日本パレットプール株式会社(4690)の企業分析レポートを個人投資家向けにわかりやすく解説します。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
日本パレットプール株式会社は、輸送用のパレットや関連機器のレンタルサービスを提供する大手企業です。全国に約200カ所の直営・委託デポ(拠点)を持ち、企業活動や物流を支える役割を担っています。JR貨物やNIPPON EXPRESSホールディングスといった大手物流関連企業を大株主に持ち、そのネットワークとインフラを強みとしています。事業はパレットレンタルが売上の93%を占める単独事業です。 - 主力製品・サービスの特徴
主力サービスは、輸送用パレットのレンタルシステムです。このシステムは、様々な消費財、工業製品、原材料の輸送に利用され、効率的な物流をサポートします。パレットの貸与・回収・運用を一貫して行い、これに付随する販売や利用運送収入も事業に含まれます。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
JR貨物やNIPPON EXPRESSホールディングスといった大手物流企業を大株主に持つことは、強固な事業基盤と信頼性、広範な流通ネットワークへのアクセスという点で大きな競争優位性となります。全国約200拠点という広範なデポ網も、物流サービスの提供において強みとなります。しかし、物流業界全体の人手不足や燃料費・運送費・保管料といったコスト上昇は、同社の収益性を圧迫する課題となっています。 - 市場動向と企業の対応状況
国内市場は緩やかな回復基調にあるものの、物価高や人手不足が物流コストを押し上げる要因となっています。同社は、主要顧客である総合化学メーカー向けレンタルが回復傾向にある一方で、個人消費の抑制に伴う一般顧客向けレンタルの伸び悩みに直面しています。これに対し、貸与資産の維持・拡充を継続しつつ、減価償却費の抑制などによる資産運用効率化を図ることで、収益構造の改善に努めています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
具体的なビジョンや中期経営計画の詳細は公開資料からは読み取れませんが、決算短信からは「貸与資産の維持・拡充」を継続し、レンタルプールの競争力を保つ姿勢が見受けられます。また、減価償却費の抑制を推進しており、資産運用効率化に注力していると考えられます。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
データなし。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信に新製品・新サービスの具体的な展開に関する記述はありませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益はパレットレンタル事業に大きく依存しており、主要顧客である総合化学メーカー向けの動向と、一般顧客を含む国内物流市場全体の需要動向が収益を左右します。足元では主要顧客の回復があるものの、コスト高への対応力が持続可能性の鍵となります。物流効率化や環境負荷低減といったニーズの高まりは、パレットレンタル事業にとって追い風となる可能性を秘めていますが、それに対応するための投資や技術革新も求められます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
決算短信からは売上計上時期の大きな偏りに関する特段の記述はありません。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
データなし。 - 収益を牽引している製品やサービス
収益の93%を占める「パレットレンタル」が収益の大部分を牽引しています。特に総合化学メーカー向けのレンタルが好調であることが決算短信で報告されています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価は1,677.0円です。- 1株当たり利益(EPS): 184.50円(会社予想)
- 1株当たり純資産(BPS): 4,144.28円(実績)
現在の株価はBPSを大きく下回っており、純資産価値から見ると割安な水準にあります。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 9.09倍
- 業界平均PER: 15.0倍
- PBR(実績): 0.40倍
- 業界平均PBR: 1.2倍
同社のPER、PBRともに業界平均を大きく下回っており、割安な水準にあると評価できます。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は1643円から1683円の範囲で推移しており、本日の終値は1677円です。この期間ではやや上昇傾向にあり、高値を更新する動きも見られますが、レンジ自体は狭いです。 - 年初来高値・安値との位置関係
- 年初来高値: 2,150円
- 年初来安値: 1,401円
現在の株価1,677円は、年初来高値からは約22%下落した水準であり、年初来安値からは約20%上昇した水準です。レンジ内では中央よりやや安値圏に近い位置にあります。
- 出来高・売買代金から見る市場関心度
出来高は2,900株、売買代金は4,868千円と非常に少なく、市場からの関心度は低いと言えます。流動性が低いため、大きな数量の売買を行う際には注意が必要です。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 2024年3月期に7,582百万円まで増加しましたが、2025年3月期予想では6,935百万円に減少、過去12か月では6,928百万円と横ばい傾向です。直近四半期も前年同期比△0.2%とほぼ横ばいです。
- 営業利益: 2023年3月期に984百万円とピークを迎えましたが、2024年3月期は778百万円、2025年3月期予想は368百万円と大幅な減少傾向にあります。過去12か月では361百万円と予想を下回っています。直近四半期も前年同期比△3.4%の減益です。
