1. 企業情報

株式会社ワキタは、建設機械の販売およびレンタルを主軸としながら、商事事業、不動産事業を展開する総合商社です。大阪を本拠地とし、特に土木建設機械のレンタルに強みを持っています。小型機の製造も手掛けています。

主力製品・サービスの特徴

  • 建機事業(連結売上高の80%): 発電機、溶接機、コンプレッサー、車両機械、ロードコンパクター、コンクリート機器、油圧ショベル、不陸整地機械などの建設機械のレンタルおよび販売を主力としています。高精度な杭施工管理システムや中古建設機械の取り扱いも行っています。
  • 商事事業(連結売上高の11%): 映像音響機器の販売、カラオケ機器の販売・レンタル、介護関連製品・機器の販売・レンタルなどを手掛けています。
  • 不動産事業(連結売上高の8%): オフィスビルや賃貸マンションの運営・賃貸、ホテル経営、分譲マンションの販売など多角的に展開しており、安定した収益源となっています。

2. 業界のポジションと市場シェア

ワキタは建設機械商社として、特に土木建設機械のレンタル分野で存在感を示しています。同社はプライム市場に上場しており、その規模と事業の多様性から一定の競争優位性を持っています。

業界内での競争優位性や課題について

  • 競争優位性: 建設機械の幅広いラインナップとレンタルネットワーク、そして不動産事業による安定収益基盤が強みです。また、介護レンタルなど新たな事業領域へも積極的に進出しており、多角化によるリスク分散を図っています。
  • 課題: 建設業界全体としては、建設コストの高止まり、労働規制の強化、担い手不足といった構造的な問題に直面しています。同社の建機事業においては、円安による輸入仕入価格の上昇が利益を圧迫する要因となっています。

市場動向と企業の対応状況

  • 市場動向: 公共投資は安定傾向にあり、民間投資も堅調とされていますが、建設業界は依然として人手不足やコスト増の問題を抱えています。為替市場の変動、特に円安は輸入に頼る建機事業にとって直接的な原価上昇リスクとなります。
  • 企業の対応: 同社は、中期経営計画に基づき、店舗ネットワークの拡充、DX推進、事業領域の拡大(M&A含む)、資産効率の向上に注力しています。直近では福祉用具レンタル卸のケアレックス株式会社を子会社化し、介護レンタルの規模・エリア拡大を図ることで、事業領域拡大と収益多角化を進めています。先行投資として、レンタル資産や店舗・人材への投資を継続しており、これらが短期的な利益を圧迫しつつも、中長期的な成長基盤を築いています。

経営陣が掲げるビジョンや戦略

ワキタは「2028中期経営計画」を策定しており、以下の重点項目を掲げています。

  • 店舗ネットワークの拡充
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
  • 事業領域の拡大
  • 資産効率の向上

中期経営計画の具体的な施策や重点分野

中期経営計画では、上記の重点項目に基づいた先行投資を推進しています。具体的には、レンタル資産への高水準な投資、店舗の新設・増設、人材への投資(採用・育成)などを行っています。これらは、短期的に利益を圧迫する要因となるものの、中長期的な成長と競争力強化を目指すものです。

新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)

決算短信では新製品・サービスの具体的な展開状況についての詳細な記述は見られませんが、商事事業においてはカラオケ機器の新機種効果が売上拡大に寄与しているとされています。また、M&Aにより福祉用具レンタル卸のケアレックス株式会社を子会社化することで、介護レンタル事業という新領域でのサービス展開を強化する方針です。これは、事業領域拡大戦略の一環であり、将来の安定収益源の確保を目指すものです。

4. 事業モデルの持続可能性

ワキタの事業モデルは、建設機械のレンタルという安定したストック型ビジネスを主体とし、これに商事事業と不動産事業という異なる性質の事業を組み合わせることで、収益の多角化と安定化を図っています。

収益モデルや市場ニーズの変化への適応力

  • 収益モデル: 建機レンタルは初期投資が大きいものの、一度資産を保有すれば継続的なレンタル収入が見込めるストック型ビジネスです。不動産賃貸事業も同様に安定的な賃料収入をもたらします。商事事業は製品販売とレンタルを組み合わせることで、市場ニーズに応じて柔軟に対応できる体制です。
  • 市場ニーズの変化への適応: 建設業界の省力化・効率化ニーズに応える形で、高精度の施工管理システムなども提供しています。また、高齢化社会の進展を見据え、介護レンタル事業をM&Aにより強化することで、新たな市場ニーズへの適応を図っています。

