1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    医家向けの医薬品を主体として研究、開発、製造、販売を行う企業です。特に泌尿器科、血液内科、難病・希少疾患の治療薬に注力しています。また、医薬品事業の他に、健康食品素材やサプリメントなどを提供する機能食品事業も展開しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    医薬品事業が売上の約87%を占めており、希少疾患治療薬である「ビルテプソ」、肺動脈性肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」、レノックス・ガストー症候群治療薬「フィンテプラ」などが主力製品として収益に貢献しています。機能食品事業では、健康食品素材やサプリメント、プロテインなどを取り扱っており、安定的な収益源となっています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    日本新薬は、希少疾患・難病領域といった競合が比較的少ないニッチな領域に強みを持っています。自社創薬と導入品を組み合わせることで、開発リスクを分散しつつ製品ラインナップを拡充しています。特に画期的な新薬を上市し、高薬価で収益を上げられることが競争優位性となっています。
    一方で、医薬品業界全体としては薬価改定や後発医薬品(ジェネリック)の浸透による価格競争が課題です。また、新薬開発には巨額の投資と長期にわたる研究開発期間が必要であり、成功確率は低いという本質的なリスクも抱えています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    世界的に高齢化が進む中で、医療費削減の圧力が高まっており薬価改定が定期的に実施されています。しかし、難病・希少疾患治療薬はアンメットメディカルニーズが高く、医療上の必要性が認められやすいため、影響を受けにくい側面もあります。
    企業は、高成長が期待される希少疾患・遺伝子治療分野での承認・商業化を中長期的な成長ドライバーと位置づけ、グローバルでの開発・販売体制を強化しています。米国での「CAP-1002」のFDA対応など、海外規制当局との連携も重要な局面を迎えています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    公開情報から具体的なビジョンの記載は見当たりませんが、医家向け医薬品事業において泌尿器科、血液内科、難病・希少疾患領域に集中し、特にアンメットメディカルニーズの高い領域での自社創薬と導入品戦略を推進しています。機能食品事業も安定収益の補完として育成しています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    決算短信上、中期経営計画の具体的な数値の記載はありませんでしたが、研究開発パイプラインの進捗(多数のP III段階プロジェクトやグローバル展開)が継続していることが示されており、新製品の発売や導入によるロイヤリティ収入の増加を目指している点が、中長期的な成長シナリオと整合しています。希少疾患領域での新たな治療選択肢の提供が重視されています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    主力製品である肺動脈性肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」やレノックス・ガストー症候群治療薬「フィンテプラ」が販売面で伸長を続けています。その他、アーリーダの共同販促契約改定に伴い、関連売上を自社で計上するようになったことも、通期業績の上方修正要因となっています。遺伝子治療薬ATS-10やムコ多糖症治療薬RGX-121などの開発も進行中です。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    日本新薬の収益モデルは、高い研究開発リスクを伴うものの、成功すれば高い収益性が期待できる画期的な医薬品の開発・販売を核としています。特に希少疾患領域に特化することで、薬価改定の影響を受けにくく、競争圧力も比較的低い市場で優位性を保っています。機能食品事業は、医薬品事業の変動を補完する安定収益源として機能しており、事業ポートフォリオのバランスを取っています。高水準の自己資本比率や流動比率も、長期的な研究開発投資を支える財務基盤を構築しています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    決算短信からは、四半期ごとの売上計上時期に大きな偏りがあるという特段の記載は見られません。中間期の売上進捗率は通期予想の47.4%と、概ね半期ペースであり、一般的な医薬品企業の売上計上パターンに沿っていると考えられます。ただし、新薬の承認時期や大型受注(今回のアーリーダの販促契約改定など)によって、特定の期間に売上が集中する可能性はあります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    日本新薬は、アンメットメディカルニーズの高い領域における自社創薬と、優れた導入品を組み合わせることで、強固なパイプラインを構築しています。