以下は証券コード:350A デジタルグリッドの企業分析レポートです。
1. 企業情報
- デジタルグリッドは、電力や環境価値の取引プラットフォームを提供し、脱炭素関連の学習コンテンツも手掛ける東大発のベンチャー企業です。
- 主力製品・サービスの特徴は以下の通りです。
- Digital Grid Platform (DGP): ユーザーが電力の調達を行える主要な取引プラットフォームであり、電力取引の需給仲介による手数料が主な収益源です。
- エコのはし: 環境価値の購入代行サービスです。
- RE Bridge: バーチャルPPA(電力購入契約)のマッチングサイトで、再生可能エネルギーの導入を支援します。
- GX Navi: 脱炭素化を目指す企業向けのGX(グリーントランスフォーメーション)人材育成サービスです。
- 調整力事業: 蓄電池を活用した電力需給バランス調整サービスで、再生可能エネルギーの主力電源化に伴い重要性が高まる分野です。
2. 業界のポジションと市場シェア
- デジタルグリッドは、電力・ガス業界(特に再生可能エネルギー関連)に属しています。
- 業界内での競争優位性や課題について:
- 競争優位性: 独自の電力取引プラットフォーム「DGP」を核とした手数料ビジネスモデルを構築しており、高い営業利益率を維持しています。また、再生可能エネルギーや脱炭素化という成長市場のニーズに合致した多様なサービスを提供しています。蓄電池を活用した調整力事業への進出も、今後の競争力強化につながる可能性があります。
- 課題: 卸電力市場(JEPX等)の価格変動や競争激化、電力事業者の参入・撤退動向など外部環境の影響を受けやすいです。調整力事業は多額の先行投資が必要なフェーズであり、収益化までの時間とリスクが伴います。電力・再生可能エネルギー関連の規制・制度変更も事業運営に影響を与えるリスクがあります。
- 市場動向と企業の対応状況:
- グリーントランスフォーメーション(GX)政策により再生可能エネルギーの導入とPPA(電力購入契約)のニーズが増加しており、同社はRE Bridgeなどでこれに対応しています。
- 卸電力市場の安定化に伴い競争が本格化する中で、2026年7月期は市場競争の激化による利益率低下を見込んでいます。これに対し、電力PFでの規模拡大、再エネPFでのPPAマッチング強化、調整力事業への投資拡大で対応する方針です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略:
- 2028年7月期を目標とする中期経営計画では、「ROE20%+、営業利益率40%+、取扱電力量CAGR30%+、調整力(蓄電)投資100億円」を掲げています。
- 電力PF事業での規模拡大、再エネPF事業での制度対応とPPAマッチング強化、調整力事業での蓄電池投資拡大を重点戦略としています。
- 中期経営計画の具体的な施策や重点分野:
- 電力PF事業ではDGPの取引量拡大と手数料収益の基盤強化、パートナー連携・顧客サクセス強化を進めています。
- 再エネPF事業ではRE Bridgeの登録発電家・容量拡大、非化石証書等の仲介サービス拡充を図っています。
- 調整力事業では蓄電池への積極的な投資、アグリゲーション運用を通じて、将来的に第3の収益柱とすることを目指しています。新規子会社としてデジタルグリッドアセットマネジメントを設立し、この分野に注力しています。
- 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照):
- 既存のサービスに加えて、脱炭素人材育成サービス「GX Navi」を展開しています。
- 調整力事業における自社保有系統用蓄電池パイプラインの構築を進めています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力:
- 主力のDGPを通じた手数料収益モデルは、取扱量の増加に比例して収益が拡大する構造であり、高収益性の源泉となっています。
- 脱炭素化や再生可能エネルギー普及という強い市場ニーズに対応しており、電力市場の自由化や変動性増大に適応するプラットフォームを提供しています。蓄電池による調整力は、再生可能エネルギー普及に伴う系統安定化のニーズに応えるもので、将来性が高いです。
- 売上計上時期の偏りとその影響:
- 決算短信には売上計上時期の具体的な偏りに関する記載はありません。年間を通じて電力取引が発生するため、大きな季節性はないと推測されますが、電力市場価格の変動がDGPの手数料収益に影響を与える可能性はあります。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性:
- 電力取引プラットフォームDGPは、東大発のベンチャーとして、既存の電力システムに新たな取引メカニズムを導入しており、この点に独自性があります。詳細は不明ですが、デジタル技術を駆使した効率的な電力取引を実現しています。
