以下は、日産自動車(証券コード:7201)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
日産自動車は、自動車および自動車部品の製造・販売をグローバルに展開する大手自動車メーカーです。フランスのルノー、三菱自動車との企業連合を通じて世界中で事業を展開しています。自動車事業が売上の9割強を占め、残りを販売金融事業が構成しています。 - 主力製品・サービスの特徴
日産およびインフィニティブランドの車両(乗用車、商用車)、自動車部品が主力製品です。また、オートクレジットやカーリースといった販売金融サービスも提供し、安定的な収益源となっています。同社は、1930年代からの新車電動化への取り組みを継続しており、リチウムイオンバッテリーの開発・製造も行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
世界的な自動車大手企業として、グローバルな販売ネットワークと、ルノー、三菱自との企業連合による規模の経済性や技術共有を競争優位性としています。一方、足元では販売台数の低迷、為替変動、米国関税などの影響による自動車事業の収益性悪化が大きな課題です。 - 市場動向と企業の対応状況
グローバル全体の自動車需要は一部回復傾向にありますが、日産のグローバル小売台数は前年同期比で減少しており、市場全体の伸びを取り込めていない状況です。これに対し、同社は中期経営計画「Re:Nissan」を推進し、事業構造の改善と収益性の回復を目指しています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
経営陣は、中期経営計画「Re:Nissan」を通じて、2026年度までに自動車事業における営業利益およびフリーキャッシュフローの黒字化を目指すビジョンを掲げています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
具体的な施策としては、不採算事業の見直し、資産の最適化(例:本社のセール・アンド・リースバックによる資金確保)、コスト削減、固定資産の減損処理による財務体質の改善などが挙げられます。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信からは新製品・新サービスの具体的な展開状況についての詳細な記述は見られませんでした。電動化への言及はありますが、具体的な計画は開示されていません。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、自動車販売と販売金融事業の二本柱です。販売金融事業は安定した利益貢献を続けていますが、自動車事業は収益性に課題を抱えています。電動化へのシフトなど、市場ニーズの変化に対応するための構造改革「Re:Nissan」の成否が、事業モデルの持続可能性に大きく影響します。 - 売上計上時期の偏りとその影響
データなし。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
「30年代に新車電動化」の目標を持つなど、電動化技術に注力していることが示唆されています。リチウムイオンバッテリーの開発・製造にも関与しています。 - 収益を牽引している製品やサービス
現在、事業セグメント別では、売上における比率は低いものの、販売金融事業が安定的に高い利益貢献を果たし、グループ全体の収益を下支えしています。自動車事業は現状損失計上となっています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価は398.0円です。1株当たり純資産(BPS)は1,358.29円であり、現在の株価はBPSを大きく下回っています。1株当たり利益(EPS)の会社予想は提示されていません。過去12か月では-255.85円、2025年3月期も-187.08円と赤字となっています。 - 業界平均PER/PBRとの比較
実績PBRは0.29倍であり、業界平均PBRの0.8倍と比較して大幅に低い水準です。PERは赤字により算出されていません。これは市場が同社の収益性悪化を強く織り込んでいる可能性を示唆しています。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は372.5円から414.7円のレンジで推移し、現在値398.0円はレンジの中央付近に位置しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値488円、年初来安値299円に対して、現在値398.0円は安値圏に近い水準です。52週高値553.70円、52週安値299.00円に対しても同様です。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は2,000万株から4,000万株台、売買代金は90億円から160億円程度で推移しており、市場からの関心は比較的高い水準にあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
過去12か月の売上高は12兆2,276億円で、前期および前々期と比較して増加傾向にあります。しかし、直近12か月および2026年3月期第2四半期決算では、親会社株主に帰属する純利益が大幅な赤字に転落しています。ROEは-12.27%(実績)、ROAは0.03%(過去12か月)と、いずれも低い水準にあります。 - 過去数年分の傾向を比較
売上高は年々増加していましたが、営業利益は2024年3月期の5,687億円から過去12か月で92億円へと大幅に減少、純利益は黒字から大幅な赤字に転落しており、収益性は急速に悪化しています。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期(中間期)の売上高は5兆5,786億円で、通期予想(11兆7,000億円)に対する進捗率は約47.7%と、概ね想定内の推移です。しかし、営業利益は△276億円、親会社株主に帰属する中間純利益は△2,219億円と大幅な損失を計上しています。通期予想は営業損失△2,750億円で据え置いていますが、この赤字幅の大きさは通期達成に向けた課題を示唆しています。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
直近四半期の自己資本比率は26.1%(決算短信では中間期で24.8%)と、安定性の目安とされる40%を下回る低い水準にあります。流動比率は1.60と、ある程度の短期的な支払い能力は確保されています。一方で、直近四半期の総負債比率(Total Debt/Equity)は171.74%と非常に高い水準です。 - 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率の低さと高い負債比率は、財務安全性に課題があることを示しています。キャッシュフローは、当中間期に営業キャッシュフローがプラスに転じたものの、投資キャッシュフローは大幅な支出超過であり、フリーキャッシュフローは△7,528億円と大幅なマイナスとなっています。 - 借入金の動向と金利負担
負債合計が増加しており、特に長期社債の増加が顕著です。金利上昇局面においては金利負担が増大するリスクがあります。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
