以下にシンバイオ製薬(4582)の企業分析レポートを作成しました。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
シンバイオ製薬は、がん、血液疾患、およびウイルス感染症の治療薬の研究開発、製造、販売を手掛ける製薬会社です。特に、他社から新薬候補を導入し、国内での製品化を目指すアウトライセンス型の事業モデルを展開しています。 - 主力製品・サービスの特徴
主力製品は、非ホジキンリンパ腫や多発性骨髄腫などの血液がん治療薬である抗がん剤「トレアキシン®」(一般名:ベンダムスチン塩酸塩)です。この製品には、希釈済み製剤(SyB L-1701)や即時投与可能な迅速点滴製剤(SyB L-1702)があります。また、現在、高リスク骨髄異形成症候群(HR-MDS)治療のための静注製剤「SyB L-1101」が第III相臨床試験を完了しており、経口製剤「SyB C-1101」も開発中です。さらに、抗ウイルス薬「SyB V-1901」(BCV)の開発にも注力しており、EU主要4カ国で第III相治験承認を取得し、試験を開始しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
シンバイオ製薬は、特定の疾患領域に特化し、導入戦略により製品ポートフォリオを構築しています。主力薬「トレアキシン®」は特定のがん治療に貢献してきましたが、後発品(ジェネリック医薬品)の市場参入により、その競争優位性は大きく低下し、売上が大幅に減少している点が大きな課題です。一方、開発中の抗ウイルス薬BCVは、移植後のウイルス感染症やその他希少疾患への適用が期待されており、これが成功すれば新たな収益の柱となり得ます。 - 市場動向と企業の対応状況
医薬品業界全体では、新薬開発競争の激化や後発医薬品の普及が進んでいます。シンバイオ製薬は、主力製品の特許切れと後発品参入による収益圧迫に対し、パイプラインの深耕、特にBCVのグローバル展開を通じて、事業構造の転換を図っています。BCVのEUでの第III相治験開始は、この戦略の重要な一歩です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
会社の概要説明や決算短信から、シンバイオ製薬はがん、血液疾患、ウイルス感染症の3分野に特化し、他社の新薬候補を導入することで開発・製品化を進める戦略を採っています。特に今後の成長ドライバーとして、抗ウイルス薬BCVのグローバル展開を重点分野としています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
決算短信には具体的な数値目標を伴う中期経営計画の記載はありませんが、BCVの2028年下半期EU承認申請を目指すという目標が示されており、この開発パイプラインの進捗が最重要施策と位置付けられています。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
抗ウイルス薬SyB V-1901(BCV)について、EU主要4カ国で第III相治験承認を取得し、試験を開始しました。これは中長期的な企業価値創出に向けた重要な進展です。また、高感度イムノアッセイ法の特許取得(日本)とPCT出願完了も行われ、技術開発にも注力しています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
これまでの収益モデルは「トレアキシン®」に大きく依存していましたが、後発医薬品の浸食により売上が大幅に減少しており、このモデルの持続可能性は困難な状況にあります。今後は、開発中の抗ウイルス薬BCVの成功が新たな収益源となるかが焦点です。市場ニーズは常に変化しており、新薬開発企業としては常に新しい治療法を提供し続ける必要があります。 - 売上計上時期の偏りとその影響
データなし。ただし、医薬品企業は承認プロセスや臨床試験の進捗に起因する売上計上時期の不確実性があります。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
抗ウイルス薬BCVの第III相治験への進展や、高感度イムノアッセイ法の特許取得は、同社の研究開発能力を示すものです。特にBCVは希少疾病向けやファストトラック指定を受けることで、開発の優位性を確保しようとしています。 - 収益を牽引している製品やサービス
過去には抗がん剤「トレアキシン®」が収益を牽引していましたが、後発品の影響により売上が大幅に減少しています。現在は、BCVの開発に多額の費用を投じており、将来的にはこの製品が収益を牽引することが期待されていますが、現時点では開発段階にあります。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価は98.0円です。
会社予想EPSは(連)-94.60円であり、大幅な赤字のため、PER(株価収益率)は算出できません。
