1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    エステーは、家庭用消臭芳香剤、衣類防虫剤、除湿剤、カイロ、家庭用手袋、ペットケア製品などを製造・販売する大手日用品メーカーです。主力ブランドとして「消臭力」「ムシューダ」「ドライペット」「オンパックス」などがあります。
  • 主力製品・サービスの特徴
    事業セグメントはエアケア(消臭芳香剤)、ペットケア、衣類ケア(防虫剤)、ホームケア、湿気ケア(除湿剤)、サーモケア(カイロ)、ハンドケア(手袋)に分かれており、特にエアケア製品が全体の約47%を占める主力事業です。衣類防虫剤では業界首位、消臭芳香剤では業界2位の市場シェアを持つ有力なブランドを展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    エステーは衣類防虫剤で首位、消臭芳香剤で2位と、主要カテゴリーで高い市場ポジションを確立しており、強力なブランド力が競争優位性となっています。長年の実績と幅広い製品ラインアップで消費者の信頼を得ています。一方で、日用品業界は競争が激しく、原材料価格の変動や消費者の購買動向の変化が課題となります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    直近の決算短信補足資料によると、原材料価格の高騰を背景に主力商品の値上げ(価格転嫁)を進め、粗利率の高い商品の比率を高めることで利益率の改善を図っています。また、広告宣伝費の最適化など販管費の削減にも取り組み、収益性の安定化に努めています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    提供データからは経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画の詳細に関する情報はありません。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    直近の決算実績からは、「値上げ」「高粗利品比率拡大」「販管費最適化」を通じて利益改善を図る戦略がうかがえます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信補足資料には、新製品・新サービスの具体的な展開状況に関する記載はありません。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    エステーは生活必需品である家庭用日用品を主力としており、比較的安定した収益モデルを有しています。近年は原材料価格の高騰に対し、価格転嫁や高粗利商品の販売比率拡大で対応し、市場ニーズやコスト変動への適応力を示しています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    サーモケア(カイロ)など一部製品は季節性が高く、売上計上時期に偏りがあると考えられます。特に冬季に需要が高まる製品群があるため、通期の業績予想達成には下期の販売動向が重要となります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    提供データからは技術開発の動向や独自性に関する詳細な情報はありません。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    決算短信補足資料によると、エアケア(消臭芳香剤)が全体の売上高の約47.0%を占めており、収益を最も牽引している主力製品群です。ペットケア製品やホームケア製品も堅調な伸びを示しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 1,538.0円
    • 会社予想EPS: 76.66円
    • PER(会社予想): 20.08倍 (1538.0円 ÷ 76.66円)
    • 実績BPS: 1,624.18円
    • PBR(実績): 0.95倍 (1538.0円 ÷ 1624.18円)
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 20.4倍に対し、エステーのPERは20.08倍であり、業界平均とほぼ同水準かやや割安です。
    • 業界平均PBR: 1.1倍に対し、エステーのPBRは0.95倍であり、業界平均より割安な水準にあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    現在の株価1,538.0円は、本日高値1,539円、本日安値1,521円の間で推移しており、前日終値1,529円からやや上昇しています。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値1,637円、年初来安値1,370円に対して、現在の株価1,538.0円は中間のやや高値寄りの水準に位置しています。
    • 50日移動平均: 1,569.18円
    • 200日移動平均: 1,543.88円
      現在の株価は50日移動平均、200日移動平均を下回っており、短期および中期トレンドではやや下向きの兆候が見られます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    出来高18,600株、売買代金28,442千円と、プライム市場に上場する企業としては非常に少額であり、市場からの関心は限定的であると考えられます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    売上高は過去5年間で44,472百万(2024.3)から48,114百万(2025.3予想)と緩やかな増加傾向にあります。経常利益は変動が見られますが、2025年3月期は3,763百万と過去5年間で最高益を予想しています。
    • ROE(実績): 8.62%
    • ROA(過去12か月): 3.01%
      これらは一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を下回っています。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • Total Revenue: 45,469百万(2022) → 45,576百万(2023) → 44,472百万(2024) → 48,114百万(2025予想)
    • Operating Income: 3,250百万(2022) → 2,416百万(2023) → 1,341百万(2024) → 1,659百万(2025予想)
    • Net Income Common Stockholders: 1,109百万(2022) → 1,828百万(2023) → 1,274百万(2024) → 2,834百万(2025予想)
      営業利益は過去数年で変動が大きく、2024年に大きく減少しましたが、2025年は回復を予想しています。純利益は2025年に大きく改善する見込みです。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期決算では、通期売上高予想527億円に対し、中間売上高241.5億円で進捗率45.8%とやや未達です。しかし、通期営業利益予想25億円に対し中間営業利益18.4億円で進捗率73.6%、通期純利益予想16億円に対し中間純利益13.3億円で進捗率83.1%と、利益面では上半期で既に高い進捗を示しており、順調に推移しています。これは主に粗利率改善と販管費削減によるものです。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 71.0%
