以下にアイ・エス・ビー(9702)の企業分析レポートをまとめました。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
株式会社アイ・エス・ビーは、独立系のシステムインテグレーター(SIer)として、情報サービス事業とセキュリティシステム事業を展開しています。情報サービス事業では、モバイル、医療、自動車向けの組込みソフトウェア開発、Webシステム、デスクトップアプリケーション、クラウド環境の構築、公共システムや金融システムの開発などを手掛けています。また、多様なスマートデバイス向けアプリケーション開発も行っています。セキュリティシステム事業では、入退室管理システムや電気錠の開発・販売、顔認証端末などの機器販売・施工、月額課金型のリカーリングサービスを提供しています。特に通信制御ソフト開発において中堅の位置を占め、携帯基地局向けに強みを持っています。IoTやAIソリューション、Qt(クロスプラットフォーム開発フレームワーク)の提供なども行っています。 - 主力製品・サービスの特徴
- 情報サービス事業: 携帯基地局向けなどの通信制御組込みソフト開発、金融機関や官公庁向けの業務システム開発、DX(デジタルトランスフォーメーション)関連のシステム構築が中心です。幅広い分野の顧客に対し、ITソリューションを提供しています。
- セキュリティシステム事業: 顔認証端末をはじめとする入退室管理システムや電気錠が主力です。機器販売だけでなく、設置工事や、安定的な収益源となる月額課金型のリカーリングサービスに注力しており、特にリカーリング収入が拡大傾向にあります。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
アイ・エス・ビーは独立系SI中堅企業として、幅広い業界(金融、製造業、官公庁など)に顧客基盤を持つ点が強みです。特に携帯基地局向けの通信制御ソフトウェア開発に強みがあることは、特定の技術分野での専門性の高さを示しています。また、IoTやセキュリティ、AIといった成長分野への事業領域拡大も図っています。
一方で、情報サービス事業においては、受注拡大に伴う不採算プロジェクトの発生や調達コストの上昇、成長投資としての販管費増加が利益率を圧迫する課題を抱えています。これは、システム開発業界全体で人材確保やプロジェクト管理の難しさが増している現状を反映している可能性があります。 - 市場動向と企業の対応状況
国内ではDX需要が継続しており、公共・金融分野からのシステム開発需要も堅調に推移しています。セキュリティ分野でも、リカーリング収入を拡大させるビジネスモデルへの転換が成功しつつあります。同社は中期経営計画において、人事戦略、情報サービス事業戦略、セキュリティシステム事業戦略の3つの重点戦略を推進し、市場ニーズへの対応を図っています。特にセキュリティシステム事業におけるリカーリング収入の拡大は、景気変動に強く安定した収益基盤を構築する上で有効な対応と言えます。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
中期経営計画として「永続する企業へ ~Drive change to thrive~」を掲げています。このビジョンの実現に向けて、「人事戦略」「情報サービス事業戦略」「セキュリティシステム事業戦略」の3つの重点戦略を推進しています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
- 人事戦略: 従業員の増強と教育、働きがいのある職場環境の整備を通じて、優秀な人材の確保と育成を目指しています。高い技術力を持つ人材が競争力の源泉であるため、重要な戦略です。
- 情報サービス事業戦略: DX市場ニーズに適合したソリューション提供を強化し、高付加価値案件の獲得を目指します。また、不採算プロジェクトの抑制や調達コストの最適化を通じて、収益性の改善を図ることが喫緊の課題となっています。
- セキュリティシステム事業戦略: 顔認証端末をはじめとする新デバイスの展開や、月額課金型のリカーリング収入の拡大を重点分野としています。これにより、安定的かつ高収益な事業構造への転換を目指しています。
- 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
セキュリティシステム事業において、顔認証端末等の新デバイス販売が好調と報告されています。また、リカーリング収入の拡大も進んでおり、定額制サービスへの注力が成果を上げています。情報サービス事業における具体的な新製品の記載はありませんが、DX需要への対応を強化していることが示唆されています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
情報サービス事業は主に受託開発を収益モデルとしており、DX需要など市場ニーズの変化に対応し、公共・金融向けの大口案件なども獲得しています。一方で、セキュリティシステム事業では、買い切り型の機器販売だけでなく、月額課金型のリカーリングサービスを拡大することで、収益の安定化と持続性の向上を図っています。このリカーリングモデルへのシフトは、市場ニーズの変化(クラウド化、サブスクリプション型サービスへの移行)に適応する動きと言えます。ただし、情報サービス事業の不採算プロジェクトによる利益率低下の課題解決が、持続的な成長には不可欠です。 - 売上計上時期の偏りとその影響
