日本フェンオール (6870) 企業分析レポート

個人投資家の皆様へ
日本フェンオール株式会社(6870)の企業分析レポートをお届けします。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    日本フェンオールは、火災予防や消火設備などの防災機器、半導体製造装置向けの熱制御機器、医療機器の受託生産などを手掛ける企業です。独自の熱制御技術と特殊な防災技術を強みとしており、国内だけでなくアジアを中心に展開しています。主要な事業部門は、安全・防災機器(SSP)、半導体関連の熱板・センサー(サーマル)、人工腎臓透析装置などの(メディカル)、プリント配線板組立(PWBA)、そして官公庁・自治体向けの消防ポンプ・消防車(消防ポンプ)の5つです。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • SSP (Safety Security Protection) 部門: ガス消火装置や産業用爆発抑制装置といった特殊な防災設備が柱です。最近では爆発抑制装置の新製品を販売開始しました。
    • サーマル部門: 半導体製造装置に不可欠な精密熱板や温度センサーが主力で、高度な温度制御技術が特徴です。
    • メディカル部門: 海外向けの人工腎臓透析装置などの医療機器を受託生産していますが、主力製品の受託は2026年12月に終了する予定です。
    • 消防ポンプ部門: 官公庁や自治体向けに消防ポンプや消防車を供給しており、直近の業績を大きく牽引しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性: 特殊な防災・防爆技術と精密な熱制御技術を有しており、これらのニッチな分野で強固な技術的地位を築いています。官公庁向けの消防ポンプ事業も安定した顧客基盤を確立しています。
    • 課題: メディカル部門の主力製品受託終了は、事業ポートフォリオの再編を迫る大きな課題です。また、SSP部門における高付加価値製品の売上変動が収益性に影響を与える可能性があります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 国内経済の緩やかな回復、半導体市場の回復兆候といった外部環境の変化に対応し、サーマル部門では製品改良や技術営業強化を進めています。SSP部門では新製品「爆発抑制装置」を投入し、新たな市場ニーズを取り込もうとしています。消防ポンプ市場は安定していますが、新規市場(非常用浄水器など)の開拓も模索しています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    中期経営計画において、新製品の投入を主要な成長戦略の柱と位置付けていると考えられます。各事業部門では、技術革新、製品ラインナップの拡充、原価低減を通じて収益性と競争力の向上を目指しています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 新製品開発・投入: 爆発抑制装置、ガス消火設備、熱感知器などの新製品開発を進めており、爆発抑制装置は既に販売を開始しています。
    • 事業ポートフォリオの見直し: メディカル部門の受託終了に伴い、事業構成の再構築が今後の重要な課題となります。
    • 効率化と収益性向上: 各部門で原価低減、製品改良、技術営業の強化を進め、利益率の向上を図っています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    SSP部門において、2025年8月より中期経営計画で目標としていた新製品「爆発抑制装置」の販売を開始しました。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    複数の事業セグメントを持つことで、特定市場の変動リスクを分散しています。メディカル部門の再編という課題はあるものの、消防ポンプ部門の好調や半導体市場の兆候を捉えたサーマル部門の強化、新製品投入による対応など、変化への適応努力が見られます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    決算短信からは売上計上時期の大きな偏りは読み取れません。第3四半期累計の進捗率は通期予想に対して通常の範囲で推移しています。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    高い安全性が求められる防災・防爆分野や、精密な温度管理が必須の半導体製造装置向け熱制御分野で、独自の技術開発を進めています。新製品である爆発抑制装置はその成果の一つです。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    直近の第3四半期決算では、消防ポンプ部門が売上・収益ともに大幅な伸びを示し、全社業績を牽引しています。サーマル部門も半導体市況の回復とともに好調を維持しています。SSP部門は高付加価値製品の売上減で軟調でしたが、新製品の寄与が期待されます。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 1,822.0円
    • EPS(会社予想): 165.85円
    • BPS(実績): 2,517.69円
    • 現在の株価1,822円は、1株当たりの純資産価値であるBPS2,517.69円を大きく下回っています。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 日本フェンオールのPER(会社予想)は10.99倍であり、業界平均PER12.9倍を下回っています。
    • 日本フェンオールのPBR(実績)は0.72倍であり、業界平均PBR0.8倍を下回っています。
    • PER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は上昇傾向にあり、現在の株価1,822.0円は直近の最高値レベルにあります。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    現在の株価は、年初来高値1,824円にほぼ一致しており、年初来高値圏に位置しています。年初来安値1,560円からは大きく上昇しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    直近の出来高は1,800株、売買代金は3,275千円と非常に少なく、過去10日間も低水準で推移しています。これは市場の関心度が低く、流動性が低い銘柄であることを示しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去数年間は120億円台で横ばい傾向です。直近第3四半期累計では前年同期比+4.8%の増収でした。