実績BPSは(連)25.51円であり、PBR(株価純資産倍率)は3.84倍です。現在の株価(98.0円)はBPS(25.51円)の約3.84倍であり、純資産価値と比較すると高い水準にあります。 - 業界平均PER/PBRとの比較
医薬品業界の平均PER/PBRはデータがないため比較できません。ただし、赤字企業でPBRが3倍を超える水準にあることは、将来の成長期待が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は106円から98円へと下落傾向にあり、本日の株価98.0円は直近の安値水準です。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値が215円、年初来安値が98円であり、現在の株価98.0円は年初来安値と同水準に位置しています。これは、株価が非常に低い水準にあることを示しています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は475,100株、売買代金は47,004千円です。過去10日間 Avg Vol (10 day) は588,120株、Avg Vol (3 month) は690,670株と平均出来高と比較して、直近はやや低調です。株価が年初来安値水準にあるにもかかわらず、急激な出来高の増加は見られず、市場の関心は限定的と見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 2021年の8,252百万円から、2023年には5,589百万円、そして2024年予想では1,400百万円と、大幅な減少傾向が続いています。直近12か月間の売上高は1,815百万円(過去12か月)。
- 利益: 2021年、2022年には黒字を計上していましたが、2023年には△1,962百万円の純損失、2024年予想では△4,592百万円の純損失と、赤字が拡大しています。営業利益も2021年の1,016百万円から2024年予想の△4,262百万円へと大幅な赤字転落です。
- ROE(実績): (連)-70.90%(過去12か月:-133.75%)と、大幅なマイナスであり、株主資本を効率的に活用できていない状況です。
- ROA(実績): (過去12か月): -51.95%と、総資産に対する収益性も極めて低いです。
- 過去数年分の傾向を比較
過去数年間で、主力製品後発品の影響により売上が大幅に減少し、利益も黒字から赤字へと転落し、その損失幅も拡大傾向にあります。これは、同社の収益構造が大きく変化し、安定性が失われていることを示しています。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2025年12月期第3四半期累計において、売上高970.8百万円は通期予想1,400百万円に対し69.3%の進捗、営業損失△3,339.4百万円は通期予想△4,262百万円に対し78.4%の進捗(損失ベース)です。売上は第4四半期で残りの約3割を達成する必要がありますが、損失は既に大部分を計上済みであり、通期予想達成に向けては、売上の回復または費用抑制が鍵となります。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績): 決算短信によると28.9%(2025年9月30日時点)であり、一般的な安全水準とされる40%を下回っています。これは財務基盤が比較的弱いことを示します。
- 流動比率(直近四半期): 7.78倍(778%)と非常に高い水準です。流動資産が流動負債を大きく上回っており、短期的な支払能力は良好です。主な流動資産は現金及び預金です。
- 負債比率(Total Debt/Equity、直近四半期): 141.61%(決算短信から計算した負債合計/純資産は約177%)と、負債が純資産の1.4倍から1.7倍程度となっており、高めの水準です。
- 財務安全性と資金繰りの状況
流動比率は高いものの、自己資本比率が低く、かつ継続的な赤字と自己資本の減少が見られます。そのため、会社自身が「継続企業の前提に関する重要な不確実性」を開示しており、追加の資金調達が必要となる可能性があります。現金及び預金は3,463百万円確保されていますが、固定負債として社債や転換社債型新株予約権付社債が計上されており、中長期的な資金繰りには注意が必要です。 - 借入金の動向と金利負担
固定負債に転換社債型新株予約権付社債1,300百万円、社債1,040百万円が計上されており、これらの償還や金利負担が財務に影響を与えます。資金調達は新株予約権の行使などにも依存しており、資本政策の動向が重要です。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE: -70.90%(過去12か月で-133.75%)