決算短信の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率を見ると、売上高は75.1%と概ね順調ですが、営業利益は64.7%、親会社株主帰属純利益は55.9%と、利益面で遅れが見られます。これは、システム開発業界によく見られる傾向として、年度末に案件の検収や集中が起こるため、第4四半期に売上・利益が大きく計上される可能性があります。ただし、今期の利益進捗の遅れは、第4四半期での挽回が求められ、通期目標達成には一定のリスクを伴います。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
組込みソフトウェア開発、特に通信制御分野での長年の経験と実績が同社の技術基盤です。IoT、AIソリューション、セキュリティ(顔認証、入退室管理システム)といった分野への展開を通じて、技術領域を広げています。Qtのようなクロスプラットフォーム開発フレームワークの活用や、組み込みフォントの販売も手掛けており、特定のニッチな技術分野における優位性も持ち合わせています。 - 収益を牽引している製品やサービス
情報サービス事業では、DX関連、公共・金融向け等のシステム開発が売上を牽引しています。セキュリティシステム事業では、顔認証端末を中心とした製品販売と、月額課金型のリカーリングサービスが堅調に推移し、利益面での成長を支えています。特にセキュリティシステム事業のリカーリング収入は、今後の収益安定化に向けた重要な牽引役と期待されます。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在の株価: 1,675.0円
- 1株当たり当期純利益(EPS、会社予想): 147.57円
- 1株当たり純資産(BPS、実績): 1,215.22円
- 理論株価(PER基準、業界平均PER適用): 147.57円 × 23.2倍 = 3,423.62円
- 理論株価(PBR基準、業界平均PBR適用): 1,215.22円 × 2.3倍 = 2,795.00円
現在の株価1,675.0円は、業界平均を基にした理論株価(3,423.62円~2,795.00円)と比較して、大きく下回っています。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 11.35倍
- 業界平均PER: 23.2倍
- PBR(実績): 1.38倍
- 業界平均PBR: 2.3倍
同社のPER、PBRともに業界平均と比較してかなり低い水準にあり、割安感があると言えます。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
現在の株価1,675.0円は、直近10日間の推移では1,643円~1,703円のレンジで取引されており、中盤よりやや下方に位置しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
- 年初来高値: 1,855円
- 年初来安値: 1,141円
- 現在の株価: 1,675.0円
現在の株価は、年初来高値(1,855円)からは約9.7%低い水準、年初来安値(1,141円)からは約46.8%高い水準にあります。レンジの中央値(約1,498円)よりは上に位置しており、高値圏にやや近い、もしくはレンジ中腹から上部の位置にあります。50日移動平均線(1,749.62円)を下回り、200日移動平均線(1,507.81円)を上回っている状況です。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は48,600株、売買代金は81,279千円です。過去3ヶ月平均出来高(30.66k株)や過去10日平均出来高(21.49k株)と比較すると、直近の出来高はやや多い水準であり、一時的に市場の関心が高まっている可能性があります。しかし、売買代金は1億円に満たず、特段の過熱感を示すほどの高水準ではありません。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去12か月で35,720百万円、過去数年にわたり順調に増加しています(2021年12月期26,176百万円から増加基調)。
- 営業利益: 過去12か月で2,665百万円。2025年12月期第3四半期累計では前年同期比△20.1%と減少しており、情報サービス事業の不採算プロジェクトが影響しています。
- ROE(過去12か月): 10.63%
- ROA(過去12か月): 7.62%
売上は堅調に伸びていますが、直近の利益は減少傾向にあり、収益性改善が課題です。ROE、ROAは同業他社比較(後述の同業他社比較ベンチマーク)では良好な水準です。
- 過去数年分の傾向を比較
