以下は、キャピタル・アセット・プランニング(3965)に関する企業分析レポートです。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    キャピタル・アセット・プランニングは、主に金融機関向けのシステム開発とコンサルティングサービスを提供しています。特に生命保険会社向けのシステム開発に強みを持っており、保険商品の設計・申込発行システムや、契約者向けの保険情報提供サイト構築などを手掛けています。近年は、これに加え、銀行・証券会社・独立系ファイナンシャルアドバイザー(IFA)向けの相続・事業承継といった資産管理システムや、投資信託・生命保険販売支援システム、ポートフォリオ設計システムなども提供し、事業領域を拡大しています。また、生成AI技術の活用にも注力しており、Wealth Management Workstation(WMW)のような統合資産管理システムも提供しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 生命保険向けシステム開発: 生命保険会社の基幹システム連携や販売チャネル向けのソリューション提供が主力です。変額個人年金関連や基幹系クラウド化など、高度な専門知識を要する案件に強みがあります。
    • 金融機関向け資産管理アプリ/システム: 銀行、証券会社、IFA向けに、富裕層向けの資産管理プラットフォームやゴールベースプランニング、IFA向け発注サポートシステムなどを提供しています。
    • Wealth Management Workstation (WMW): クラウド環境で利用できる統合資産管理システムで、富裕層向けの相続・事業承継プランニングに活用されています。
    • Trust Engine: 台湾のSoftBI社との合弁事業により立ち上げられたIFA向けプラットフォームで、利用料課金型のストック型ビジネスモデルへの転換を目指しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    同社は、金融分野、特に生命保険業界におけるシステム開発において長年の実績と専門知識を有しており、これが競争優位性となっています。金融機関の複雑な業務要件に対応できる技術力とノウハウが評価されています。
    一方で、事業の大部分が受託開発モデルに依存しており、人件費・外注費の変動が収益に影響しやすい構造です。また、特定の顧客層(生命保険会社)への依存度が高いことも潜在的な課題として挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    国内金融市場では「人生100年時代」や「大相続時代」を背景に、個人の資産運用や相続・事業承継に関するファイナンシャルニーズが拡大しています。政府の資産運用促進策も金融機関のシステム投資需要を後押ししています。
    同社はこれらの市場動向に対応するため、生命保険向け事業に加え、銀行・証券・IFA向けの富裕層・個人投資家向けサービスを強化しています。また、生成AIやAPI連携といった最新技術を取り入れ、東大系AIベンチャーなど外部パートナーとの連携を通じて、事業の差別化と効率化を図っています。ストック型ビジネスモデルへの転換を目指すプラットフォーム事業(Trust Engine)の立ち上げも、市場の変化への適応と収益基盤の強化に向けた重要な取り組みです。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    中期経営計画(2025〜2027年)では、持続的な成長と企業価値向上を目指し、以下の5つの成長戦略を掲げています。
    • 顧客基盤の深耕: 既存顧客との関係強化と新規顧客開拓。
    • 事業ポートフォリオ改革: 生命保険向け以外の銀行・証券・IFA向け事業の拡大。
    • ファミリーオフィス参入: 富裕層向け資産管理・承継支援の強化(子会社Wealth Engine設立など)。
    • 使用料課金のプラットフォーム化: ストック型ビジネスへの転換(Trust Engineなど)。
    • 海外市場開拓: アジアを中心としたグローバル展開の模索。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    2025年9月期は中期経営計画の初年度として、売上高9,689百万円(目標8,780百万円)、営業利益530百万円(目標450百万円)を達成し、主要KPIを上回る好調なスタートを切りました。
    重点施策としては、生命保険分野の大型受託開発の推進、銀行・証券・IFA向けの新規ソリューション開発と提供、そして台湾SoftBIとの合弁会社Trust Engine設立を通じたIFA向けプラットフォーム事業の立ち上げが挙げられます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    • 生命保険分野では、顧客管理システムの再構築、ペーパーレス申込システム、設計書・申込書作成システムの開発などが進んでいます。
    • 銀行・証券・IFA向けでは、富裕層向け資産管理プラットフォームやゴールベースプランニングシステム、IFA向け発注サポートシステムなどを展開しています。
    • 新たな取り組みとして、台湾のSoftBI社との合弁会社「Trust Engine」を設立し、IFA向けの利用料課金型プラットフォームの実現を目指しています。また、Wealth Engineという子会社を設立し、ファミリーオフィス事業への参入も進めています。
    • 東京大学発のAIスタートアップ企業Elith社との連携も発表されており、生成AI技術を金融業界のソリューションに応用する動きが見られます。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社の主な収益モデルは、金融機関からのシステム受託開発によるものです。このモデルは、金融機関のIT投資動向に左右されやすいという特性があります。
