1. 企業情報

IMVは、主に振動シミュレーションシステム、計測装置の製造・販売、および振動試験の受託サービス(テスト&ソリューションサービス)を提供している企業です。
主力製品は「振動シミュレーションシステム」であり、動電式振動試験装置では国内でトップシェア、世界的にもトップクラスの地位を確立しています。自動車(特にEV関連)、航空宇宙、防衛といった分野における製品開発や信頼性評価に不可欠な試験装置を提供しており、これらの産業の設備投資需要を捉えています。

  • 事業内容のわかりやすい説明
    • 製品の耐久性や安全性を確認するための「振動試験装置」を開発・製造・販売しています。自動車部品、航空機、電子機器など、様々な製品が実際の環境でどのような振動に耐えられるかをシミュレーションする装置です。
    • 自社の試験施設でお客様の製品の振動試験を代行し、データ分析やコンサルティングを行う「受託試験サービス」も提供しています。
    • 振動を測定するセンサーやシステムも手掛けています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 振動シミュレーションシステム: 高精度で信頼性の高い動電式振動試験装置が特徴で、これにより製品の品質向上や開発期間短縮に貢献しています。国内外の主要顧客に採用されています。
    • テスト&ソリューションサービス: 豊富な試験実績とノウハウを活かし、顧客の多様なニーズに応じた試験計画から実施、解析までを一貫して提供。設備の導入が難しい企業や、特殊な試験を必要とする企業にとって価値の高いサービスです。
    • メジャリングシステム: 振動ピックアップやセンサーなど、振動を正確に測定するための装置を提供し、試験やモニタリングに貢献しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

IMVは、振動試験・計測装置市場において、動電式という方式で国内首位であり、世界でもトップクラスの地位を確立しています。「動電式国内首位、世界トップ級」という記載から、高い技術力とブランド力を持っていることが伺えます。

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性: 長年の実績と技術開発により培われた高品質な製品とサービス、および顧客ニーズに合わせたカスタマイズ能力が強みです。EV化の進展や航空宇宙・防衛産業での需要増という追い風を受けています。多岐にわたる産業分野への対応力も競争優位性と言えます。
    • 課題: 部材価格の高騰や国際的なサプライチェーンの不安定化、為替変動リスクなど、外部環境の変化への対応が挙げられます。また、グローバル市場での競争激化や新興企業の台頭も潜在的な課題となる可能性があります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 市場動向: 自動車産業のEVシフト、航空宇宙産業の成長、防衛関連の需要増加が、振動試験装置市場の主要な牽引役となっています。また、DXや脱炭素への投資も国内需要を下支えしています。
    • 企業の対応状況: 受注キャパシティ拡大のためのEMC試験設備増強など、設備投資を積極的に行い、需要増加に対応しています。海外代理店の強化を通じてグローバル展開を加速し、大型案件への対応体制も整えています。堅調な受注残高の積み上げにより、将来の売上成長を見込んでいます。

3. 経営戦略と重点分野

決算短信には具体的な中期経営計画の数値目標は明示されていないものの、示された方向性から以下の戦略と重点分野が見て取れます。

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    • 顧客の製品開発や信頼性向上に貢献する高品質な製品・サービスの提供を通じて、持続的な成長を目指す姿勢が見られます。特に、自動車(EV)、航空宇宙、防衛といった成長分野での需要獲得が重要な戦略として位置づけられています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 受注キャパシティの拡大: 大阪本社多目的試験所など、設備投資によってEMC試験設備を増強し、需要増に対応しています。
    • 海外展開の強化: 海外代理店網の強化を通じて、グローバル市場でのプレゼンス向上を図っています。
    • 大型案件への対応: 重要な成長ドライバーである大型受注を確実に獲得し、売上に結びつける体制を構築しています。
    • 生産プロセスの最適化: コスト上昇圧力に対応しつつ、効率的な生産体制を維持・強化することで採算性改善を目指しています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    • 具体的な「新製品」として個別の名称は明記されていませんが、決算短信には「生産プロセス最適化や新サービス提供も採算性改善に寄与」とあり、既存事業の強化だけでなく、新たな付加価値を提供する取り組みも進められていることが示唆されています。EMC試験設備増強も、新たな試験サービス提供につながる可能性があります。

