1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    株式会社ベイカレントは、日本を代表する総合コンサルティングファームです。ITコンサルティングで創業し、現在は生成AI、デジタルトランスフォーメーション (DX)、グリーン・トランスフォーメーション (GX) といった最先端のテーマから、企業戦略立案、 M&A、サプライチェーン、組織・人材といった幅広い領域において、経営課題の解決から実行までを一貫して支援するサービスを提供しています。大手企業や多様な業界(ハイテク、通信、金融、製造、小売など)に対して、専門性の高いコンサルティングサービスを展開しています。2024年9月には社名をBayCurrent Consulting, Inc.からBayCurrent, Inc.に変更しました。
  • 主力製品・サービスの特徴
    同社は単一セグメントである「コンサルティング事業」を展開しています。特徴としては、クライアント企業の経営戦略の企画立案から、デジタル技術を活用した具体的な解決策の実行支援までを包括的に提供する点に強みがあります。戦略、デジタル、オペレーション、組織など多岐にわたる専門家が連携し、顧客の複雑な課題に対してテーラーメイドのソリューションを提供することで、高付加価値を生み出しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    ベイカレントは「日系最大級の総合コンサル会社」として、国内市場で確固たる地位を築いています。競争優位性は、特にデジタル技術を活用した経営戦略の企画立案と実行支援における専門性と実績、そして優秀な人材を継続的に採用・育成する能力にあります。高単価・高採算の案件を獲得することで、高い利益率を維持しています。主要な課題としては、コンサルティング業界自体の競争激化に加え、優秀な人材の継続的な確保と定着が挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    国内外で企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)、グリーン・トランスフォーメーション(GX)、AI導入といった経営変革への投資意欲が高まっており、コンサルティング需要は堅調に推移しています。ベイカレントは、これらの市場ニーズに対応し、AI、変革、サステナビリティGX、デジタル技術などを重点サービス分野として強化することで、市場の成長機会を捉え、業績拡大を継続しています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    経営陣は、中期経営計画(2025年2月期~2029年2月期)において、売上高の年率約20%成長、2029年2月期に売上高2,500億円、EBITDAマージン30~40%を目標に掲げています。これは、持続的な高成長と高い収益性の追求を明確に示すものです。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    具体的な施策として、優秀な人材の採用と育成への積極的な投資、コアクライアントへの深耕戦略、そしてサービスラインの継続的な強化が挙げられます。特に昨今のニーズに対応して、AI、トランスフォーメーション、サステナビリティGX、デジタルテクノロジー、データアナリティクスなどを重点領域としています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信に個別の「新製品・新サービス」としての具体的な名称の記載はありませんが、提供サービスの強化として、上述のAI、DX、GX、データ分析などの領域への対応力を常に高めています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    ベイカレントの収益モデルは、企業の経営課題解決を支援するコンサルティングサービス提供によるもので、高付加価値なサービスによって高い利益率を維持しています。足元の売上総利益率の改善やEBITDAマージンの高水準維持がその証左です。DXやGXといった市場ニーズの変化に迅速に対応し、サービスポートフォリオを適応させる能力が高く、これが事業モデルの持続可能性を支えています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    決算短信には売上計上時期の偏りに関する具体的な記載はありませんが、一般的にコンサルティング事業においては、大型プロジェクトの契約期間や進捗、完了時期によって、四半期ごとの売上や利益が変動する可能性があります。しかし、今回の第2四半期決算の通期予想に対する進捗(売上47.9%)は半期として概ね順調であり、大きな偏りは見られません。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    ベイカレントは、自社での基礎技術開発よりも、最先端のデジタル技術(AI、IoT、クラウドなど)がビジネスにもたらす可能性を深く理解し、それを顧客企業の経営課題解決に応用する能力に強みを持っています。この「ビジネスとテクノロジーの融合」における実行力と、戦略から実行までを内製で一貫して支援できる総合力が独自性となっています。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    単一セグメントであるコンサルティング事業全体が収益を牽引しており、特にデジタル変革支援(DX)、企業戦略策定、業務改革、新規事業創出支援などの高付加価値サービスが主力となっています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 6,744.0円
    • EPS(会社予想): 245.59円
    • PER(会社予想): 6,744円 ÷ 245.59円 = 27.46倍
    • BPS(実績): 681.91円
    • PBR(実績): 6,744円 ÷ 681.91円 = 9.89倍
      現在の株価は、会社予想EPSに基づくPERが27.46倍、実績BPSに基づくPBRが9.89倍となっており、高い成長性と収益性が株価に織り込まれている評価水準です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • ベイカレント PER: 27.46倍、PBR: 9.89倍
    • 業界平均 PER: 17.0倍、PBR: 1.8倍
      業界平均と比較すると、ベイカレントのPER、PBRともに高水準であり、市場からの高い期待が反映されていると推測されます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は6,436円~6,905円の範囲で推移しており、本日終値6,744円は直近のレンジの中央よりやや上の水準です。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値は9,075円、年初来安値は4,904円です。現在の株価6,744円は、年初来高値から約25%下落した水準であり、年初来安値からは約37%上昇した水準です。年初来のレンジの中央(約6,989円)よりはやや安値圏に近い位置にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日出来高は1,216,900株、売買代金は8,079,423千円です。3ヶ月平均出来高1.32M株と比較するとやや下回りますが、活発な取引量であり、市場の関心は高いと見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上収益: 過去数年にわたり大幅な増加を継続しており、2022年2月期の57,642百万円から2025年2月期予想で116,056百万円、過去12か月で130,424百万円と高い成長軌道にあります。