    • 営業利益: 過去は10億円~13億円で推移していましたが、直近12ヶ月では約10億円、第3四半期累計では前年同期比△2.6%の減益となりました。
    • 純利益: 直近第3四半期累計では、関係会社清算益や投資有価証券売却益といった特別利益の計上により、前年同期比+19.0%の大幅増益となりました。ただし、これらの利益は一時的です。
    • ROE(過去12か月): 9.40%とベンチマークの10%に近い水準です。
    • ROA(過去12か月): 3.76%とベンチマークの5%には届いていません。
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上は安定していますが、大きく成長しているとは言えません。営業利益は近年やや減少傾向にあり、収益性には改善余地があります。純利益は特別損益に左右される傾向があります。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    第3四半期累計の売上高進捗率は72.1%と順調です。営業利益(105.0%)および純利益(108.9%)は既に通期予想を上回っていますが、純利益の上振れは特別利益によるものです。本業の営業利益は前年同期をやや下回っています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 69.6%(直近四半期71.9%)と非常に高く、財務基盤が極めて安定しています。
    • 流動比率(直近四半期): 3.29倍(329%)と極めて高く、短期的な支払い能力に問題はありません。
    • 負債比率(直近四半期、Total Debt/Equity): 9.96%と非常に低く、有利子負債への依存度が低いことを示しています。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    極めて高い自己資本比率と流動比率、そして豊富に保有する現金(6.47B)から、財務安全性は非常に高く、資金繰りに全く懸念がないと評価できます。
  • 借入金の動向と金利負担
    総借入金は純資産に対して低い水準であり、直近のネットインタレストインカムがプラスであることから、実質的な金利負担も低いと考えられます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE9.40%は、総資本利益率としてはまずまずの水準です。
    • ROA3.76%は、総資産を有効活用する効率性には改善の余地があることを示唆しています。
    • 営業利益率は第3四半期累計で10.15%ですが、前年同期からはやや低下しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROEはベンチマークに肉薄していますが、ROAは下回っています。このことから、強固な財務基盤を活かし、さらなる資産効率の向上が期待されます。
  • 収益性の推移と改善余地
    売上高が横ばいで営業利益がやや減少傾向にあることから、収益性の改善が重要な課題です。消防ポンプ部門の好調を継続させつつ、SSP部門の高付加価値製品の販売回復や原価低減、メディカル部門の再編が収益性改善の鍵となります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    Beta (5Y Monthly)は-0.08と非常に低い値であり、市場全体の動きにほとんど連動せず、むしろ逆相関を示す傾向が見られます。これは、市場変動リスクに対する感応度が低い、いわゆるディフェンシブ株としての特性を示唆しています。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値1,824円、52週安値1,560円に対し、現在の株価1,822.0円はレンジの上限付近に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    為替変動(為替差損計上)、半導体市況の不確実性、メディカル部門の主要受託終了による事業構造変化、大型案件の受注変動(SSP部門)、原材料価格・物価動向、国際貿易政策(関税等)などがリスク要因として挙げられています。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    日本フェンオールのPER10.99倍、PBR0.72倍は、それぞれ業種平均PER12.9倍、PBR0.8倍を下回っています。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業種平均PER基準の目標株価: 2,531円
    • 業種平均PBR基準の目標株価: 2,014円
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価1,822.0円は、業界平均倍率を適用した目標株価レンジ(2,014円~2,531円)を下回っており、PBRも1倍割れであることから、純資産価値や同業他社と比較して割安であると判断されます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用売残は0株であり、売り圧力がほとんどない状態です。信用買残は34,000株とありますが、発行済株式数に対しては限定的です。信用取引による需給バランスは良好ですが、出来高の少なさから、需給が締まりやすい傾向があるかもしれません。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    インサイダー保有比率が65.15%と非常に高く、経営陣や主要株主による安定的な株式保有を示しています。HSBC、西華産業などの大株主も存在し、安定株主が多い構造です。
  • 大株主の動向
    データなし