4. 事業モデルの持続可能性

IMVの事業モデルは、産業用設備投資に深く関わるため、主要顧客産業の成長と動向が持続可能性を左右します。

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    • 収益モデル: 振動試験装置の販売、保守サービス、および受託試験サービスによる収益が主軸です。装置販売は初期投資を伴う取引が中心ですが、受託試験サービスは継続的な収益源となりえます。
    • 市場ニーズの変化への適応力: 自動車産業のEVシフトや軽量化、高耐久化のニーズ、航空宇宙分野での高信頼性要求、防衛産業での先端技術導入など、市場の変化に合わせて試験ソリューションを提供することで適応しています。特にEV関連は成長市場であり、事業機会を拡大しています。
    • 受注残高の増加: 当期末の受注残高が前期末比32.8%増の15,463百万円に積み上がっており、来期の売上を裏付ける強力な要因となっています。これは、今後の事業の持続的な成長を示唆しています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    • 「利益は上期偏重型」という記述があり、年度の上半期に利益が集中する傾向があるようです。これは、大型案件の検収時期や季節要因が影響している可能性があります。投資家は、通期業績予想に対して、上半期の進捗が順調であるか、下半期に想定される要因(例: 大型案件の検収ずれ、保守サービス収益の安定性など)を理解しておく必要があります。

5. 技術革新と主力製品

IMVは長年にわたり振動試験技術に特化しており、その技術力が主力製品を支えています。

  • 技術開発の動向や独自性
    • 振動試験装置のメーカーとして、動電式で国内首位、世界トップクラスとされていることから、その技術力とノウハウに独自性があると考えられます。高機能化、高精度化、試験効率化に向けた技術開発が継続的に行われていると推測されます。決算短信からは具体的な最新技術開発の詳細情報は確認できませんでした。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • 振動シミュレーションシステム: 連結事業の売上構成比で71%(2024年9月期は72.6%)を占める圧倒的な主力です。EV、航空宇宙、防衛といった分野からの大型受注がこのシステムを介して収益を牽引しています。
    • テスト&ソリューションサービス: 構成比21%(2024年9月期は20.6%)と二番目に大きく、売上高も前期比17.1%増と大きく成長しており、安定的な収益基盤として機能しています。

6. 株価の評価

提供された各種指標と株価情報をもとに評価します。現在の株価は2,185.0円です。

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • PER(会社予想): 18.67倍 (株価 2,185円 / EPS 116.26円) -> 高い収益成長が期待されていることを示唆します。
    • PBR(実績): 2.91倍 (株価 2,185円 / BPS 746.86円) -> 企業の純資産価値と比較して、株価が約3倍と評価されており、市場からの期待値が高い状態です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • PER:
      • IMV(予想): 18.67倍
      • 業界平均: 17.5倍
      • 業界平均と比較すると、IMVのPERはやや割高に評価されています。
    • PBR:
      • IMV(実績): 2.91倍
      • 業界平均: 1.1倍
      • 業界平均と比較すると、IMVのPBRは大幅に割高に評価されており、その分、収益性や成長性に対する強い期待が株価に織り込まれていると考えられます。

7. テクニカル分析

直近の株価推移と各種移動平均線、出来高から市場の関心度を評価します。

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 直近10日間の株価は2000円台前半で推移し、前日終値2,174円から本日終値2,185円とわずかに上昇しています。
    • 50-日移動平均線: 1,984.96円
    • 200-日移動平均線: 1,746.41円
    • 現在の株価2,185円は、50日移動平均線および200日移動平均線を大きく上回っており、上昇トレンドが継続していると考えられます。相対的に見て高値圏にあると言えます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 2,263円
    • 年初来安値: 1,037円
    • 現在の株価2,185円は、年初来高値(2,263円)にかなり近く、年初来安値から見ると大きく上昇した高水準に位置しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    • 本日出来高: 30,500株
    • 本日売買代金: 67,147千円
    • Avg Vol (3 month): 164.57k株
    • Avg Vol (10 day): 131.58k株
    • 本日の出来高30,500株は、3ヶ月平均や10日平均(それぞれ16万株台、13万株台)と比較してかなり少ないです。これは、直近の株価上昇局面において、本日はやや取引が手控えられた、または一方向の動きが目立ったため、短期的な市場の関心度が一時的に低下しているか、高値警戒感が広がっている可能性を示唆します。ただし、前日は10万株超、その前は15万株超の出来高があり、変動の大きい時期であったことが伺えます。