    しかし、直近ではストック型ビジネスモデルへの転換を目指し、IFA向けプラットフォーム「Trust Engine」の立ち上げを進めています。これが軌道に乗れば、安定的な収益源の確保に繋がり、事業モデルの持続可能性を高めることができます。
    また、「人生100年時代」や「大相続時代」といった社会的なニーズの高まりや、金融DXの推進、生成AI技術の導入といった市場の変化に対し、既存技術と最新技術を組み合わせることで適応を図っています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    決算短信には、売上計上時期の偏りに関する具体的な言及はありません。しかし、システム開発業においては、プロジェクトの進行状況や検収時期によって売上が特定の時期に集中する可能性は考えられますが、本データからはその影響を評価する情報が不足しています。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    同社は、金融分野に特化したシステム開発において長年の知見と実績を積み重ねてきました。特に、生命保険システムの複雑な要件に対応する技術力は高く評価されています。
    近年は、生成AI技術にも注力しており、東京大学発のAIベンチャーElith社との連携を通じて、AI-OCRなどの最新技術を金融ソリューションに応用する取り組みを進めています。これにより、顧客である金融機関の業務効率化や新たなサービス創出を支援し、技術的な独自性を確立しようとしています。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    現在のところ、生命保険会社向けの受託開発が依然として収益の大部分を牽引しています。特に、大型案件や変額個人年金関連の増加が、2025年9月期の売上増加に大きく貢献しました。
    また、銀行・証券・IFA向けの資産管理プラットフォーム「WMW」や、開発中の「Trust Engine」も今後の収益成長ドライバーとして期待されています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価:761.0円
    • 会社予想EPS(連結):67.87円
    • 実績BPS(連結):647.15円
    • これらからPER、PBRを算出すると以下の通りです。
    • PER (会社予想ベース) = 761.0円 / 67.87円 = 約11.21倍
    • PBR (実績ベース) = 761.0円 / 647.15円 = 約1.18倍
    • これらの数値は、提示された各種指標(PER 11.21倍、PBR 1.18倍)と一致しており、現在の株価はEPSおよびBPSに基づいた実績・予想値に概ね見合っていると言えます。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 17.6倍
    • 業界平均PBR: 1.6倍
    • 同社のPER(11.21倍)は業界平均(17.6倍)よりも低く、PBR(1.18倍)も業界平均(1.6倍)よりも低い水準にあります。このことから、業界平均と比較すると株価は割安と判断できます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は、792円付近から761円まで緩やかに下落傾向にあります。現在の株価761.0円は、年初来高値912円と年初来安値692円のレンジの中間やや安値寄りに位置しています。高値圏とは言えず、むしろレンジの下限に近い水準にあると言えます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 912円
    • 年初来安値: 692円
    • 現在価格: 761.0円
      現在価格は年初来高値から約16.5%下落した水準であり、年初来安値からは約10%上昇した水準です。レンジ内では安値から少し上昇した位置にあり、比較的低い水準で推移していると見ることができます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日出来高は5,100株、売買代金は3,872千円と非常に少ないです。平均出来高(3ヶ月平均13.22千株、10日平均8.59千株)と比較しても本日出来高は少なく、市場の関心度は低い状態が続いています。これは、急激な株価変動が起きにくい反面、流動性が低く、まとまった売買が難しい可能性を示唆しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去12ヶ月で8,625百万円、2025年9月期実績で9,689百万円と増加傾向にあります。特に2025年9月期は前期比+18.5%と大きく伸長しました。
    • 営業利益: 過去12ヶ月で336百万円、2025年9月期実績で530百万円と、前期の297百万円から+78.4%と大幅な増益を達成しました。2022年9月期に営業赤字だったことから大きく改善しています。
    • 親会社株主に帰属する当期純利益: 過去12ヶ月で238百万円、2025年9月期実績で402百万円と、前期の157百万円から+156.3%と大幅な増加となりました。
    • ROE(実績): 11.56%(過去12ヶ月 11.02%)。一般的に優良とされる10%を上回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出していると言えます。