損益計算書を見ると、Total Revenue(売上高)は2021年12月期の26,176百万円から2024年12月期の予想33,954百万円まで着実に増加しています。Gross Profit(売上総利益)も同様に増加傾向です。一方で、Operating Income(営業利益)は2023年12月期に2,734百万円を記録しましたが、過去12か月では2,665百万円(短信の通期予想は2,660百万円)と横ばい〜微減傾向にあります。Net Income Common Stockholders(親会社株主に帰属する当期純利益)も、2024年12月期予想2,032百万円に対し、過去12か月では1,693百万円と減少が見られます。これは、売上は伸びているものの、利益を圧迫する要因が顕在化していることを示唆しています。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2025年12月期第3四半期累計の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。- 売上高: 75.1%(順調)
- 営業利益: 64.7%(通期達成には第4四半期の挽回が必要)
- 親会社株主に帰属する四半期純利益: 55.9%(通期達成は厳しい可能性、第4四半期の回復が不可欠)
売上は計画通りに進んでいますが、利益面では遅れが見られ、通期目標達成に向けては第4四半期の収益性改善が重要な鍵となります。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率: 67.8%(決算短信2025年9月30日時点実績)。非常に高い水準であり、財務基盤が非常に安定していることを示します。
- 流動比率: 275.3%(決算短信2025年9月30日時点実績)。短期的な支払い能力が非常に高いことを示しており、流動性は良好です。
- 負債比率 (Total Debt/Equity): 0.86%(直近四半期)。負債が純資産に対して非常に少ないことを示しており、借入依存度が極めて低い優良な企業体質です。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率、流動比率ともに高水準を維持しており、財務安全性は極めて良好です。総負債も少なく、借入金への依存もほとんどありません。現金及び預金も8,458百万円と潤沢であり、安定的な資金繰りが確保されています。 - 借入金の動向と金利負担
Total Debt(総負債)は120百万円と非常に少なく、実質的な借入金はほとんどない状況です。金利収入(Interest Income)が金利費用(Interest Expense)を上回っているため、実質的に金利負担は発生していません。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(過去12か月): 10.63%。一般的なベンチマークである10%を上回っており、株主資本を効率的に利用して利益を上げていると評価できます。
- ROA(過去12か月): 7.62%。一般的なベンチマークである5%を上回っており、総資産を効率的に利用して利益を上げていると評価できます。
- 売上総利益率(過去12か月): 24.2% (Gross Profit 8,661,088 / Total Revenue 35,720,594)。
- 営業利益率(過去12か月): 3.43%。第3四半期累計の営業利益率(6.21%)も前年同期(約8.6%)から低下しており、情報サービス事業の不採算プロジェクトやコスト増が利益率を押し下げています。
- 純利益率(過去12か月): 3.90%。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE(10.63%)はベンチマークの10%をクリア、ROA(7.62%)もベンチマークの5%をクリアしており、資本効率は良好です。しかし、営業利益率3.43%はITサービス業としてはやや低い水準であり、収益性の改善が課題として挙げられます。 - 収益性の推移と改善余地
売上は堅調に伸びていますが、利益率(特に営業利益率)は直近で低下傾向にあります。情報サービス事業における不採算プロジェクトの抑制やコスト管理の徹底、高付加価値案件へのシフトが収益性改善の大きな余地となります。セキュリティシステム事業では利益率が改善しており、リカーリング収入の拡大が貢献しています。この事業の成長を持続させることが、全体の収益性を向上させる上で重要です。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値(5Y Monthly)は0.14と非常に低い水準です。これは、市場全体の変動に対して同社の株価がほとんど影響を受けない、または非常に低い感応度しか持たないことを示します。ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えますが、裏を返せば市場回復期においても高い上昇を期待しにくい可能性があります。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
- 52週高値: 1,855.00円
- 52週安値: 1,141.00円
現在の株価1,675.0円は、52週高値からは約9.7%下落した位置にあり、安値からは約46.8%上昇した位置です。52週レンジの中央値(約1,498円)をやや上回る水準です。
- 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信には、以下のリスク要因が挙げられています。- 不採算プロジェクトの発生: 情報サービス事業において、プロジェクト管理の甘さや予期せぬトラブルにより、利益を圧迫するリスクがあります。