- ROA: -51.95%(過去12か月)
- Profit Margin: -298.56%
- Operating Margin: -365.66%
全ての収益性指標が大幅なマイナスであり、事業活動から利益を生み出す力が極めて低い状態です。特に、後発品競争による売上減少と研究開発費等の先行投資が重なり、収益構造は極めて厳しい状況にあります。 - 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
一般的なベンチマークとされるROE 10%、ROA 5%とはかけ離れた水準であり、収益性において大幅な改善が求められます。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年間の収益性は悪化の一途をたどっています。改善のためには、開発中のBCVが早期に承認され、収益に貢献するか、新たな収益源を確立することが不可欠です。現状の収益構造では、大幅な改善余地は大きいものの、その実現には相当な時間とリスクを伴います。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.16(5Y Monthly)と非常に低いです。これは市場全体の変動に対して、株価があまり連動しないことを示しています。同社の場合、個別の臨床開発成功・失敗や資金調達の成否といった企業固有の要因が株価に与える影響が大きいことを示唆している可能性があります。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は222.00円、52週安値は98.00円です。現在の株価98.0円は52週安値と同水準にあり、昨年1年間で株価が大きく下落している状況です。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信には以下のリスク要因が明記されています。 - 資金調達の不確実性: 継続的な赤字により、新たな資金調達の必要性が高いこと。新株予約権や社債等を通じた資金確保が前提となっています。
- 主力製品「トレアキシン®」の収益減少: 後発医薬品の市場参入や感染症流行、新薬の登場により処方機会が減少し、売上及び収益が大幅に圧迫されています。
- 臨床試験の遅延・不成功リスク: 主力開発パイプラインであるBCVの第III相臨床試験を含む開発段階にある医薬品は、治験の遅延、失敗、承認の不確実性などのリスクを内包しています。
- 為替・金利変動リスク: 記載は簡潔ですが、グローバル展開を目指す企業として、為替や金利の変動も財務に影響を与える可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
会社予想EPSが赤字であるため、PERは算出できません。PBRは3.84倍と、純資産価値の約3.8倍で取引されており、現在の業績水準から見ると割高感があります。医薬品開発企業は将来の成長期待が株価に織り込まれやすいため、一概にPBRが高いことが割高とは言えませんが、継続的な赤字と「継続企業の前提に関する重要な不確実性」の注記を踏まえると、現状のPBRは高いと判断されます。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
PERが算出できないため、業界平均倍率を用いた目標株価レンジの算出は困難です。 - 割安・割高の総合判断
現在の株価は年初来安値水準にあり、企業価値から見ても割高とは言えない水準です。ただし、継続的な赤字、主力製品の売上減少、そして「継続企業の前提に関する重要な不確実性」があるため、単純な割安・割高判断は難しく、BCVの開発成功という将来の期待が株価の下支えとなっている可能性があります。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は3,966,000株と比較的多く、信用売残は0株であるため信用倍率は0.00倍です。信用買残が多いことは、将来的に株価下落局面での投げ売り要因となる可能性があります。需給バランスは売り方が不在のため、買い方が多く、将来的な売り圧力が懸念されます。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
経営陣(吉田文紀代表者)の持ち株比率は3.45%です。機関投資家(% Held by Institutions)は6.25%と低く、特定の安定株主の状況は把握できません。上位大株主には個人投資家や証券会社名が並んでおり、安定株主の比率は低いと見られます。 - 大株主の動向
データから明確な大株主の動向は読み取れませんが、信用買残が多いことから個人投資家が買い向かっている状況がうかがえます。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想の1株配当は0.00円であり、配当利回りは0.00%です。配当性向も算出できません。同社は無配であり、株主への配当による直接的な還元は行っていません。 - 自社株買いなどの株主還元策