- ROE(実績): (単)4.84% (過去12か月では4.34%)。一般的なベンチマークである10%を下回っており、株主資本の効率的な活用には改善の余地があります。
- ROA(過去12か月): 2.18%。一般的なベンチマークである5%を下回っており、総資産の収益性も低い水準です。
- 過去数年分の傾向を比較
過去数年間の売上高は概ね70億円前後で推移していますが、営業利益と純利益は2023年3月期をピークに減少傾向にあります。特に2024年3月期以降の利益率の悪化が顕著で、運送費や保管料などのコスト増が影響していると考えられます。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期(中間期)の通期予想に対する進捗率は、売上高約49.4%、営業利益約49.3%、当期純利益約52.1%でした。上期で概ね半期相当の進捗率であり、現時点では通期予想の達成可能性は高いと判断できます。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績): (単)63.6% (直近四半期末65.1%)。非常に高く、財務の安定性は極めて良好です。
- 流動比率(直近四半期): 0.70 (70.2%)。100%を下回っており、短期的な支払能力には懸念が残ります。流動資産に対し流動負債が多い状況です。
- 負債比率(直近四半期): 負債合計/純資産 ≒ 53.6%。適度な水準であり、過度な負債負担はありません。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率の高さは財務の健全性を示しますが、流動比率の低さは短期的な資金繰りにおける注意点です。しかし、営業キャッシュフローは堅調にプラスを維持しており(+1,327百万円)、また現金及び預金も993百万円と一定水準を維持しているため、直ちに資金ショートのリスクがあるわけではありません。 - 借入金の動向と金利負担
短期借入金1,030百万円、1年内返済予定長期借入金510百万円、長期借入金544百万円と借入金は存在します。金利費用も発生していますが、有利子負債総額に対する自己資本の比率は健全な範囲にあります(Total Debt/Equity 31.77%)。ただし、金利上昇局面においては金利負担が増加するリスクがあります。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績): 4.84%。ベンチマークの10%を下回ります。
- ROA(過去12か月): 2.18%。ベンチマークの5%を下回ります。
- 営業利益率(過去12か月): 6.07% (中間期は5.71%)。前年同期の約5.90%と比較しても微減傾向にあり、利益率の改善が課題です。
- 粗利率(過去12か月): 総売上高に対する粗利益の割合で計算すると、約22.5% (1,558,961 / 6,928,592)。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE、ROAともに一般的なベンチマークを下回っており、資本や資産を効率的に活用して利益を生み出す能力には改善の余地があります。 - 収益性の推移と改善余地
前述の通り、売上高が横ばい〜微減、利益が減少傾向にあるため、収益性は悪化しています。特に運送費・保管料等のコスト上昇が利益を圧迫しており、これら変動費の上昇を価格転嫁できるか、あるいは業務効率化によって吸収できるかが、今後の収益性改善の鍵となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.56と低く、市場全体の変動に対する株価の感応度が小さいことを示します。比較的安定した値動きを期待できる銘柄と言えます。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
- 52週高値: 2,150.00円
- 52週安値: 1,401.00円
現在の株価1,677.0円は、52週高値からの下落率は約22%、52週安値からの上昇率は約20%であり、レンジの下限に近い、安値圏に位置しています。
- 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信に記載された主なリスク要因は以下の通りです。- コスト要因: 燃料費・運送費・保管料の上昇、労働力不足による人件費増。
- 需要変動: 主要顧客の需要変動(回復傾向だが不確実性)、個人消費抑制による一般顧客の需要伸び悩み。
- 投資: 投資(設備投資)に伴うキャッシュ減少。
為替や地政学リスクについては、同社の事業が国内中心のため直接的な影響は限定的ですが、間接的に経済全体に影響を及ぼす可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 現在PER: 9.09倍
- 業界平均PER: 15.0倍
- 現在PBR: 0.40倍
- 業界平均PBR: 1.2倍
PER、PBRともに業界平均と比較して大幅に低い水準にあり、割安感があります。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- EPS(会社予想)184.50円 × 業界平均PER 15.0倍 = 2,767.5円
- BPS(実績)4,144.28円 × 業界平均PBR 1.2倍 = 4,973.136円
算出された目標株価レンジは2,767.5円~4,973.136円となります。
- 割安・割高の総合判断
現在の株価1,677.0円は、業種平均PER・PBRで算出した目標株価レンジを大きく下回っており、総合的に見て非常に割安であると判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 69,500株
- 信用売残: 0株
- 信用倍率: 0.00倍 (売残がないため計算上の数値)
信用買残がある一方で、信用売残がゼロであるため、将来的な買い圧力(踏み上げ)は期待できません。しかし、出来高が非常に少ないため、信用買残が今後の株価上昇圧力となる可能性もあります。ただし、流動性の低い銘柄であるため、信用取引残高の動向には注意が必要です。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