- 調達コスト上昇: 人材や資材の調達コストが上昇することで、利益率が低下するリスクがあります。
- 施工外注費の増加: セキュリティシステム事業などで外注費が増加すると、収益を圧迫する可能性があります。
- マクロ経済リスク: 為替変動(特に円安は海外調達コスト増につながる可能性)、国際関税、地政学リスクなどの外部環境の変化が、顧客企業のIT投資意欲やサプライチェーンに影響を与える可能性があります。
- 受注の季節性や前倒し/遅延: 案件の受注・検収時期の偏りが、四半期ごとの業績に変動を与える可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 11.35倍(業界平均PER: 23.2倍)
- PBR(実績): 1.38倍(業界平均PBR: 2.3倍)
同社のPER、PBRともに業界平均と比較して著しく低い水準にあります。このことから、現在の株価は業界平均の水準から見ると割安であると判断できます。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 目標株価(業種平均PER基準): 3,434円
- 目標株価(業種平均PBR基準): 2,795円
現在の株価1,675.0円に対して、業界平均倍率を適用した目標株価レンジは2,795円から3,434円となります。
- 割安・割高の総合判断
現在の株価は、業界平均PERおよびPBRを基準とした場合、明確に割安であると判断できます。ただし、情報サービス事業の直近の利益率低下が株価上昇を抑制している可能性も考慮する必要があります。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 221,100株
- 信用売残: 9,700株
- 信用倍率: 22.79倍
信用買残が信用売残を大幅に上回っており、信用倍率は22.79倍と高水準です。これは、将来の株価上昇を期待して買い建てしている投資家が多いことを示唆しています。一方で、信用買残が多い状況は、将来的な売り圧力が存在する可能性も秘めており、需給悪化のリスクもはらんでいます。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
- Insiders (経営陣) 持株比率: 31.73%
- Institutions (機関投資家) 持株比率: 10.71%
筆頭株主の(有)若尾商事が17.46%、若尾一史氏(代表者)が2.67%を保有しており、経営陣や関連企業による持ち株比率が高いです。日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行といった信託銀行の保有も多く、安定株主が一定割合を占めています。自社・グループ従業員持株会も一定シェアを保有しており、経営陣および従業員の会社へのコミットメントが高いことがうかがえます。
- 大株主の動向
情報なし。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 3.28%(Forward Annual Dividend Yield: 3.35%)
- 1株配当(会社予想): 55.00円
- 配当性向(会社予想): 37.2%
配当利回りは3%台と比較的高い水準です。配当性向37.2%は、利益の成長と株主還元をバランスさせている妥当な水準と言えます。同社の安定した財務基盤を考慮すると、将来的な増配余地も期待できる可能性があります。
- 自社株買いなどの株主還元策
決算短信には自社株買いに関する具体的な記載はありませんでした。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
決算短信には株式報酬型ストックオプション等に関する具体的な記載はありませんでした。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2025年12月期第3四半期決算短信では、以下の点がトピックスとして挙げられています。- 情報サービス事業の売上増: DX需要の継続や公共・金融向け受注が堅調。
- セキュリティシステム事業の好調: リカーリング収入の拡大、顔認証端末等の新デバイス販売好調、一部案件の前倒し計上。
- 情報サービス事業の利益率悪化: 不採算プロジェクトの発生、調達コスト上昇、販管費増が利益を圧迫。
- 固定資産の増加: 建物及び構築物が増加しており、事業拡大に向けた設備投資が行われていることが示唆されます。
- これらが業績に与える影響の評価
セキュリティシステム事業の好調は、全体収益の下支えと安定化に貢献しています。特にリカーリング収入の拡大は、今後の持続的な成長に向けたポジティブな材料です。一方で、情報サービス事業における利益率の悪化は、全体の業績予想達成に対する懸念材料となります。売上が順調に推移している中で、利益が伸び悩んでいる点は、採算管理の強化が急務であることを示しています。第4四半期での収益改善が実現できるかどうかが焦点となります。
16. 総評