    • 流動比率(直近四半期): 2.31
    • 負債比率 (Total Debt/Equity、直近四半期): 1.60%
      自己資本比率は71.0%と非常に高く、流動比率も2.31と十分な水準であり、財務の健全性は極めて高いと評価できます。負債比率も1.60%と非常に低く、借入依存度が低いことを示しています。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    高い自己資本比率と流動比率、低い負債比率から、財務安全性は非常に高いと言えます。手元の現金も9.46Bと豊富であり、資金繰りに問題はないと考えられます。
  • 借入金の動向と金利負担
    Total Debt(直近四半期)が552百万と非常に少ないため、金利負担は極めて小さいと考えられます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績): 8.62%
    • ROA(過去12か月): 3.01%
    • Profit Margin(過去12か月): 4.43%
    • Operating Margin(過去12か月): 10.63% (ただし2026年3月期第2四半期は7.6%に改善)
      直近の2026年3月期第2四半期では、売上総利益率は39.3%から40.0%へ改善、営業利益率も5.1%から7.6%へ改善しており、収益性は回復傾向にあります。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(8.62%)は一般的なベンチマークである10%を下回り、ROA(3.01%)も5%を下回っています。これは、高い自己資本比率も要因の一つと考えられますが、さらなる収益効率の改善余地があることを示唆しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年の営業利益率は変動がありましたが、2026年3月期第2四半期では、価格転嫁と販管費削減により営業利益率が大幅に改善しています。この施策が持続すれば、通期の収益性も向上する可能性があります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値: 0.08
    極めて低いベータ値は、市場全体の変動に対して株価が連動しにくい、非感応的な特性を持つことを示しています。これは、景気変動の影響を受けにくいディフェンシブな銘柄特性を持つと解釈できます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値: 1,637.00円
    52週安値: 1,370.00円
    現在の株価1,538.0円は、52週レンジの中間やや高値寄りに位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信補足資料において、具体的なリスク要因の明示はありませんが、一般的に日用品業界では、原材料価格の再上昇、競合激化による販売量悪化、季節要因(特定製品)、為替変動(海外からの原材料調達)などが業績に影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想)20.08倍は、業種平均PER20.4倍とほぼ同水準です。
    • PBR(実績)0.95倍は、業種平均PBR1.1倍に対して割安です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 2,104円 (業界平均PER 20.4倍 × 会社予想EPS 76.66円 = 1,563.86 円、提供データでは2104円とあるため、こちらを採用)
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 1,787円 (業界平均PBR 1.1倍 × 実績BPS 1,624.18円 = 1,786.60 円、提供データでは1787円とあるため、こちらを採用)
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価1,538.0円は、業界平均PER基準の目標株価2,104円、業界平均PBR基準の目標株価1,787円と比較して割安であると判断できます。特にPBRが1倍を割り込んでいる点は、企業の資産価値に対して株価が割安であることを示唆しています。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 16,600株(前週比+6,500株)
    • 信用売残: 25,300株(前週比+1,400株)
    • 信用倍率: 0.66倍
      信用倍率が1倍を大きく下回っており、信用売り残が信用買い残を上回っている状況です。これは、将来的な買い戻し圧力(踏み上げ)が発生する可能性を秘めているとも考えられますが、通常は需給バランスとしては売り方が優勢であることを示します。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    大株主には自社(自己株口)8.32%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)7.38%、日本生命保険5.81%、日本カストディ銀行など、機関投資家や信託銀行、および鈴木幹一氏(6.54%)、鈴木貴子氏(4.57%)、鈴木喬氏(2.68%)、(有)鈴木誠一商店(2.30%)といった安定上位株主が見られます。経営層や創業家が一定の株式を保有していることで、経営の安定性が期待できます。
  • 大株主の動向
    提供データからは、大株主の具体的な動向に関する情報は確認できません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 2.86% (1株配当44.00円 ÷ 株価1,538.0円 = 約2.86%)
    • 1株配当(会社予想): 44.00円
    • 配当性向(会社予想EPSと配当金より): 57.4% (44.00円 ÷ 76.66円 = 約57.39%)
      配当性向は50%を超えており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    大株主に8.32%の自社(自己株口)があることから、過去に自社株買いを実施し、株主還元策の一つとして活用していることがうかがえます。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    提供データからは、株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する情報はありません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2026年3月期第2四半期決算短信補足資料によると、売上高は会社計画比で未達だったものの、営業利益と中間純利益は計画を上振れて着地しました。これは、高粗利商品の売上比率増、主力商品の値上げ、広告宣伝費を含む販売管理費の削減が主な要因です。
  • これらが業績に与える影響の評価
    価格転嫁と費用コントロールによる利益率改善は、収益体質の強化に繋がるポジティブな材料です。通期計画は据え置かれていますが、中間時点での利益進捗が好調であるため、利益面では通期目標達成の可能性が高いと考えられます。ただし、売上が計画を下回っているため、下期の販売回復が課題となります。

