1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    マブチモーターは、小型モーターの製造・販売で世界的に高いシェアを持つ企業です。主な用途は自動車部品、家電、電動工具、医療機器などで、特に車載用小型モーターでは世界有数の地位を確立しています。生産拠点は全て海外にあり、グローバルな事業展開を行っています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    主力製品は、自動車用電装機器向けの小型モーター(売上構成比約78%)です。具体的には、ドアミラー、ドアロック、パワーウインドウ、パーキングブレーキなどに使われるモーターを提供しています。また、ライフ・インダストリー機器向けのモーター(売上構成比約22%)では、家電、電動工具、理美容、健康、医療機器など幅広い分野で利用されています。高効率・高信頼性が求められる小型モーター市場において、多岐にわたる製品群とグローバル供給体制が特徴です。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    小型モーター分野において世界トップクラスのシェアを誇り、特に車載用ではミラー用などの分野で首位を獲得しています。長年培ってきた技術力、品質、コスト競争力、そして世界各地に広がる生産・供給体制が大きな競争優位性となっています。しかし、自動車産業の電動化やスマート化の進展に伴い、より高機能なモーターや制御システムへの対応が求められるほか、為替変動や原材料価格の変動、地政学リスクなどが事業に影響を与える可能性があります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    世界経済の低成長懸念や米中貿易摩擦、地政学リスクなどにより、自動車生産や産業需要は不確実な状況にあります。ライフ・インダストリー(医療・健康)分野は比較的安定した需要が見込まれます。同社は、M&Aを通じてステッピングモーターやブラシレスモーターの技術・製品ラインを拡充し、モーション(動き)ソリューション企業への転換を目指すことで、市場の変化に対応しようとしています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    「経営計画2030(e-MOTO)」を掲げ、単なるモーターメーカーからモーションソリューションを提供する企業への変革を目指しています。これは、モーター単体だけでなく、周辺機器や制御技術と組み合わせた高付加価値ソリューションを提供することで、新たな成長分野を拓く戦略です。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    重点分野としては、「e-MOTO(モーションソリューション)」コンセプトに基づく製品ラインの拡充、医療・産業分野での高付加価値製品展開の強化を挙げています。具体的な施策として、直近の決算短信では以下のM&Aの実施・予定が示されています。
    • オービー工業(現:マブチオービーギアシステム):モーターとギアを組み合わせた製品を強化。
    • OKIエム・イー(現:マブチモーターマイクロテック):ブラシレスモーターなどの製品・技術を取得。
    • 日本パルスモーター:ステッピングモーターの技術・製品ラインを強化予定。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信には具体的な新製品・サービス名での記述はありませんが、上記のM&Aを通じて、ステッピングモーター、ブラシレスモーター、制御系技術といった新たな技術・製品群を取り込み、e-MOTOコンセプト実現に向けた製品ライン拡充を進めていることが示されています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社の収益モデルは、小型モーターの大量生産とグローバル供給体制に強みがあります。自動車電装機器向けが売上の大半を占めますが、ライフ・インダストリー機器向けも展開することで事業ポートフォリオを分散しています。電動化や自動運転の進展により、車載モーターの需要構造が変化する可能性に対応するため、M&Aによる高機能モーターや制御技術の取り込み、医療・産業分野へのシフトを進めており、市場ニーズの変化への適応を図っています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データなし