- 調整力事業における蓄電池の最適運用には、高度な制御技術やAIの活用が期待されます。
- 収益を牽引している製品やサービス:
- 電力PF事業が売上の大部分(約90%)を占め、その中核はDGPを通じた手数料収益です(2025年7月期のDGP手数料収益は約44.9億円)。
- 再エネPF事業も登録発電家・容量の拡大が見られ、今後の成長ドライバーとして期待されます。
6. 株価の評価
- EPS(会社予想、2026年7月期):38.10円
- BPS(実績、2025年7月期):213.64円
- PER(会社予想):813.0円 / 38.10円 = 21.34倍
- PBR(実績):813.0円 / 213.64円 = 3.81倍
- 業界平均PER(14.5倍)と比較して当社のPER(21.34倍)は割高です。
- 業界平均PBR(2.3倍)と比較して当社のPBR(3.81倍)は割高です。
- 高い成長期待が株価に織り込まれている可能性がありますが、業界平均と比べるとプレミアムが付いた評価となっています。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か:
- 直近10日間の株価は804円~874円のレンジで推移し、本日終値813円は比較的安値圏にあります。
- 年初来高値・安値との位置関係:
- 年初来高値2,063円に対し、年初来安値745円。現在の株価813円は年初来安値に近い水準であり、高値圏からは大きく下落した安値圏に位置しています。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度:
- 本日の出来高は208,000株、売買代金は169,993千円でした。
- 直近10日間の出来高は日によって変動がありますが、3ヶ月平均出来高(1.48M株)と比較するとかなり低い水準です。これは、市場の関心度が低下していることを示唆しています。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価:
- 売上高: 過去3年間で大きく伸長しており、2025年7月期(連結初年度)は6,153百万円を計上しました(個別前期比+75.1%)。
- 営業利益: 同様に大幅な増加傾向にあり、2025年7月期は2,742百万円(個別前期比+77.3%)と、売上高の伸び以上に利益が拡大しています。
- 純利益: 2025年7月期は1,870百万円を計上し、順調な成長を示しています。
- ROE(実績): (連)22.59%と非常に高く、株主資本を効率的に活用しています。
- ROA: 総資産17,818百万円、純利益1,870百万円から算出すると約10.49%となり、総資産を効率的に活用していると言えます。
- 過去数年分の傾向を比較:
- 連結初年度の2025年7月期は大幅な増収増益を達成しており、個別(単体)でも継続的な高成長が確認できます。これは、主力事業が順調に拡大していることを示しています。
- 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較):
- データなし(四半期決算ではないため)。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価:
- 自己資本比率(実績): (連)46.5%と安定した水準であり、財務基盤は健全です。新規株式発行による資本増強がこれに貢献しています。
- 流動比率: 流動資産16,532百万円 / 流動負債8,541百万円 = 約193.6%と非常に良好な水準であり、短期的な支払い能力に問題はありません。
- 負債比率: 負債合計9,540百万円 / 純資産8,277百万円 = 約115.2%です。
- 財務安全性と資金繰りの状況:
- 自己資本比率と流動比率から、財務安全性は高いと評価できます。
- 期末の現金及び現金同等物は4,648百万円あり、手元資金は潤沢です。IPOによる株式発行収入も資金確保に貢献しています。
- 借入金の動向と金利負担:
- 長期借入金や短期借入金など、合計で約16億円の借入金がありますが、支払利息は81百万円(過去12ヶ月)であり、経常利益規模から見て金利負担は営業利益を圧迫するほどではありません。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価:
- ROE(実績): 22.59%
- ROA(算出値): 約10.49%
- 売上高営業利益率(連結): 44.6%
- 売上総利益率(算出値): 約74.4%
- いずれの指標も非常に高水準であり、事業の収益性が優れていることを示しています。プラットフォーム型ビジネスモデルによる効率的な収益獲得が寄与しています。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較:
- 全ての収益性指標が一般的なベンチマークを大きく上回っており、極めて高い収益力を有しています。
- 収益性の推移と改善余地:
- 過去数年で収益性は大きく向上しています。
- 調整力事業は現在投資フェーズで損失を計上していますが、将来の収益柱として成長すれば全体の収益性向上に寄与します。
- 2026年7月期は競争激化により営業利益率の低下を見込んでいますが、中期経営計画で掲げた営業利益率40%+の維持が課題となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価:
- データなし
- 52週高値・安値のレンジと現在位置:
- 52週高値: 2,063円
- 52週安値: 745円
- 現在株価813円は、52週高値から大幅に下落しており、52週安値に近い位置にあります。
- 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等):
- 卸電力市場価格の変動、電力事業者の撤退・参入動向、競争激化。
- 原材料・資金調達コストの変動。
- 規制・制度変更(電力・再生可能エネルギー関連)。
- 蓄電池投資の採算性。
- 上場関連費用や金利負担増。
- 為替や地政学リスクについては具体的な言及はありませんが、電力調達や設備導入において間接的な影響を受ける可能性はあります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較:
- 当社のPER(会社予想)21.34倍は業界平均PER14.5倍と比較して割高です。
- 当社のPBR(実績)3.81倍は業界平均PBR2.3倍と比較して割高です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
- 目標株価(業種平均PER基準): 747円。
- 割安・割高の総合判断:
- 業界平均PER/PBRと比較すると現在の株価は割高と判断されます。高い成長性と収益性が株価にプレミアムとして織り込まれている可能性がありますが、足元の株価は年初来安値に近い水準で推移しており、市場の評価は変動しやすい状況です。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス):
- 信用買残が2,755,700株と非常に多く、信用売残400株に対し信用倍率は6,889.25倍と極めて高い水準です。これは、将来的な株価上昇を期待して買建てた投資家が多いことを示しますが、同時に将来の需給悪化(信用買いの投げ売り)リスクを抱えている可能性が高いです。
- 信用買残は前週比で625,300株減少しており、買い残の整理が一部進んでいます。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況):
- インサイダー持株比率が46.69%と高く、経営陣の当事者意識や経営の安定性が期待できます。
- 機関投資家比率は3.83%と比較的低いです。
- 大株主の動向:
- 東芝、代表者の豊田祐介氏、(株)FD、WiL Fund Ⅱ、合同会社OTS、東急不動産などが主要株主です。事業会社やベンチャーキャピタルが名を連ねており、事業連携や成長支援の可能性を秘めています。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析:
- 配当利回り(会社予想)は0.00%であり、1株配当も0.00円です。
- 配当性向も0.00%となります。
- 現状は配当を実施しておらず、得られた利益を成長のための事業投資に優先的に充てる方針であると考えられます。
- 自社株買いなどの株主還元策:
- 自社株買いに関する開示情報はありません。
- 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策:
- 決算短信には株式報酬型ストックオプションに関する直接の記載はありません。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等):
- 2025年4月22日に東証グロース市場に新規上場しました。これにより、資金調達機会の拡大や企業認知度の向上が期待されます。
- 2025年2月12日に1→10、2025年11月1日に1→6の株式分割を実施しました。これは株式の流動性向上と投資家層の拡大を目的としています。
- 新規子会社「デジタルグリッドアセットマネジメント」を設立し、調整力事業(蓄電池投資)を本格化させています。
- 再エネPF事業では、「RE Bridge」の登録発電家数や登録容量、仲介取扱量が順調に増加していることが報告されています。
- これらが業績に与える影響の評価:
- 新規上場と新株発行による資本調達(2,179百万円)は、財務基盤を強化し、今後の事業拡大に必要な資金を確保しました。
