決算説明：リビン・テクノロジーズ（4445）

2025年９月期　第３四半期決算説明資料

エグゼクティブサマリー

• 経営陣のメッセージ: 広告効率改善により営業利益率が大幅に改善し、通期の利益目標を今期2度目の上方修正。第2の主力事業（外壁塗装DX、建築DX等）を成長の柱に育成し、東証グロース上場維持の基準（時価総額100億円）早期達成を目指す。
• 業績ハイライト: 3Q累計連結営業収益 26.98億円（前年同期比 +0.5%）、連結営業利益 3.89億円（前年同期比 +125.1% → 表示は225.1%）、経常利益 3.77億円（前年同期比 +113.6% → 表示は213.6%）、四半期純利益 2.57億円（前年同期比 +153.2% → 表示は253.2%）。営業利益率は第3四半期累計で14.4%（前年同期 6.4%、+8.0pt）。（数値は資料記載）
  • 良い目安: 営業利益率が大幅改善・利益進捗が高い（営業利益進捗105.2%）
  • 注意点: 売上の通期進捗は74.9%とやや下期依存
• 戦略の方向性: マッチングプラットフォーム（リビンマッチ等）を軸に、DXクラウド（SaaS型）でアップセル・ストック収益化を図る。外壁塗装DXの吸収合併（2025/7/1）で経営効率化、建築DXは営業増員とデジタルマーケティング強化で拡大。M&A・提携で第3の主力事業候補探索。
• 注目材料: 通期業績予想の上方修正（営業利益 370→460 百万円、経常利益 330→433 百万円、親会社株主に帰属する当期純利益 250→321 百万円）、株主優待制度の新設（デジタルギフト、200株以上）、自己株式取得（上限53,000株、上限額148百万円、取得済み20,900株/64百万円）。
• 一言評価: 広告効率改善で利益拡大の流れが明確化。売上拡大の継続性と投資効果の実行が鍵。

基本情報

• 企業概要: リビン・テクノロジーズ株式会社（東証グロース：4445）。主要事業：DXプラットフォーム事業（領域特化型DXプロダクトの開発・運営。主にマッチングプラットフォームとDXクラウド）。代表者：川合 大無。
• 説明会情報: 2025年8月14日、資料は「2025年9月期 第3四半期 決算説明資料」。説明会形式：–（資料のみ／オンライン開催の記載なしのため「–」）。
• 説明者: 発表スライドの主旨は経営陣（代表取締役社長 川合氏）を中心に作成。発言概要：広告効率改善と第2の主力事業育成、株主還元強化。
• セグメント: 主力は「DXプラットフォーム事業」――①マッチングプラットフォーム（リビンマッチ、ぬりマッチ、メタ住宅展示場等）、②DXクラウド（SMS配信、AI査定、SFA等）。（セグメント別の独立した財務開示は資料内に限定的）

業績サマリー

• 主要指標（第3四半期累計・連結）
  • 営業収益：2,698,163千円（26.98億円）、前年同期比 +0.5%（100.5%） → 目安：横ばい
  • 営業利益：389,061千円（3.89億円）、前年同期比 +125.1%（資料表記225.1%）※資料に225.1%記載、営業利益率 14.4%（前年同期 6.4%、+8.0pt） → 目安：大幅改善（良）
  • 経常利益：377,016千円（3.77億円）、前年同期比 +113.6%（資料表記213.6%） → 目安：大幅改善（良）
  • 純利益（親会社株主に帰属）：257,059千円（2.57億円）、前年同期比 +153.2%（資料表記253.2%） → 目安：大幅改善（良）
  • 1株当たり利益（EPS）：第3Q単体は資料非開示（–）。通期修正予想：238.90円（前回予想 186.07円、前期実績 84.86円。前年同期比通期ベース +181.6%）
• 予想との比較
  • 会社予想に対する達成率（通期予想に対する3Q累計進捗）
  • 売上高進捗率：74.9%（2,698/3,600 百万円） → 通期売上は残り約901百万円
  • 営業利益進捗率：105.2%（389/370 百万円＝前回発表予想ベース） → 利益目標は既に超過
  • サプライズの有無： 営業利益の大幅改善と通期の2度目の上方修正がポジティブなサプライズ。
• 進捗状況
  • 通期予想に対する進捗（売上74.9%、営業利益105.2%、純利益の進捗は資料で明示なし）。
  • 中期経営計画・年度目標に対する達成率：通期利益目標は上方修正により増額、現時点で利益面は達成度高い。時価総額100億円目標への到達可能性は未確定。
  • 過去同時期との進捗比較：第3四半期累計は過去最高水準（営業収益・営業利益ともに3Q累計で過去最高）。
• セグメント別状況
  • 明確な売上・利益のセグメント別数値は非開示。事業別KPI等からの状況：
  • マッチングプラットフォーム（リビンマッチ等）：査定依頼約24万件/年（同社最大の集客源）
  • DXクラウド：3Q時点で建築DXは前年通期の4.8倍の営業収益を達成（営業人員倍増・デジタル強化の効果）
  • KPI：第3Qで月間平均クライアント数 約2,240社、ARPU 約130,424円（3Q）—クライアント増加とARPUの推移は成長を示唆