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    「e-MOTO」コンセプトのもと、モーター単体でなく「動き(モーション)」全体を制御するソリューション提供を目指し、M&Aを通じてステッピングモーターやブラシレスモーター、減速機、制御回路などの技術を取り込み、製品の高機能化・複合化を進めています。これが同社の技術革新の方向性であり、独自のモーションソリューション提供を目指す強みと言えます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    現在の収益を牽引しているのは、自動車電装機器向けの小型モーターです。特にミラー、ドアロック、パワーウインドウ、パーキングブレーキなどに使われるモーターが収益の柱となっています。今後は、ライフ・インダストリー機器分野(特に健康・医療用)の高付加価値製品や、M&Aで拡充した新しいモータ技術群も収益貢献が期待されます。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 2,808.0円
    • EPS(会社予想): 132.61円
    • BPS(実績): 2,548.32円
    • PER(会社予想): 2808.0円 ÷ 132.61円 = 21.17倍
    • PBR(実績): 2808.0円 ÷ 2548.32円 = 1.10倍
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 24.2倍
    • 業界平均PBR: 1.6倍
      同社のPER(21.17倍)は業界平均PER(24.2倍)より低く、PBR(1.10倍)も業界平均PBR(1.6倍)より低い水準にあります。この比較では、現在の株価は業界平均と比較して割安感がある可能性があります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は2800円台を中心に推移しており、本日安値が2796円と2800円を下回る場面もありました。直近高値が2900円(2025/12/16)であることから、現在の2808.0円は直近ではやや軟調なレンジにありますが、年初来高値に近づいている水準です。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 2,900円
    • 年初来安値: 1,984円
      現在の株価2,808.0円は、年初来安値から約41.5%上昇し、年初来高値からは約3.2%低い水準にあります。年初来高値に迫る水準であり、高値圏にあると言えます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日出来高は180,900株、売買代金は508,337千円です。直近3ヶ月平均出来高375.07千株、10日平均出来高381.91千株と比較して、本日出来高は低い水準であり、市場の関心はやや低下している可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高(過去12か月): 195,856百万円
    • 営業利益(過去12か月): 24,596百万円
    • 純利益(過去12か月、Net Income Common Stockholders): 9,268百万円
    • ROE(過去12か月): 6.44%
    • ROA(過去12か月): 4.64%
      売上高は安定的に推移しており、過去のトレンドでは増加傾向にあります。営業利益も増加傾向で、企業努力がうかがえます。ROEとROAは一般的なベンチマーク(ROE10%、ROA5%)を下回っていますが、過去の推移や同社の事業特性も考慮が必要です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • Total Revenue: 2021年134,595百万円 → 2022年156,706百万円 → 2023年178,663百万円 → 2024年(予)196,212百万円と堅調に増加トレンドです。
    • Operating Income: 2021年13,800百万円 → 2022年10,824百万円 → 2023年15,536百万円 → 2024年(予)21,645百万円と、2022年の一時的な減少を除けば改善傾向にあります。
    • Net Income Common Stockholders: 2021年14,251百万円 → 2022年14,295百万円 → 2023年19,416百万円 → 2024年(予)12,831百万円と、2024年予想は一時的に減少が見込まれていますが、これは「Total Unusual Items」の計上(△6,665,000千円)が影響している可能性があります。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2025年12月期第3四半期累計(2025年1月1日~2025年9月30日)の連結業績は以下の通りです。
    • 売上高: 147,025 百万円(通期予想193,000百万円に対し進捗率 76.1%)
    • 営業利益: 19,556 百万円(通期予想21,600百万円に対し進捗率 90.6%)
    • 経常利益: 23,441 百万円(通期予想22,300百万円に対し進捗率 105.2%)
    • 親会社株主に帰属する当期純利益: 18,097 百万円(通期予想16,500百万円に対し進捗率 109.7%)
      売上高は順当な進捗ですが、営業利益、経常利益、純利益は第3四半期時点で既に通期会社予想を超過しています。会社は通期予想を据え置いていますが、利益面では上振れの可能性が高いと判断されます。これは、売価・プロダクトミックス改善や為替差損益の改善が大きく寄与しています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 90.0% (2025/9/30時点では90.5%) – 非常に高い水準であり、財務の安定性を示しています。
    • 流動比率(直近四半期): 891% – 非常に高く、短期的な支払い能力に極めて余裕があります。
    • 負債比率(Total Debt/Equity, 直近四半期): 0.57% – 極めて低い水準であり、有利子負債が非常に少ないことを示しています。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率が90%を超え、流動比率も800%を優に超える水準であることから、財務安全性は極めて高いと言えます。手元の現金(Total Cash: 127.58B)も豊富であり、資金繰りにも全く問題がない状況です。
  • 借入金の動向と金利負担
    有利子負債は短期借入金614百万円、長期借入金1,163百万円と限定的です。Total Debt/Equity比率も非常に低く、金利負担はほとんどないと言えます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12か月): 6.44%
    • ROA(過去12か月): 4.64%
    • Profit Margin(過去12か月): 10.08%
    • Operating Margin(過去12か月): 14.10%
    • 売上総利益率(過去12か月): Gross Profit 56,861百万円 / Total Revenue 195,856百万円 = 29.03%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(6.44%)は一般的なベンチマークとされる10%を下回っており、ROA(4.64%)も5%にわずかに届いていません。資本効率の面では改善の余地があると言えます。ただし、非常に高い自己資本比率(90%超)は、負債を抑える一方でROEを押し下げる傾向もあります。
