以下は、株式会社IC(4769)に関する企業分析レポートです。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    株式会社ICは、主に情報サービス分野でソリューションを提供する独立系SIer(システムインテグレーター)です。受託によるシステム開発とシステム運用を主軸としており、ITソリューション事業が売上の大半を占めます。顧客先に常駐して開発を行うケースが多く、日立グループ向けのビジネスが全体の約5割を占めています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • ITソリューション事業: ソフトウェア開発、インフラ設計構築、システム運用保守が中心です。顧客のニーズに応じたオーダーメイドのシステム開発や、安定的なシステム稼働を支える運用サービスが強みです。特に官公庁・自治体、情報・通信メディア、金融業界での受注が増加傾向にあります。
    • ITサービス事業: パッケージ製品の開発・導入支援などが含まれますが、2025年9月期においては主要顧客との事業構成最適化のため、戦略的に売上を減少させています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    独立系SIerとして特定のベンダーに縛られない柔軟な提案が可能であり、受託開発から運用まで一貫したトータルソリューションを提供できる点が競争優位性です。また、M&Aによる技術者体制の強化も進めています。
    一方で、日立グループへの売上依存度が約50%弱と高く、特定の顧客への集中リスクが課題として挙げられます。また、IT業界全体で技術者不足が続く中、優秀な人材の確保と育成は継続的な課題です。
  • 市場動向と企業の対応状況
    国内のIT市場では、DX(デジタルトランスフォーメーション)、AI、生成AI、クラウド化が急速に進展しており、企業のIT投資需要は高い状況です。ICは、これらの市場ニーズに対応するため、ITソリューション事業を強化し、M&Aにより技術力や事業領域の拡大を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    長期ビジョンとして「VISION 2031」を掲げ、その実現に向けた中期経営計画「Growing Beyond 2028」(2026年度〜2028年度)を策定しました。これまでの「co-creation Value 2025」を経て、今後は「選択と集中」による収益性向上と投資回収を重視する戦略へと転換しています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    具体的な施策としては、ITソリューション事業のさらなる拡大、M&Aを通じた事業領域や技術者体制の強化、そして新規サービスの事業化による収益源の多様化が挙げられます。特に、新規子会社(株式会社日本画像配信)の取得は、成長戦略の一環として位置づけられます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信には具体的な新製品・新サービスの詳細な展開状況に関する記載はありませんでしたが、M&Aによる事業拡大は新規サービス展開に繋がる可能性があります。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    ICの収益モデルは、主に情報サービスとしてのITソリューション事業(ソフトウェア開発、システム運用)に依存しています。このモデルは、DX需要の高まりや企業のIT投資意欲の旺盛さを背景に、安定的な収益を上げています。M&Aによる事業領域の拡張や新規サービスへの投資は、将来的な市場ニーズの変化への適応力を高める可能性があります。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    売上計上時期の偏りに関する具体的な記載はありませんが、ITソリューション事業はプロジェクトベースの進行が多いため、大型案件の進捗や検収時期によって四半期ごとの売上に変動が生じる可能性があります。特定顧客への依存度が高い点も、持続可能性を評価する上で留意すべき点です。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    国内IT市場におけるDX、AI、生成AI、クラウド化といった技術動向に対応するため、技術者の確保と育成、M&Aによる技術力の補完を進めています。特定の最先端技術に特化しているとの記載はありませんが、顧客の課題解決に合わせた多様な技術を組み合わせるソリューション提供能力に強みがあります。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    連結事業構成の98%を占めるITソリューション事業が収益を牽引しており、特にソフトウェア開発(前年比+14.8%)とシステム運用(前年比+5.9%)が好調です。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 株価: 1,062.0円
    • EPS(会社予想): 50.98円
    • PER(会社予想): 20.87倍 (1062.0円 ÷ 50.98円)
    • BPS(実績): 864.66円
    • PBR(実績): 1.23倍 (1062.0円 ÷ 864.66円)
      現在の株価は会社予想EPSに基づくPERと実績BPSに基づくPBRで見ると、ほぼ市場で評価されている水準にあります。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 17.6倍
    • 業界平均PBR: 1.6倍
      ICのPER(20.87倍)は業界平均(17.6倍)と比較して割高感があります。
      ICのPBR(1.23倍)は業界平均(1.6倍)と比較して割安感があります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は1,050円から1,111円のレンジで推移しており、本日終値1,062円はレンジの下限に近い水準です。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値が1,208円、安値が860円であるのに対し、現在の株価1,062円は高値圏と安値圏の中間やや高値寄りの位置にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は2,900株、売買代金は3,073千円と非常に低水準です。3ヶ月平均出来高5.32千株、10日平均出来高6.31千株と比較しても、市場の関心は低い状態であると言えます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高: 過去5年間で一貫して増加傾向にあり、2025年9月期は10,136百万円(前年比+9.1%)と好調です。
    • 営業利益: 2023年9月期に一旦減少しましたが、2024年(443百万円)から2025年9月期(516百万円、前年比+16.5%)にかけて回復基調にあります。
    • 親会社株主帰属当期純利益: 同様に2023年に減少後、2025年9月期は485百万円(前年比+26.4%)と回復しています。ただし、2025年9月期の純利益には特別利益(退職給付制度改定益)が寄与しています。
    • ROE(実績): 7.79%
    • ROA(過去12か月): 3.84% (決算短信の総資産経常利益率7.2%は参考値)