    • ROA(過去12ヶ月): 5.40%。一般的に優良とされる5%を上回っており、総資産を効率的に活用して利益を生み出していると言えます。
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は2021年から2023年までおおむね横ばいから微増でしたが、2025年9月期に大きく成長しました。利益面では2022年9月期に大きく落ち込み営業赤字となりましたが、その後は回復基調にあり、2025年9月期には大幅な増益を達成し、収益性が改善しています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    提供されたデータは2025年9月期(通期実績)と2026年9月期(通期予想)の比較であるため、四半期決算の進捗状況に関する詳細な情報はありません。
    2025年9月期の通期実績が好調だったことを受け、2026年9月期の通期予想では売上高10,300百万円(+6.3%)、営業利益630百万円(+18.7%)と増収増益を見込んでいます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 56.1%。連結財務諸表における現在の自己資本比率は中期的に見て安定した高い水準であり、財務の安定性は非常に高いと言えます。
    • 流動比率(直近四半期): 2.39倍 (239%)。短期的負債に対する流動資産の比率が高く、短期的な資金繰りに余裕があることを示しています。
    • Total Debt/Equity (直近四半期): 35.90% (負債比率)。自己資本に対する負債の比率も健全な水準であり、財務レバレッジは適切に管理されていると評価できます。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率、流動比率ともに良好な水準であり、財務安全性は非常に高いです。直近四半期の現金及び現金同等物も1,770百万円と潤沢であり、安定した資金繰り状況にあると判断できます。
  • 借入金の動向と金利負担
    直近四半期の有利子負債は短期借入金500百万円、長期借入(含1年内返済予定)合計約1,411百万円です。これに対し、現金及び現金同等物は約1,747百万円あります。純有利子負債は約164百万円(1,911百万円 – 1,747百万円)と少額であり、実質的にネットキャッシュに近い状態と評価できます。金利負担も損益計算書上の「Net Non Operating Interest Income Expense」でマイナスではあるものの小額であり、大きな負担にはなっていません。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績): 11.56%(過去12ヶ月 11.02%)。
    • ROA(過去12ヶ月): 5.40%。
    • 売上総利益率(過去12ヶ月): 1,835百万円 / 8,625百万円 = 21.3%。
    • 営業利益率(過去12ヶ月): 8.31%。2025年9月期実績では5.5%と前期3.6%から大幅に改善しています。
      各指標は中期経営計画のKPIを達成または上回っており、収益性は良好な状態です。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE 11.02%はベンチマークの10%を上回っており、ROA 5.40%もベンチマークの5%を上回っています。これは、同社が効率的に資本と資産を活用して利益を上げていることを示しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    2022年9月期に一時的に収益性が悪化しましたが、その後は順調に回復し、2025年9月期には売上高営業利益率が大きく改善しました。これは、売上高の増加に加え、受託開発プロジェクト管理体制の強化により、売上原価の増加を一定程度抑制できたためと推察されます。
    今後の改善余地としては、高採算のストック型ビジネス(Trust Engineなど)の育成により、粗利率および営業利益率のさらなる向上が期待されます。ただし、人件費・外注費の上昇圧力は継続する可能性があり、その管理が重要となります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は0.65です。これは市場全体の動きと比較して、同社の株価変動が小さいことを示しています。市場全体が1%変動した場合、同社株価は0.65%変動する傾向があるということになります。比較的安定した値動きが期待できる銘柄と言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 912.00円
    • 52週安値: 692.00円
    • 現在価格: 761.0円
      現在の株価は52週高値から約16.5%下落、52週安値から約10%上昇した位置にあり、レンジの中央値(約802円)よりもやや安値寄りで推移しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信に記載されている主なリスク要因は以下の通りです。
    • 主要顧客への依存: 生命保険会社向けの受託開発が主であるため、主要顧客のIT投資動向や事業戦略の変化が業績に影響を与える可能性があります。
    • 人件費・外注費の上昇: IT人材確保のための人件費や外注費の増加が利益率を圧迫する可能性があります。
    • プラットフォーム事業の導入・商用化遅延: 新たに取り組むストック型プラットフォーム事業(Trust Engineなど)の導入や商用化が計画通りに進まない場合、収益への貢献が遅れる可能性があります。
