1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
株式会社ドーンは、地理情報システム(GIS)の開発・販売と、防災分野を中心としたクラウドサービスを提供する企業です。災害時の情報共有、緊急通報、避難経路の案内など、人々の安全を守るためのITソリューションを主に地方公共団体や警察、消防などの官公庁向けに提供しています。 - 主力製品・サービスの特徴
同社の主力はSaaS型(クラウド型)のGISサービスです。- NET119/Live110/Live119: 緊急時の音声・映像通報システムで、特に災害時の迅速な情報伝達を支援します。
- DMaCS: 災害情報共有サービスで、自治体や関係機関が災害状況をリアルタイムで把握し、連携を強化するためのツールです。
- GeoBase/GeoBase.NET: GISシステム構築のためのミドルウェアであり、様々な地図情報ソリューションの基盤となります。
売上の約50%を占める「クラウド利用料」はストック型収益であり、安定的な収益基盤を形成しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社はGISと防災・防犯分野に特化し、公共・官公庁向けに長年の実績とノウハウを持つ点が競争優位性です。特に緊急通報システムや災害情報共有システムなど、公共インフラに関わる実績は独自の強みと考えられます。SaaSベースのサービス提供は、継続した収益と顧客との関係構築に繋がっています。
課題としては、公共案件の特性ゆえに大型SI(システムインテグレーション)案件の獲得状況や計上タイミングによって、単年度の業績が変動しやすい点が挙げられます。また、官公庁案件は受注から収益計上までに時間を要する傾向があります。 - 市場動向と企業の対応状況
災害の多発化や社会インフラの老朽化を背景に、公共・官公庁におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)投資、特にAI・クラウド・セキュリティを活用した情報インフラ整備の需要は拡大傾向にあります。同社は「Gov-tech(ガバメントテクノロジー)市場の深耕」を重点戦略に掲げ、この市場ニーズに対応する形で事業を展開しています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
第2次中期経営計画において、「Gov-tech市場の深耕」「AIを活用したクラウドサービス」「M&A・事業提携」を重点分野としています。社会貢献性の高い公共分野での技術とサービス提供を通じて、企業価値の向上を目指す方針です。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
- Gov-tech市場の深耕: 公共セクターのDXを支援し、政府・自治体向けのソリューションを強化。
- AIを活用したクラウドサービス: AI技術を既存のGISサービスや防災ソリューションに統合し、サービスの付加価値を高める。
- M&A・事業提携: 企業買収や他社との協業を通じて、事業領域の拡大や技術力の強化を図る。
- 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信に具体的な新製品・新サービスの明記はありませんが、中期経営計画に基づき、Gov-tech領域やAIを活用したクラウドサービスの開発・強化に注力していると推測されます。株式会社tiwakiとの資本業務提携は、M&A・事業提携戦略の一環として、シナジー創出を目指す動きと見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、クラウド利用料が売上の約50%を占めるストック型収益と、SI初期開発などのフロー型収益の組み合わせです。ストック型収益の比率が高いことは、安定した収益基盤を持ち、市場ニーズの変化への適応力を高める上で有利です。政府・自治体のDX推進や防災・防犯ニーズの高まりは、同社のGIS・クラウドサービスにとって継続的な市場需要となるため、事業モデルは持続可能性が高いと考えられます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
決算短信によると、同社の売上は「第3~第4四半期に偏重する季節性」があります。これは公共案件の予算執行サイクルに起因する可能性があり、通期での業績評価には四半期ごとの変動を考慮する必要があります。直近の第1四半期決算が減収減益となったのも、前年同期に計上された大型SI初期開発売上の反動が主な要因であり、季節性や案件のタイミングにより業績が左右される影響があることを示しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
GISは高精度な位置情報と連携する技術であり、防災・防犯・行政分野において不可欠なインフラです。同社はこの分野で長年技術を蓄積しており、特に公共機関向けのニーズに応えるカスタマイズ性や信頼性が強みです。AIを活用したクラウドサービスの展開を戦略に掲げており、AI技術とGISの融合による新たな価値創造を目指していると推測されます。 - 収益を牽引している製品やサービス
売上構成比で約50%を占める「クラウド利用料」が収益の安定的な柱であり、今後の成長も牽引すると考えられます。これによりストック型収益が着実に増加している点は重要です。また、「SI(初期・保守)」も約25%を占め、大型の初期開発案件が単年度の業績を大きく左右することがありますが、防災・防犯分野を中心とした社会インフラに欠かせないサービス群が同社の収益を支えています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在の株価: 2,443.0円
- EPS(会社予想): 143.29円
- BPS(実績): 901.25円
- PER(会社予想): 17.08倍
- PBR(実績): 2.71倍
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 同社PER(会社予想): 17.08倍に対し、業界平均PER: 17.60倍
- 同社PBR(実績): 2.71倍に対し、業界平均PBR: 1.60倍
PERは業界平均とほぼ同水準ですが、PBRは業界平均よりも高い水準にあります。これは、同社の高い自己資本比率やストック型収益の比率が高いビジネスモデル、優れた収益性が評価されている可能性もあります。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は2383円から2450円の間で推移しており、現在の株価2443円は直近のレンジの上限に近い水準にあります。 - 年初来高値・安値との位置関係