8. 財務諸表分析

損益計算書と決算短信の情報に基づき、過去数年の傾向と四半期進捗を評価します。

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 2021年9月期 11,576百万円 → 2022年9月期 11,888百万円 → 2023年9月期 13,727百万円 → 2024年9月期 17,941百万円(前年比+17.0%)。継続的な増収傾向にあります。
    • 営業利益: 2021年9月期 1,067百万円 → 2022年9月期 825百万円 → 2023年9月期 1,266百万円 → 2024年9月期 2,315百万円(前年比+25.3%)。2022年を底に大幅な改善を見せており、特に2024年9月期は大きく利益を伸ばしています。
    • 純利益: 同様に、2021年9月期 937百万円 → 2022年9月期 1,065百万円 → 2023年9月期 1,126百万円 → 2024年9月期 1,935百万円(前年比+35.5%)。連結純利益も堅調に伸びています。
    • ROE(実績): (連)17.51% -> 高い収益性を評価する指標であり、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していることを示します。
    • ROA(実績): (連)6.80% -> 総資産に対する利益率も良好で、企業が資産全体を効率的に使っていることを示します。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • 過去数年間にわたり、売上高、営業利益、純利益ともに一貫して成長傾向にあります。特に2023年9月期から2024年9月期にかけては、売上高17.0%増、営業利益25.3%増、純利益35.5%増と大幅な成長を実現しており、成長が加速している状況です。これは、主要顧客産業における設備投資需要の増加を的確に捉え、事業を拡大しているためと考えられます。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    • 今回の情報が通期決算(2025年9月期)であるため、四半期決算としての通期予想に対する進捗は直接評価できません。しかし、2025年9月期の業績は売上・営業利益・経常利益・当期純利益それぞれ過去最高を更新しており、全体として好調な推移であったことが伺えます。

9. 財務健全性分析

企業財務指標と決算短信の情報に基づき、財務の安全性を評価します。

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: (連)51.0% -> 一般的に40%以上が優良とされる中で50%を超える水準であり、非常に財務基盤が安定していることを示します。
    • 流動比率: (直近四半期)1.60(160%) -> 一般的に200%以上が理想的とされるものの、150%以上で良好とされるため、短期的な支払能力は十分に確保されており、健全な状態です。
    • 負債比率(Total Debt/Equity): (直近四半期)28.23% -> 自己資本に対する負債の比率が低く、財務的なレバレッジが低いことを示します。これは借入依存度が低く、財務健全性が高い証拠です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    • 自己資本比率の高さ、低負債比率、良好な流動性から、IMVの財務安全性は非常に高いと評価できます。
    • 営業キャッシュフローが3,848百万円と大幅に増加しており、本業で十分な現金を創出できる体質であることが伺えます。投資活動によるキャッシュフローは△1,202百万円と設備投資を活発に行っているものの、営業キャッシュフローで十分に賄えています。期末の現金及び現金同等物は4,876百万円と潤沢であり、資金繰りに不安はありません。
  • 借入金の動向と金利負担
    • Total Debtは3.36B(3,360百万円)ですが、期末現金は4.88B(4,880百万円)と手元現金を加えれば実質無借金に近い状態です(純現金約1,520百万円)。
    • 年間金利費用は18,751千円と営業利益規模と比較して非常に小さく、金利負担は経営を圧迫する水準ではありません。