自社株買いなどの株主還元策に関する記載はありません。現時点では、資金は臨床開発および財務状況の改善に優先的に配分される方針であると考えられます。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
決算短信にて、以下の重要なトピックスが報告されています。 - BCVのEU主要4カ国での第III相治験承認: 2025年10月30日に、抗ウイルス薬SyB V-1901(BCV)についてEU主要4カ国で第III相治験承認を取得し、試験を開始しました。これは、将来の収益源となる可能性のある製品の開発において大きな進展です。
- 高感度イムノアッセイ法の特許取得: 日鉄C&Mとの共同で、高感度イムノアッセイ法の日本特許取得およびPCT出願を完了しました(2025年10月)。これは技術力の向上を示すものです。
- これらが業績に与える影響の評価
BCVの第III相治験開始は、中長期的な企業価値創造に資するポジティブな材料です。しかし、これが直接的に現時点の業績に貢献するものではなく、承認・販売までにはまだ時間を要します。特に、短期的な業績は主力製品の売上減少と開発費用の負担により厳しい状況が続く見込みです。特許取得も技術的な強みとはなりますが、短期的な業績への影響は限定的です。
16. 総評
シンバイオ製薬は、がん・血液疾患・ウイルス感染症領域で新薬開発を目指すバイオベンチャー企業です。これまでは抗がん剤「トレアキシン®」が収益を支えてきましたが、後発品の影響により売上が大幅に減少し、財務状況は極めて厳しい局面を迎えています。
強み(Strengths):
- 特定の疾患領域に特化した開発戦略。
- 抗ウイルス薬BCVの第III相治験開始など、今後の成長期待を担うパイプラインの進展。
- 継続的な研究開発投資による技術力への注力(特許取得など)。
- 流動比率は高く、一時的な資金繰りには柔軟性がある。
弱み(Weaknesses):
- 主力製品「トレアキシン®」の売上急減による継続的な大幅赤字。
- 自己資本比率が低く、財務健全性に懸念がある。
- 会社自身が「継続企業の前提に関する重要な不確実性」を開示しており、追加資金調達が喫緊の課題。
- 収益性が極めて低い状態。
機会(Opportunities):
- 開発中のBCVが成功すれば、新たな収益の柱となり、企業価値向上に大きく貢献する可能性。
- 希少疾病向けやファストトラック指定などにより、競争優位性を確立できる可能性。
- グローバル市場への製品展開。
脅威(Threats):
- 臨床試験の失敗、遅延、または承認が得られないリスク。
- 競合他社の新薬開発や後発品との競争激化。
- 資金調達が計画通りに進まないリスク。
- 上場維持基準などの影響。
- 同社への投資は、BCVの開発成功および上市への期待と、それに伴う資金調達の成功にかかっています。現時点ではリスクの高い投資と考えられます。
- 会社の「継続企業の前提に関する重要な不確実性」の開示は、投資家にとって最も重視すべき情報であり、今後の資金調達の進捗を注視する必要があります。
- 短期的な業績改善は期待しにくい状況であり、中長期的な開発パイプラインの進捗を継続的に評価していく必要があります。
17. 企業スコア
- 成長性: D
売上は大幅に減少しており、現時点では成長しているとは言えません。今後の成長はBCVの開発成功にかかっていますが、それはまだ実現していません。 - 収益性: D
売上総利益は高いものの、販管費及び研究開発費が大きく、営業利益・経常利益・純利益ともに大幅な赤字です。ROEやROAも非常に低い水準にあります。 - 財務健全性: D
自己資本比率は決算短信によると28.9%と低く、D/E比率も高めです。流動比率は高いものの、継続企業の前提に関する重要な不確実性を開示している点が特に懸念されます。 - 株価バリュエーション: D
EPSが赤字のためPERは算出できず、PBR実績3.84倍は純資産価値に対して高い水準にあります。現在の厳しい業績とリスクを考慮すると、将来への期待がかなり織り込まれていると判断できます。
企業情報
| 銘柄コード | 4582 |
| 企業名 | シンバイオ製薬 |
| URL | http://www.symbiopharma.com/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 医薬品 – 医薬品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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