売上計上時期の偏りとその影響

提供された情報からは、売上計上時期の特定の偏りに関する具体的な記述はありません。しかし、建設関連事業が主力であることから、公共事業の年度末進行や民間工事の時期的な集中によっては、売上が特定の四半期に集中する可能性も考えられます。

技術開発の動向や独自性

企業概要にある「小型機も製造」という記述以外に、具体的な技術開発の動向や独自技術に関する詳細な情報はありません。ただし、高精度な杭施工管理システムの提供など、建設現場の生産性向上に貢献するサービスを展開しています。

収益を牽引している製品やサービス

現在の収益を最も牽引しているのは、連結売上高の80%を占める建機事業のレンタルおよび販売です。特にレンタル需要は堅調に推移しており、同社の収益の柱となっています。不動産事業も安定した賃貸収入でセグメント利益に大きく貢献しています。

6. 株価の評価

  • 現在の株価: 1,855.0円
  • EPS(会社予想): 73.89円
  • PBR(実績): 0.94倍
  • BPS(実績): 1,978.83円

EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較

  • PER(会社予想): 1,855.0円 ÷ 73.89円 = 約25.10倍
  • PBR(実績): 1,855.0円 ÷ 1,978.83円 = 約0.94倍

現在の株価は、会社予想PERでは約25.10倍、実績PBRでは約0.94倍です。BPSを参考にすると、理論上の解散価値である1,978.83円を下回る水準で取引されています。

業界平均PER/PBRとの比較

  • 業界平均PER: 12.1倍
  • 業界平均PBR: 1.0倍

同社のPER(25.10倍)は業界平均PER(12.1倍)と比較してかなり高い水準にあります。一方、PBR(0.94倍)は業界平均PBR(1.0倍)と比較してやや低い水準にあります。PERの高さは、短期的な利益水準に対して株価が割高に見えることを示唆していますが、PBRが1倍を割れていることは、企業の純資産価値を下回って評価されていることを示唆しており、割安感があります。これは、利益水準が低いことと、高い配当性向が影響している可能性があります。

直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か

直近10日間の株価は1,842円から1,910円のレンジで推移しており、大きな方向感は見られないものの、わずかに下落傾向にあります(本日終値1,855円に対し、12/01に1,882円、11/28に1,910円)。本日の株価は直近10日間の安値圏に近い水準です。

年初来高値・安値との位置関係

  • 年初来高値: 1,913円
  • 年初来安値: 1,497円

現在の株価1,855円は、年初来高値(1,913円)に比較的近く、年初来安値(1,497円)からは大きく上昇した高値圏に近い位置にあります。特に、52週高値と年初来高値が同じ1,913円であり、そこから一時的に調整している状況と見られます。

  • 50日移動平均: 1,822.54円
  • 200日移動平均: 1,769.32円

現在の株価は50日移動平均線、200日移動平均線ともに上回っており、中長期的な上昇トレンドは継続しているように見えます。

出来高・売買代金から見る市場関心度

  • 本日出来高: 127,000株
  • 本日売買代金: 236,409千円
  • 平均出来高(3ヶ月): 127.96千株
  • 平均出来高(10日): 123.92千株

本日の出来高は、3ヶ月平均および10日平均とほぼ同水準であり、特段活発な売買があったわけではないものの、一定の市場関心は保たれていると考えられます。

売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価

指標 過去12か月 2025/2期 (予想) 2024/2期 2023/2期 2022/2期
売上高 (百万円) 93,835 92,321 88,654 78,870 75,155
営業利益 (百万円) 6,157 6,391 5,542 5,765 5,506
親会社株主純利益 (百万円) 3,934 3,912 3,158 3,901 3,573
ROE (%) 4.03 3.90
ROA (%) 2.75
EPS (円) 84.12 79.27 63.45 76.44 68.84

過去数年分の傾向を比較

  • 売上高: 過去数年間一貫して増加傾向にあり、堅調な事業拡大を示しています。特に2024年2月期以降は売上高の伸びが加速しています。
  • 営業利益: 概ね50億円~60億円台で安定しています。2025年2月期は増加予想ですが、2024年2月期の営業利益は減少しました。直近12か月の営業利益は6,157百万円となっています。
  • 親会社株主純利益: 変動はあるものの、30億円~40億円台で推移。特に2024年2月期は減益となりましたが、2025年2月期は回復予想です。
  • ROE/ROA: 過去12ヶ月のROEは4.03%、ROAは2.75%と、やや低水準です。これは賃貸資産など固定資産が大きく、収益に対する資産規模が大きい事業特性を反映している可能性もあります。

