1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    一正蒲鉾は、日本の食卓でおなじみの水産練り製品(かまぼこ、ちくわ、伊達巻など)を中心に、カニ風味かまぼこ、冷蔵総菜(ごまどうふ等)、きのこ(舞茸等)の製造・販売を手掛ける食品メーカーです。自社製品の流通を支える運送・倉庫事業も展開しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 水産練製品・惣菜事業: 特に「カニ風味かまぼこ」は業界トップクラスのシェアを誇る主力商品です。スティックタイプなど、多様な商品ラインナップで家庭用から業務用まで幅広く提供しています。
    • きのこ事業: 「舞茸」を中心に生産・販売しており、こちらも家庭用・業務用ともに展開しています。
    • 運送・倉庫事業: 自社製品の効率的な配送・保管を行うとともに、他社の物流も受託しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性: 水産練製品業界において大手の一角を占め、特に「カニ風味かまぼこ」では首位のポジションを有しています。長年の事業実績とブランド力、製品開発力が高く評価されています。
    • 課題: 食品業界全体に共通する原材料(特に魚すり身)、エネルギー、人件費の高騰が収益性を圧迫しています。消費者の節約志向が続く中で、これらのコスト上昇分を製品価格に転嫁することが難しい状況が続いています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 国内市場は雇用・所得の緩やかな回復が見られる一方で、消費者の節約志向、原材料・エネルギー価格の高止まり、急激な円安、地政学リスクなどが継続的な外部リスクとなっています。
    • 企業は、製品の価格改定や生産効率の向上、コスト削減に取り組むことで、収益確保に努めています。きのこ事業においては、アウトドア需要向け大容量商品や業務用チャネルの開拓など、需要に応じた多様な戦略を展開しています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    2021年7月から2026年6月までの第二次中期経営計画「ICHIMASA30」の最終年度にあたり、持続的な成長軌道の確立を目指しています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 具体的な施策の詳細は開示されていませんが、決算短信からは主力商品による増収と、コスト高を吸収するための生産性向上・コスト削減に重点が置かれていることが読み取れます。
    • きのこ事業では、アウトドア需要や業務用販路の開拓、運送・倉庫事業では運送部門の新規便獲得や適正運賃確保、倉庫稼働率の回復が課題とされています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信には具体的な新製品・新サービスに関する詳細な記述はありませんが、主力商品の販売増を目指しているとされています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    主力の水産練製品は日本の食文化に根付いた定番商品であり、長期的に安定した需要が見込めます。近年では、簡便性や健康志向といった市場ニーズの変化に対応した商品開発が進められています。原材料価格高騰に対しては、価格改定や徹底したコスト管理、また高付加価値商品の提供や業務用販路の強化で対応を図っています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    決算短信において「短期借入金が大幅増…季節性の借入増」との説明があり、特定の時期に資金需要が増加する季節性があることを示唆しています。これにより、四半期ごとの資金繰りや損益計上に偏りが生じる可能性があります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    提供データからは具体的な技術開発の内容や独自性に関する詳細な情報は確認できません。しかしながら、カニ風味かまぼこで首位を維持していることから、製品開発力や品質管理、生産技術において一定の強みがあると考えられます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    連結事業の約88%を占める「水産練製品・惣菜事業」が主要な収益源であり、特に「カニ風味かまぼこ」をはじめとする水産練製品が収益を牽引しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 747.0円
    • 予想EPS (連): 40.97円
    • 実績BPS (連): 798.28円
    • 現在の株価747.0円は、一株当たりの純資産であるBPS798.28円を下回る水準です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想): 18.23倍 (業界平均PER: 16.8倍)
    • PBR(実績): 0.94倍 (業界平均PBR: 1.2倍)
    • PERは業界平均よりやや高めですが、PBRは業界平均よりも低い水準です。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は744円~750円のレンジで推移しており、現在の株価747.0円はその中間付近に位置します。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 787円