10. 収益性分析

提供された各種利益率とベンチマークを比較し、収益性を評価します。

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績): 17.51%
    • ROA(実績): 6.80%
    • 売上高営業利益率(Operating Margin 過去12か月): 13.37% (2024年9月期決算短信では12.9%)
    • 粗利率(Gross Profit / Total Revenue): 過去12か月で6,308,543 / 17,004,372 = 約37.1%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    • ROE 17.51%: 一般的なベンチマークである10%を大きく上回っており、株主資本を非常に効率的に活用して利益を生み出しています。優良企業と言える水準です。
    • ROA 6.80%: 一般的なベンチマークである5%を上回っており、総資産全体を効率的に活用して利益を生み出しています。良好な水準です。
    • 営業利益率 13.37%: 製造業としては高水準であり、製品やサービスの競争力、コストコントロール能力が高いことを示唆します。
  • 収益性の推移と改善余地
    • 過去数年の損益計算書データを見ると、営業利益率は2021年の約9.2%(1,067/11,576)から2022年の約6.9%(825/11,888)へ一時的に低下したものの、2023年には約9.2%(1,266/13,727)、そして2024年9月期には12.9%へと大幅に改善しています。
    • この収益性改善は、生産プロセス最適化や高付加価値製品・サービスの提供、大型案件の獲得などが寄与していると考えられます。今後も売上成長と並行して、効率的な経営とコスト管理が収益性維持・向上に重要となります。

11. 市場リスク評価

ベータ値と株価レンジ、決算短信のリスク要因から評価します。

  • ベータ値による市場感応度の評価
    • Beta (5Y Monthly): 0.60
    • ベータ値0.60は、市場全体の動きに対して、IMVの株価が相対的に穏やかに変動することを示します。市場が1%変動した際に、IMVの株価は約0.6%変動する傾向があるため、市場全体の変動リスクに対する感応度は低い(ディフェンシブな傾向がある)と言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 2,263.00円
    • 52週安値: 1,037.00円
    • 現在の株価2,185.0円は、52週高値の2,263.00円に非常に近い位置にあり、過去1年間の高値圏で推移しています。これは大幅な株価上昇を経てきていることを示しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 為替変動リスク: 決算短信には、ユーロ145円、米ドル130円を前提としていますが、これら前提からの変動は業績に影響を及ぼす可能性があります。海外売上比率が44%と高く、為替の影響を受けやすい構造です。
    • 原材料・部材価格の高騰: 部材調達コストの上昇は、利益率を圧迫する要因となります。
    • 受注の履行遅延や大型案件の進捗不透明感: 大型案件の受注は業績に大きく貢献しますが、その進捗や検収時期の遅延は業績予想に影響を与える可能性があります。
    • 世界景気後退リスク: 主要顧客産業(自動車、航空宇宙等)の設備投資は景気変動に左右されるため、世界経済の減速は需要に悪影響を及ぼし得ます。
    • 国際情勢の変化: 米欧での設備投資動向、国際的な不確実性、関税政策などがサプライチェーンや市場に影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

業種平均との比較と目標株価レンジ算出による総合的な判断を行います。

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER: IMV(予想)18.67倍に対し、業種平均PERは17.5倍。IMVは業種平均より約6.7%割高です。
    • PBR: IMV(実績)2.91倍に対し、業種平均PBRは1.1倍。IMVは業種平均より約164.5%と大きく割高です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 1,709円 (EPS 116.26円 × 業界平均PER 17.5倍)
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 822円 (BPS 746.86円 × 業界平均PBR 1.1倍)
  • 割安・割高の総合判断
    • 現在の株価2,185円は、業種平均PER基準およびPBR基準で算出した目標株価を大幅に上回っています。特にPBRでは、業界平均を大きく乖離しており、現時点では市場全体や同業他社と比較してかなり割高と判断されます。これは、同社の高い成長性や収益性、安定した財務状況が株価に強く織り込まれていることを示唆しています。
    • ただし、IMVは「国内首位、世界トップ級」という高い競争優位性と、EV、航空宇宙、防衛といった高成長分野での需要を取り込む能力があるため、成長期待プレミアムが付与されている可能性も考慮する必要があります。