四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)

2026年2月期 第2四半期(中間期)決算では、通期予想に対する進捗が以下の通りでした。

  • 売上高: 44.7%(通期予想 100,000百万円に対し実績 44,693百万円)
  • 営業利益: 42.6%(通期予想 6,000百万円に対し実績 2,558百万円)
  • 純利益: 46.9%(通期予想 3,650百万円に対し実績 1,712百万円)

売上高および純利益の進捗率は平均的なペースをやや上回っており、会社は通期予想を据え置いています。営業利益は進捗率が平均的ですが、前年同期比では減益(△8.4%)となっており、建機事業の利益圧迫要因(円安による輸入コスト増、株主優待券引当、先行投資)が影響しています。下期の事業環境とコスト管理が通期目標達成の鍵となります。

自己資本比率、流動比率、負債比率の評価

  • 自己資本比率(実績): (連結)68.9% (直近四半期70.1%)
  • 流動比率(直近四半期): 2.26倍 (45,884百万円 / 20,313百万円)
  • Total Debt/Equity (直近四半期): 0.81% (Total Debt: 802百万円)

同社の財務健全性は非常に高い水準にあります。

  • 自己資本比率: 70.1%と極めて高く、安定した財務基盤を示しています。
  • 流動比率: 226%と、一般的に健全とされる200%を上回っており、短期的な支払い能力に全く問題ありません。
  • 負債比率: Total Debt/Equityが0.81%と極めて低く、有利子負債は非常に少ない状態です。これは強固な財務体質を示しています。

財務安全性と資金繰りの状況

潤沢な自己資本と流動性の高さから、財務安全性は非常に優れていると評価できます。営業キャッシュフローは堅調にプラスを維持しており、基本的な資金繰りも良好です。

借入金の動向と金利負担

Total Debtは802百万円と非常に少なく、ほとんど借入金に依存していません。このため、金利負担も極めて限定的であると推測されます。

ROE、ROA、各種利益率の評価

  • ROE(過去12ヶ月): 4.03%
  • ROA(過去12ヶ月): 2.75%
  • Profit Margin(過去12ヶ月): 4.19%
  • Operating Margin(過去12ヶ月): 4.29%

ROE 4.03%およびROA 2.75%は、ベンチマークとされるROE 10%、ROA 5%と比較すると低い水準です。これは、資本が潤沢であること(自己資本比率が高い)、および賃貸資産などの固定資産が多いため、資産効率が低めに出る事業特性が影響していると考えられます。利益率も他業種と比較すると高くありません。

収益性の推移と改善余地

過去の利益推移を見ると、売上高は成長しているものの、営業利益率は5~7%程度で推移しており、大幅な改善は見られません。直近では円安による輸入コスト増と先行投資が利益を圧迫しており、営業利益率も低下傾向にあります(2026年2月期中間期で5.73%、前年同期6.47%)。
今後、中期経営計画に基づく店舗拡充やDX推進、M&Aによる事業領域拡大が、効率性の向上や新たな収益源の創出に繋がり、利益率改善の余地となるか注目されます。特に、介護レンタル事業の拡大は収益構造の多様化に貢献する可能性があります。

ベータ値による市場感応度の評価

  • Beta (5Y Monthly): -0.06

ベータ値が-0.06と非常に低い、かつマイナスの値であることは、市場全体の動きに対してほとんど影響を受けない、または逆の動きをする傾向があることを示唆しています。これは市場リスクに対する感応度が低い、すなわちディフェンシブな特性を持つ可能性を示しています。ただし、通常ベータ値は市場との相関を示すため、-0.06という値は統計的なノイズである可能性も考慮が必要です。

52週高値・安値のレンジと現在位置

  • 52週高値: 1,913.00円
  • 52週安値: 1,497.00円
  • 現在の株価: 1,855.00円

現在の株価は52週レンジの上限に近い位置にあり、年初来高値に迫っています。これは、過去1年間で株価が大きく上昇した水準にあることを示しています。

決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)

決算短信および企業情報から以下のリスク要因が挙げられます。

  • 為替変動リスク: 円安進行による輸入仕入コストの上昇は、建機事業の利益を直接的に圧迫する要因となります。
  • 原価上昇リスク: 建設資材価格の高騰など、建設業界全体のコスト上昇は同社の事業にも影響を与えます。
  • 建設業界の構造的問題: 人手不足、労働規制強化、工期遅延などは、レンタル需要に影響を与える可能性があります。
  • 株主優待利用率の変動: 株主優待の利用率が想定を上振れた場合、追加引当が発生し、利益を圧迫する可能性があります(直近の中間決算で発生)。
  • M&Aの統合リスク: ケアレックス株式会社の子会社化に伴い、買収後の事業統合プロセスにおけるリスクや想定通りのシナジー効果が出ないリスクが存在します。

