以下は、株式会社日本マイクロニクス(証券コード:6871)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    日本マイクロニクスは、半導体計測器具である「プローブカード」やFPD(フラットパネルディスプレイ)検査装置の開発、製造、販売をグローバルに展開している企業です。特に半導体の検査工程で使用されるプローブカードが主力製品であり、世界市場では3位、メモリー向けでは1位、ロジック向けでも市場拡大を進めています。連結事業別ではプローブカード事業が売上高の96%を占めており、海外売上比率も93%とグローバル企業としての側面が強いです。
  • 主力製品・サービスの特徴
    主力製品であるプローブカードは、半導体チップの電気的特性を検査する際に、チップと検査装置をつなぐ役割を果たす精密な器具です。同社のプローブカードは、特に高性能メモリー(HBM: High Bandwidth Memory)向けの需要が強く、半導体の性能向上と小型化に貢献する高精度な技術が特徴です。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    日本マイクロニクスは、プローブカード市場において世界シェア3位、特にメモリー向けでは世界1位の地位を確立しており、高い技術力と市場競争力を有しています。高性能メモリー向けではその技術優位性が活かされ、AI(人工知能)関連需要の恩恵を大きく受けています。課題としては、半導体市場全体の景気変動に業績が左右されやすいこと、主力であるプローブカード事業以外のTE事業(テストソケット)が損失を計上している点が挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    半導体市場は現在、生成AI需要の拡大に伴いHBMなど高性能メモリー向けの設備投資が活発化しています。同社は、この高まるHBM向け需要にプローブカードで対応し、売上・利益を大きく伸ばしています。汎用DRAMや自動車向けは回復が鈍いものの、データセンター向けNANDの需要改善も見られ、半導体市場の特定分野での成長機会を的確に捉えています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    データなし
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    決算短信には中期経営計画の詳細は記載されていませんが、現状の設備投資(有形固定資産の増加)や研究開発費の増加は、中長期的な半導体需要、特にAI関連需要を取り込むための投資と推測されます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信には具体的な新製品・新サービスの展開についての詳細な記載はありませんが、HBMを中心としたDRAM向けプローブカードの需要が継続し、事業を牽引していることから、この分野における技術進化と製品最適化が進んでいると考えられます。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社の収益モデルは、半導体検査用プローブカードの開発・製造・販売が主軸であり、特に高精度・高性能を要求されるメモリー分野での強みが特徴です。現在のAI関連の高性能半導体(HBM/GPU)需要という市場ニーズの変化に迅速に適応し、主力のプローブカード事業で継続的な高成長を実現しています。一方、TE事業は減収・損失拡大しており、この部門の改善が今後の課題となる可能性があります。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    2025年12月期第3四半期累計では、一部製品の売上が第4四半期から前倒しで計上されたとの記載があります。これは、短期的には好業績に寄与するものの、今後の四半期における売上変動に影響を与える可能性があり、需給タイミングに留意が必要です。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    具体的な技術開発の内容については記載がありませんが、HBM向けプローブカードで世界トップシェアを誇ることから、高度な微細加工技術や材料技術、検査技術において独自の強みを持っていると推測されます。研究開発費も増額されており、継続的な技術革新への投資が行われていると考えられます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    半導体検査用プローブカード事業が収益を牽引しています。特にHBMを中心としたDRAM向けプローブカードがその中心となっています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    現在の株価は6,810.0円です。
    会社予想EPS 237.66円に基づくと、現在のPERは 6,810.0円 / 237.66円 = 28.65倍です。
    実績BPS 1,474.81円に基づくと、現在のPBRは 6,810.0円 / 1,474.81円 = 4.62倍です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    業界平均PER 24.2倍に対し、現在のPER 28.65倍は割高です。
    業界平均PBR 1.6倍に対し、現在のPBR 4.62倍は割高です。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は6,440円から6,860円の範囲で推移しており、現在の株価6,810円は直近のレンジの上限に近い水準です。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値が9,490円、年初来安値が2,482円であるのに対し、現在の株価6,810円は年初来高値から約28%低い位置にあり、年初来安値からは約174%高い位置にあります。レンジ全体で見ると、中堅からやや高値圏に位置していると言えます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は309,500株、売買代金は2,094,538千円でした。過去10日間の平均出来高が約63万株、過去3ヶ月の平均出来高が約132万株であることから、本日の出来高は平均を下回っており、市場の関心度は一時的に低下している可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    過去12ヶ月の売上高は62,592百万円で、前年の55,643百万円から増加しています。粗利益、営業利益、純利益も増加傾向にあり、特に過去12ヶ月の純利益は9,900百万円と堅調です。