業績の背景分析

• 業績概要: 広告効率改善（広告費率低下）により営業費用が減少し、営業利益率が大幅改善。成長投資は継続しつつも広告費最適化で収益性が向上。
• 増減要因:
  • 増収の主要因：クライアント数増加（第2の主力事業）、建築DXの営業増員とデジタルマーケティング強化による送客増。
  • 減収の要因：特段の減収は無し（前年同期比で横ばい）。過去に会計基準変更で一時的な営業収益減少の影響あり（資料参照）。
  • 増益の主要因：広告効率改善（広告費率低下）、営業費用統制（外壁塗装DX関連費の見直し等）により営業費用が▲202,572千円（対前年同期）減少。
  • 一時的要因：M&A関連費用の変動（前期にM&A費計上あり）、外壁塗装DXを吸収合併（7月1日付）の影響。
• 競争環境: 不動産テックや大手不動産ポータル等と競合。差別化要因は不動産所有者向けニッチ領域に集中したマッチング力、年間24万件の査定依頼と約2,100社の顧客網、内製開発力（DXクラウドとメディアの連携）が強み。
• リスク要因: マーケティング投下効率の後退、M&A失敗や投資回収の遅れ、広告市場変動、景況感悪化による不動産取引低迷、規制変化、為替・金利等マクロ要因。

戦略と施策

• 現在の戦略:
  • 第2の主力事業（外壁塗装DX、建築DX等）の推進と収益化
  • 事業ポートフォリオ再編（子会社吸収合併で経営効率化）
  • 成長投資（インオーガニック含む）、M&A・提携による非連続成長探索
  • 利益率改善（広告効率改善を継続）
• 進行中の施策:
  • 外壁塗装DX子会社（リビンDX）を吸収合併（7/1完了）→経営効率・財務統合
  • 建築DX：営業人員倍増、デジタルマーケティング強化、新サービス（AI搭載）リリース
  • AIスコアリング・広告効率管理システムを実装完了
• セグメント別施策:
  • マッチングプラットフォーム（リビンマッチ等）：新規営業強化、UX改善、広告最適化
  • 外壁塗装DX：投資継続、営業収益3倍を目標（進行中）
  • 建築DX：SaaS化・営業増強でストック収益化
• 新たな取り組み:
  • 株主優待の導入（デジタルギフトへの変更）
  • 資本政策（自己株式取得）による株主還元・流動性向上
  • 出資（I’mbesideyou等）や提携（クラスコグループ、アドバイザーナビ等）で領域拡大

将来予測と見通し

• 業績予想（通期：2025年9月期・今回修正予想）
  • 売上高：3,600 百万円（当初および前回同額）
  • 営業利益：460 百万円（前回 370 百万円 → +24.3%）
  • 経常利益：433 百万円（前回 330 百万円 → +31.2%）
  • 親会社株主に帰属する当期純利益：321 百万円（前回 250 百万円 → +28.4%）
  • EPS（通期予想）：238.90 円（前回 186.07 円、前期実績 84.86 円）
• 予想の前提条件: 為替等の明示的前提は資料に記載なし。需要は第2事業候補の成長、広告効率維持が前提。
• 予想の根拠と経営陣の自信度: 第3Q時点の利益進捗が高く、広告効率改善が継続していることを根拠に上方修正。資料では自信を示す姿勢。
• 予想修正: 通期の利益項目を2度目の上方修正（理由：第3Q時点の利益達成が想定を上回ったため）。
• 中長期計画:
  • 目標：東証グロース上場維持基準の時価総額100億円の早期達成
  • 中期計画の進捗：第2事業の伸長・DXクラウドのSaaS化で収益基盤強化中。進捗良好だが到達時期は不確定。
• 予想の信頼性: 第3Qで営業利益が通期予想を超過しており利益面は堅め。一方、売上は下期偏重の想定であるため、売上面の下振れリスクは残る。
• マクロ経済の影響: 不動産市場の需給・金利動向、広告費市場の動向、景気後退リスクが業績に直結する可能性。

