1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    東部ネットワークは、神奈川県横浜市に本社を置く物流企業です。主力は貨物自動車運送事業で、ケミカル製品、セメント、飲料などの輸送を手掛けています。その他、産業用ガス輸送、3PL(Third Party Logistics)、倉庫業、不動産賃貸、自動車整備、産業廃棄物収集運搬など多角的な事業を展開しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 貨物自動車運送事業: 飲料、セメント、特殊貨物(産業用ガス等)の輸送が主軸です。特に特殊貨物輸送では乗務員教育を進め、取扱量増加を図っています。
    • 不動産賃貸事業: 自社保有ビルなどを賃貸し、安定した収益源となっています。主要施設は満室稼働です。
    • その他事業: 石油製品販売、自動車整備、保険代理業なども手掛けています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    横浜市東部の運送会社13社統合で発祥した歴史を持つ、神奈川県を地盤とする物流中堅企業です。特殊貨物輸送や3PLサービスを拡充することで、付加価値の高いサービス提供を目指しています。高い自己資本比率(81.9%)と低い負債比率を維持しており、財務基盤の安定性は競争優位性の一つと考えられます。一方で、貨物運送業界全体としては、荷量減少、燃料費高騰、ドライバー不足、運賃適正化交渉の難航などが課題として挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    貨物運送業界では、「運賃適正化」に向けた法整備が進んでいますが、その実効性確保や現場への浸透には時間を要しており、不透明感が残っています。企業の対応としては、不採算拠点の見直し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した配車効率化、付加価値の高い特殊貨物や3PLサービスの拡大を通じて、収益性の改善を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    中期経営計画の具体的な数値目標は開示されていませんが、注力分野として特殊貨物・3PLの拡大、地域展開(九州・北海道)を掲げています。収益性の高い事業へのシフトと効率化が主な戦略です。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 特殊貨物輸送の強化: 乗務員教育の進捗により取扱量を増加させています。
    • 3PLサービスの拡大: 顧客の物流ニーズに応じた包括的なサービスを提供し、事業領域を広げています。
    • 不採算拠点の見直し: 経営効率の改善を図っています。
    • DX推進: 配車効率化など、デジタル技術を活用した業務改善を進めています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信には具体的な新製品・新サービスの情報は見られませんが、特殊貨物輸送の拡大(水素など産業用ガス輸送の拡充を含む)や3PLサービスの強化が、実質的な新サービス展開として挙げられます。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    貨物自動車運送事業を主力としつつ、安定収益源である不動産賃貸事業やその他事業で多角化を図っています。運送業界の課題に対しては、高付加価値の特殊貨物・3PLへのシフトやDXによる効率化を進め、収益構造の転換を目指しています。これにより、市場ニーズの変化(より効率的で専門性の高い物流サービスへの需要)への適応を図る姿勢が見られます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データなし