  • 収益性の推移と改善余地
    第3四半期決算では、売上高が横ばいながら、売価・プロダクトミックスの改善や為替差損益の改善により売上総利益率および営業利益率が大幅に改善しました。Q3累計の営業利益率は13.3%と、過去12カ月の14.10%に近い水準です。利益率の改善は収益性の向上に貢献していますが、ROE/ROAの向上には、更なる総資産回転率の向上や、自己資本の効率的な活用(例:より積極的な株主還元など)も考えられます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は0.29です。これは市場全体の値動きに対して、同社の株価が約0.29倍しか変動しないことを示しており、市場感応度が非常に低い、ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 2900.00円
    • 52週安値: 1984.00円
      現在の株価2,808.0円は、52週高値に近い水準に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 為替変動リスク:海外売上比率が非常に高く、為替レートの変動が業績に大きく影響します。
    • 原材料価格変動リスク:銅、鋼材、レアアースなどの原材料価格の変動が製造コストに影響します。
    • 世界経済・地政学リスク:世界経済(特に中国の景気動向)の低成長懸念、米国の関税政策、地政学的な不確実性が、自動車生産や産業需要に影響を与えます。
    • 自動車市場の需要低迷リスク:主力である自動車電装機器市場の需要低迷は業績に直結します。
    • M&Aの統合リスク:積極的なM&Aを進めているため、買収した企業のPMI(Post Merger Integration)がうまく進まない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想): 21.17倍 (業種平均PER: 24.2倍) → 業種平均より割安
    • PBR(実績): 1.10倍 (業種平均PBR: 1.6倍) → 業種平均より割安
      同社の株価は、PER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 132.61円(EPS) × 24.2倍(業界平均PER) = 3,208.16円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 2,548.32円(BPS) × 1.6倍(業界平均PBR) = 4,077.31円
      提供データによる目標株価はPER基準で1,803円、PBR基準で4,078円とあり、PER基準の計算値と乖離があるため、提供データに基づき判断します。
    • 提供された目標株価(業種平均PER基準): 1,803円
    • 提供された目標株価(業種平均PBR基準): 4,078円
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価2,808.0円は、業種平均PER基準の目標株価(1,803円)と比べると割高ですが、業種平均PBR基準の目標株価(4,078円)と比べると割安です。全体的には、PBRで見て割安感があり、高い自己資本比率や安定した財務基盤を考慮すると、バリュエーションは妥当なレンジにある、あるいはやや割安と評価できる可能性があります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 255,900株
    • 信用売残: 74,400株
    • 信用倍率: 3.44倍
      信用買残が信用売残を上回っており、信用倍率は3.44倍と比較的高いため、短期的な需給はやや売り圧力がかかる方向に傾いている可能性があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で11.98%。
    • 創業家と関係者(馬渕隆一、公益財団法人マブチ国際育英財団、(有)プルミエ、馬渕喬、馬渕保、レイ・コーポレーション)が合計で約31.7%を保有しており、安定株主が多いと言えます。
    • 自社(自己株口)も4.55%を保有。
    • % Held by Insiders: 25.59%
    • % Held by Institutions: 24.32%
      経営陣・創業者一族による安定的な株式保有と、機関投資家による一定の保有があるため、株主構成は比較的安定していると見られます。
  • 大株主の動向
    直近の決算短信では、自己株式取得・消却を実施しており、これによって市場に出回る株式数が減少し、1株あたりの価値が向上する方向に作用する可能性があります。大株主では信託銀行が上位に位置しており、中長期的な保有傾向が見られます。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 2.78% (株価2808.0円、1株配当78.00円より算出)
    • 1株配当(会社予想): 78.00円
    • 配当性向(会社予想EPS132.61円に基づく): 78.00円 ÷ 132.61円 = 58.8%
      配当性向は58.8%と、利益のうち比較的高い割合を配当に回す方針が見られます。ただし、提供データではPayout Ratioが103.34%とあり、これは過去12か月の実績EPSに基づいたものと考えられます。成長投資とのバランスを考慮する必要があるかもしれません。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    • 2025年12月期第3四半期決算短信によると、「自己株式取得枠設定(上限12,000,000株・取得価額上限190億円、取得期間 2025/10/1~2026/9/30)」を決議しており、既に一部取得・消却も実施済みです。これにより、積極的な株主還元と資本効率の向上を図る姿勢が見られます。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    決算短信には株式報酬型ストックオプションに関する直接の記載はありませんが、積極的な株主還元策から、株主価値向上への意識は高いと判断できます。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年12月期第3四半期決算短信に以下の重要なトピックスが記載されています。
    • M&Aによる事業ポートフォリオ拡充:
    • 第2四半期にオービー工業(現:マブチオービーギアシステム)を連結子会社化。
    • 第3四半期にOKIエム・イー(現:マブチモーターマイクロテック)を取得(負ののれん発生益32百万円を計上)。
    • 重要な後発事象として、日本パルスモーター株式会社の株式取得(子会社化、2026年1月上旬予定)を決議。これにより、ステッピングモーターやブラシレスモーターにおける製品ライン・技術の強化を図ります。
    • 資本政策の強化:
    • 自己株式取得・消却を実施済み。加えて、追加の自己株式取得枠(上限12,000,000株・190億円)を設定し、取得後消却を予定しています。
    • 株式分割(1株→2株)を2026年1月1日付で実施予定です。これにより、投資単位の引き下げによる投資家層の拡大や株式の流動性向上が期待されます。
  • これらが業績に与える影響の評価
    M&Aは「経営計画2030(e-MOTO)」の実現に向けた具体的な施策であり、新たな技術の獲得と製品ラインの拡充により、中長期的な成長に寄与すると考えられます。特に負ののれん発生益の計上は、一時的に純利益を押し上げ、利益面でのサプライズ要因となっています。自己株式取得・消却は1株当たりの利益を向上させ、株式分割は株価の流動性向上に貢献します。これらの施策は株主価値向上に対する強いコミットメントを示しており、市場からの評価につながる可能性があります。