    • マクロ経済要因: 景気変動、金融政策、為替レートの変動などが、金融機関のIT投資意欲や同社の事業環境に影響を与える可能性があります。
    • 競合激化: 金融システム開発市場における競合の激化により、受注競争や価格競争が生じるリスクがあります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 同社のPER(会社予想)は11.21倍、PBR(実績)は1.18倍です。
    • 業界平均PERは17.6倍、業界平均PBRは1.6倍です。
      同社のPER、PBRともに業界平均と比較して低い水準にあり、割安感があります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業種平均PER基準の目標株価: 730円(提供データ)
    • 業種平均PBR基準の目標株価: 1,054円(提供データ)
      (計算例:EPS 67.87円 × 業界平均PER 17.6倍 = 約1,194円、BPS 647.15円 × 業界平均PBR 1.6倍 = 約1,035円。提供データは異なる基準で計算されている可能性がありますが、そのまま利用します。)
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価761.0円は、業種平均PER基準の目標株価(730円)に近く、業種平均PBR基準の目標株価(1,054円)に対しては大幅に低い水準です。業界平均と比較すると、現在の株価は割安であると総合的に判断できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 151,500株
    • 信用売残: 0株
    • 信用倍率: 0.00倍 (売残がゼロのため正確な倍率算出はできませんが、買い残のみが存在する状況)
      信用売残がゼロであるため、買い残が高水準に積み上がっている状況は、短期的な需給面で上値の重さを示唆する可能性があります。ただし、出来高が少ないため、実際の市場への影響は限定的かもしれません。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • % Held by Insiders (経営陣含): 50.80%
    • 大株主上位には、代表取締役社長である北山雅一氏が8.99%を保有しています。合同会社フィンテックマネジメントやSMBC信託銀行(特定有価証券信託口)も上位に位置しており、比較的安定した株主構成と言えます。
  • 大株主の動向
    大株主の保有割合は決算短信等で変動が示されない限り、基本的に安定していると見られます。機関投資家の保有比率は2.99%と低く、現状では個人投資家の影響が大きい市場と言えます。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 2.50%
    • 1株配当(会社予想): 19.00円
    • 2025年9月期年間配当実績: 18.00円(中間8.50円、期末9.50円)
    • 配当性向(連結実績、2025年9月期): 25.7% (通期EPS 69.97円に対し18円)
    • 配当性向(過去12か月実績): 38.58%
      2025年9月期の配当性向25.7%は、利益剰余金を成長投資に回す姿勢を示していると考えられます。2026年9月期には19.00円への増配を予想しており、継続的な増配意欲が見られます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信やその他の情報には、自社株買いに関する明確な記載はありません。現在のところ、配当が主要な株主還元策と見られます。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    提供されたデータからは、株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する情報は確認できません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 2025年9月期決算: 中期経営計画(2025年9月期目標)に対して、売上高・営業利益ともに上振れで着地し、大幅な増収増益となりました。主力の生命保険向け受託開発が堅調に推移し、利益率も改善しました。
    • 中期経営計画の進捗: 2025年9月期は中期経営計画の初年度として、主要KPIを達成しました。銀行・証券・IFA向け事業の拡大、合弁会社Trust Engine設立によるストック型プラットフォーム事業への本格参入、AI技術活用への注力などが進められています。
    • 合弁会社「Trust Engine」の設立: 台湾のSoftBI社との共創業によりIFA向けSaaSプラットフォームを展開。これは、受託開発中心のビジネスモデルから、利用料課金型のストック型ビジネスへの転換を図る重要な戦略です。
    • 東京大学発AIベンチャーElith社との協業: 生成AI技術を活用した金融ソリューション開発を推進しており、今後の競争力強化と新サービス創出に貢献する可能性があります。
  • これらが業績に与える影響の評価
    2025年9月期の好業績は、既存の生命保険向け事業における大型受注やプロジェクトの進捗が大きく貢献しました。加えて、利益率の改善も寄与しています。
    中期経営計画に基づく新規事業(ストック型プラットフォーム、ファミリーオフィス参入など)は、まだ業績への直接的な貢献は限定的であるものの、将来の成長戦略の基盤を築く重要な要素です。これらの取り組みが計画通りに進展すれば、安定した収益基盤と高い成長性を両立する可能性を秘めています。生成AI関連の連携も、中長期的な技術優位性と競争力強化に繋がる材料と評価できます。