アイ・エス・ビーは、独立系SIerとして情報サービスとセキュリティシステムの両事業を展開しています。売上高は堅調な成長を続けており、特にセキュリティシステム事業はリカーリング収入の拡大や新デバイス販売により利益率も改善しています。財務基盤は自己資本比率67.8%、流動比率275.3%と極めて良好で、現金も潤沢であるため、非常に安定した経営がなされています。
一方で、情報サービス事業において不採算プロジェクトやコスト増が顕在化し、直近の利益は前年同期比で減少しています。これにより、通期の利益予想達成には第4四半期での大幅な回復が必要な状況です。
現在の株価は、業界平均PER/PBRと比較して大幅に割安な水準にあり、バリュエーション面では魅力があります。ベータ値も低く、市場全体の変動に比較的左右されにくいディフェンシブな特性を持つ銘柄です。信用買残が多い点は、将来的な需給悪化リスクも内包しています。
- ポジティブ要因: 堅実な売上成長、非常に強固な財務体質、セキュリティシステム事業の収益性改善とリカーリング収入拡大、業界平均に対し割安なバリュエーション、3%超の安定した配当利回り。
- ネガティブ要因: 情報サービス事業における利益率の悪化と不採算プロジェクトの発生、それに伴う通期利益予想の下振れリスク、市場の関心度を示す出来高は相対的に高水準ではない点。
強み・弱み・機会・脅威 (SWOT分析)
- 強み (Strengths):
- 独立系SIerとしての幅広い顧客基盤と実績、特に通信制御ソフト開発の専門性。
- 極めて強固な財務体質(高い自己資本比率、潤沢な現金、低い負債比率)。
- セキュリティシステム事業におけるリカーリング収入モデルの確立と利益成長。
- 安定した株主構成と高い経営陣・従業員のコミットメント。
- 弱み (Weaknesses):
- 情報サービス事業における直近の利益率低下、不採算プロジェクト管理の課題。
- 営業利益率が同業他社比較でやや低い水準に留まっている。
- 信用買残が高水準であり、将来的な需給悪化リスク。
- 機会 (Opportunities):
- DX需要の継続的な拡大、公共・金融分野からの安定したIT投資需要。
- IoT、AI、セキュリティなど成長市場への事業拡大。
- リカーリング型ビジネスモデルの更なる拡大による収益安定化。
- 脅威 (Threats):
- IT人材の確保難や人件費・調達コストの上昇。
- 競争激化による価格競争や利益率の更なる低下。
- マクロ経済の不確実性(景気後退、為替変動、地政学リスク)。
- 大型プロジェクトの受注状況や季節性による業績変動。
17. 企業スコア
- 成長性: A
売上高は過去数年にわたり堅実に増加し、直近の四半期売上高も前年同期比10.9%増と好調です。DX需要の継続やセキュリティシステム事業の新デバイス展開、リカーリング収入拡大など、成長ドライバーが複数存在します。情報サービス事業の利益悪化は懸念材料ですが、売上成長は維持されています。 - 収益性: B
ROE(10.63%)およびROA(7.62%)は業界ベンチマークを上回っており良好ですが、過去12か月の営業利益率が3.43%と低く、特に情報サービス事業の利益率低下が顕著なため、平均並みと評価します。 - 財務健全性: S
自己資本比率67.8%、流動比率275.3%と極めて高く、総負債も非常に少ないため、財務安全性は非常に優れています。現金保有も潤沢です。 - 株価バリュエーション: S
PER(11.35倍)およびPBR(1.38倍)が業界平均PER(23.2倍)、PBR(2.3倍)と比較して大幅に低いことから、現在の株価は明確に割安であると評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 9702 |
| 企業名 | アイ・エス・ビー |
| URL | http://www.isb.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,675円 |
| EPS(1株利益) | 147.57円 |
| 年間配当 | 3.28円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5.2% | 13.1倍 | 2,484円 | 8.4% |
| 標準 | 4.0% | 11.3倍 | 2,039円 | 4.2% |
| 悲観 | 2.4% | 9.6倍 | 1,604円 | -0.7% |
目標年率別の買値目安(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「目標買値」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある買値上限です。
現在株価: 1,675円
| 目標年率 | 目標買値 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,023円 | +652円 (+64%) | △ 超過 |
| 10% | 1,278円 | +397円 (+31%) | △ 超過 |
| 5% | 1,612円 | +63円 (+4%) | △ 超過 |
【判定基準】○目標買値以下:現在株価≦目標買値 / △超過:現在株価>目標買値
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。