    • 年初来安値: 705円
    • 現在の株価747.0円は、年初来高値からは約5.1%下落し、年初来安値からは約5.9%上昇した位置にあり、年初来レンジの中央よりもやや高値寄りで推移しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    直近の出来高は4,800株、売買代金は3,578千円と非常に低水準であり、市場の関心は低い状態であると判断できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去数年間で緩やかな増加傾向にあります。(2022年6月期:31,636百万円 → 2024年6月期:34,487百万円 → 過去12か月:34,579百万円)
    • 粗利益: 2023年6月期に落ち込みましたが、2024年6月期および過去12か月では回復基調にあります。
    • 営業利益: 2023年6月期に赤字転落しましたが、2024年6月期には1,271百万円と大きく回復しました。過去12か月では891百万円の黒字を維持しています。
    • 純利益: 2023年6月期は低水準でしたが、2024年6月期には957百万円と大幅に増加しました。過去12か月では746百万円です。
    • ROE (実績): 5.09% (過去12か月: 4.11%)
    • ROA (実績): 1.60% (過去12か月: 1.60%)
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は順調に伸長しているものの、利益は原材料費高騰などの影響を受け変動が大きいです。ROE、ROAといった収益性指標は、過去数年間を通して低い水準にあります。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年6月期第1四半期は、売上高が前年同期比+1.2%の7,433百万円と増収を達成しました。しかし、営業利益は△216百万円(前年同期△51百万円)と損失が拡大し、親会社株主に帰属する四半期純利益も△121百万円の赤字に転落しました。通期売上予想36,200百万円に対する進捗率は約20.5%と通期目標の25%を下回り、営業利益予想1,100百万円に対しては大幅なマイナススタートとなっており、通期達成には利益面での大幅な改善が必須です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 実績48.8%。直近四半期で45.7%。食品製造業としては比較的安定した水準を維持しています。
    • 流動比率: 直近四半期で約1.03倍。一般的に120%以上が健全とされる中で、ややタイトな状況にあります。
    • 負債比率 (Total Debt/Equity): 直近四半期で79.88%。比較的健全な水準です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率は安定しているものの、流動比率の低さと、直近四半期における短期借入金の大幅増加(2,808百万円から5,418百万円へ)が資金繰りにおける懸念点です。会社側は季節性の借入と説明していますが、流動性管理には注意が必要です。
  • 借入金の動向と金利負担
    年間の支払利息費用が2022年6月期の約2,473万円から過去12か月で約8,439万円へと増加しており、金利上昇が財務費用を圧迫している状況が伺えます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE (実績): 5.09% (過去12か月: 4.11%)
    • ROA (実績): 1.60% (過去12か月: 1.60%)
    • 営業利益率: 過去12か月で-2.92%。直近四半期では△2.9%と低いです。
    • 粗利率: 過去12か月で約20.2%。直近四半期では16.6%に低下しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE及びROAともに、一般的なベンチマークである10%と5%を大きく下回っており、資本効率および資産効率の点で改善の余地が大きいことを示しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    売上高は増加しているにも関わらず、原材料費やエネルギー費などのコスト高により利益率が低迷しています。今後は、さらなる生産性向上やコスト削減、高付加価値製品の販売強化による価格転嫁の推進が、収益性改善のカギとなります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値 (5Y Monthly) は0.18と非常に低く、市場全体の変動に対する株価の感応度が低い、すなわちディフェンシブな特性を持つ銘柄であると言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 787.00円
    • 52週安値: 705.00円
    • 現在の株価747.0円は、52週レンジの中間に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 原材料価格(魚すり身等)の高騰
    • エネルギー価格上昇
    • 為替変動(円安)
    • 金利上昇による財務費用増加
    • 消費者の節約志向・需要動向、業務用需要の変動
    • 地政学的リスクや関税政策