ROE(実績)は-12.27%、ROA(過去12か月)は0.03%であり、一般的なベンチマーク(ROE 10%以上、ROA 5%以上)を大きく下回っています。過去12か月の営業利益率は1.79%、純利益率(Profit Margin)は-7.46%と、いずれも低水準、またはマイナスです。 - 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE及びROAは目標水準を大幅に下回り、収益性において深刻な課題を抱えている状況です。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年で売上は増加しましたが、収益性は大幅に悪化しており、特に自動車事業の構造改革が急務です。販売金融事業は安定した収益を上げていますが、グループ全体の収益性を牽引する主力事業の回復が重要です。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値(5年月次)は0.14と非常に低く、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示唆しています。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は553.70円、52週安値は299.00円であり、現在値398.0円は52週レンジの中間よりやや低値圏に位置しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信には、為替変動、米国関税・貿易政策の変更、世界的な販売台数の地域差(北米依存度など)、部品供給や電子部品構成の変化による製品保証費用リスク、過去の有価証券報告書虚偽記載に関連する国内外での訴訟リスク、金利上昇による資本コスト増、長期債務の増加などがリスク要因として挙げられています。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
同社のPBR(実績)は0.29倍であり、業種平均PBRの0.8倍と比較して割安な水準にあります。しかし、PERは過去12か月および直近中間期が赤字であるため、算出できません。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
PBR基準で計算した場合、業界平均PBR(0.8倍)を実績BPS(1,358.29円)に適用すると、目標株価は1,087円となります。 - 割安・割高の総合判断
PBR基準では大幅に割安と判断されますが、これは現在の赤字決算や財務健全性の課題を市場が織り込んでいる結果である可能性が高いです。利益が赤字であるためPERによる評価ができないことから、PBRのみでの割安判断は限定的であり、企業の再建状況が今後の株価に大きく影響すると考えられます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は25,609,100株と信用売残9,236,600株よりも多く、信用倍率は2.77倍です。信用買残が多い状況は、将来的な需給悪化(買い方が将来の売り手となるため)のリスクを示唆する可能性があります。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
主要株主としてルノー関連会社が全体の約35%を保有しており、安定株主となっています。その他、日本マスタートラスト信託銀行などの機関投資家が上位に名を連ねています。経営陣の持株比率に関する具体的な情報はありません。 - 大株主の動向
大株主であるルノーグループの動向は、ルノー・日産・三菱自動車のアライアンス関係や、相互出資関係の見直し議論など、経営戦略に影響を与える可能性があります。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想の1株配当は0.00円であり、配当利回りは0.00%です。当期純利益が赤字であるため、配当性向も算出できません。 - 自社株買いなどの株主還元策
中間決算において、自社株買いの実施は確認できませんでした。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2025年11月6日に、グローバル本社をセール・アンド・リースバック方式で譲渡する契約を締結したことが重要な後発事象として開示されています。 - これらが業績に与える影響の評価
譲渡価額970億円に対し、譲渡益約739億円を2026年3月期に特別利益として計上する見込みです。これは通期の最終的な純利益(赤字予想)を大幅に改善する効果が期待されますが、一時的な利益であり、本業の収益性改善とは異なります。資金繰りの改善には貢献すると考えられます。
16. 総評
日産自動車は、グローバルなプレゼンスと販売金融事業の安定性という強みを持つ一方で、主力の自動車事業において収益性が大きく悪化し、財務健全性にも課題を抱える厳しい状況にあります。中期経営計画「Re:Nissan」を通じて事業構造改革を推進しており、本社のセール・アンド・リースバックによる資産売却益は、当期の一時的な業績改善とキャッシュフロー改善に寄与する見込みです。
- 強み: グローバルな企業連合による事業展開、安定的な利益貢献を続ける販売金融事業。
- 弱み: 自動車事業の収益性大幅悪化、低い自己資本比率と高い負債比率、フリーキャッシュフローの継続的なマイナス。
- 機会: 「Re:Nissan」による構造改革の成功、電動車市場の拡大への対応。
- 脅威: 為替変動、主要市場における関税・貿易政策リスク、激しい競争環境、部品供給リスク、訴訟リスク、金利上昇による財務負担増。
現在の株価はPBR基準では割安に見えますが、本業の赤字が依然として大きく、PER評価ができない点には留意が必要です。今後の株価は、構造改革の具体的な進捗、自動車事業の収益性回復、そしてグローバルな販売環境の改善にかかっています。
17. 企業スコア
- 成長性: C
過去12か月の売上高は増加しているものの、直近四半期売上高成長率は前年同期比でマイナスであり、グローバル小売台数も減少しています。再建途上にあり、具体的な新製品展開の開示も不足しているため、成長性は現時点で中程度にとどまると評価します。 - 収益性: D
ROE、ROAともに著しく低く、過去12か月および直近中間期は純利益が赤字となっています。売上高営業利益率も低水準であり、収益性は低いと評価します。 - 財務健全性: C
自己資本比率(24.8%)は安定的な水準(40%以上)を下回っており、総負債比率も高い水準です。流動比率は一定の水準を保っていますが、フリーキャッシュフローが大幅なマイナスであることなど、全体的に財務健全性には懸念があると評価します。 - 株価バリュエーション: B
実績PBRが0.29倍と業界平均(0.8倍)に比べて大幅に割安な水準にありますが、利益が赤字であるためPERによる評価ができません。現在の低いPBRは市場が同社の収益悪化を織り込んでいる可能性が高いため、割安とは判断するものの、積極的な高評価には至らないと評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 7201 |
| 企業名 | 日産自動車 |
| URL | http://www.nissan.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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