配当と株主還元

• 配当方針: 明確な年間配当金額は資料に記載なし。株主還元は「株主優待の継続」「自己株式取得の実施」「IR強化」を掲げる。
• 配当実績: –（資料に現時点の配当金額は記載なし）
• 株主優待:
  • 変更後：2単元（200株）以上、毎年3月・9月末基準日、デジタルギフト® 15,000円分（年間30,000円分）。
  • 以前はQUOカード 15,000円分／回（年間30,000円）。
  • 財源：利益剰余金 14億円、現金及び預金 18.7億円（2025年6月末）を背景に無期限で実施。
• 自己株式取得:
  • 取得上限：53,000株（発行済株式総数の3.94%）、取得上限金額 148百万円、取得期間 2025/5/16–2025/9/22。
  • 累計取得（2025/5/16～7/31）：20,900株、取得金額合計 64百万円（株数ベース 39.43%、金額ベース 43.26%完了）。
• 特別配当等: なし。

製品やサービス

• 主要製品／サービス:
  • マッチングプラットフォーム（成功報酬型）：リビンマッチ（不動産査定等、年間約240,000査定）、ぬりマッチ（外壁塗装）、メタ住宅展示場（VR）等。
  • DXクラウド（サブスク型）：SMS送信（SMS hunter）、AI査定書作成（査定書つくるくん）、賃貸管理向けSFA（管理戸数ふえるくん）、仲介王向けクラウド等。
• 提供エリア・顧客層: 日本全国、クライアントは住宅関連会社（約2,100社の顧客基盤）。
• 協業・提携: アドバイザーナビ（資産運用ナビ運営）と業務提携、クラスコグループとアライアンス（賃貸管理領域のDX推進）、I’mbesideyouへ出資等。
• 成長ドライバー: 年間24万件の査定依頼による集客力、DXクラウドのSaaS化でストック収益化、外壁塗装DX・建築DXの拡大、AI機能導入による成果向上。

Q&Aハイライト

• 経営陣の姿勢（資料からの示唆）：広告効率改善・第2事業の収益化を重視、資本政策に積極的（優待・自己株取得）で個人投資家向けIR強化を表明。
• 未回答事項: 将来のM&A方針の具体的ターゲット、売上成長の定量的見通し（地域別・サービス別）、配当方針の詳細（配当金額）は明確化されていない。
• ポジティブ要因:
  • 広告効率改善に伴う営業利益率の大幅改善（6.4%→14.4%）。
  • 第3Q累計で営業利益が通期前回予想を超過、通期上方修正。
  • 年間240,000件の査定依頼と約2,100社の顧客網という強力な集客・販売チャネル。
  • 内製開発力とDXクラウドのSaaS化によりストック収益化の可能性。
  • 財務面は現金預金18.7億円、利益剰余金14億円と潤沢。
• ネガティブ要因:
  • 売上は通期で下期偏重（3Q進捗74.9%）のため下期の動向に依存。
  • 成長投資（計330,000千円）の回収タイミングと有効性が未確定。
  • 業界全体の不動産市況や広告市場の変動リスク。
• 不確実性:
  • M&A・提携による事業拡張の成否、外壁塗装DX等新事業の事業化成功度合い。
  • マクロ（景気・金利）や競合動向による需要変動。
• 注目すべきカタリスト:
  • 通期業績の最終実績（期末発表）の内容
  • 建築DX・外壁塗装DXの次期KPI（クライアント数・ARPU・解約率等）
  • M&Aや新規事業の具体的発表、自己株式取得の最終実施状況、株主優待の実運用反応（流動性・株主還元評価）

重要な注記

• 会計方針: 過去に収益認識基準の適用によりネット広告代理店分が不算入となった影響があり、比較時には注意が必要（資料参照）。
• 特記事項:
  • 外壁塗装DX子会社の吸収合併（2025/7/1）による経営効率化・財務統合。
  • 成長投資予定額 330,000千円（2024/11/14発表の計画）に対し、3Q進捗率 38.9%（累計投資額 128,506千円）。
  • 本資料は見通し情報を含み、実際の結果と異なるリスクがある旨の免責記載あり。
• その他: Q&A未掲載のため、追加情報は今後のIRや決算発表資料を参照のこと。

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