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 同社PER(予想)18.23倍は、業界平均PER16.8倍と比較してやや割高な水準です。
    • 同社PBR(実績)0.94倍は、業界平均PBR1.2倍と比較して割安な水準です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業界平均PER基準目標株価: 684円
    • 業界平均PBR基準目標株価: 958円
  • 割安・割高の総合判断
    PER基準では業界平均より割高感がありますが、PBR基準では業界平均より割安感があります。現在の株価747.0円は、業界平均PBR基準の目標株価を下回っており、解散価値とされるBPSも下回っていることから、割安感があるとも判断できます。しかし、利益面での課題を考慮すると、PERが業界平均を上回る点は慎重に見る必要があります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 15,200株
    • 信用売残: 1,600株
    • 信用倍率: 9.50倍
      信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も高めであることから、将来的な株価上昇の重しとなる可能性が考えられます。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    上位株主には、(有)ノザキ(30.94%)や野崎正博氏(2.81%)など、経営陣や創業家と見られる株主が相当割合を保有しており、安定株主が多い構造であると推察されます。
  • 大株主の動向
    データなし

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 1.87%
    • 1株配当(会社予想): 14.00円
    • 配当性向(通期会社予想ベース): 約34.2%。中程度の水準であり、利益の成長に応じて増配の余地はありますが、現在の利益水準では大きな増配は難しいと考えられます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    データなし
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    決算短信に「株式給付信託保有株」の記載があり、従業員へのインセンティブとしての株式給付信託制度を導入していることが示唆されます。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    直近の主要なトピックスは、2026年6月期第1四半期決算の発表です。増収ながらコスト高により営業損失が拡大し、純利益が赤字に転落したことが注目すべき点です。
  • これらが業績に与える影響の評価
    原材料費、エネルギー費、労務費の高騰という外部環境の影響が大きく、利益を圧迫しています。それに加えて金利負担も増加しており、今後の業績回復には、これらのコスト要因の抑制と、価格転嫁の更なる推進が不可欠となります。通期予想を据え置いていますが、達成に向けては厳しい状況にあると評価できます。

16. 総評

一正蒲鉾は、カニ風味かまぼこで高い市場シェアを持つ水産練製品の大手企業です。長年のブランド力と確立された販売網が強みであり、売上高は堅調に推移しています。しかし、直近の第1四半期決算では、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費の上昇、さらには金利負担増が重なり、増収にもかかわらず営業損失が拡大し、純利益が赤字に転落しました。
財務面では自己資本比率は安定していますが、流動比率がやや低く、短期借入金の増加とそれに伴う金利負担増が懸念されます。収益性を示すROEやROAは、業界の一般的なベンチマークを下回っており、資本効率、資産効率の改善が課題です。
株価はPBRが業界平均より割安な一方でPERは割高感があり、出来高も少なく市場の関心度は低い状態です。ベータ値の低さから、市場全体の変動の影響を受けにくいディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
強み:

  • 「カニ風味かまぼこ」など主力製品の高い市場シェアとブランド力。
  • 安定した事業基盤と多角的な事業展開(水産練製品、きのこ、物流)。
  • 安定的な自己資本比率。

弱み:

  • 原材料費、エネルギー費、人件費高騰による利益率の圧迫と収益の不安定さ。
  • ROE、ROAが低水準であること。
  • ややタイトな流動比率と短期借入金の増加による金利負担。

機会:

  • 消費者の簡便食・健康志向ニーズへの対応による高付加価値製品の展開。
  • 業務用チャネルやアウトドア需要などの新たな市場開拓。
  • DX推進などによる生産性向上とコスト削減。

脅威:

  • 原材料価格、エネルギー価格、為替の更なる変動。
  • 消費者の節約志向の継続による価格転嫁の難しさ。
  • 金利上昇による財務費用の増加。
  • 地政学的リスクによるサプライチェーンへの影響。

17. 企業スコア

  • 成長性: C
    • 売上は微増傾向にあるものの、足元の利益は大幅に悪化しており、通期目標への進捗も芳しくないため。
  • 収益性: D
    • 粗利率が低下し、営業利益は赤字に転落。ROE、ROAもベンチマークを大幅に下回る低水準にあるため。
  • 財務健全性: B
    • 自己資本比率は安定水準(45.7%)だが、流動比率がやや低く、短期借入金が大幅に増加している点に懸念があるため。
  • 株価バリュエーション: B
    • PBRは業界平均より割安だが、PERは業界平均より割高。現在の株価はBPSを下回るものの、直近の収益性を考慮すると、割安とも割高とも一概には言えないため。

企業情報

銘柄コード 2904
企業名 一正蒲鉾
URL http://www.ichimasa.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 食品 – 食料品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 747円
EPS(1株利益) 40.97円
年間配当 1.87円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 20.7% 20.7倍 2,170円 24.0%
標準 15.9% 18.0倍 1,543円 15.8%
悲観 9.5% 15.3倍 989円 6.0%

目標年率別の買値目安(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「目標買値」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある買値上限です。

現在株価: 747円

目標年率 目標買値 現在株価との乖離 判定
15% 774円 -27円 (-4%) ○ 目標買値以下
10% 967円 -220円 (-23%) ○ 目標買値以下
5% 1,220円 -473円 (-39%) ○ 目標買値以下

【判定基準】○目標買値以下:現在株価≦目標買値 / △超過:現在株価>目標買値

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証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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