業種平均PER/PBRとの比較

  • PER(会社予想): 25.10倍(業界平均: 12.1倍)
  • PBR(実績): 0.94倍(業界平均: 1.0倍)

PERは業界平均と比較して約2倍と高い割高感があります。これは、直近の利益水準が低いことと、株式市場が先行投資や将来の成長に期待している可能性を示唆します。一方、PBRは業界平均よりもやや割安な水準であり、企業の純資産価値を下回っています。

目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)

  • 業種平均PER基準目標株価: EPS 73.89円 × 12.1倍 = 約894円
  • 業種平均PBR基準目標株価: BPS 1,978.83円 × 1.0倍 = 約1,979円

現在の株価1,855円は、PER基準では割高、PBR基準ではやや割安な水準にあります。ただし、PBRが1倍を下回っていることを考慮すると、純資産価値から見て割安感が強いと言えます。その一方で、高配当利回りを考慮すると、PERの高止まりもある程度説明がつくかもしれません。

割安・割高の総合判断

総合的に見ると、PERは高水準ですが、PBRは割安感があり、かつ潤沢な自己資本と高配当利回りを考えると、一概に「割高」とは断言できません。財務の健全性と安定した事業基盤を評価しつつ、今後の利益成長や配当方針の持続性を見守る必要があります。

信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)

  • 信用買残: 355,900株(前週比 +21,000株)
  • 信用売残: 42,600株(前週比 +2,400株)
  • 信用倍率: 8.35倍

信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も8.35倍と高めです。これは、将来の株価上昇を期待して買い建てしている投資家が多いことを示しており、需給面では将来的な株価上昇の重しとなる可能性もあります。ただし、急激な倍率変動ではなく、緩やかな傾向です。

株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)

  • % Held by Insiders: 21.41%
  • % Held by Institutions: 34.08%

経営陣(インサイダー)による保有比率が21.41%と高く、安定した経営体制が期待できます。機関投資家による保有比率も34.08%と一定水準あり、プロの投資家も注目しています。

大株主の動向

上位大株主には、創業者一族関連の保有会社((有)脇田興産)の他、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、日本生命保険、三井住友銀行、三菱UFJ銀行などの金融機関や、オリックス自動車、日立建機といった事業会社が名を連ねています。特に脇田興産が高い持株比率を維持しており、安定株主として経営を支えています。日立建機の保有は、建機事業における戦略的な関係性を示唆している可能性もあります。

配当利回りや配当性向の分析

  • 配当利回り(会社予想): 5.39%
  • 1株配当(会社予想): 100.00円
  • 配当性向(過去12ヶ月の実績ベース): 125.49%
  • 配当性向(会社予想ベース): 100円 / 73.97円 = 約135.2%

非常に高い配当利回り(5.39%)は個人投資家にとって魅力的な要素です。一方で、配当性向が125.49%(会社予想ベースでは135.2%)と非常に高く、当期純利益を上回る配当を実施している状況です。これは、資本効率改善や株主還元を重視する姿勢の表れとも言えますが、長期的な持続可能性については慎重な評価が必要です。潤沢な自己資本やキャッシュフローの状況から、短期的には配当維持が可能と判断している可能性が高いです。

自社株買いなどの株主還元策

決算短信には、自社株買いに関する新規の情報は記載されていません。ただし、役員向け株式交付信託の運用により、自己株式の一部処分が行われています。

株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策

役員向け株式交付信託は、中長期的な企業価値向上へのインセンティブとして機能しています。

適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)

  • 2026年2月期 第2四半期(中間期)決算短信: 売上高は増加したものの、建機事業における輸入商品仕入価格の上昇(円安)、株主優待券の追加引当、先行投資により営業利益は前年同期比で減少しました。ただし、会社は通期予想を据え置いています。
  • M&A情報の開示: 福祉用具レンタル卸であるケアレックス株式会社を子会社化するため、株式取得を発表しました(取得原価5,200百万円、議決権比率80%、取得予定日2025年11月28日)。

