以下は、コスモ・バイオ(証券コード:3386)の企業分析レポートです。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
コスモ・バイオ株式会社は、ライフサイエンス分野の研究向けに、試薬、実験機器、受託サービスなどを国内外で提供するバイオ専門商社です。自社での試薬開発・製造も手掛けています。大学や公的研究機関、企業の研究者向けに、生命科学研究に必要な幅広い製品とサービスを提供し、研究活動をサポートしています。 - 主力製品・サービスの特徴
主力は研究用試薬であり、売上構成比の約79%を占めます。抗体、タンパク質、酵素、アミノ酸などの生物活性物質から、細胞・組織培養システム、遺伝子解析システムまで多岐にわたります。また、電気泳動装置などの実験機器や、腸内フローラ解析、細胞アッセイなどの受託サービスも提供しています。特に研究用試薬は、生命科学研究に不可欠な基盤材料として、安定的な需要が見込まれます。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社はバイオ専門商社として、幅広い研究用試薬・機器の品揃えと提供網を持つことが強みと考えられます。しかし、具体的な市場シェアや競争優位性に関する詳細なデータは提示されていません。決算短信によると、大学・公的研究機関の予算執行は堅調であるものの、同業他社との価格競争が引き続き厳しい状況にあります。 - 市場動向と企業の対応状況
直近の市場動向としては、研究機関での予算執行が堅調に推移している一方で、価格競争が激化しています。同社は、中期経営計画(3カ年計画の最終年度)において、在庫の適正化や迅速な出荷体制の構築を通じて、顧客満足度の向上と競争力強化を図っています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
同社は2025年12月期を最終年度とする3カ年計画を推進しており、「生命科学の進歩に資する」製品・サービスを提供することを目的としています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
具体的な施策としては、在庫の適正化による効率性の向上、迅速な出荷体制の確立による顧客サービス強化が挙げられます。これらの施策を通じて、競争の激しい市場環境下での収益性維持・向上を目指しています。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信には、具体的な新製品・新サービスの展開状況に関する詳細な記載はありません。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、ライフサイエンス研究機関への研究用試薬・機器の販売と受託サービスが中心です。決算短信によると、売上総利益率は改善しているものの、販売費及び一般管理費(特に人件費)の増加が営業利益を圧迫しており、収益構造には課題が見られます。研究分野の進化に伴うニーズの変化に対し、どれだけ迅速に製品ラインナップを更新し、付加価値の高いサービスを提供できるかが適応力の鍵となります。 - 売上計上時期の偏りとその影響
売上計上時期に大きな偏りがあるという明確なデータはありません。しかし、第3四半期時点での営業利益の通期予想に対する進捗率が56.1%と低いことから、第4四半期に収益が集中する、あるいはコスト削減が行われる必要がある状況です。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
企業概要には「試薬開発製造にも注力」とありますが、具体的な技術開発の動向や独自性に関する詳細な情報は提示されていません。 - 収益を牽引している製品やサービス
連結事業の構成から、研究用試薬が売上高の79%を占め、収益の大部分を牽引しています。第3四半期累計でも研究用試薬の売上が前年同期比で+8.0%と堅調に伸びています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在の株価: 1,359.0円
- EPS(会社予想): 75.55円
- BPS(実績): 1,635.05円
現在の株価はBPSを若干下回っており、PBRで見ると解散価値を下回る水準です。しかし、EPSと比較するとPERは高めに見えます。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 17.99倍 (業界平均: 10.1倍)
- PBR(実績): 0.83倍 (業界平均: 0.7倍)
同社のPERは業界平均を大きく上回っており、PBRも業界平均よりやや高い水準です。このことから、業界平均と比較すると、現在の株価は割高感があると言えます。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は1333円~1425円の範囲で推移しており、現在の株価1359円は中間やや上付近に位置します。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値1,486円、年初来安値971円に対し、現在の株価1,359円は年初来高値に比較的近い水準にあり、高値圏に位置しています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日の出来高は27,600株、売買代金は37,178千円でした。3ヶ月平均出来高44,370株、10日平均出来高40,790株と比較すると、本日の出来高は平均を下回っており、市場の関心度は相対的に低い可能性があります。5日には87,300株、1日には95,100株と活発な取引があった日も見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高は過去数年間で増加傾向にあり、直近12か月は10,310百万円、前年同期比+6.4%と堅調です。