- 年初来高値: 2,671円
- 年初来安値: 1,815円
現在の株価2,443円は、年初来安値からは大きく上昇していますが、年初来高値からは約8.5%低い位置にあり、高値圏に近いながらもレンジ内での推移にとどまっています。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度
- 出来高: 7,700株
- 売買代金: 18,729千円
日々の出来高は時価総額80億円台の銘柄としては多くはなく、市場からの注目度は限定的である可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高(過去12ヶ月): 1,646,699千円
- 純利益(過去12ヶ月): 418,774千円
- ROE(実績): 15.98%
- ROA(過去12ヶ月): 11.67%
売上高は過去数年間着実に増加しており、利益も同様に堅調に伸長しています。ROEおよびROAは一般的なベンチマークと比較して非常に高く、資本効率・総資産活用効率が優れていることを示しています。
- 過去数年分の傾向を比較
2022年5月期から2025年5月期(過去12ヶ月含む)にかけて、売上高、営業利益、純利益ともに堅調な成長基調を維持しており、収益力の改善が見られます。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年5月期第1四半期決算は売上高、営業利益、純利益ともに通期予想に対する進捗率は低めですが、会社は「第3~第4四半期に売上が偏重する季節性があり、上期の進捗は想定内」とし、通期予想を据え置いています。前年同期比での減収減益は、前年同期の大型SI案件の反動が主な要因であり、クラウド利用料は増加基調を維持しています。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績): 89.5% (直近四半期 92.2%)
- 流動比率(直近四半期): 11.67倍 (1,167%)
自己資本比率が90%前後と極めて高く、流動比率も1,167%と非常に良好です。これは負債が少なく、自己資金で事業運営を賄えていることを示しており、財務健全性は非常に高いと評価できます。
- 財務安全性と資金繰りの状況
現金及び預金は1,640,891千円と潤沢であり、短期的な資金繰りに問題はなく、極めて安全性が高いと言えます。 - 借入金の動向と金利負担
貸借対照表の負債合計が非常に少なく、有利子負債に関する特記事項も決算短信にないことから、借入金はほとんどないか、非常に小さい水準であると推測され、金利負担もほぼ無いと考えられます。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績): 15.98%
- ROA(過去12か月): 11.67%
- Profit Margin(過去12か月): 24.58%
- Operating Margin(過去12か月): 26.37%
ROE、ROAともに同社の実績は非常に高く、効率的な資本活用と資産運用ができています。利益率も高水準であり、収益性の高いビジネスモデルを確立していることが分かります。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE 15.98%はベンチマークの10%を大きく上回り、ROA 11.67%もベンチマークの5%を大きく上回っており、収益性は優良であると評価できます。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年の損益計算書を見ると、売上高の成長とともに利益も着実に増加しており、収益性は安定して高い水準を保っています。第1四半期決算では営業利益率が前年同期比で低下しましたが、これは一時的な要因と説明されているため、ストック型収益の拡大が長期的な収益基盤の強化に繋がる可能性があります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値(5Y Monthly): 0.06
ベータ値が非常に低い水準であり、市場全体の変動に対して株価が感応しにくい、ディフェンシブな特性を持つ銘柄であると考えられます。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
- 52週高値: 2,671.00円
- 52週安値: 1,815.00円
現在価格2,443.0円は52週レンジの中央よりやや高値圏に位置しています。
- 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
- 大型SI案件の獲得状況と受注タイミングによる業績変動リスク。
- 官公庁案件の特性上、受注から収益計上まで時間を要するリスク。
- マクロ要因(物価上昇の長期化、地政学的リスク等)や人件費上昇による影響。
為替リスクについては、国際的な事業展開がほぼないため、直接的な影響は小さいと考えられます。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 同社PER(会社予想): 17.08倍に対し、業種平均PER: 17.6倍
- 同社PBR(実績): 2.71倍に対し、業種平均PBR: 1.6倍
PERは業種平均とほぼ同水準ですが、PBRは業種平均を大きく上回っています。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- PER基準目標株価: EPS(過去12ヶ月)136.73円 × 業界平均PER 17.6倍 = 2,406.45円
- PBR基準目標株価: BPS(実績)901.25円 × 業界平均PBR 1.6倍 = 1,442.00円
- 現在の株価: 2,443.0円
- 割安・割高の総合判断
PERから見ると業界平均とほぼ同水準であり、相対的な割安感は限定的です。PBRは業界平均を大きく上回っており、高い財務健全性や収益性が評価されている可能性もありますが、相対的には割高感があるとも言えます。総合的に見ると、PBR基準では割高感があるものの、PER基準ではほぼ適正水準に近いと言えます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 50,800株
- 信用売残: 0株
- 信用倍率: 0.00倍