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は着実に成長している一方で、利益水準は2023年に一時的に落ち込みが見られましたが、2025年には回復しました。収益性の指標であるROE、ROAは同業他社の一般的なベンチマークと比較するとやや低い水準にあります。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    今回は通期決算であるため、四半期決算の進捗状況に関するデータはありません。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 73.9%と非常に高水準であり、財務基盤が極めて安定していることを示します。
    • 流動比率(直近四半期): 2.90倍(289%)と流動性も非常に良好で、短期的な債務返済能力に優れています。
    • 負債比率: 有利子負債は期末時点でほぼなく、負債による財務リスクは極めて低いと言えます。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率の高さと有利子負債の少なさから、極めて高い財務安全性を有しています。豊富な現金及び現金同等物も資金繰りの安定に寄与しています。
  • 借入金の動向と金利負担
    有利子負債はほぼ無く、金利負担も実質的に発生していません。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(実績): 7.79%
    • ROA(過去12か月): 3.84%
    • 営業利益率(2025年9月期実績): 5.1%
    • 粗利率(Gross Profit / Total Revenue, 過去12か月): 1,922,716k / 9,635,421k = 約19.9%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(7.79%)は一般的なベンチマークである10%を下回っており、ROA(3.84%)も5%を下回っています。これは、資本効率・資産効率の面で改善の余地があることを示唆しています。営業利益率も約5.1%であり、特段高収益な体質とまでは言えません。
  • 収益性の推移と改善余地
    2023年9月期に収益性が一時的に悪化しましたが、2025年9月期には回復傾向が見られます。今後の中期経営計画で掲げている「選択と集中」と新規サービスの事業化が、収益性の改善に繋がるか注目されます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    Beta(5Y Monthly)は0.07と極めて低く、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示します。これは市場変動リスクが小さい一方で、市場の地合い改善による株価上昇の恩恵も受けにくい傾向があることを意味します。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値1,208円、安値860円に対し、現在の株価1,062円はレンジの中央よりやや上方に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 顧客集中リスク: 日立グループへの依存度が高く、同グループの業績動向や取引方針変更がICの業績に与える影響が大きい。
    • 技術者不足: IT業界全体の人材不足が、事業のボトルネックとなるリスク。
    • 海外経済の悪化: 国内市場への影響を通じて、企業のIT投資意欲に影響を与える可能性。
    • 金融市場変動: 金融引締めや金利上昇などによる事業環境の変化。
    • 税制・会計上の変動: 税制改正や会計基準の変更が業績に影響を与える可能性。
    • M&A統合リスク: 新規子会社取得に伴う統合プロセスが円滑に進まない場合のリスク。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想20.87倍)は業種平均PER(17.6倍)と比較して割高です。
    • PBR(実績1.23倍)は業種平均PBR(1.6倍)と比較して割安です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • EPS 50.98円 × 業種平均PER 17.6倍 = 897.24円
    • BPS 864.66円 × 業種平均PBR 1.6倍 = 1,383.456円
      目標株価レンジは897円~1,383円と幅があります。
  • 割安・割高の総合判断
    PBRでは割安感がありますが、PERでは業界平均を上回っており割高感が見られます。特に来期の純利益が減益予想である点を考慮すると、現在のPERは割高と評価される可能性があります。総合的には、バリュエーションは平均的からやや割高と判断されます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残9,900株、信用売残5,100株、信用倍率1.94倍です。信用倍率は1倍を上回っていますが、信用買残が極端に多いわけではなく、需給バランスは概ね中立的です。ただし、出来高が少ないため、少額の買い残でも株価に影響を与える可能性があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    一般財団法人IC齋藤育英会、自社従業員持株会、光通信(株)などが大株主であり、インサイダー(経営陣・従業員)による持株比率が54.69%と非常に高いです。これは経営の安定性を示唆しており、M&Aなど長期的な視点での経営判断がしやすい環境にあると考えられます。
  • 大株主の動向
    直近の大株主の大きな動向を示すデータは提供されていません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    会社予想配当利回りは3.76%と高水準です。配当性向(連結)は61.2%と、一般的な水準(30%前後)と比較して高めであり、株主への利益還元に積極的な姿勢が見られます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    直近の自社株買いに関する明確な積極的施策の発表はありませんが、自己株口として3.84%の株式を保有しています。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    株式報酬型ストックオプションに関する情報は提供されていません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2025年4月10日付で株式会社日本画像配信を子会社として取得したことが、重要なトピックスです。これにより、新たな事業領域への展開やシナジー効果が期待されます。
    特別利益として退職給付制度改定益190,858千円を計上しており、これが当期純利益に大きく寄与しています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    株式会社日本画像配信の取得は、M&Aによる成長戦略の一環であり、中長期的には業績拡大に貢献する可能性があります。ただし、のれん償却費など、取得に伴う費用も発生します。
    退職給付制度改定益は一過性の利益であり、来期以降の業績には直接的な影響を与えません。2026年9月期の純利益が減益予想となっている背景には、このような一過性の利益が剥落する影響も考えられます。