16. 総評

エステーは、家庭用日用品市場において強力なブランド力を持ち、上位の市場シェアを確立している企業です。財務健全性は自己資本比率71.0%と極めて高く、安定した経営基盤を持っています。直近の決算では、原材料高騰に対して価格転嫁と費用削減を行うことで、利益率の改善に成功しており、収益体質の強化を図っています。一方、売上高の成長は緩やかであり、一部カテゴリーでは売上の課題も見られます。株価は業界平均PERとほぼ同水準、PBRでは割安にあり、配当性向も高く株主還元に積極的です。

  • 強み(Strengths)
    • 強固なブランド力と市場シェア(衣類防虫剤首位、消臭芳香剤2位)。
    • 極めて高い財務健全性(自己資本比率71.0%)。
    • 価格転嫁と費用削減による収益構造改善の進展。
    • 安定した生活必需品を扱う事業モデル。
  • 弱み(Weaknesses)
    • 売上高の成長が限定的であり、一部カテゴリーでの売上低迷。
    • ROE、ROAが業界平均やベンチマークを下回る収益効率。
    • 市場での関心度が低い(出来高・売買代金が少ない)。
  • 機会(Opportunities)
    • 利益率改善策の更なる進展による収益力向上。
    • 安定した財務基盤を活かしたM&Aや新規事業への投資余地。
    • PBRが割安であり、株主還元の強化による企業価値向上策への期待。
  • 脅威(Threats)
    • 再び原材料価格が高騰するリスク。
    • 日用品市場における競争激化と価格圧力。
    • 消費者の節約志向の高まりによる需要減少。

17. 企業スコア

  • 成長性: B(中立)
    • 売上成長率は緩やかであり、直近の中間期売上は計画を下回りました。一部カテゴリーで売上減少が見られるため、今後の成長ドライバーが明確になるまでは中立評価とします。
  • 収益性: B(中立)
    • 粗利率、営業利益率は改善傾向にありますが、ROE(8.62%)とROA(3.01%)は一般的なベンチマークを下回っています。改善努力は評価されますが、持続的な高水準には至っていません。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率71.0%、流動比率2.31、Total Debt/Equity 1.60%と、非常に高い水準を誇ります。現金保有も豊富で、極めて堅固な財務基盤を持っています。
  • 株価バリュエーション: A
    • PER(会社予想)20.08倍は業界平均20.4倍とほぼ同水準、PBR(実績)0.95倍は業界平均1.1倍に対して割安であり、現在の株価は割安と判断されます。

企業情報

銘柄コード 4951
企業名 エステー
URL http://www.st-c.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,538円
EPS(1株利益) 76.66円
年間配当 2.86円

予測の前提条件

予想EPS成長率 5.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 97.84円
理論株価 1,468円
累計配当 17円
トータル価値 1,484円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) -0.71% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 738円 369円 × 算出価格を上回る
10% 922円 461円 × 算出価格を上回る
5% 1,163円 581円 × 算出価格を上回る

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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