信用売残がないため、需給の引き締まりを直接示す特別な要因はありません。信用買い残は5万株程度存在します。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
筆頭株主は自社株口(自己株式)で8.01%、次いで代表取締役社長の宮崎正伸氏が6.84%を保有しています。経営陣・創業者による保有比率が一定程度あり、安定株主が多いと推測されます。インサイダー保有比率が36.13%と比較的高いことも、経営陣のコミットメントの高さを示唆しています。 - 大株主の動向
提示された情報からは直近の大株主の変動や詳細な動向は不明です。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 1.06%
- 1株配当(会社予想): 26.00円
- 配当性向: 17.56% (提供データ内)
配当性向は20%を下回る水準であり、利益から見て無理のない配当水準です。将来の成長投資とのバランスを重視していると見られます。配当利回りは1%程度と、特段高い水準ではありません。
- 自社株買いなどの株主還元策
決算短信に自己株式264,206株を保有しているとの記載がありますが、直近での大規模な自社株買いの発表や具体的な還元策は提示されていません。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
- 2026年5月期第1四半期決算短信において、売上減の要因として「前年同期に計上された大型のSI初期開発売上の反動」が挙げられています。
- クラウド利用料(ストック型収益)が前年同期比+8.0%と増加している点は、安定的な成長基盤が強化されている材料です。
- 中期経営計画で掲げた「M&A・事業提携」の一環として、株式会社tiwakiとの資本業務提携が実施されています。
- これらが業績に与える影響の評価
大型SI案件は短期的な業績に影響しますが、クラウド利用料の着実な増加は中長期的な収益安定化に寄与します。tiwakiとの提携は、将来的な事業シナジーや領域拡大への期待感がありますが、具体的な業績貢献は今後の進捗を見守る必要があります。全体としては、ストック型収益の成長による安定化と、戦略的提携による新たな成長機会の創出を目指す方向性が示されています。
16. 総評
ドーンは、地理情報システム(GIS)と防災・防犯分野に特化したクラウドサービスを提供する企業です。公共・官公庁向けに強固な顧客基盤を持ち、ストック型のクラウド利用料が安定的な収益源となっています。過去数年間は売上・利益ともに堅調に成長し、ROE・ROAともに高水準で、極めて高い自己資本比率と潤沢な現預金を持つなど、非常に優れた財務健全性と収益性を誇ります。直近の第1四半期決算は減収減益でしたが、これは大型SI案件の季節的・一時的な反動と会社は説明しており、通期計画は据え置かれています。クラウド利用料は順調に伸長しており、長期的な事業モデルは持続可能性が高いと考えられます。
株価面では、PERは業界平均並みですが、PBRは業界平均より高く評価されています。ベータ値が低く、市場全体の変動には影響を受けにくい特性があります。出来高は少なく、市場からの注目度は限定的です。
- **強み**: 公共セクター向けニッチ市場での優位性、ストック型収益の安定成長、圧倒的な財務健全性、高収益性、低ベータ値による市場変動への耐性。
- **弱み**: 単年度業績が大型SI案件のタイミングに左右されやすい、株価流動性の低さ、PBRの相対的な割高感。
- **機会**: Gov-tech市場の拡大、AI技術活用によるサービス強化、M&A・事業提携による成長加速。
- **脅威**: 大型案件の競合激化や遅延、コスト上昇、マクロ経済の不確実性。
17. 企業スコア
- 成長性: A
売上は過去数年堅調に成長し、ストック型収益であるクラウド利用料も増加基調。Gov-tech市場の拡大とAI活用、M&A戦略は今後の成長機会を提供。方向性は確立されていると評価。 - 収益性: S
粗利率、営業利益率ともに高く、ROE 15.98%、ROA 11.67%はいずれも一般的なベンチマークを大きく上回る極めて高い水準です。非常に優れた収益性を持つと評価。 - 財務健全性: S
自己資本比率92.2%、流動比率1,167%と、いずれも非常に高い水準です。有利子負債も非常に少なく、潤沢な現預金を保有しており、圧倒的な安全性を評価。 - 株価バリュエーション: B
PER(会社予想)は業界平均とほぼ同水準ですが、PBR(実績)は業界平均を大きく上回っています。財務の健全性や収益性の高さが評価されている側面もあるため、総合的には中立的な評価とします。
企業情報
| 銘柄コード | 2303 |
| 企業名 | ドーン |
| URL | http://www.dawn-corp.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
バリュー投資分析(5年予測・参考情報)
将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,443円 |
| EPS(1株利益) | 143.29円 |
| 年間配当 | 1.06円 |
予測の前提条件
| 予想EPS成長率 | 5.0% |
| 5年後の想定PER | 15.0倍 |
5年後の予測値
EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。
| 予想EPS | 182.88円 |
| 理論株価 | 2,743円 |
| 累計配当 | 6円 |
| トータル価値 | 2,749円 |
現在価格での試算リターン
現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。
| 試算年率リターン(CAGR) | 2.39% (参考:低水準) |
目標年率ごとの理論株価(参考値)
目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。
| 目標年率 | 理論株価 | 安全域価格 | 現在株価との比較 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,367円 | 683円 | × 算出価格を上回る |
| 10% | 1,707円 | 854円 | × 算出価格を上回る |
| 5% | 2,154円 | 1,077円 | × 算出価格を上回る |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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