- しかし、営業利益、経常利益、純利益は2021年をピークに減少傾向が続いており、特に2024年の過去12か月では営業利益が272百万円と大きく落ち込んでいます。
- ROE(実績)は3.01%、ROA(過去12か月)は1.20%であり、収益性指標は低い水準にあります。
- 過去数年分の傾向を比較
売上高は安定的に成長しているものの、収益性の悪化が継続的な課題として見て取れます。特に、売上総利益率は改善しているにもかかわらず、販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫している状況です。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
第3四半期累計の売上高進捗率は通期予想に対して73.7%とほぼ順調ですが、営業利益の進捗率は56.1%に留まっており、通期目標達成には第4四半期での大幅な収益改善または費用抑制が必要となります。純利益の進捗率も63.3%とやや遅れが見られます。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績)は76.5%と非常に高く、安定した財務基盤を有しています。
- 流動比率(直近四半期)は6.47倍(647%)と、短期的な支払い能力が極めて高いことを示しています。
- 負債比率(Total Debt/Equity)は0.20%と非常に低く、負債はほとんどありません。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率、流動比率、負債比率のいずれも極めて健全な水準にあり、財務安全性は非常に高いと評価できます。現金及び預金も2,993百万円と潤沢であり、資金繰りにも全く懸念はありません。 - 借入金の動向と金利負担
総負債が20百万円と非常に少なく、利払い費用も0円であることから、借入金による金利負担はほぼありません。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績)3.01%、ROA(過去12か月)1.20%は、一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を大きく下回り、収益効率は低いと評価されます。
- Profit Marginは2.31%、Operating Marginは直近12か月で0.00%と表示されており、収益性が非常に低い状況を示唆しています。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
上記の通り、主要な収益性指標はベンチマークを大きく下回っており、改善が必要です。 - 収益性の推移と改善余地
売上高は増加しているものの、営業利益、純利益は減少傾向にあり、収益性は悪化しています。決算短信では売上総利益率の改善が示されており、これはポジティブな要素ですが、販管費の増加が利益を圧迫しています。人件費などのコスト上昇に対する費用コントロールや、より高付加価値な製品・サービスの提供による利益率改善が今後の課題であり、大きな改善余地があると言えます。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.09と極めて低く、市場全体の動きに対する株価の感応度が低いことを示しています。これは、市場全体が変動しても、同社の株価は比較的安定している傾向があることを意味します。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は1,486円、安値は971円です。現在の株価1,359円は、52週レンジの上限に近い位置にあり、高値圏にあると言えます。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信に記載されているリスク要因としては、地政学リスク、円安による原材料・エネルギーコストの上昇、国内の研究費動向鈍化、同業他社との価格競争激化が挙げられています。特に、為替変動が原材料コストに与える影響や、競争環境の変化が収益性をさらに圧化させる可能性に注意が必要です。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 同社のPER(会社予想)17.99倍は、業種平均PER10.1倍と比較して約1.78倍と大きく割高です。
- 同社のPBR(実績)0.83倍は、業種平均PBR0.7倍と比較して約1.19倍と割高です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 業種平均PER基準で算出した目標株価: 453円 (= 75.55円(EPS) × 10.1(業界平均PER) / 1.68(調整係数:PER算出時の発行済株式数とEPS算出時の平均株式数の差を調整するために推測))。この算出方法は実際のEPSと乖離がある可能性があり、EPS 75.55円 x 10.1 = 約763円。それでも現在の株価1,359円を大きく下回ります。
- 業種平均PBR基準で算出した目標株価: 1,144円 (= 1,635.05円(BPS) × 0.7(業界平均PBR))。
- 割安・割高の総合判断
現在の株価1,359円は、業種平均PERおよびPBRの両基準で算出した目標株価と比較して、割高と判断されます。特にPERで見ると、業界平均に対してかなり高評価されていると言えます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は136,400株と高水準で、信用倍率は4.75倍です。前週比で信用買残が+15,900株増加し、信用売残が-26,900株減少しているため、需給バランスは売り圧力が強まる方向に傾いています。これは、将来的な株価上昇に期待する買い方が多い一方で、これらの買い残が将来の売りに転じる可能性があることを示唆します。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
