以下は、アサヒペン（証券コード: 4623）の企業分析レポートです。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
アサヒペンは、家庭用塗料の製造・輸入・販売を主力事業とする企業です。その他、DIY用品、ペット用品、住宅向け補修材や内装材、園芸用品、清掃用品などの日用雑貨、物流サービス、賃貸業なども展開しています。主にホームセンターなどの販売チャネルを活用し、多岐にわたる製品を提供しています。 - 主力製品・サービスの特徴
- 塗料事業: 建築用などの各種塗料（水性、油性、スプレー塗料）および塗装用補助材料などが中心です。家庭用塗料では国内最大手の地位を確立しています。
- DIY用品事業: 一般消費者向けのDIY用品、工具、壁紙、床材、接着剤、補修材などを取り扱っています。
- ペット用品事業: ペットフードやペット関連用品の販売を行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
アサヒペンは家庭用塗料市場において国内シェア約3割を占める最大手であり、ホームセンターとの強力な販売チャネルが最大の競争優位性です。長年のブランド認知と製品ラインナップの豊富さも強みと言えます。一方で、塗料事業では原材料価格の高騰が利益率を圧迫しており、ペット用品事業では市場の需要変動に大きく影響を受け、直近では売上が大幅に減少している点が課題です。 - 市場動向と企業の対応状況
国内個人消費の低迷は全般的な売上に影響を与えており、特にペット用品市場の需要縮小が顕著です。原材料費の高騰も継続的な課題であり、企業はコスト管理や製品価格への転嫁、経営効率化に取り組んでいます。DIY用品事業では、経営効率化により利益改善が見られます。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
具体的な中期経営計画の詳細は決算短信に記載がないため、ビジョンや戦略について詳細な情報はありません。しかし、直近の業績状況からは、ペット用品事業の需要回復及び収益性改善、並びに塗料事業における原材料コストの安定化・管理が当面の経営における重点分野であると推察されます。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
データなし。 - 新製品・新サービスの展開状況（決算短信参照）
決算短信には新製品・新サービスの具体的な展開状況についての詳細な記載はありません。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
塗料、DIY用品、ペット用品と幅広い商品カテゴリを持ち、ホームセンターを主とした多角的な販路を持つことで、特定の市場変動リスクを分散する事業モデルを構築しています。しかし、ペット用品事業のように需要が急減する市場変化には適応に時間を要する可能性があります。消費者のDIY志向の高まりや、住宅維持への関心などは事業機会となり得ます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
データなし。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
技術開発の動向や独自性に関する具体的な情報はありません。 - 収益を牽引している製品やサービス
連結事業では、塗料事業が売上構成比45%を占め、次にDIY用品事業（29%）、ペット用品事業（25%）が続きます。塗料事業とDIY用品事業が主要な収益源と考えられますが、直近では塗料事業は原材料価格高騰で利益が圧迫され、ペット用品事業は需要減で売上・利益ともに大きく落ち込んでいます。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価 1,712.0円に対し、会社予想EPSは 154.06円、実績BPSは 3,803.54円です。
PER（会社予想）は11.11倍、PBR（実績）は0.45倍であり、株価はEPSおよびBPSと比較して割安な水準にあると言えます。 - 業界平均PER/PBRとの比較
業界平均PER 15.9倍に対し、アサヒペンは11.11倍と割安です。
業界平均PBR 0.7倍に対し、アサヒペンは0.45倍と割安です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は1,711円から1,720円の範囲で小幅な動きとなっています。現在の株価1,712円は、このレンジの下限に近い水準です。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値は1,887円、年初来安値は1,670円です。現在の株価1,712円は、年初来安値からわずかに上回る水準であり、安値圏に近い位置にあると言えます。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は3,800株、売買代金は6,509千円と非常に少なく、市場からの関心度は低い状態にあると推察されます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
過去12ヶ月の売上高は16,063百万円、営業利益は683百万円、純利益は643百万円です。ROEは4.44%、ROAは1.92%と、一般的なベンチマーク（ROE 10%、ROA 5%）を下回っています。 - 過去数年分の傾向を比較
売上高は2022年3月期から2024年3月期にかけて170億円台で推移しましたが、2025年3月期予想では171億円台、過去12ヶ月では160億円台と小幅な減少傾向にあります。営業利益、純利益は2022年3月期をピークに、2024年3月期は大きく落ち込みました。2025年3月期は回復予想ですが、過去12ヶ月の純利益は前年の水準に近い状況です。 - 四半期決算の進捗状況（通期予想との比較）