    • 当期純利益: 同様に、2022年2月期の15,544百万円から過去12か月で34,621百万円へと大きく成長しており、利益成長も顕著です。
    • ROE(実績): 32.58%、ROA(過去12か月): 25.10%。いずれも非常に高い水準を維持しており、資本効率・資産効率ともに優良です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    Total Revenue、Gross Profit、Operating Income、Net Incomeの全てにおいて、過去数年一貫して増加傾向にあり、持続的な成長を示しています。特に売上総利益率は51.5%から55.4%へと改善しており、収益性の向上が見て取れます。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年2月期第2四半期(中間期)決算では、売上収益が68,462百万円(前年同期比+26.6%)、親会社帰属中間利益が17,229百万円(前年同期比+28.9%)と増収増益を達成しました。通期予想に対する進捗率は、売上収益47.9%、営業利益45.6%、親会社帰属当期利益46.2%であり、中間期として概ね順調な進捗と判断され、会社予想に変更はありません。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 75.7%。極めて高い水準であり、財務基盤が非常に強固であることを示しています。
    • 流動比率(直近四半期): 4.14倍(414%)。短期的な支払い能力に全く問題なく、非常に良好な流動性です。
    • Total Debt/Equity (直近四半期): 6.30%。負債が親会社所有者帰属持分に対して極めて少なく、非常に健全な財務状況です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率、流動比率、負債比率のいずれも高水準であり、財務安全性は極めて高いと評価できます。現金及び現金同等物も68,285百万円と豊富に保有しており、資金繰りにも全く懸念はありません。
  • 借入金の動向と金利負担
    Total Debt(直近四半期)は6.52B百万円と総資産に比して非常に小さい金額です。損益計算書におけるNet Non Operating Interest Income ExpenseやInterest Expenseも極めて小さく、金利負担はほとんどない状況です。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績): 32.58% (過去12か月: 37.63%)
    • ROA(過去12か月): 25.10%
    • Profit Margin: 26.55%
    • Operating Margin(過去12か月): 32.39%
      これらの指標は全て極めて高い水準にあり、同社が効率的に資本と資産を活用し、高い利益を上げていることを示しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROEは一般的なベンチマークである10%を大幅に上回り、ROAも5%を大きく上回っています。これは、経営効率が非常に優れていることを意味します。
  • 収益性の推移と改善余地
    売上収益、各種利益ともに力強い成長を続けており、特に直近四半期では売上総利益率が51.5%から55.4%へと改善しました。EBITDAマージンも34.7%と高水準を維持しており、収益性はすでに非常に高いですが、高付加価値案件への注力や効率的なプロジェクト推進により、さらなる改善余地を追求していると見られます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は1.17であり、市場全体の変動に対してやや敏感に反応する傾向があります。市場が上昇局面では恩恵を受けやすい一方、下落局面では市場以上に下落する可能性があることを示唆します。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は9,075.00円、52週安値は4,904.00円です。現在の株価6,744.0円は、52週高値からは約25%、52週安値からは約37%の位置にあり、52週レンジの中央付近に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信に記載されている主なリスク要因は、マクロ経済の変動(景気後退、為替・物価変動)、クライアントからのコンサルティング需要の変化や大型案件の採算悪化、優秀な人材の採用・定着の難しさといった人材に関わる競争、および規制や会計基準等の変更です。コンサルティング事業の性質上、景気動向の影響や人材確保の競争は常に留意すべき点です。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    ベイカレントのPER(会社予想)は27.46倍、PBR(実績)は9.89倍です。これに対し、業界平均はPER17.0倍、PBR1.8倍となっています。ベイカレントは業界平均と比較して、PER、PBRともにかなり高い水準で評価されており、市場は同社の高い成長性と収益性を強く織り込んでいる状態です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準):EPS 245.59円 × 業界平均PER 17.0倍 = 4,175.03円
    • 目標株価(業種平均PBR基準):BPS 681.91円 × 業界平均PBR 1.8倍 = 1,227.43円
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価6,744円は、業界平均PER/PBR基準で算出した目標株価を大幅に上回っています。これは、ベイカレントが業界平均を大きく上回る成長性、収益性、財務健全性を持っているため、一般的な評価指標では割高に見えるものの、市場は未来の成長を高く評価していると解釈できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は983,800株(前週比-26,700株)、信用売残は120,600株(前週比-11,100株)です。信用倍率は8.16倍と、買残が売残を大きく上回っています。前週比で買い残・売り残ともに減少しており、需給の整理が進んでいる状況ではあるものの、依然として買残が多く、短期的な上値の重しとなる可能性があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    主要株主として日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの機関投資家が上位を占めており、機関投資家保有比率は71.46%と高い水準です。また、個人大株主である江口新氏も5.5%保有しており、安定株主が多い構造です。経営陣持株比率は7.84%ですが、これはインサイダー保有比率と見られ、一定の経営陣による株式保有が確認できます。
  • 大株主の動向
    データなし