大株主には東京中小企業投資育成(19.05%)、日本カストディ銀行(9.52%)などの安定株主が名を連ねています。経営陣による持ち株比率は個別には不明ですが、インサイダー持ち株比率は27.46%と一定程度あり、経営陣の株価に対する関心は高いと考えられます。 - 大株主の動向
大株主の具体的な動向(売買状況)に関する情報は提供されていません。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
配当利回り(会社予想)は3.68%と、現在の低金利環境下では比較的魅力的な水準です。しかし、配当性向は、直近12か月の実績では135.95%と、利益を大幅に上回る配当を実施している状態です。会社予想EPS75.55円に対する年間配当50円の場合の配当性向は約66.2%となり、この水準であれば利益の大部分を配当に充てている状況です。これは、株主還元への意欲が高いことを示しますが、内部留保や成長投資に回せる資金が限定的になる可能性があります。 - 自社株買いなどの株主還元策
自社株買いに関する情報は提供されていません。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する情報は提供されていません。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
直近の適時開示情報としては、2025年12月期 第3四半期決算短信が最新です。これ以外の大型受注、新製品発表、拠点展開などの具体的なトピックスに関する情報はありません。 - これらが業績に与える影響の評価
第3四半期決算では、売上高は増加しているものの、販売費及び一般管理費(特に人件費)の増加が営業利益を圧迫し、減益となっています。売上総利益率の改善は見られるため、コストコントロールが今後の業績改善の鍵となります。通期予想は据え置きであるため、会社は第4四半期での挽回を見込んでいると考えられます。
16. 総評
コスモ・バイオは、ライフサイエンス分野の研究向け試薬・機器Dサービスを提供する専門商社であり、その財務健全性は極めて高いレベルにあります。高い自己資本比率と潤沢な現金、少ない負債は、盤石な経営基盤を示しています。また、ベータ値が低いことは、市場の変動に対して株価が安定しやすい傾向があることを示唆します。
しかしながら、収益性の面では課題を抱えています。売上高は堅調に推移しているものの、営業利益や純利益は近年減少傾向にあり、特に直近の決算では販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫しています。ROEやROAも一般的なベンチマークを大きく下回っており、資本効率の改善が求められます。
株価評価においては、業界平均PER・PBRと比較して割高感があり、現在の株価は年初来高値圏に位置しています。配当利回りは魅力的ですが、配当性向が高い水準にあるため、今後の成長投資とのバランスには注意が必要です。信用取引の状況も信用買残が多く、需給面では将来的な売り圧力となる可能性をはらんでいます。
- 強み: 極めて高い財務健全性、安定した事業基盤と豊富な製品ラインナップ、低い市場感応度。
- 弱み: 低い収益性、利益減少傾向、高めの配当性向による成長投資余地の限定、業界平均と比較した株価の割高感。
- 機会: ライフサイエンス研究需要の継続的な高まり、技術開発による高付加価値製品・サービスの創出余地。
- 脅威: 価格競争の激化、人件費などのコスト上昇、研究費動向の変化、為替変動リスク。
17. 企業スコア
- 成長性: C
売上高は増加しているものの、営業利益は減少傾向にあり、第3四半期時点の通期営業利益進捗も低いことから、利益成長に課題が見られます。 - 収益性: D
ROE 2.52%、ROA 1.20%と一般的なベンチマークを大きく下回り、営業利益率も低下傾向にあります。 - 財務健全性: S
自己資本比率76.5%、流動比率6.47倍、負債比率0.20%と、極めて高い水準で財務は非常に健全です。 - 株価バリュエーション: D
PER 17.99倍(業界平均10.1倍)、PBR 0.83倍(業界平均0.7倍)と比較すると、現在の株価は割高と判断されます。
企業情報
| 銘柄コード | 3386 |
| 企業名 | コスモ・バイオ |
| URL | http://www.cosmobio.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,359円 |
| EPS(1株利益) | 75.55円 |
| 年間配当 | 3.68円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 19.3倍 | 1,460円 | 1.7% |
| 標準 | 0.0% | 16.8倍 | 1,270円 | -1.1% |
| 悲観 | 1.0% | 14.3倍 | 1,134円 | -3.2% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,359円
| 目標年率 | 理論株価 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 640円 | +719円 (+112%) | △ 割高 |
| 10% | 800円 | +559円 (+70%) | △ 割高 |
| 5% | 1,009円 | +350円 (+35%) | △ 割高 |
【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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