16. 総評

マブチモーターは、小型モーター分野で世界的な競争力を持つグローバル企業です。主力である車載電装機器向けは市場の不確実性があるものの、ライフ・インダストリー機器向けの安定需要と、M&Aによる事業ポートフォリオ拡充戦略により、中長期的な成長基盤の強化を進めています。
強み(Strengths):

  • 小型モーター分野における世界トップクラスの市場シェアと技術力。
  • 全量海外生産によるグローバル供給体制とコスト競争力。
  • 極めて高い自己資本比率と潤沢な手元資金に裏打ちされた盤石な財務基盤。
  • 「e-MOTO」コンセプトに基づく積極的なM&A戦略による技術・製品ラインの拡充。
  • 利益面で通期予想を上回る第3四半期決算内容と保守的な会社予想。
  • ベータ値が低く、市場変動に対する株価の安定性。

弱み(Weaknesses):

  • ROE、ROAが一般的なベンチマークを下回っており、資本効率の改善余地。
  • 特定の事業(自動車電装機器)への依存度が高いこと。
  • 直近の売上成長率が限定的であること。

機会(Opportunities):

  • M&Aを通じた新たな成長分野(ステッピング、ブラシレス、制御系)への展開。
  • 健康・医療分野といった安定的な需要が見込める市場での拡大。
  • 株式分割や自己株式取得による株主還元強化と投資家層の拡大。

脅威(Threats):

  • 世界経済の減速や地政学リスクによる自動車生産・産業需要の低迷。
  • 為替変動や原材料価格の高騰による収益性への影響。
  • M&A後のPMI失敗リスク。
  • 自動車産業の技術変化(EV化など)への継続的な適応。
  • 第3四半期までの利益進捗は順調で、通期会社予想の上振れが期待される一方で、会社は市場環境の不確実性から保守的な見通しを維持しています。
  • 積極的なM&Aと資本政策(自己株式取得、株式分割)は、中長期的な企業価値向上と株主還元へのコミットメントを示しています。
  • 財務基盤は極めて強固であり、安定志向の投資家にとって魅力的な要素です。
  • 株価バリュエーションはPER、PBRともに業界平均と比較して割安感がありますが、年初来高値圏にあるため、短期的には調整局面も考慮が必要です。

17. 企業スコア

  • 成長性: B(中立)
    • 第3四半期の売上成長率は前年同期比+0.6%と限定的ですが、M&Aによる新製品展開やポートフォリオ拡充への意欲は見られます。通期売上予想進捗率は順当。
  • 収益性: B(中立)
    • 粗利率約29%、営業利益率約14%は確保していますが、ROE6.44%、ROA4.64%は一般的なベンチマーク(ROE10%、ROA5%)に届いていません。ただし、Q3での利益率改善は評価できます。
  • 財務健全性: S(極めて優良)
    • 自己資本比率90.5%、流動比率891%、D/E 0.57%と非常に高い水準で、極めて安定した財務基盤です。現金保有額も豊富です。
  • 株価バリュエーション: A(割安)
    • PER(会社予想)21.17倍は業界平均24.2倍より低く、PBR(実績)1.10倍は業界平均1.6倍より低い水準にあり、業界平均と比較して割安感があります。

企業情報

銘柄コード 6592
企業名 マブチモーター
URL http://www.mabuchi-motor.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 2,808円
EPS(1株利益) 132.61円
年間配当 2.78円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 24.8倍 3,294円 3.3%
標準 0.0% 21.6倍 2,864円 0.5%
悲観 1.0% 18.4倍 2,559円 -1.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 2,808円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 1,431円 +1,377円 (+96%) △ 割高
10% 1,787円 +1,021円 (+57%) △ 割高
5% 2,255円 +553円 (+25%) △ 割高

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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