- 株式分割は流動性向上をもたらしますが、株価の調整要因ともなり得ます。複数回の分割は市場での混乱を引き起こす可能性もあります。
- 調整力事業への先行投資は短期的には損益面で負担となる可能性がありますが、中長期的には新たな収益源として成長を牽引する見込みです。
- 再エネPF事業の拡大は、DGPに次ぐ収益の柱として企業の持続的な成長に貢献することが期待されます。
16. 総評
デジタルグリッドは、電力および環境価値取引プラットフォームを運営する、東大発の成長企業です。DGPを中心とした手数料ビジネスモデルが特徴で、非常に高い営業利益率を誇り、過去数年間で著しい売上・利益の成長を達成しています。脱炭素化という社会的なトレンドを追い風に、再生可能エネルギー関連事業や蓄電池を活用した調整力事業へも積極的な投資を行い、中期的な成長戦略を明確に掲げています。財務基盤は上場による資本増強もあり非常に健全です。
強み:
- 高収益ビジネスモデル(手数料型)による高い営業利益率とROE。
- 脱炭素化トレンドに乗る成長事業を展開。
- 健全な財務状況と豊富な現預金。
- 調整力事業への先行投資による将来的な成長ドライバーの確保。
弱み:
- 主力事業への収益集中度が高い。
- 卸電力市場の価格変動や競争激化、法規制変更など外部環境リスクの影響を受けやすい。
- 調整力事業は投資フェーズであり、短期的には損失計上。
機会:
- グリーントランスフォーメーション(GX)政策による再エネ・PPA需要の更なる拡大。
- 資本調達力を活かした事業拡大やM&Aの可能性。
- 電力市場の変革におけるプラットフォームの価値向上。
脅威:
- 新規参入や既存競合の拡大による競争激化。
- 規制緩和・強化など、電力市場に関する制度変更リスク。
- 技術革新の進展による競合優位性の相対的低下。
- 高い成長率と収益性を維持している点。
- 財務健全性が非常に高く経営基盤が安定している点。
- 成長期待が織り込まれ、業界平均PER/PBRと比較すると割高なバリュエーションである点。
- 株価は年初来高値から大きく下落し、年初来安値に近い水準にある一方、信用買残が非常に多く、将来的な需給悪化リスクを抱えている点。
- 現在は無配で、得られた利益を事業再投資に充てる成長フェーズにある点。
17. 企業スコア
- 成長性:A
- 売上高・営業利益の過去の成長率は非常に高く、再生可能エネルギー関連事業や調整力事業への積極的な投資は、今後の成長を期待させます。ただし、2026年7月期の会社予想では競争激化による減益を見込んでいる点を考慮しました。
- 収益性:S
- 粗利率約74.4%、営業利益率44.6%、ROE22.59%、ROA約10.49%と、いずれの指標も極めて高水準であり、事業の収益性が非常に優れています。
- 財務健全性:A
- 自己資本比率46.5%、流動比率約193.6%と、財務安全性は非常に高い水準にあります。現金保有状況も良好です。
- 株価バリュエーション:C
- PER(会社予想)21.34倍、PBR(実績)3.81倍は、業界平均PER14.5倍、PBR2.3倍と比較して割高と判断されます。成長期待が織り込まれていますが、相対的な割安感は乏しいです。
企業情報
| 銘柄コード | 350A |
| 企業名 | デジタルグリッド |
| URL | https://www.digitalgrid.com/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 電力・ガス – 電気・ガス業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 813円 |
| EPS(1株利益) | 38.10円 |
| 年間配当 | 0.00円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 5.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 48.63円 |
| 理論株価 | 729円 |
| 累計配当 | 0円 |
| トータル価値 | 729円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | -2.15% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 363円 | 181円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 453円 | 226円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 572円 | 286円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
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