    ROE(過去12ヶ月)は10.16%、ROA(過去12ヶ月)は6.29%と、いずれも一般的なベンチマーク(ROE10%、ROA5%)を上回る良好な水準です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    Total Revenueは2021年39,998百万円から2022年44,321百万円、2023年38,292百万円と変動した後、2024年55,643百万円(予想)と大きく伸長し、直近12ヶ月では62,592百万円と過去最高を更新しています。営業利益も同様に変動しながらも、直近12ヶ月は14,376百万円と過去数年で最も高い水準にあります。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2025年12月期第3四半期累計の決算は、通期会社予想に対し売上高73.2%、営業利益81.9%、純利益77.0%と非常に高い進捗率を示しています。特に営業利益の進捗率が顕著であり、通期予想の達成可能性は高いと判断されます。ただし、一部売上の前倒し計上があった点には留意が必要です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    2025年9月30日時点の自己資本比率は66.0%であり、前期末の62.1%からさらに改善しており、非常に高い財務安定性を示しています。流動比率は2.51(199.9%)と良好な水準を維持しており、短期的な資金繰りにも問題がないことを示唆しています。Total Debt/Equityは11.55%と低く、負債依存度は低いと言えます。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    非常に高い自己資本比率と良好な流動比率により、財務安全性は極めて高いと評価できます。一方で、現金及び預金は前期末から8,365百万円減少しており、設備投資の増加や借入金の増加(約5,429百万円)が見られます。これにより、財務基盤は安定しているものの、資金の流出入には注意が必要です。
  • 借入金の動向と金利負担
    借入金は前期から増加していますが、財務諸表のNet Interest Incomeがプラスであることから、現時点での金利負担は経営を圧迫する水準ではありません。設備投資のための戦略的な借入と考えられます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    ROE(過去12ヶ月)10.16%はベンチマークの10%を上回り、ROA(過去12ヶ月)6.29%はベンチマークの5%を上回っており、資本を効率的に活用して収益を上げていると言えます。売上総利益率は約47.8%(第3四半期累計)、営業利益率も約22.4%(第3四半期累計)と高水準で、高い収益力を有しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE、ROAともに一般的なベンチマークをクリアしており、収益性は優良な水準と評価されます。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年の営業利益率は変動があるものの、直近では改善傾向にあります。プローブカード事業が高い収益性を維持して業績を牽引する一方、TE事業は損失を計上しており、この事業の構造改革や収益改善が今後の収益性向上の余地となる可能性があります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値は1.26です。これは、市場全体が1%変動した場合、日本マイクロニクスの株価が平均して1.26%変動する可能性があることを示しており、市場の動きにやや敏感に反応する特性を持つと言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は9,490円、52週安値は2,482円です。現在の株価6,810円は、52週レンジの上限から約28%下落した地点にあり、約72%の地点に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信で言及されている主なリスク要因は、半導体市況の変動、製品の販売時期のずれ(売上の前倒しや遅延)、為替レートの変動、主要顧客の設備投資計画の変更、原材料や部品の供給状況による影響などがあります。これらは同社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    現在のPER(会社予想)28.28倍は業界平均PER 24.2倍と比較して割高です。
    現在のPBR(実績)4.56倍は業界平均PBR 1.6倍と比較して割高です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    業種平均PER基準で算出した目標株価は6,205円です。
    業種平均PBR基準で算出した目標株価は2,360円です。
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価(6,810円)は、業界平均PERおよびPBRの両基準で算出した目標株価を上回っています。ROEやROAは良好ですが、現状の株価は相対的に割高であると判断されます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は937,100株(前週比+37,200株)、信用売残は95,800株(前週比-16,500株)です。信用倍率は9.78倍と高く、信用買残が信用売残を大きく上回っています。これは将来の売り圧力となる可能性を秘めており、需給悪化要因となり得ます。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    大株主リストには、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)や日本カストディ銀行(信託口)といった信託銀行の保有割合が高いです。代表者の長谷川正義氏が6.39%を保有しているほか、長谷川氏一族の保有も散見され、経営陣および関係者による一定の株式保有比率が見られます。機関投資家による保有も51.27%と高い水準です。
  • 大株主の動向
    データなし