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    配当利回りは4.06%と高水準です。配当性向(会社予想EPS基準)は約44.6%と健全な範囲にあり、安定した株主還元策を実施していることがうかがえます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信に新たな自社株買いの記載はありませんでしたが、自己株(3.93%)を保有しており、過去には自社株買いを実施している可能性があります。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • SSP部門で新製品「爆発抑制装置」の販売を開始しました。
    • 消防ポンプ部門が好調で、受注・売上ともに大幅に増加しています。
    • 第3四半期に「関係会社清算益」322百万円、「投資有価証券売却益」57.5百万円を特別利益として計上しました。
  • これらが業績に与える影響の評価
    • 新製品の販売開始は将来的な収益貢献が期待されます。
    • 消防ポンプ部門の好調は直近の業績を牽引しており、通期業績にもポジティブに寄与する見込みです。
    • 特別利益は当期純利益を押し上げましたが、一時的な要因であるため、継続的な収益性評価には除く必要があります。
    • メディカル部門の主要受託終了という将来的な課題は、今後業績に影響を与える可能性があります。

16. 総評

日本フェンオールは、特殊防災設備や熱制御技術というニッチ市場に強みを持つ企業であり、極めて強固な財務基盤と高い配当利回りが魅力です。株価評価の面では、PBRが1倍を下回り、PERも業界平均より割安であることから、バリュエーション上の割安感があります。
一方で、売上高は近年横ばい傾向であり、営業利益の成長も鈍化が見られます。また、2026年12月にはメディカル部門の主力製品受託が終了するという事業構造上の大きな課題を抱えており、これに対する具体的な事業ポートフォリオの再構築と成長戦略の実行力が今後の重要な焦点となります。新製品の投入や消防ポンプ部門の好調といったポジティブな材料はあるものの、市場全体の関心度を示す出来高は非常に低く、流動性には注意が必要です。

  • 強み: 非常に健全な財務体質、ニッチ市場における独自技術、安定した株主構成、高水準の配当。
  • 弱み: 長期的な売上・営業利益の成長鈍化、市場流動性の低さ。
  • 機会: 半導体市場の回復、新製品(爆発抑制装置など)による新たな市場開拓、消防ポンプ部門のさらなる成長。
  • 脅威: メディカル部門の受託終了による売上減と事業再編リスク、原材料価格高騰、為替変動。

17. 企業スコア

  • 成長性: B (売上は横ばい傾向だが、消防ポンプ部門の好調や新製品投入による成長期待があるものの、メディカル部門の受託終了リスクも存在するため。)
  • 収益性: C (ROEはベンチマークに近いがROAは下回っており、営業利益率はやや低下傾向。一時的要因を除くと本業の収益改善が課題。)
  • 財務健全性: S (自己資本比率71.9%、流動比率329%、D/E9.96%と極めて高く、強力な財務基盤を持つ。)
  • 株価バリュエーション: S (PER、PBRともに業界平均を下回り、純資産価値から見ても割安感がある。)

企業情報

銘柄コード 6870
企業名 日本フェンオール
URL http://www.fenwal.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 電機・精密 – 電気機器

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,822円
EPS(1株利益) 165.85円
年間配当 4.06円

予測の前提条件

予想EPS成長率 3.0%
5年後の想定PER 11.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 192.27円
理論株価 2,113円
累計配当 22円
トータル価値 2,135円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 3.22% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,062円 531円 × 算出価格を上回る
10% 1,326円 663円 × 算出価格を上回る
5% 1,673円 836円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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