13. 市場センチメント分析

信用取引状況と株主構成から市場のセンチメントを評価します。

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 263,400株 (前週比 -33,900株)
    • 信用売残: 0株
    • 信用倍率: 0.00倍
    • 信用売残が0株であるため、信用倍率は0.00倍となっています。信用買残が比較的多く、信用売残がない状態は、株価上昇を期待する買い方が優勢であるものの、買い残の積み上がりは将来的な売り圧力となる可能性があります。ただし、前週比で信用買残が減少している点は、需給悪化への警戒感がわずかに和らいでいる可能性も示唆します。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 発行済株式数: 16,957,016株
    • 自社(自己株口): 1,044,800株 (保有割合 6.16%)
    • インサイダー保有比率: 48.45%
    • 機関投資家保有比率: 8.43%
    • 大株主リストを見ると、筆頭株主の(有)SEIKO (17.65%)、小嶋成夫氏 (7.47%)、自社取引先持株会 (6.89%)、小嶋淳平氏 (6.12%) など、創業家や関係会社、持株会が大半を占めており、経営陣による安定した支配基盤が確立されています。自己株式の保有も6.16%と一定程度あり、安定株主が多いと言えます。
    • 浮動株が比較的少ない(Float 6.56M株 = 約38.7%)ため、出来高が少ない日には株価が大きく変動する可能性があります。
  • 大株主の動向
    • 大株主構成は大きな変動があるという情報はありませんが、安定株主が多く経営基盤は安定的です。BNPパリバやBNY・GCMのような海外機関投資家の名前も見られ、一定の機関投資家からの関心も集めていることが伺えます。

14. 株主還元と配当方針

株主への還元策として、配当と自社株買いの状況を分析します。

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 1.38% (現在の株価2,185円、年間配当30円)
    • 配当性向(連結実績 2025年9月期): 24.7% (1株配当30円 / EPS 121.68円)
    • 配当性向(連結予想 2026年9月期): 25.8% (1株配当30円 / EPS 116.28円)
    • 配当性向は20%台と、成長企業としては無理のない水準であり、利益を内部留保して事業成長に充てつつ、安定的な配当も実施するバランスの取れた方針です。配当利回りは1.38%と特に高くはありませんが、成長期待に見合った水準と言えます。
    • 2025年9月期は年間30円(前期20円からの増配)を実績としており、2026年9月期も30円を予想しています。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    • 当連結会計年度(2025年9月期)の自社株買い実績はなし。前の期には取得実績があったようです。今後、株価の状況やキャッシュフローの状況に応じて、自社株買いが実施される可能性はあります。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    • 決算短信や提供データからは、株式報酬型ストックオプションなどの具体的なインセンティブ施策に関する明示的な記載はありません。

15. 最近のトピックスと材料

決算短信で開示された重要な情報から、今後の業績に影響を与えうる事項を評価します。

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 大型受注と受注残高の積み上がり: 2025年9月期の受注高は21,757百万円と大幅に増加し、期末の受注残高は15,463百万円(前期末比+32.8%)に達しています。これは大型案件の獲得を中心に、国内外の設備投資需要(自動車(EV)、航空宇宙、防衛向け)を確実に捉えていることを示しており、来期の業績を支える大きな要因となります。
    • 設備投資の継続: 大阪本社多目的試験所など、今後の需要増に対応するための有形固定資産取得(1,401百万円)を行っており、EMC試験設備増強なども含め、事業基盤の強化を継続しています。
    • 海外展開の強化: 海外代理店強化や国際情勢に合わせた対応など、グローバル市場での事業機会拡大を目指しています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    • ポジティブな影響: 大幅な受注残高は、2026年9月期の売上高20,000百万円(前年比+11.5%)という会社予想の達成を強力にサポートします。特に主力の振動シミュレーションシステムが牽引しており、高成長が期待されます。設備投資も、将来の収益拡大に向けた基盤を築くものです。
    • 注意すべき影響: 2026年9月期は売上高は増加するものの、営業利益は+3.6%、経常利益は△6.6%、純利益は△4.4%と、利益の伸びは相対的に鈍化または減少する見込みです。これは、原材料費高騰や人的投資、設備投資に伴う償却費増加などのコスト増が影響すると考えられます。為替変動リスクも利益に影響を及ぼしうるため、今後の動向を注視する必要があります。

16. 総評

IMVは、日本の精密機器業界において、振動試験・計測装置のニッチ市場で国内首位、世界トップクラスの地位を確立している企業です。EV、航空宇宙、防衛といった成長産業の設備投資を背景に、売上高・利益ともに過去最高を更新するなど、顕著な成長を遂げています。