特に遺伝子治療や再生医療といった次世代医療技術への投資も積極的に行っており、ATS-10(GUCY2D変異性レーベル先天性黒内障治療薬)やRGX-121(ムコ多糖症治療薬)の開発が進行中です。希少疾患分野での専門性とグローバルな開発体制が独自の強みです。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    2026年3月期第2四半期(中間期)の医薬品事業において、肺動脈性肺高血圧症治療薬「ウプトラビ」やレノックス・ガストー症候群治療薬「フィンテプラ」が売上を伸ばしており、収益を牽引しています。また、工業所有権等収益(ロイヤリティ収入)も増加しており、過去の製品開発が継続的に収益に寄与しています。一方で、神経筋疾患治療薬「ビルテプソ」や血液がん治療薬「ビダーザ」は米国販売の減少や後発品影響により売上が減少しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価:5,992.0円
    • EPS(会社予想): 390.47円
    • PBR(実績): 1.55倍, BPS(実績): 3,855.98円
    • PER(会社予想): 株価 5,992円 ÷ EPS 390.47円 = 約15.35倍
    • PBR(現在株価から算出): 株価 5,992円 ÷ BPS 3,855.98円 = 約1.55倍
      現在の株価は、会社予想EPSに基づくPERが約15.35倍、実績BPSに基づくPBRが約1.55倍となっています。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 27.8倍
    • 業界平均PBR: 1.4倍
      日本新薬のPER約15.35倍は業界平均PER27.8倍と比較して割安水準にあります。
      PBR約1.55倍は業界平均PBR1.4倍と比較して、若干割高な水準ではありますが、大きな乖離はありません。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価推移を見ると、12月8日に年初来高値である6,529円を記録し、その後一時的に下落しましたが、本日(12月16日)は5,992円まで回復しています。直近では大きく変動しており、高値圏近くで推移していると判断できます。特に12月8日には1000万株を超える大きな出来高を伴って急騰しており、強い買いが入ったことを示しています。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 6,529円
    • 年初来安値: 2,967円
      現在の株価5,992円は、年初来高値6,529円に近く、年初来安値2,967円からは大きく上昇した高値圏に位置しています。52週高値6,529円、52週安値2967円と比較しても同様の傾向です。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    直近10日間の出来高は、12月8日には1千万株を超え、ここ数日で数百千株レベルに落ち着いています。本日(12月16日)の出来高は364,200株、売買代金は2,171,723千円でした。これは過去の平均出来高(3ヶ月平均が563.03k株、10日平均が1.94M株)と比較すると、大きな買いが落ち着き、やや出来高が減少傾向にあるものの、依然として高水準であり、市場からの関心は引き続き高い状態にあることを示唆しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上収益(過去12か月):160,547百万円
    • 営業利益(過去12か月):37,162百万円
    • 純利益(過去12か月):31,942百万円
    • ROE(実績):13.94%
    • ROA(実績):8.54%
      売上高は着実に成長しており、営業利益、純利益ともに高水準で推移しています。ROE13.94%とROA8.54%は、いずれも資本や資産を効率的に活用して利益を生み出していることを示す良好な水準です。
  • 過去数年分の傾向を比較
Breakdown 3/31/2022 3/31/2023 3/31/2024 3/31/2025 (予想) 過去12か月
Total Revenue 137,484 144,175 148,255 160,232 160,547
Operating Income 32,948 30,050 33,297 35,451 37,162
Net Income 24,986 22,812 25,851 32,558 31,942

過去数年の売上収益は連続して増加傾向にあります。営業利益は2023年3月期に一時的に減少しましたが、その後は回復し、直近12か月および2025年3月期予想では過去最高水準を更新する見込みです。純利益も同様に回復基調にあり、収益力が強化されていることが伺えます。

  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期(中間期)の連結累計業績は、売上収益79,647百万円(前年中間比+0.4%)、営業利益19,580百万円(同+9.6%)、親会社所有者に帰属する中間利益15,760百万円(同△3.7%)でした。