筆頭株主は日本貨物鉄道(11.98%)、次いでNIPPON EXPRESSホールディングス(11.11%)であり、大手物流関連企業が安定株主として名を連ねています。その他、銀行などの金融機関も多数大株主となっています。特定の大株主が複数存在するため、経営の安定度は高いと考えられます。インサイダー保有比率は31.60%。 - 大株主の動向
データなし。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 3.34% (現在の株価1677円、年間配当56円で計算)
- 1株配当(会社予想): 56.00円
- 配当性向(会社予想): 33.87%
配当利回りは3%を超えており、比較的魅力的な水準です。配当性向も約30%と中庸な水準で、安定配当を目指す姿勢が見られます。
- 自社株買いなどの株主還元策
自己株口が微増しており(37,300株)、継続的な自社株買いの実施について明示されていませんが、株価維持の一環として行われている可能性はあります。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
株式報酬型ストックオプションに関する記述はありませんでした。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
直近の決算短信において、大型受注や新製品の発表、大規模な拠点展開といった市場に大きな影響を与えるトピックスは記載されていませんでした。 - これらが業績に与える影響の評価
16. 総評
日本パレットプールは、JR貨物やNIPPON EXPRESSホールディングスを主要株主とする、国内物流を支えるパレットレンタル事業の老舗企業です。全国に広がる強固なネットワークと安定した顧客基盤が強みです。
全体的な見解:
同社は非常に高い自己資本比率を誇り、財務健全性は盤石です。しかし、近年は物流コスト上昇の圧力に直面し、収益性が低下傾向にあります。ROEやROAは業界ベンチマークを下回っており、資本効率の改善が課題です。一方で、株価は業界平均と比較してPER、PBRともに大幅に割安な水準にあり、バリュエーション面では魅力があります。流動性は低いものの、安定株主が多く、安定した経営基盤を持つことから、中長期的な視点で配当利回りを重視する投資家にとっては検討の余地があるかもしれません。ただし、足元の業績悪化傾向と、短期的な流動性の低さには留意が必要です。
- 強み:
- JR貨物、NIPPON EXPRESSホールディングスを大株主とする強固な事業基盤と物流ネットワーク。
- 全国200拠点に及ぶ広範なデポ網。
- 非常に高い自己資本比率(63.6%)による盤石な財務健全性。
- 業界平均と比較して著しく割安な株価バリュエーション(PER 9.09倍、PBR 0.40倍)。
- 3%を超える配当利回り。
- 弱み:
- 売上高、利益ともに近年減少傾向にあり、収益性が悪化している。
- 運送費、保管料、人件費など物流コストの増加が利益を圧迫。
- ROE、ROAが業界ベンチマークを下回り、資本・資産効率に改善の余地。
- 流動比率が100%を下回り、短期的な資金繰りに注意が必要。
- 出来高が極めて少なく、市場の関心度が低い。
- 機会:
- 主要顧客である総合化学メーカー向けの取引数量回復。
- 国内物流の効率化・自動化ニーズの高まりへの貢献。
- 安定した株主構成のもとでの事業再編や効率化による収益構造改善の可能性。
- 脅威:
- 燃料価格や物流人件費の高止まり・さらなる上昇。
- 個人消費の低迷による一般顧客向けレンタルの伸び悩み。
- 市場環境の変化や競争激化。
17. 企業スコア
- 成長性: C
- 売上高は直近で微減傾向、営業利益・純利益も減少基調。通期予想も減益見込み。主要顧客向けは回復する一方、一般顧客向けは伸び悩んでおり、成長ドライバーが不足している印象。
- 収益性: C
- 営業利益率(過去12か月)6.07%は比較的低く、ROE 4.84%、ROA 2.18%はいずれもベンチマークを下回る。コスト増が利益を圧迫し、収益性は悪化傾向にある。
- 財務健全性: B
- 自己資本比率63.6%と高い水準で財務基盤は強固。D/E比率も適度。ただし、流動比率が0.70と100%を下回っており、短期的な流動性には改善の余地がある。
- 株価バリュエーション: S
- PER 9.09倍(業界平均15.0倍)、PBR 0.40倍(業界平均1.2倍)と、業界平均と比較して大幅に割安。純資産、収益性から見ても株価は非常に低い水準にある。
企業情報
| 銘柄コード | 4690 |
| 企業名 | 日本パレットプール |
| URL | http://www.npp-web.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,677円 |
| EPS(1株利益) | 184.50円 |
| 年間配当 | 3.34円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 10.5倍 | 1,929円 | 3.0% |
| 標準 | 0.0% | 9.1倍 | 1,677円 | 0.2% |
| 悲観 | 1.0% | 7.7倍 | 1,498円 | -2.0% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,677円
| 目標年率 | 理論株価 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 842円 | +835円 (+99%) | △ 割高 |
| 10% | 1,052円 | +625円 (+59%) | △ 割高 |
| 5% | 1,327円 | +350円 (+26%) | △ 割高 |
【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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