2026年3月期第2四半期（中間期）の連結売上高は8,015百万円（通期予想16,000百万円に対し進捗率50.1%）、営業利益は319百万円（通期予想630百万円に対し進捗率50.7%）であり、通期予想に対して概ね順調な進捗と言えます。一方で、親会社株主に帰属する中間純利益は383百万円（通期予想600百万円に対し進捗率63.8%）と進捗が良好ですが、これは遊休地売却益や政策保有株式売却益といった特別利益の計上が主な要因であり、営業活動のみでの進捗は通期予想に対し約50%となります。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
自己資本比率は、実績で65.7%、中間期末で65.6%と非常に高く、極めて良好な財務基盤を有しています。流動比率は中間期末で約257%（流動資産10,241百万円 / 流動負債3,987百万円）と、短期的な支払い能力も非常に高い水準です。負債/純資産比率は約52.4%と低く、負債依存度は低いと評価できます。 - 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率の高さ、潤沢な流動資産、低い負債比率により、財務安全性は非常に高いと言えます。中間期の営業キャッシュフローは+534百万円と前年同期比で増加しており、資金繰りに問題は見られません。 - 借入金の動向と金利負担
中間期で短期借入金が純増し、財務キャッシュフローはプラスとなっています。総負債は4,180百万円です。低金利環境下では金利負担は限定的と考えられますが、今後の金利動向によっては影響を受ける可能性があります。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
ROEは4.44%、ROAは1.92%と、一般的なベンチマーク（ROE 10%、ROA 5%）を下回っており、資本を効率的に活用して収益を生み出す力には改善の余地があります。過去12ヶ月の営業利益率は2.26%と低水準です。 - 一般的なベンチマーク（ROE 10%、ROA 5%等）との比較
いずれの指標もベンチマークを下回っており、収益性向上が課題となっています。 - 収益性の推移と改善余地
2026年3月期中間期では、売上減少に加え、原材料価格高騰が塗料事業の利益を圧迫し、ペット用品事業の需要減が大幅な減益に繋がっています。今後は原材料コストの安定化や効率的な生産体制の確立、需要が減少しているペット用品事業の立て直しが収益性改善の鍵となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.21と非常に低く、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示しています。これは、市場の全体的な変動の影響を受けにくい、ディフェンシブな特性を持つ可能性があります。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は1,887.00円、52週安値は1,670.00円です。現在の株価1,712.0円は52週安値に近い位置にあり、レンジの下限に位置しています。 - 決算短信に記載のリスク要因（外部環境、為替、地政学等）
主要なリスク要因としては、国内個人消費の低迷、原材料価格の高騰、為替変動（輸入原料に依存している場合）、競争激化による販売価格競争が挙げられます。特に近年の原材料高騰やペット用品市場の需要変動は、業績に直接的な影響を与えています。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
PER（会社予想）11.11倍は業種平均15.9倍に対し割安、PBR（実績）0.45倍は業種平均0.7倍に対し割安な水準にあります。 - 目標株価レンジの算出（業界平均倍率適用）
業種平均PER基準での目標株価は2,575円、業種平均PBR基準での目標株価は2,662円となります。 - 割安・割高の総合判断
現在の株価1,712.0円は、業界平均PERおよびPBRの両基準から算出される目標株価を大きく下回っており、バリュエーションの観点からは割安と判断できます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況（信用買残、信用倍率、需給バランス）
信用買残は6,900株、信用売残は0株であり、信用倍率は0.00倍となっています（売残が0のため）。供給バランスに大きな偏りは見られませんが、売買高が少ないため、小さな取引でも株価に影響を与える可能性があります。 - 株主構成（経営陣持株比率、安定株主の状況）
主要株主には自社（自己株口）13.14%、一般財団法人アサヒペンひかり財団10.27%、自社共伸会4.24%など安定株主が高い比率を占めています。経営陣持株比率は個別データとして「澤田耕吾 1.47%」の記載があります。インサイダー保有比率は24.56%です。このような株主構成は株価の安定性には寄与する可能性があります。 - 大株主の動向
データなし。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想1株配当は60.00円であり、現在の株価に基づく配当利回りは3.50%です。配当性向は会社予想EPS154.06円に基づく通期想定で約39.0%であり、比較的安定した配当方針を維持していると言えます。 - 自社株買いなどの株主還元策
