1. 企業情報

株式会社カプコンは、家庭用ゲームソフト開発の大手企業です。「モンスターハンター」「バイオハザード」「ストリートファイター」「戦国BASARA」など数多くの人気IP(知的財産)を保有しています。事業は主に以下のセグメントで構成されています。

  • デジタルコンテンツ事業(売上構成比約74%):家庭用ゲームソフト、PCゲーム、モバイルコンテンツの企画、開発、製造、販売が主力です。特にデジタル販売に注力しており、既存作品の継続的なリピート販売が収益を牽引しています。
  • AM施設事業(売上構成比約13%):アミューズメント施設「プラサカプコン」の運営を行っています。
  • AM機器事業(売上構成比約9%):スマートパチスロ機などのアミューズメント用機器の開発、製造、販売を手掛けています。
  • その他事業(売上構成比約4%):ゲームコンテンツの映像化、アニメ化、音楽CD、グッズ販売、eスポーツ関連ビジネスなど、IPの多角的な活用を展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

カプコンは、強力なIPを多数保有する日本を代表するゲームメーカーです。

  • 競争優位性:長年にわたり培われたIPのブランド力と、それらを活用したデジタル販売戦略が最大の強みです。特に、高採算なデジタルコンテンツのリピート販売は、安定した収益源となっています。アミューズメント機器事業も新機種の投入により収益に貢献しています。
  • 市場動向と企業の対応状況:ゲーム市場のデジタル化、eスポーツ市場の拡大、映像コンテンツとの融合といったトレンドに積極的に対応しています。海外売上比率も高く(海外60%)、グローバル市場での存在感も有しています。スマートパチスロ市場の成長にも対応し、機種開発・投入を継続しています。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は以下の分野を重点戦略として掲げています。

  • デジタル販売強化:高収益体質をさらに発展させるため、ダウンロード販売や既存IPのリピート販売に引き続き注力しています。
  • 人的資本投資:質の高いゲーム開発を継続するための人材育成と確保を重視しています。
  • IP横展開:保有する強力なIPをゲーム以外の分野(映像、グッズ、eスポーツなど)でも幅広く展開し、ブランド価値の最大化と新たな収益源の確立を目指しています。
  • 新製品・新サービスの展開状況:2026年3月期 第2四半期決算短信では、今後のパイプラインとして『バイオハザード レクイエム』などのタイトルに言及があります。アミューズメント機器ではスマートパチスロの新機種投入が業績に大きく寄与しています。

4. 事業モデルの持続可能性

カプコンの事業モデルは、主力であるデジタルコンテンツ事業の高い利益率と、多角的なIP展開により持続可能性が高いと考えられます。

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力:デジタル販売の推進、eスポーツや映像化といったマルチメディア展開は、市場ニーズの変化に合わせた柔軟な事業運営を示しています。アミューズメント機器事業も市場の需要を取り込んでいます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響:ゲーム業界では大型タイトルの発売時期が業績に大きく影響する傾向がありますが、カプコンはリピート販売が安定しており、その偏りを緩和する効果も期待できます。ただし、今後の大型タイトルの成否やアミューズメント機器の稼働状況が業績見通しを左右する可能性はあります。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性:直近の資料からは具体的な技術開発の独自性に関する詳細な記載は確認できませんが、高品質なゲームを継続的に開発・提供する開発力は企業の根幹を成しています。
  • 収益を牽引している製品やサービス:デジタルコンテンツ事業における「ストリートファイター6」や「バイオハザード」シリーズなどの既存タイトルのリピート販売が最も大きく収益を牽引しています。また、アミューズメント機器事業においてはスマートパチスロの新機種(「デビル メイ クライ 5 スタイリッシュトライブ」等)の出荷が大きく貢献しています。

6. 株価の評価

  • EPS(会社予想): 121.93円
  • BPS(実績): 585.56円
  • PER(会社予想): 28.57倍
  • PBR(実績): 5.95倍

現在の株価3,483.0円は、後述の業種平均PER/PBRと比較すると高水準で評価されています。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移:直近10日間の株価は3,728円(2025年12月8日)から3,483円(2025年12月19日)へ下落傾向にあります。
  • 高値圏か安値圏か:年初来高値5,015円、年初来安値3,226円に対して、現在の株価3,483円は年初来安値に近い水準に位置しており、安値圏にあると判断できます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度:現在の出来高1,879,200株、売買代金6,564,374千円は、平均出来高(3ヶ月平均2.01M株、10日平均1.92M株)と比較すると平均的な範囲内であり、市場からの関心は維持されているといえます。