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    具体的な技術開発の内容については詳細な記載はありませんが、DXによる配車効率化など、IT技術を活用した業務プロセスの改善に取り組んでいます。これにより、運行管理の最適化やコスト削減を目指していると考えられます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    主力は貨物自動車運送事業であり、中でも特殊貨物輸送の収益性が改善傾向にあります。また、不動産賃貸事業は安定的に高いセグメント利益を計上しており、収益基盤を支える重要な事業です。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 1,193.0円
    • 会社予想EPS: 52.81円
    • 実績BPS: 3,682.21円
    • PER(会社予想): 22.59倍
    • PBR(実績): 0.32倍
      株価はEPSに対しては比較的高水準ですが、BPSに対しては大幅に低い水準にあります。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 8.1倍
    • 業界平均PBR: 0.5倍
      同社のPER(22.59倍)は業界平均(8.1倍)と比較して高い水準にあります。一方、PBR(0.32倍)は業界平均(0.5倍)と比較して低い水準です。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は、1,120円から1,193円の範囲で推移しており、本日は1,193円と上昇し、レンジの上限に近い位置で終えています。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値が1,246円、年初来安値が753円であることから、現在の株価1,193円は年初来高値にかなり近い高値圏に位置しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は12,000株、売買代金は14,190千円です。最近の平均出来高(3ヶ月平均12,780株、10日平均6,250株)と比較すると、本日の出来高は3ヶ月平均に近い水準であり、比較的市場からの関心は維持されているといえます。しかし、絶対的な出来高水準は低く、流動性は限定的である可能性があります。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
  • 売上高: 過去数年で緩やかな増加傾向でしたが、直近12か月は10,110百万円とほぼ横ばいです。直近四半期の前年比売上高成長率は-2.80%と減少しています。
  • 粗利益: 過去数年で増加傾向にあり、直近12か月は1,145百万円です。
  • 営業利益: 2023年3月期まで増加していましたが、2024年3月期は減少しました。直近12か月は224百万円で、2024年3月期より改善しています。
  • 当期純利益: 過去数年で変動が大きく、2024年3月期は78百万円と低い水準でしたが、直近12か月は370百万円と大きく改善しています。これは特別利益(保険解約返戻金等)の影響が大きいと考えられます。
  • ROE(実績): (連)0.52%と非常に低い水準です。
  • ROA(実績): (連)0.56%と非常に低い水準です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    売上高は安定しているものの、営業利益は変動があり、当期純利益は特別損益の影響を受けやすい傾向が見られます。一過性の要因を除いた収益性には課題がある可能性があります。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期累計では、売上高進捗率が46.2%、営業利益進捗率が47.3%と概ね計画通りです。しかし、親会社株主に帰属する中間純利益の進捗率は73.2%と非常に高く、これは前年同期に計上された減損損失が当期は発生しなかったことや、保険解約返戻金、固定資産売却益などの特別利益が計上されたことによるものです。このため、純利益の通期予想への達成度合いは特別利益に大きく依存する可能性があります。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 81.9%(実績)。決算短信によると82.1%と非常に高い水準であり、財務の安定性を示す指標として極めて良好です。
    • 流動比率: 直近四半期で3.97倍(397%)と、短期的な支払い能力も非常に高い水準にあります。
    • 負債比率(D/Eレシオ): 直近四半期で3.33%と非常に低く、借入金が自己資本に対して極めて少ないことを示しており、財務健全性が高いです。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    総現金(キャッシュ)残高が4,490百万円と多く、営業活動によるキャッシュフローも過去12か月で729百万円と安定的にプラスを維持しています。流動資産が流動負債を大きく上回り、また総負債も少ないため、財務安全性は極めて高く、資金繰りに懸念はないと考えられます。
  • 借入金の動向と金利負担
    総負債は691百万円であり、そのうち長期借入金は約261百万円と低水準です。金利負担もネットで-8,617千円(支払利息が受取利息を上回る)と、財務状況に対しては小さいと考えられます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE: 1.85%(過去12か月)
    • ROA: 0.56%(過去12か月)
    • 営業利益率: 4.74%(過去12か月)
    • 粗利率: 11.3%(過去12か月、概算)
      ROEおよびROAは、それぞれ一般的なベンチマークとされる10%および5%を大きく下回っており、資本効率・総資産効率には課題があります。営業利益率は約4.7%で、売上高に対する事業の利益創出力は中程度と言えます。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(1.85%)とROA(0.56%)ともに、一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を大幅に下回っています。これは、多額の自己資本と現預金を保有している一方で、収益力が低いことが影響していると考えられます。
  • 収益性の推移と改善余地
    貨物自動車運送事業では、運賃適正化や不採算拠点見直し、DXによる効率化で収益性改善が見られます。しかし、全体としてのROE/ROAは低く、収益性向上の余地は大きいと考えられます。特に、豊富な自己資本と現金資産をどのように活用して収益力を高めるかが、今後の課題となり得ます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値は0.20(5年間の月次)と非常に低く、市場全体の値動きに対する株価の変動は小さいことを示唆しています。これは、市場全体のリスク変動に対して比較的安定した動きをする銘柄であると考えられます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は1,246円、52週安値は753円です。現在の株価1,193円は、52週高値に非常に近い位置にあり、レンジの中では高値圏に位置しています。52週変化率は+45.67%と、この1年で株価は大きく上昇しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信に記載のリスク要因としては、荷量の減少、運賃改定の遅れ、燃料費等の原材料高騰、法規制の変化、労働力不足、特別損益の一過性(保険解約返戻金等が継続しないリスク)が挙げられています。地政学リスクや為替リスクについては具体的な記載はありませんが、燃料費高騰を通じて影響を受ける可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想)22.59倍は、業種平均PER 8.1倍と比較して大幅に割高です。
    • PBR(実績)0.32倍は、業種平均PBR 0.5倍と比較して割安です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • EPS(会社予想)に基づいた目標株価(業種平均PER適用): 531円
    • BPS(実績)に基づいた目標株価(業種平均PBR適用): 1,831円
  • 割安・割高の総合判断
    PER基準では現在の株価が目標株価を大きく上回っており、割高感があります。PBR基準では現在の株価が目標株価を下回っており、割安感があります。この乖離は、収益性(ROEの低さ)に対する評価と、潤沢な自己資本(高いBPS)に対する評価の間の違いを示唆しています。ただし、現在の低いROEを考慮すると、PBRが低いだけでは一概に割安とは言えない可能性があります。PERが業種平均より大幅に高い点から見ると、割高寄りと判断できる側面があります。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は237,400株、信用売残は0株です。信用倍率は0.00倍であり、信用売残がないため、買い方優位の需給状況と言えます。ただし、信用買残の水準はやや高く、将来的な売り圧力となる可能性を内包しています。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    上位株主には三井住友信託銀行(中村家信託口)、丸全昭和運輸、アサガミなどの安定株主が名を連ねています。また、% Held by Insidersは51.61%と高水準であり、経営陣が大半の株式を保有している状況は、経営の安定性を示唆しています。
  • 大株主の動向
    株主構成に基づくと、安定した大株主が多く、短期的な売買による株価変動リスクは比較的小さいと考えられます。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    会社予想1株配当は15.00円で、配当利回り(会社予想)は1.26%です。配当性向は22.91%と、利益の約4分の1を配当に充てる方針であり、中程度の還元水準と言えます。2026年3月期の年間配当予想は15.00円で据え置かれています。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    自己株式取得を株主還元策として実行しており、直近の中間期でも44,143千円の自己株式取得実績があります。これは、配当と並行して資本効率の向上と株主価値向上を図る姿勢を示しています。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    BBT(株式給付信託)/RS信託による株式報酬制度を導入しており、経営陣へのインセンティブ付与を通じて、株主価値向上への貢献を促しています。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2026年3月期第2四半期決算短信によると、貨物自動車運送事業において、特殊貨物は乗務員教育の進捗により取扱量が増加しました。また、不採算拠点の見直しやDXによる配車効率化を進め、収益性の改善に努めています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    中間期の営業利益は前年同期比で26.0%増益となりました。これは、貨物自動車運送事業における収益性の改善が大きく寄与したものです。ただし、純利益の大幅な改善(前年△46百万円から+218百万円)は、前年の減損損失不発生と、保険解約返戻金や固定資産売却益といった特別利益(合計108百万円)の計上による影響が大きいです。構造的な収益改善努力と一過性の特別利益を区分して評価する必要があります。