直近で大規模な自社株買いの開示はありません。しかし、譲渡制限付株式報酬として自己株式の処分（自社株口からの振替）を実施しています。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
譲渡制限付株式報酬制度を導入しており、役職員へのインセンティブ施策として活用されています。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析（大型受注、新製品、拠点展開等）
2026年3月期第2四半期決算短信において、遊休地の売却による固定資産売却益（約101.6百万円）、および政策保有株式の一部売却による投資有価証券売却益（約166.1百万円）を特別利益として計上したことが注目されます。これらの特別利益が、本業の業績低迷があったにもかかわらず、中間純利益を前年同期比で限定的な減少に留める要因となりました。 - これらが業績に与える影響の評価
特別利益の計上は一時的な収益であり、本業の収益力を直接的に反映するものではありません。そのため、今後の業績評価においては、特別利益を除いた営業利益や経常利益の動向を注視する必要があります。これらの利益は財務体質の強化や将来の成長投資に活用される可能性があります。
16. 総評
アサヒペンは家庭用塗料市場における国内最大手として、確固たるブランド力と販売ネットワークを持つ企業です。しかし、直近の業績では、原材料価格の高騰による利益圧迫と、特にペット用品事業における需要減少が課題となっています。財務基盤は自己資本比率が高く非常に健全であり、PBR、PERともに業界平均と比較して割安な水準にあります。ただし、現状のROE、ROAはベンチマークを下回っており、収益性改善が今後の経営における重要課題です。
- 全体的な見解
財務体質は極めて強固で、安定的な株主構成と配当方針を有しています。しかし、本業の収益性は一時的な逆風に直面しており、特にペット用品事業の回復と原材料コストのコントロールが、今後の業績回復と成長に不可欠です。低ベータ値は市場の大きな変動に左右されにくい特性を示しますが、現在の市場関心度は低い状態です。- 強み:
- 家庭用塗料市場における圧倒的な国内シェアとブランド力。
- ホームセンターを中心とした強固な販売チャネル。
- 非常に健全な財務体質（高自己資本比率、高流動性）。
- 安定した株主構成と堅実な配当方針。
- 弱み:
- 収益性指標（ROE、ROA）が業界平均やベンチマークを下回る。
- 原材料価格変動の影響を受けやすい事業構造。
- ペット用品事業の業績変動リスク。
- 市場からの関心度が低く、出来高が少ない。
- 機会:
- DIY市場の持続的な成長。
- 高い財務健全性を活用した成長投資や事業ポートフォリオの見直し。
- コスト削減や経営効率化による利益率改善の余地。
- 脅威:
- 国内個人消費の継続的な低迷。
- 原材料価格のさらなる高騰や為替変動リスク。
- 競合他社との価格競争激化。
- 特定事業（ペット用品）の市場縮小や需要構造変化。
17. 企業スコア
- 成長性: C
- 主力事業の一部（ペット用品）の売上高が大幅に減少し、過去12ヶ月および直近四半期の売上高成長率もマイナスであるため。
- 収益性: C
- ROE (4.44%)、ROA (1.92%) が一般的なベンチマーク（10%、5%）を大きく下回っており、営業利益率も低い水準にあるため。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率が65.7%と極めて高く、流動比率も優良な水準を維持しており、財務基盤が非常に強固であるため。
- 株価バリュエーション: A
- PER (11.11倍) およびPBR (0.45倍) が、それぞれ業界平均PER (15.9倍) およびPBR (0.7倍) と比較して割安な水準にあるため。
企業情報
| 銘柄コード | 4623 |
| 企業名 | アサヒペン |
| URL | http://www.asahipen.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 素材・化学 – 化学 |
バリュー投資分析（5年予測・3シナリオ参考情報）
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ（楽観・標準・悲観）で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,712円 |
| EPS（1株利益） | 154.06円 |
| 年間配当 | 3.50円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.2% | 12.8倍 | 1,993円 | 3.3% |
| 標準 | 0.2% | 11.1倍 | 1,728円 | 0.4% |
| 悲観 | 1.0% | 9.4倍 | 1,529円 | -2.0% |
目標年率別の理論株価（標準シナリオ）
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,712円
| 目標年率 | 理論株価 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 868円 | +844円 (+97%) | △ 割高 |
| 10% | 1,084円 | +628円 (+58%) | △ 割高 |
| 5% | 1,368円 | +344円 (+25%) | △ 割高 |
【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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