8. 財務諸表分析

  • 売上・利益の推移:過去数年間、売上高、営業利益、純利益ともに一貫して増加傾向にあり、持続的な成長を示しています。
    • Total Revenue: 2022年110,054百万円 → 2025年予想169,604百万円 → 過去12か月194,354百万円
    • Net Income: 2022年32,553百万円 → 2025年予想48,453百万円 → 過去12か月60,692百万円
  • ROE・ROAなどの指標
    • ROE(実績): (連)23.01% (過去12か月27.33%)
    • ROA(実績): (過去12か月19.37%)
      いずれも非常に高い水準を維持しており、効率的な資本活用と資産運用ができていることを示しています。
  • 四半期決算の進捗状況:2026年3月期 第2四半期決算では、売上高は前年同期比43.9%増、営業利益は同89.8%増と大幅な増収増益を達成しました。通期予想に対する営業利益・純利益の進捗率は約54%と良好であり、通期目標達成の可能性は高いと判断できます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率(実績): (連)72.3%。2026年3月期 第2四半期末時点では82.0%に改善しており、非常に高い水準で財務基盤が極めて安定していることを示します。
  • 流動比率(直近四半期): 5.80 (580%)。流動負債に対する流動資産の比率が非常に高く、短期的な支払い能力に圧倒的な余裕があります。
  • 負債比率:2026年3月期 第2四半期末時点で有利子負債はゼロとなっており、財務レバレッジが非常に低い極めて健全な状態です。
  • 資金繰りの状況:中間期において営業キャッシュフローは減少しましたが、これは税金支払いの増加等が主な要因です。投資キャッシュフローは、投資有価証券取得や設備投資により大幅なマイナスとなっていますが、これも成長に向けた戦略的な資本投下とみられます。期末の現金及び現金同等物は約1,037億円と潤沢であり、財務余力は十分です。

10. 収益性分析

  • ROE(過去12か月): 27.33% は一般的なベンチマークである10%を大幅に上回る優良な水準です。
  • ROA(過去12か月): 19.37% は一般的なベンチマークである5%を大幅に上回る優良な水準です。
  • 各種利益率:売上高営業利益率(過去12か月41.33%、中間期48.4%)も非常に高水準であり、高採算性の事業モデルが確立されていることが分かります。
  • 収益性の推移と改善余地:過去数年間にわたり収益性は着実に向上しており、デジタルコンテンツ事業やアミューズメント機器事業の高採算性が全体を牽引しています。今後もIPの価値最大化により、高水準の収益性を維持する可能性が高いです。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値(5Y Monthly): 0.58。市場全体の変動に対する株価の感応度が低く、比較的安定した値動きを示す傾向があります。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置:52週高値5,015.00円、52週安値3,226.00円に対し、現在の株価3,483.0円は安値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因
    • 大型タイトル発売の延期や販売不振
    • アミューズメント機器の稼働状況や導入状況の変動
    • 為替変動(海外売上比率が高い)
    • 法規制の変更(特にギャンブル関連規制)
    • 原材料・部品供給の変動リスク
    • 投資有価証券評価損の発生リスク