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    配当利回り(会社予想)は1.48%(年間100円)です。Payout Ratioは38.19%(過去12か月ベース)、通期計画ベースでは約40.7%です。これは中程度からやや高めの配当性向であり、株主還元に積極的な姿勢を示しています。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    2026年2月期中間期において3,006百万円の自己株式取得を実施しており、配当と並行して自己株式取得による株主還元を継続的に行っています。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    決算短信に詳細な記載はありません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2026年2月期第2四半期決算短信において、特段の大型受注や新製品に関する具体的な開示はありませんでした。しかし、売上高の前年同期比26.6%増、親会社帰属中間利益の28.9%増といった力強い業績進捗が最も重要な材料です。
  • これらが業績に与える影響の評価
    上記決算短信の内容は、同社が掲げる中期経営計画(年率約20%成長)を上回る成長率を示しており、主要なKPIであるEBITDAマージンも高い水準を維持しています。これは通期業績予想達成への確度を高め、今後の持続的な成長期待を裏付けるPositiveな材料です。

16. 総評

ベイカレント(6532)は、デジタル技術を活用した高付加価値コンサルティングを強みとする日系最大級の総合コンサルティング企業です。その企業分析結果を以下にまとめます。

  • 全体的な見解
    ベイカレントは、圧倒的な成長性、極めて高い収益性、そして非常に強固な財務健全性を併せ持つ優良企業と評価できます。中期経営計画も順調に進捗しており、DXやGXといった市場の追い風を背景に、今後も高い成長が期待されます。積極的に株主還元(配当と自社株買い)も行っています。一方で、現在の株価は業界平均と比較してPER、PBRともに高水準にあり、市場からの高い期待が既に織り込まれている状態と判断されます。
    • 強み:
    • 売上収益、利益ともに非常に高い成長率を継続している。
    • ROE37.63%、ROA25.10%、営業利益率32.39%など、抜きんでた収益性を誇る。
    • 自己資本比率75.7%、流動比率414%、低負債と、財務健全性が極めて優良。
    • デジタル技術、AI、DX、GXへの対応力が強く、市場の変化に柔軟に適応する事業モデル。
    • 積極的な株主還元策(配当と自社株買い)。
    • 弱み:
    • 現在の株価が業界平均PER/PBRと比較して割高圏にあり、高水準のバリュエーション。
    • コンサルティング事業の特性上、優秀な人材の確保と定着が継続的な課題。
    • 機会:
    • 国内外における企業の情報投資、DX、GX、AI導入の需要が継続的に拡大。
    • 新たな技術トレンド(例:生成AI)のビジネス応用によるサービス進化。
    • 日本企業の変革ニーズに対する日系コンサルとしての強み発揮。
    • 脅威:
    • 国内外コンサルティング業界の競争激化。
    • マクロ経済の悪化や景気後退による企業投資意欲の減退。
    • 想定以上の人材流出や採用難による事業成長への影響。

17. 企業スコア

  • 成長性: S
    • 売上成長率は過去数年20%超を維持し、直近四半期も+26.6%と高水準。中期計画の目標年率約20%を上回る進捗。コンサルティング需要が強いデジタル領域への注力も評価。
  • 収益性: S
    • 粗利率55.4%(改善傾向)、営業利益率32.39%、ROE 37.63%、ROA 25.10%と、一般的なベンチマークを大幅に上回る極めて高い水準。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率75.7%、流動比率4.14倍、Total Debt/Equity 6.30%と、非常に安定した財務体質。豊富な現金も保有。
  • 株価バリュエーション: D
    • PER 27.46倍、PBR 9.89倍と、業界平均PER 17.0倍、PBR 1.8倍と比較して大幅に割高に評価されており、高い成長性が既に織り込まれていると判断されるため。

企業情報

銘柄コード 6532
企業名 ベイカレント
URL https://www.baycurrent.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – サービス業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 6,744円
EPS(1株利益) 245.59円
年間配当 1.48円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 13.3% 29.8倍 13,638円 15.1%
標準 10.2% 25.9倍 10,340円 8.9%
悲観 6.1% 22.0倍 7,276円 1.6%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 6,744円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 5,146円 +1,598円 (+31%) △ 割高
10% 6,426円 +318円 (+5%) △ 割高
5% 8,109円 -1,365円 (-17%) ○ 割安

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

関連情報

証券会社


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By ジニー

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