16. 総評

株式会社ICは、独立系SIerとしてITソリューション事業を主軸に安定的な売上成長を続けています。財務基盤は自己資本比率73.9%と極めて強固であり、有利子負債もほとんどないため、財務健全性は非常に高い評価ができます。一方で、日立グループへの高い売上依存度、一般的なベンチマークを下回る収益性(ROE、ROA)、そして出来高の少ない市場での低流動性が課題として挙げられます。
経営戦略としては、「Growing Beyond 2028」と「VISION 2031」を掲げ、M&Aや新規サービスの事業化を通じて、事業領域の拡大と収益性向上を目指しています。直近では新たな子会社取得も行われ、成長投資に力を入れている状況です。
株価は、PBRでは割安感があるものの、PERでは業界平均より割高な水準にあります。来期の純利益が減益予想である点には注意が必要です。配当利回りは高く、株主還元への意識は高いと言えます。

  • ポジティブ: 強固な財務基盤、安定的な売上成長、M&Aによる成長戦略、高水準な配当利回り、市場変動への感応度が低い(Beta値低)。
  • ネガティブ: 特定顧客への高い依存度、収益性の改善余地、出来高の低さ、来期純利益の減益予想、PERの割高感。

強み・弱み・機会・脅威の整理 (SWOT分析)

  • 強み (Strengths):
    • 非常に高い財務健全性(自己資本比率73.9%、有利子負債ほぼなし)
    • 安定したITソリューション事業を基盤とした継続的な売上成長
    • 株主への積極的な配当還元姿勢(高配当利回り)
    • 特定ベンダーに縛られない独立系SIerとしての柔軟な提案力
    • M&Aを活用した成長戦略
  • 弱み (Weaknesses):
    • 日立グループへの売上の高い依存度(顧客集中リスク)
    • 一般的なベンチマークを下回るROE、ROA
    • 営業利益率が特段高くない
    • 市場における株価流動性の低さ(出来高が少ない)
    • 次期純利益が減益予想であること
  • 機会 (Opportunities):
    • 国内IT市場におけるDX、AI、生成AI、クラウド化の需要拡大
    • 人手不足や働き方改革に伴う企業のIT投資意欲の継続
    • M&Aによる新たな事業領域の開拓とシナジー創出
    • 新規サービス事業化による収益源の多様化
  • 脅威 (Threats):
    • 技術者不足による成長制約
    • 世界経済の減速や金融情勢の変化によるIT投資抑制
    • 競合他社との競争激化
    • 税制や会計制度の変更
    • M&A後の企業統合(PMI)リスク

17. 企業スコア

  • 成長性: B(売上高は着実に増加も、ITサービス事業の縮小や次期純利益の減益予想、既存事業の成長に加えてM&Aによる成長戦略に期待)
  • 収益性: C(ROE 7.79%、ROA 3.84%はいずれもベンチマークを下回り、営業利益率も約5.1%と高くない。利益水準は回復基調も改善余地あり)
  • 財務健全性: S(自己資本比率73.9%と非常に高く、流動比率も良好、有利子負債なし。極めて健全な財務状況)
  • 株価バリュエーション: C(PBRは業界平均比で割安だが、PERは業界平均比で割高。特に来期純利益の減益予想を考慮すると割高感が強まる可能性)

企業情報

銘柄コード 4769
企業名 IC
URL https://www.ic-net.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,062円
EPS(1株利益) 50.98円
年間配当 3.76円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 23.4倍 1,195円 2.7%
標準 0.0% 20.4倍 1,039円 -0.1%
悲観 1.0% 17.3倍 928円 -2.3%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,062円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 526円 +536円 (+102%) △ 割高
10% 657円 +405円 (+62%) △ 割高
5% 829円 +233円 (+28%) △ 割高

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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