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較:
    • PER(会社予想): 28.57倍(業界平均PER: 23.2倍)
    • PBR(実績): 5.95倍(業界平均PBR: 2.3倍)
      業界平均と比較して、現在のPERおよびPBRは割高に評価されています。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用):
    • 目標株価(業種平均PER基準): 121.93円(EPS)× 23.2倍(業界平均PER)= 2,830.8円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 585.56円(BPS)× 2.3倍(業界平均PBR)= 1,346.7円
  • 割安・割高の総合判断:現在の株価3,483.0円は、業界平均PERおよびPBRに基づいた目標株価を上回っています。これは、カプコンの非常に高い成長性、収益性、財務健全性が市場で評価され、プレミアムが付いているためと解釈できます。純粋な平均倍率比較では割高感があるといえます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況:信用買残が1,545,100株と前週比で増加し、信用売残は173,600株と減少しています。信用倍率は8.90倍と買残が多い状況で、需給面ではやや重い可能性があります。
  • 株主構成:自社(自己株口)が20.04%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が10.93%と特定の大株主が上位を占めています。経営陣の持株比率も一定数あり、安定株主が多い構造です。
  • 大株主の動向:具体的な大株主の売買動向についてはデータがありません。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 1.15% (現在の株価3483円、予想配当40円で算出)
  • 1株配当(会社予想): 40.00円 (中間配当20円、期末配当予想20円)。前期から増配しています。
  • 配当性向(会社予想): 32.8%。健全な水準であり、成長投資と株主還元のバランスが取れていると評価できます。
  • 自社株買いなどの株主還元策:新規の自社株買いの発表はありませんが、発行済株式数の約20%に相当する自己株式を保有しており、今後の株主還元策の一環として活用される可能性はあります。
  • 株式報酬型ストックオプション等:データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報(2026年3月期 第2四半期決算短信より)
    • デジタルコンテンツ事業におけるリピートタイトル(「ストリートファイター6」「バイオハザード」シリーズなど)の販売が継続的に好調です。
    • アミューズメント機器事業ではスマートパチスロの新機種出荷が大幅な増収増益に貢献しました。
    • 中間決算時点で、通期業績予想に対する進捗が営業利益、純利益ともに約54%と良好であり、通期目標達成への期待感が高まっています。
    • 「デジタル販売強化」「人的資本投資」「IP横展開」が引き続き重点戦略として推進されています。
    • 『バイオハザード レクイエム』などのパイプラインも今後の業績を左右する要因となる可能性があります。
  • これらが業績に与える影響の評価:既存IPの盤石な収益力と、スマートパチスロという新たな成長ドライバーが現在の好業績を牽引しています。今後の新作投入とIP多角化戦略が継続的な成長を支える鍵となります。

16. 総評

カプコンは、強力なゲームIP群を基盤に、デジタル販売戦略とIPの多角的な活用により、高い収益性と持続的な成長を実現している企業です。財務体質は極めて健全であり、潤沢なキャッシュと有利子負債ゼロを達成しています。株価は年初来安値に近い水準にありますが、PER/PBRは業界平均と比較すると割高に評価されており、市場は成長性・収益性に高いプレミアムを織り込んでいると見られます。
短期的には好調なリピート販売とスマートパチスロ新機種が業績を牽引しますが、中長期的には新作タイトル成功やIP横展開の成否が重要になります。

  • 強み:
    • 圧倒的なブランド力を誇るゲームIP群
    • 高採算なデジタルコンテンツ事業とリピート販売モデル
    • 成長ドライバーとなっているアミューズメント機器事業
    • 極めて堅固な財務基盤(高い自己資本比率、有利子負債ゼロ)
    • 市場変動に比較的影響を受けにくい事業特性(ベータ値0.58)
  • 弱み:
    • 新作タイトルの成否に業績が左右されるリスク
    • 研究開発投資の先行と回収期間
  • 機会:
    • eスポーツや映像化など、IPの多角的なマネタイズ機会の拡大
    • PC含む多様なプラットフォームへの展開による市場拡大
    • スマートパチスロ市場のさらなる成長
  • 脅威:
    • 競合企業との競争激化
    • 為替変動や地政学リスク、ゲーム市場の規制強化
    • 部材供給問題や開発費の高騰

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 売上高は過去数年で着実な成長を継続しており、直近四半期の売上高成長率も33.0%と高い水準です。デジタルコンテンツの販売本数増加やアミューズメント機器の新機種展開も好調です。
  • 収益性: S
    • 粗利率約60.8%、営業利益率約41.3%(過去12か月)、ROE27.33%、ROA19.37%と、いずれの収益性指標も業界トップクラスで、一般的なベンチマークを大幅に上回る極めて高い水準を維持しています。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率は82.0%と極めて高く、流動比率も580%と非常に余裕があります。有利子負債はゼロであり、現金保有も潤沢で、財務基盤は盤石です。
  • 株価バリュエーション: C
    • PER(会社予想28.57倍)は業界平均(23.2倍)と比べて割高です。また、PBR(実績5.95倍)も業界平均(2.3倍)を大きく上回っており、現在の株価は純粋な倍率比較では割高と判断されます。

企業情報

銘柄コード 9697
企業名 カプコン
URL http://www.capcom.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 3,483円
EPS(1株利益) 121.93円
年間配当 1.15円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 10.7% 31.9倍 6,464円 13.2%
標準 8.2% 27.8倍 5,023円 7.6%
悲観 4.9% 23.6倍 3,660円 1.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 3,483円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 2,501円 +982円 (+39%) △ 割高
10% 3,123円 +360円 (+12%) △ 割高
5% 3,941円 -458円 (-12%) ○ 割安

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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By ジニー

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