16. 総評

東部ネットワークは、神奈川県を地盤とする物流中堅企業で、貨物自動車運送事業を主軸に、不動産賃貸やその他事業を展開しています。高い自己資本比率(約82%)と低い負債比率、潤沢な現預金を持つ極めて強固な財務体質が最大の強みです。しかし、ROE(1.85%)やROA(0.56%)は低く、資本効率と収益性には課題が見られます。

強み

  • 強固な財務基盤: 高い自己資本比率、低い負債比率、豊富な現預金。
  • 安定した不動産賃貸事業: 安定的な収益源を確保。
  • 特定分野(特殊貨物、3PL)への注力と収益改善努力。
  • 低ベータ値: 市場変動に対する株価の安定性が高い。

弱み

  • 低い収益性: ROE、ROAが一般的なベンチマークを大幅に下回る。
  • 売上高の成長鈍化: 直近四半期は減収。
  • 純利益の一過性要因依存: 特別利益が業績に与える影響が大きい。
  • 業界全体の課題: 荷量減少、燃料費高騰、ドライバー不足など。

機会

  • 特殊貨物輸送や3PLサービスといった高付加価値分野の拡大。
  • DX推進による業務効率化とコスト削減。
  • 環境規制強化や技術革新への対応(例: 水素輸送の拡充)。

脅威

  • 労働力不足の深刻化: 物流業界全体の人手不足。
  • 運賃適正化交渉の長期化や燃料費等の高止まり。
  • 経済状況の悪化による荷量減少。
  • 特別利益の減少・消失による純利益低下。
  • 財務健全性は極めて高く、倒産リスクは低いと考えられます。
  • 株価バリュエーションは、PBRで見れば割安水準ですが、低いROEであることやPERが業界平均を大きく上回る点を考慮すると、一概に割安とは判断しにくい状況です。
  • 短期的な利益の大幅改善は特別利益による部分が大きいため、本質的な収益力向上(営業利益ベースでの改善)が持続可能であるかを注視する必要があります。
  • 特殊貨物や3PLといった戦略分野の成長が、今後の企業価値向上の鍵となるでしょう。

17. 企業スコア

  • 成長性: B(中立)
    売上高は直近四半期で減少傾向にありますが、通期予想売上高成長率は微増。特殊貨物・3PL等の戦略分野への注力や収益性改善努力は見られますが、純粋な売上成長に力強さは欠けます。ただし、純利益成長は特別利益による影響が大きいため評価が難しい状況です。
  • 収益性: C
    粗利率、営業利益率は中程度ですが、企業全体としてのROE(1.85%)とROA(0.56%)は一般的なベンチマークを大きく下回っており、資本効率・資産効率に課題があります。
  • 財務健全性: S
    自己資本比率81.9%、流動比率397%、D/Eレシオ3.33%といずれも極めて高い水準にあり、現金保有も潤沢です。財務健全性は非常に優れています。
  • 株価バリュエーション: C
    PER(22.59倍)は業界平均PER(8.1倍)と比較して大幅に割高感があります。PBR(0.32倍)は業界平均PBR(0.5倍)と比較して割安感がありますが、ROEが低いことを考慮すると一概に割安とは言えません。総合的にはPERの乖離から割高と評価します。

企業情報

銘柄コード 9036
企業名 東部ネットワーク
URL http://www.tohbu.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 運輸・物流 – 陸運業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,193円
EPS(1株利益) 52.81円
年間配当 1.26円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.6% 23.5倍 1,275円 1.4%
標準 0.4% 20.4倍 1,101円 -1.5%
悲観 1.0% 17.4倍 963円 -4.1%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,193円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 551円 +642円 (+117%) △ 割高
10% 688円 +505円 (+73%) △ 割高
5% 868円 +325円 (+37%) △ 割高

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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