍
    • 業界平均PBR: 1.6倍
    • 同社の予想PER 12.42倍は業界平均17.6倍と比較して割安水準です。
    • 同社の実績PBR 2.28倍は業界平均1.6倍と比較して割高水準です。
      PERとPBRで評価が分かれる状況ですが、高成長・高収益のソフトウェア企業はPBRが高くなる傾向もあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は934円から949円で推移しており、本日は安値の934円で引けています。50日移動平均線(990.26円)を下回っているものの、200日移動平均線(892.73円)よりは高い位置にあり、中期的には上昇トレンドの中に短期的な調整局面にあると見られます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値が1,151円、年初来安値が574円であるのに対し、現在の株価934円は年初来高値から約19%低い水準、年初来安値からは約63%高い水準です。高値圏と安値圏のちょうど中間に位置します。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は5,000株、売買代金は4,701千円であり、3ヶ月平均出来高14.48k株、10日平均出来高7.73k株と比較して、非常に低い水準です。市場の関心度は現在のところ限定的で、薄商いの状態と言えます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 2022年9月期の1,501百万円から、2025年9月期は2,404百万円へと着実な増加傾向にあり、特に直近の前期比+15.0%は好調です。
    • 営業利益: 2022年9月期の-48百万円の赤字から、2025年9月期には565百万円(前期比+46.9%)と大幅に回復し、成長を加速させています。
    • 当期純利益: 2022年9月期の-17百万円から、2025年9月期には411百万円(前期比+78.5%)と、営業利益同様に急回復・成長を遂げています。
    • ROE(実績): 19.63%。非常に高い水準で、資本を効率的に活用し、株主価値を高めています。
    • ROA(過去12か月): 9.55%。こちらも高い水準であり、総資産を効率的に活用して収益を上げています。
  • 過去数年分の傾向を比較
    2022年9月期の一時的な赤字から、その後の数年間で売上、営業利益、純利益ともに顕著なV字回復と成長を示しています。特にライセンス売上の好調がこの成長を牽引しています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2025年9月期は本決算であるため、四半期決算の進捗状況の分析は該当しません。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 60.8%(実績)。非常に高い水準であり、財務基盤が極めて強固です。
    • 流動比率: 約214%(直近四半期)。流動資産が流動負債の2倍以上あり、短期的な支払い能力は非常に良好です。
    • 負債比率: 総負債1,466百万円に対し純資産2,273百万円であり、負債比率は約64.5%。中程度で問題ない水準です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率、流動比率ともに優良な水準であり、財務安全性は極めて高いです。営業キャッシュフローも701百万円の収入(2025年9月期)と良好で、資金繰りに懸念はありません。
  • 借入金の動向と金利負担
    総借入金は801.72百万円(直近四半期)ですが、現金及び現金同等物は2,414百万円(2025年9月期末)と潤沢であり、実質的な有利子負債は大きくネットキャッシュの状況です(ネットキャッシュ約1,614百万円)。インタレスト・カバレッジ・レシオも103.35倍と非常に高く、利払いに対する余裕は十分にあります。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE: 20.20%(過去12か月)
    • ROA: 9.55%(過去12か月)
    • 売上総利益率: 約76.9%(2025年9月期)
    • 営業利益率: 23.5%(2025年9月期)
      いずれの収益性指標も非常に優れており、高収益体質であることが明確です。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE 20.20%は一般的なベンチマークの10%を大きく上回り、ROA 9.55%もベンチマークの5%を大きく上回っています。これは、同社が資本と資産を非常に効率的に活用して利益を創出していることを示しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    2022年9月期の赤字から大幅に収益性が改善しており、特にライセンス事業の成長が高い利益率を維持・向上させています。今後の改善余地としては、減少傾向にあるサービス売上の回復や、高成長を続けるライセンス事業の更なる拡大が挙げられます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値のデータは提供されていません。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は1,151円、52週安値は574円です。現在の株価934円は、52週レンジの中では高値寄りの位置にありますが、過去最高値からは約19%下落しており、高値圏にあるというよりは中間の調整局面と見なせます。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信では、以下のリスク要因が挙げられています。
    • サービス需要の落ち込み: 既にサービス売上が減少していることから、今後の動向に注意が必要です。
    • 大口案件の有無に伴う業績変動: 特定の大口顧客や案件に依存する可能性があり、その変動が業績に影響を及ぼすリスクがあります。
    • 外部環境の変化: 地政学リスク、為替変動、原材料・エネルギー価格の高騰などが、想定を超えて業績に影響を及ぼす可能性があります。
    • 会計上の見積り変更による影響: 会計処理上の見積り変更(例: 資産除去債務の計上)が業績に影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 現在のPER(会社予想)12.42倍は、業界平均PER17.6倍と比較して割安です。
    • 現在のPBR(実績)2.28倍は、業界平均PBR1.6倍と比較して割高です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業種平均PER基準目標株価: 1,345円
    • 業種平均PBR基準目標株価: 617円
  • 割安・割高の総合判断
    PER基準では割安感が強いものの、PBR基準では割高感があります。ソフトウェア企業は無形資産が大きく、資産効率が高いためPBRが高くなる傾向があり、一概に割高とは言えない面もあります。高い成長性と収益性を考慮すると、PERベースの割安感は魅力的ですが、PBRの割高感は常に意識されることになります。総合的には、事業の好調なパフォーマンスを考慮すると妥当な評価を受ける可能性はあります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 92,600株(前週比+400株)
    • 信用売残: 12,200株(前週比+1,600株)
    • 信用倍率: 7.59倍
      信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も高水準です。これは将来的に株価上昇局面で、買い方の利益確定売りや信用の期日到来による売り圧力が生じる可能性があることを示唆しており、需給バランスはやや売り方に偏っています。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    代表取締役社長CEOの加藤裕之氏が35.84%を保有しており、経営陣の高いコミットメントが確認できます。インサイダー持株比率も61.01%と非常に高く、経営と株主の利害が強く一致していると言えます。その他、プラスフジ(株)や自己株式など、安定的な株主が上位に名を連ねています。
  • 大株主の動向
    提供された情報からは、直近の大株主の具体的な動向は確認できません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 2.36% (株価934.0円、1株配当予想22.00円に基づく)
    • 配当性向(2026年9月期会社予想): 29.2%
      2025年9月期の年間配当12円から、2026年9月期には22円への増配を予想しており、配当利回りも魅力的な水準となっています。配当性向29.2%は成長企業としては適切な水準と考えられます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信には、自社株買いに関する記載はありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    決算短信には、株式報酬型ストックオプションに関する記載はありません。
  • 会社方針
    会社は「累進配当」(原則減配せず、配当の維持または増配を目指す)を方針として掲げており、株主還元への積極的な姿勢が見られます。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(2025年9月期 決算短信より)
    • 2025年9月期は、売上高2,404百万円(前期比+15.0%)、営業利益565百万円(前期比+46.9%)、当期純利益411百万円(前期比+78.5%)と大幅な増収増益を達成しました。
    • 主力の「System Answerシリーズ」ライセンス売上が1,248百万円(前期比+20.6%)と大きく伸長し、更新率96%維持も継続的な成長の基盤となっています。
    • 物販が530百万円(前期比+35.3%)と好調に推移しました。
    • 一方で、サービス売上が625百万円(前期比−5.8%)と減少しました。
    • 2026年9月期の業績予想も増収増益(売上高2,700百万円、営業利益610百万円、当期純利益418百万円)を見込んでいます。
    • 年間配当を2025年9月期の12円から2026年9月期は22円へ増配する予定です。
  • これらが業績に与える影響の評価
    主力であるライセンス事業の継続的な成長と高い更新率は、今後も同社の業績を安定的に牽引する見込みです。増収増益基調と累進配当方針は、投資家にとってポジティブな材料となります。ただし、サービス売上の減少については、その原因と今後の戦略を注視する必要があります。会計処理変更(資産除去債務計上)による微小な影響はありましたが、業績全体には大きな影響はありません。