  • 全体的な見解
    • 高い成長性: 過去数年の実績と最新の決算(売上高+17.0%、営業利益+25.3%、純利益+35.5%)は、同社が強い成長モメンタムを持っていることを明確に示しています。特に受注残高の大幅な増加は、今後の売上成長を裏付ける強力な要因です。
    • 優れた収益性・財務健全性: ROE 17.51%、ROA 6.80%、営業利益率12.9%など、収益性が非常に高く、自己資本比率51.0%、流動比率160%と財務基盤も極めて安定しています。営業キャッシュフローも大幅に増加しており、盤石な経営基盤を築いています。
    • 株価の割高感: しかし、現在の株価はPER、PBRともに業界平均を大きく上回っており、特にPBRはかなり割高な水準にあります。これは、市場が同社の将来の成長を強く期待し、相応のプレミアムを織り込んでいることを示唆しています。
    • 上期偏重の利益構造: 利益が上期に偏重する傾向があるため、通期見通しを評価する際にはこの点に留意が必要です。また、来期は売上は増収予想であるものの、利益は横ばい~減益予想であり、この背景にあるコスト要因(原材料高騰、人的投資)の動向が注目されます。
    • 強固な市場地位と高成長産業への露出: 国内首位、世界トップ級の技術力と、成長著しいEV、航空宇宙、防衛分野からの高い需要は、今後の安定した成長を期待させます。
    • 盤石な財務と安定したキャッシュフロー: 優れた財務健全性と潤沢なキャッシュフローは、将来の投資や株主還元余地を広げます。
    • バリュエーションの高さ: 現在の株価は既に高い成長期待を織り込んでいるため、投資を検討する際は、将来の成長が期待通りに進むか、または現在の割高感を正当化する追加の材料があるかを慎重に見極める必要があります。
    • 為替およびコストリスク: 海外売上比率の高さから為替影響を受けやすく、原材料高騰も利益を圧迫する可能性があるため、これらの外部環境要因の動向に注意が必要です。
  • 強み・弱み・機会・脅威の整理
    • 強み (Strengths)
      • 振動試験・計測装置分野における国内首位、世界トップ級の技術力と市場シェア
      • 高い収益性と盤石な財務健全性(高ROE、高ROA、高自己資本比率、潤沢なキャッシュフロー)
      • 高い顧客解決能力を持つ受託試験サービス
      • 安定した株主構成と経営基盤
    • 弱み (Weaknesses)
      • 利益が上期偏重であるという事業特性
      • –(データから明確な弱みは特定できず)
    • 機会 (Opportunities)
      • EV化の進展、航空宇宙・防衛産業での設備投資需要の拡大
      • DX・脱炭素への投資関連需要
      • 海外市場での更なる展開余地
      • 大型案件受注を通じた事業規模拡大
    • 脅威 (Threats)
      • 原材料価格の高騰、サプライチェーンの不安定化
      • 為替変動や国際景気後退、地政学リスク
      • グローバル市場での競争激化
      • 大型案件の検収時期や進捗の不確実性

17. 企業スコア

  • 成長性: S (売上高前年比+17.0%、受注残高+32.8%と非常に高く、来期も増収予想のため)
  • 収益性: S (ROE 17.51%、ROA 6.80%、営業利益率12.9%とすべてベンチマークを大きく上回る優良水準のため)
  • 財務健全性: S (自己資本比率51.0%、流動比率160%、Total Debt/Equity 28.23%、潤沢な現金保有とすべて極めて健全な水準のため)
  • 株価バリュエーション: D (PER、PBRともに業界平均と比較して大幅に割高と評価されるため)

企業情報

銘柄コード 7760
企業名 IMV
URL http://www.imv.co.jp/ir/
市場区分 スタンダード市場
業種 電機・精密 – 精密機器

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,185円
EPS(1株利益) 116.26円
年間配当 1.38円

予測の前提条件

予想EPS成長率 5.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 148.38円
理論株価 2,226円
累計配当 8円
トータル価値 2,234円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) 0.44% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 1,111円 555円 × 算出価格を上回る
10% 1,387円 693円 × 算出価格を上回る
5% 1,750円 875円 × 算出価格を上回る

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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