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    会社予想1株配当は72.00円、配当利回り(会社予想)は1.07%です。予想EPS 237.66円に対する配当性向は約30.3%であり、事業の成長投資とのバランスを考慮した妥当な水準と言えます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    提供データには、過去の自社株買いに関する明確な記載はありませんが、「自社(自己株口) 3.15%」の記述から過去に自社株買いを実施していることが伺えます。直近の決算短信には自社株買いの方針に関する記載はありません。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年12月期第3四半期決算短信によると、HBMを中心としたDRAM向けプローブカードの需要が引き続き堅調で、プローブカード事業が売上・利益ともに大幅に増加していることが最も重要なトピックスです。また、一部製品の売上が第4四半期から前倒しで計上されたことも短期的な材料となり得ます。
  • これらが業績に与える影響の評価
    AI関連の高性能半導体需要による主力事業の好調は、同社の業績を力強く牽引しており、通期業績の達成、あるいは上振れへの期待につながるポジティブな影響を与えています。売上の前倒し計上は短期的な業績進捗率を押し上げる要因となります。

16. 総評

日本マイクロニクスは、半導体検査用プローブカードにおいて高い技術力と市場シェアを持つグローバル企業です。特にAI需要を背景としたHBM向けプローブカードの好調が、現在の業績を力強く牽引しています。財務面では、高い自己資本比率と良好な流動比率で非常に健全性が高く、収益性もベンチマークを上回る優良企業と言えます。
しかし、株価評価においては現在のPER、PBRともに業界平均を上回る水準にあり、バリュエーションはやや割高と判断されます。また、信用買残が多い状況は、将来的な需給の重しになる可能性があり、市場センチメントの変化には注意が必要です。

強み:

  • 半導体検査用プローブカードの世界的な競争優位性(特にメモリー向けで世界1位)。
  • AI(HBM/GPU)関連需要という強力な追い風。
  • 非常に高い財務健全性と良好な収益性。

弱み:

  • 半導体市況の変動に業績が左右されやすい点。
  • TE事業の継続的な損失計上。
  • 特定製品の売上計上前倒しなど、売上計上時期の変動による業績の不確実性。

機会:

  • AI市場のさらなる拡大と高性能半導体の需要増加。
  • グローバルでの顧客基盤拡大と技術革新による新たな市場開拓。

脅威:

  • 半導体サイクルによる市場の変動や景気後退。
  • 主要顧客の設備投資計画の変更。
  • 為替変動リスクや原材料・部品供給の影響。
  • HBMなど高性能メモリー市場の動向と、同社のプローブカード供給能力・技術開発。
  • TE事業の収益改善に向けた取り組みの進捗。
  • 健全な財務基盤と今後の設備投資、研究開発投資が将来の成長に寄与するか。
  • 現在の株価が市場の期待を織り込んでいるため、今後の業績進捗が期待を上回るか否か。

17. 企業スコア

  • 成長性:A
  • 収益性:A
  • 財務健全性:S
  • 株価バリュエーション:D

企業情報

銘柄コード 6871
企業名 日本マイクロニクス
URL http://www.mjc.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

バリュー投資分析(5年予測・参考情報)

将来のEPS成長と配当を予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 6,810円
EPS(1株利益) 237.66円
年間配当 1.07円

予測の前提条件

予想EPS成長率 8.0%
5年後の想定PER 15.0倍

5年後の予測値

EPS成長率と想定PERを基に算出した5年後の理論株価と累計配当です。

予想EPS 349.20円
理論株価 5,238円
累計配当 7円
トータル価値 5,245円

現在価格での試算リターン

現在の株価で購入した場合に期待できる年率換算リターン(CAGR)の試算値です。

試算年率リターン(CAGR) -5.09% (参考:低水準)

目標年率ごとの理論株価(参考値)

目標とする年率リターンを達成するための理論上の買値と、さらに50%の安全域を確保した価格です。

目標年率 理論株価 安全域価格 現在株価との比較
15% 2,608円 1,304円 × 算出価格を上回る
10% 3,257円 1,628円 × 算出価格を上回る
5% 4,109円 2,055円 × 算出価格を上回る

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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