16. 総評

キャピタル・アセット・プランニングは、金融機関向けシステム開発に特化した企業であり、特に生命保険分野での強固な基盤と実績を有しています。2025年9月期は中期経営計画の初年度として、売上高・営業利益ともに目標を上回る大幅な増収増益を達成し、好調なスタートを切りました。

全体的な見解:

同社は、既存の強みである金融システム開発を深耕しつつ、銀行・証券・IFA向けへの事業ポートフォリオ拡大、そしてストック型ビジネスモデルへの転換(Trust Engineなど)を目指すことで、持続的な成長戦略を描いています。財務基盤は非常に健全であり、収益性も改善傾向にあります。株価は業界平均と比較して割安水準にあり、中長期的な成長に期待が持てます。

  • 成長戦略の実行力: 中期経営計画主要KPIの達成実績は、経営陣の実行力を示唆します。新規プラットフォーム事業の進捗が今後の評価の鍵となります。
  • 安定した財務: 高い自己資本比率と潤沢な手元現金により、事業環境の変化や成長投資に対応できる財務的な余裕があります。
  • 割安なバリュエーション: 業界平均と比較してPER・PBRが低く、成長が続けば株価の評価見直しが期待されます。
  • 低流動性: 出来高が少なく、市場の注目がまだ低い点は、短期的な売買には不向きな可能性がありますが、長期投資家にとっては魅力的なエントリーポイントとなるかもしれません。

強み・弱み・機会・脅威 (SWOT分析):

  • 強み (Strengths):
    • 金融(特に生命保険)システム開発における高い専門性と実績。
    • 2025年9月期の主要KPI上振れ達成による実績。
    • 極めて堅固な財務基盤(高い自己資本比率、潤沢な現金、健全な流動性)。
    • ROE・ROAがベンチマークを上回り、収益性が高い。
    • 継続的な増配意識と株主還元姿勢。
  • 弱み (Weaknesses):
    • 売上構成が受託開発モデルに偏り、景気変動やプロジェクト遅延の影響を受けやすい。
    • 人件費・外注費の変動が利益率に影響しやすい構造。
    • 市場の関心度が低く、株式の流動性が低い。
  • 機会 (Opportunities):
    • 「人生100年時代」「大相続時代」に伴う金融機関のIT投資需要の継続。
    • 金融DX(デジタルトランスフォーメーション)推進によるシステム更改ニーズ。
    • 生成AI技術の活用による新たなソリューション提供と競争優位性の確立。
    • ストック型ビジネスモデルへの転換による安定収益の確保と成長。
  • 脅威 (Threats):
    • IT人材獲得競争の激化に伴う人件費・外注費のさらなる高騰。
    • 競合他社の新規参入やサービス強化による競争激化。
    • 新規プラットフォーム事業の導入・商用化が計画通りに進まないリスク。
    • マクロ経済の変動(景気後退、金利上昇など)が金融機関のIT投資に与える影響。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 2025年9月期の実績は売上高+18.5%、営業利益+78.4%と大幅な成長を達成し、中期経営計画の目標KPIを大きく上回りました。2026年9月期も増収増益予想。ストック型ビジネスへの転換も今後の成長ドライバーとして期待されます。
  • 収益性: A
    • ROE 11.56% (過去12ヶ月 11.02%)、ROA 5.40% と、一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を上回る高水準です。営業利益率も前期実績3.6%から2025年9月期実績5.5%へ大きく改善しており、収益性は良好です。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率56.1%、流動比率2.39倍、Total Debt/Equity比率35.90%と、いずれの指標も非常に健全な水準にあります。現金保有も潤沢で、財務安全性は極めて高いと評価できます。
  • 株価バリュエーション: S
    • PER(会社予想)11.21倍、PBR(実績)1.18倍は、業界平均PER 17.6倍、PBR 1.6倍と比較して大幅に割安です。現在の株価は業界平均に対して魅力的な水準にあると評価できます。

企業情報

銘柄コード 3965
企業名 キャピタル・アセット・プランニング
URL https://www.cap-net.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 761円
EPS(1株利益) 67.87円
年間配当 2.50円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 3.9% 12.9倍 1,057円 7.1%
標準 3.0% 11.2倍 880円 3.3%
悲観 1.8% 9.5倍 706円 -1.1%

目標年率別の買値目安(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「目標買値」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある買値上限です。

現在株価: 761円

目標年率 目標買値 現在株価との乖離 判定
15% 445円 +316円 (+71%) △ 超過
10% 555円 +206円 (+37%) △ 超過
5% 701円 +60円 (+9%) △ 超過

【判定基準】○目標買値以下:現在株価≦目標買値 / △超過:現在株価>目標買値

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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