これらが業績に与える影響の評価

  • 中間決算: 建機事業の利益はコスト上昇と先行投資で圧迫されていますが、商事・不動産事業は好調に推移しています。通期予想据え置きは、下期での回復を見込んでいることを示唆します。ただし、為替動向やコスト上昇 pressureは引き続き注視が必要です。
  • ケアレックス子会社化: これは中期経営計画における「事業領域の拡大」を具体化したものであり、高齢化社会のニーズに対応した介護レンタル事業の強化を図るものです。短期的な買収関連費用が発生する可能性はありますが、中長期的には新たな安定収益源となることが期待されます。事業領域の多様化により、建機事業への依存度を低減し、企業全体のレジリエンスを高める効果も期待できます。

16. 総評

ワキタは、建設機械のレンタル・販売を核に、商事、不動産と多角的な事業を展開する企業です。強固な財務基盤と高い株主還元意欲が特徴です。

全体的な見解

  • 強み:
    • 強固な財務体質: 自己資本比率約70%、流動比率226%、負債比率0.81%と極めて健全な財務状況。
    • 事業の多角化: 建機、商事、不動産と異なる事業を組み合わせることで、リスク分散と安定収益基盤を構築。特に不動産賃貸収入は安定しています。
    • 高配当利回り: 5%を超える利回りは、株主還元への高い意欲を示しており、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
    • M&Aによる成長戦略: 介護レンタル事業であるケアレックスの子会社化により、新たな成長領域への展開を加速。
  • 弱み:
    • 低い収益性: ROE 4.03%、ROA 2.75%は業界ベンチマークを下回っており、資本効率には改善の余地があります。
    • 高い配当性向: 利益を上回る配当は持続可能性に懸念。強固な財務体質が支えているものの、今後の利益成長が伴わない場合の還元方針は注視が必要です。
    • 建機事業の利益圧迫: 円安による輸入仕入コスト増や先行投資が、主力の建機事業の利益率を圧迫している状況。
  • 機会(Opportunity):
    • 社会インフラ需要: 国内インフラの維持・更新需要は安定しており、建機レンタル事業の継続的な需要を支えます。
    • 高齢化社会への対応: 介護レンタル事業の強化は、高齢化社会という大きなトレンドを取り込む機会となります。
    • DX推進: 中期経営計画におけるDX推進により、事業効率化や新たなサービス展開の可能性。
    • 万博効果: 大阪を拠点とすることから、将来の大阪・関西万博による地域経済活性化が不動産事業やホテル事業に好影響を与える可能性。
  • 脅威(Threat):
    • 為替変動: さらなる円安は建機事業の原価を押し上げ、利益を圧一層するリスク。
    • 建設業界の人手不足・コスト増: 建設業界の構造的問題が、レンタル需要や事業コストに悪影響を及ぼすリスク。
    • 景気変動: 景気悪化が設備投資や不動産需要に影響を与えるリスク。
    • 競争激化: レンタル業界における競争激化や価格競争。
  • 高配当狙いの投資家: 5%を超える配当利回りは魅力的ですが、配当性向の高さと今後の利益成長のバランスを評価する必要があります。
  • 安定志向の投資家: 非常に健全な財務体質と多角化された事業基盤は、不確実性の高い市場環境においても比較的安定感があります。
  • 成長投資家: 中期経営計画による先行投資とM&A戦略が、将来の収益性向上と成長に繋がるかを見極める必要があります。特に、非建機セグメントの成長寄与に注目。
  • バリュエーション: PBRは割安ですが、PERは業界平均より高く、この乖離をどう捉えるかが評価のポイントとなります。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 売上高は過去数年堅調に増加しており、直近四半期も増収。M&Aによる新事業領域拡大も積極的。
  • 収益性: C
    • ROE、ROAともにベンチマークを下回る。営業利益率は低下傾向にあり、コスト増が利益を圧迫。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率70.1%と極めて高く、流動比率も健全。負債も非常に少なく、盤石な財務基盤。
  • 株価バリュエーション: B
    • PERは業界平均を大きく上回るが、PBRは業界平均を下回り割安感がある。高配当利回りを考慮すると、中立的な評価。

企業情報

銘柄コード 8125
企業名 ワキタ
URL http://www.wakita.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,855円
EPS(1株利益) 73.89円
年間配当 5.39円

予測の前提条件

予想EPS成長率 8.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 108.57円
理論株価 1,629円
累計配当 34円
トータル価値 1,663円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) -2.17% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 827円 413円 × 算出価格を上回る
10% 1,032円 516円 × 算出価格を上回る
5% 1,303円 651円 × 算出価格を上回る

関連情報

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By ジニー

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