    通期修正予想(売上収益168,000百万円、営業利益33,000百万円、親会社帰属当期利益26,300百万円)に対する進捗率は、売上で47.4%、営業利益で59.3%、親会社帰属当期利益で59.9%と、利益面で良好な進捗を示しています。これは販管費・研究開発費の減少が寄与したためですが、法人所得税費用の増加により中間純利益は減少しています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 87.1%
    • 流動比率(直近四半期): 5.32倍 (532%)
    • 負債比率 (Total Debt/Equity、直近四半期): 0.97% (非常に低い)
      自己資本比率87.1%は極めて高く、財務基盤が非常に強固であることを示しています。流動比率532%も非常に高く、短期的な支払能力に優れています。また、負債比率0.97%は、ほとんど借入金がない状態であり、企業が外部からの借入に依存せずに事業を運営できる高い財務健全性を示しています。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    健全な自己資本比率と潤沢な流動資産に裏打ちされ、財務安全性は非常に高いと言えます。現在の手元現金も652.9億円あり、Total Debtが25.3億円であることから、資金繰りに全く問題はなく、将来の研究開発投資やM&A、株主還元など、戦略的な資金使途に対する余力も大きいと考えられます。
  • 借入金の動向と金利負担
    Total Debtは2.53B円と極めて低く、負債比率も0.97%と非常に低いため、借入金はほとんどなく金利負担も非常に小さい状況です。これは、金利上昇局面においても経営を圧迫する要因が少ないという点で強みとなります。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12か月): 12.89%
    • ROA(過去12か月): 8.54%
    • 粗利率(Gross Profit / Total Revenue、過去12か月): 109,030M / 160,547M = 約67.9%
    • 営業利益率(Operating Margin、過去12か月): 23.68%
      ROE12.89%、ROA8.54%は、いずれもベンチマークを大きく上回る高い水準であり、資本と資産の効率的な活用が示されています。粗利率約67.9%も高く、製品・サービスの競争力が高いことを示唆しています。営業利益率23.68%は、医薬品業界の中でも特に高い水準であり、効率的な経営体制と高付加価値製品の恩恵を受けていることが伺えます。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    • ROE 12.89% はベンチマーク10%に対し「良好」
    • ROA 8.54% はベンチマーク5%に対し「優良」
      いずれの指標もベンチマークを大幅に上回っており、非常に優れた収益性を有しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年間で売上高営業利益率は、2023年3月期に一時減少したものの、その後は回復・改善傾向にあり、直近中間期では約24.6%まで上昇しています。これは主に販管費・研究開発費の減少が寄与しています。今後も高付加価値の希少疾患薬の販売拡大や、効率的な研究開発投資により、高い収益性を維持・向上させる余地があります。ただし、新薬開発の成功確率は不確実であり、パイプラインの進捗が収益性に与える影響は大きいです。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は-0.48です。これは、市場全体が1%変動する時に、日本新薬の株価が逆方向に0.48%変動することを示唆しており、市場全体の値動きに対して比較的感応度が低く、逆相関に近い動きをする可能性があることを意味します。医薬品セクターはディフェンシブな特性を持つことが多いですが、この値は特にその傾向が強いことを示しています。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 6,529.00円
    • 52週安値: 2,967.00円
      現在の株価5,992.0円は、52週高値圏に位置しており、52週レンジの上限に近い水準です。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信には以下のリスク要因が挙げられています。
    • 薬価・後発品の影響: 定期的な薬価改定や後発医薬品の浸透による価格競争が売上・利益に影響を与える可能性があります。
    • 主要製品の海外売上動向: 特に米国市場など、海外での主要製品(ビルテプソなど)の販売状況や市場環境の変化が業績に影響します。
    • 承認審査(FDA等)結果: 開発中の新薬候補(例: CAP-1002)や適応拡大の承認プロセス(FDA等)が計画通りに進まない場合、収益計画に影響を及ぼす可能性があります。