16. 総評

アイビーシーは、ICTインフラ性能監視ソフトウェアのパイオニアとして、独自開発の「System Answerシリーズ」を核に事業を展開しています。高いライセンス更新率(96%)に裏打ちされたストック型の収益モデルは、安定した業績成長を可能にしています。実際、2022年9月期の一時的な赤字から急速に回復し、2025年9月期は大幅な増収増益を達成、2026年9月期も増収増益を見込む好調な企業です。
財務面は非常に健全で、高い自己資本比率と潤沢なネットキャッシュ、優れた収益性指標(ROE、ROA、営業利益率)を誇ります。株主還元についても累進配当方針を掲げ、増配を予定するなど積極的な姿勢が見られます。
株価バリュエーションでは、好調な業績にもかかわらず予想PERは業界平均より割安感がありますが、PBRは割高感があります。市場の関心度は低く薄商いですが、経営陣のコミットメントは非常に高いことがうかがえます。サービス売上の減少や信用取引の需給バランスには注意が必要ですが、全体としては成長性と安定性を併せ持つ企業と言えます。

- **強み**: 高い技術力と市場におけるパイオニアとしての地位、システムAnswerシリーズの高いライセンス更新率による安定的なストック収益、強固な財務体質、高い収益性による資本効率の良さ、経営陣の強力なコミットメント、累進配当による株主還元の積極性。
- **弱み**: サービス売上の減少傾向、市場での出来高が少なく流動性が低い点、信用取引における需給バランスの偏り。
- **機会**: DX・GX需要やサイバーセキュリティ強化といった市場全体の追い風、自治体・製造業での導入実績拡大による更なる市場浸透。
- **脅威**: 競合他社の製品競争力強化、外部環境(地政学、為替等)の変動、大口案件の依存による業績変動リスク。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    売上高は前期比+15.0%(2025年9月期)、来期予想も+12.3%と堅調な成長を維持しています。主力であるライセンス売上が+20.6%と大幅に伸長し、更新率も96%と高水準を維持していることから、高い成長性が評価されます。
  • 収益性: S
    粗利率約76.9%、営業利益率23.5%と非常に高く、ROE20.20%(ベンチマーク10%)、ROA9.55%(ベンチマーク5%)も優良な水準を大きく上回っています。資本効率も極めて良好であり、優れた収益体質です。
  • 財務健全性: S
    自己資本比率60.8%は非常に高く、財務基盤は盤石です。流動比率約214%、Total Debt/Equity比率37.41%も安定しており、潤沢なネットキャッシュを保有していることから、財務健全性は最高ランクと評価できます。
  • 株価バリュエーション: B
    会社予想PER12.42倍は業界平均17.6倍と比較して割安感がありますが、実績PBR2.28倍は業界平均1.6倍と比較して割高感があります。高収益企業のPBRが高くなる傾向を考慮すると、平均的な評価となります。

企業情報

銘柄コード 3920
企業名 アイビーシー
URL http://www.ibc21.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 934円
EPS(1株利益) 75.21円
年間配当 2.36円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 12.4倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 87.19円
理論株価 1,083円
累計配当 13円
トータル価値 1,096円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 3.25% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 545円 272円 × 算出価格を上回る
10% 680円 340円 × 算出価格を上回る
5% 859円 429円 × 算出価格を上回る

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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