    • 為替変動: 海外売上や海外からの医薬品導入に関わる費用に為替レートの変動が影響を及ぼす可能性があります。
    • 原材料・製造リスク: 原材料の調達や製造過程における予期せぬ問題が発生する場合、供給遅延やコスト増につながる可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 日本新薬 PER(会社予想): 15.35倍
    • 業界平均PER: 27.8倍
    • 日本新薬 PBR(実績): 1.55倍
    • 業界平均PBR: 1.4倍
      PERは業界平均より割安、PBRは業界平均より若干割高な水準です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 13,177円 (EPS 390.47円 × 業界平均PER 27.8倍)
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 5,398円 (BPS 3,855.98円 × 業界平均PBR 1.4倍)
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価5,992円は、業界平均PERと比較すると割安感がありますが、PBRはほぼ同水準からやや割高感があります。強固な財務基盤と高い収益性、安定的な配当を考慮すると、現在の株価はPERから見れば割安であり、良好な企業価値評価と言えるかもしれません。ただし、PBR基準の目標株価を考慮すると、足元での過度な期待は控えるべき可能性も示唆されます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 410,800株 (+80,000株/前週比)
    • 信用売残: 48,800株 (+3,300株/前週比)
    • 信用倍率: 8.42倍
      信用買残が信用売残を大幅に上回っており、信用倍率8.42倍は買い方が多い状況を示しています。前週比で信用買残が増加しており、短期的な需給バランスは買い圧力が強い状況ですが、将来的な株価上昇局面での売り圧力となる可能性も秘めています。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 機関投資家(日本マスタートラスト信託銀行、日本カストディ銀行、ステート・ストリート・バンクなど)の保有割合が上位を占めており、安定株主として機能していると考えられます。
    • 明治安田生命保険、京都銀行、三菱UFJ銀行、日本生命保険などの金融機関が主要な株主として名を連ねており、安定的な株主構成です。
    • 自社(自己株口)も4.06%保有しています。
  • 大株主の動向
    上位株主は信託銀行や生命保険会社、銀行などの金融機関が中心であり、長期保有を目的とした安定株主が多いと推測されます。直近の大きな変動に関する情報は提供されていません。経営陣の持株比率は個別データがありませんが、公開情報から「% Held by Insiders 1: 5.12%」とされており、一定のインサイダー保有があります。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 1株配当(会社予想): 124.00円
    • 配当利回り(会社予想): 2.07% (株価5992円で計算)
    • 配当性向(通期予想ベース): 124円 ÷ 390.20円 = 約31.8%
      配当利回り2.07%は比較的良好な水準です。配当性向は約31.8%と安定的な水準であり、企業の成長投資と株主還元のバランスが取れていると考えられます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    当中間期では自己株式の取得はほぼ無いと記載されており、直近で積極的な自社株買いは行われていないようです。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    提供された情報からは、株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する具体的な記載はありません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2026年3月期第2四半期決算短信において、通期業績予想の上方修正が発表されました。主な要因は以下の通りです。
    • アーリーダの共同販促契約改定: アーリーダ関連売上を当社で計上することになった点が、売上収益の増加に寄与しています。
    • 販管費・研究開発費の減少見込み: 効率的な費用管理により、利益面も上方修正されました。
  • これらが業績に与える影響の評価
    通期予想の上方修正は、市場にとってポジティブな材料です。特に、中間期の利益進捗率が営業利益、親会社当期利益ともに約60%と高水準であることから、通期予想の達成可能性は高いと評価できます。これは、主力製品の順調な販売に加え、コストコントロールが奏功していることを示唆しています。ただし、米国でのCAP-1002のFDA対応など、将来のパイプラインに関するリスク要因は依然として存在します。

16. 総評

日本新薬(4516)は、医薬品事業を主軸とし、特に希少疾患・難病領域に強みを持つ企業です。強固な財務基盤と高い収益性を有し、安定的な株主還元も行っています。

  • 全体的な見解
    財務面では自己資本比率87.1%、流動比率532%、負債比率0.97%と極めて健全な状態であり、キャッシュも潤沢です。収益性もROE12.89%、ROA8.54%と高く、資本効率の良い経営ができています。足元の業績も中間期での利益進捗が好調で通期予想を上方修正するなど順調に推移しています。PERは業界平均と比較して割安水準にあり、一方でPBRは概ね平均並みです。
    • ポジティブ要因:
    • 希少疾患・難病領域に特化した高い利益率と強固なパイプライン。
    • 極めて健全な財務体質(高い自己資本比率、潤沢な手元資金、低い負債)。
    • 継続的な売上成長と安定した高収益性。
    • 今期の中間期における良好な利益進捗と通期業績の上方修正。
    • 業界平均PERと比較した割安感。
    • 安定的な配当利回り。
    • ネガティブ要因:
    • 特定製品への収益依存度や、研究開発の成功不確実性。
    • 新薬の海外承認遅延や規制リスク(例:CAP-1002のFDA対応)。
    • 薬価改定や後発医薬品の影響を受ける可能性。
    • 直近の株価は年初来高値圏にあり、短期的な過熱感も存在。
  • 強み・弱み・機会・脅威(SWOT整理)
    • 強み (Strengths):
    • 希少疾患・難病領域に特化した高付加価値医薬品による高い収益性。
    • 極めて高い自己資本比率と潤沢な現金による強固な財務基盤。
    • 安定的な収益を補完する機能食品事業。
    • 効率的な費用管理と安定的な製品ラインナップによる堅実な利益成長。
    • 弱み (Weaknesses):
    • 研究開発の成功不確実性と開発期間の長期化。
    • 新薬承認プロセスにおける海外規制当局のリスク。
    • 特定の主力製品(ビルテプソなど)の米国販売動向による業績変動リスク。
    • 機会 (Opportunities):
    • 希少疾患・遺伝子治療市場の拡大とアンメットメディカルニーズの高さ。
    • 海外市場(特に米国)での新薬展開とロイヤリティ収入の拡大。
    • 新しいテクノロジー(遺伝子治療など)を導入したパイプラインの強化。
    • 脅威 (Threats):
    • 薬価改定や後発医薬品の浸透による価格競争の激化。
    • 競合他社による同領域での新薬開発。
    • 為替変動や原材料価格の高騰などの外部要因。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 売上は過去数年堅調に増加しており、今期も上方修正で増収増益を見込む。主力製品であるウプトラビやフィンテプラが好調であり、アーリーダの契約改定も寄与。新しいパイプラインの進捗も期待される。
  • 収益性: S
    • 粗利率約67.9%、営業利益率約23.68%と非常に高く、ROE12.89%、ROA8.54%もベンチマークを大幅に上回る。医薬品事業の高い付加価値と効率的な経営が評価される。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率87.1%、流動比率532%、負債比率0.97%と極めて健全であり、現金保有も潤沢。財務安全性は非常に高い。
  • 株価バリュエーション: B
    • PER(15.35倍)は業界平均(27.8倍)より割安だが、PBR(1.55倍)は業界平均(1.4倍)に近く、若干割高感もあるため、中立と評価。

企業情報

銘柄コード 4516
企業名 日本新薬
URL http://www.nippon-shinyaku.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 医薬品 – 医薬品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 5,992円
EPS(1株利益) 390.47円
年間配当 2.07円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 9.6% 19.8倍 12,212円 15.3%
標準 7.4% 17.2倍 9,589円 9.9%
悲観 4.4% 14.6倍 7,090円 3.5%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 5,992円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 4,774円 +1,218円 (+26%) △ 割高
10% 5,962円 +30円 (+1%) △ 割高
5% 7,523円 -1,531円 (-20%) ○ 割安

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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