8015 豊田通商:企業分析レポート

1. 企業情報

豊田通商はトヨタグループの総合商社であり、自動車関連事業を基盤に、多岐にわたる事業を展開しています。

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    自動車産業を中核としながらも、金属、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、サプライチェーン、モビリティ、グリーンインフラ、デジタルソリューション、ライフスタイル、そして特に注力しているアフリカ地域での事業など、幅広い領域で国内外のビジネスを展開しています。世界的な社会課題解決に貢献する事業も積極的に推進しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 自動車関連事業: トヨタ自動車グループとの緊密な連携により、自動車の生産に必要な各種素材(鋼板、非鉄金属など)の供給から、車両の輸出入、販売、組立、部品供給、物流、さらには金融サービスまで、自動車のサプライチェーン全体をカバーしています。営業利益の約7割を自動車関連事業で稼ぎ出す強固な基盤を持っています。
    • アフリカ事業: アフリカ大陸において、自動車関連に加え、インフラ開発、エネルギー、ヘルスケア、食料など多角的な事業を展開し、成長市場としての機会を捉えています。
    • グリーン・循環型ビジネス: グリーンスチール、再生資源(リサイクル原料)、再生可能エネルギー(風力、太陽光、水力、バイオマスなど)の開発・運営など、環境負荷低減と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

豊田通商は、トヨタグループという強力なバックボーンを持つ大手総合商社であり、特に自動車関連分野とアフリカ市場において独自の競争優位性を確立しています。

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性:
    • トヨタグループとの連携: 強固な顧客基盤と安定的な取引量により、高い収益性を確保しています。自動車産業という巨大かつ安定した市場をバックに持つことは、他の総合商社にはない大きな強みです。
    • グローバルネットワーク: 世界各国に広がる事業拠点と、長年の国際取引で培ったノウハウが強みです。特にアフリカ地域では、他社に先駆けて深くコミットし、広範なビジネスを展開しています。
    • 多角的な事業ポートフォリオ: 金属、エネルギー、化学品、食品、インフラなど、多様な事業セグメントを持つことで、特定市場の変動リスクを分散し、安定した収益基盤を構築しています。
    • 課題:
    • 特定産業への依存: 自動車関連事業への収益依存度が高く、自動車市場の動向やトヨタグループの生産計画に業績が左右される可能性があります。
    • 市況変動リスク: 資源価格(金属など)や為替レートの変動が、商社ビジネスの収益に直接影響を与えるリスクがあります。
    • 地政学的リスク: グローバル展開する上で、各国の政治・経済情勢、通商政策(高関税など)の変動が事業に与える影響は小さくありません。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 世界経済の不確実性、特に米国の通商政策や地政学リスクは、貿易量の減少やサプライチェーンの混乱を招く可能性があります。これに対し、同社はグリーンスチールや再生資源事業への投資、アフリカ・新興国での事業基盤強化により、リスク分散と新たな成長機会の創出を図っています。
    • 鋼材・素材市況の下落がメタル分野に影響を与えている一方、再生資源やグリーンインフラといった持続可能性に資する分野は拡大トレンドにあり、同社はこれらの分野への積極投資を通じて市場ニーズの変化に対応しています。

3. 経営戦略と重点分野

同社は、既存事業の強化に加え、持続可能な社会への貢献と新たな成長領域の開拓を経営戦略の柱としています。

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    提供データからは具体的なビジョンステートメントは読み取れませんが、決算短信における事業展開から、「グローバルな視点での事業拡大」「環境負荷低減と資源循環への貢献」「新興国市場の開拓」を重視していることがうかがえます。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    決算短信には中期経営計画の細目の記載はありませんが、グリーン投資(グリーンスチール、再資源化)、循環型事業拡大、アフリカ・新興国での事業基盤強化が、同社の継続的な成長戦略と整合していることが示唆されています。具体的には、脱炭素社会に向けたグリーンスチールサプライチェーンの構築、廃棄物リサイクル企業であるRadius社の完全子会社化、「Suezターミナル」を通じた自動車物流ネットワークの強化などが挙げられます。
  • 新製品・新サービスの展開状況
    決算短信に具体的な「新製品・新サービス」の名称は記載されていませんが、以下の取り組みが事業拡大の重点として示されています。
    • グリーンスチール: 脱炭素化に向けた新たな素材供給体制の構築。
    • 再生資源事業: Radius社の完全子会社化を通じて、再生資源の取り扱いを拡大。
    • グリーンインフラ: 風力発電所の商業運転開始など、再生可能エネルギー事業への投資。
    • アフリカ投資: インフラ・ヘルスケア分野での事業拡大、自動車物流拠点の整備。

4. 事業モデルの持続可能性

豊田通商の事業モデルは、多様な事業ポートフォリオとトヨタグループとの連携により、高い持続可能性を保持していますが、外部環境の変化への適応力が重要となります。

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    総合商社として様々な産業分野・地域での取引を手掛けることで、特定の事業や地域の景気変動リスクを分散しています。特に、自動車関連の強固な基盤を持ちつつ、気候変動対策としてのグリーンインフラ、循環型経済への対応、デジタル化の推進といった新たな市場ニーズに対応した事業領域への投資を加速させており、時代の変化への適応能力は高いと言えます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    商社ビジネスの特性上、大型案件やプロジェクトの進捗によって、特定の四半期または期末に売上や利益が偏って計上される可能性があります。今回の第2四半期決算では、通期予想に対して親会社帰属中間利益が約52%の進捗と順調であり、現時点での大きな偏りは見受けられません。しかし、予期せぬ外部要因(市況変動、通商政策など)が発生した場合、今後の業績に影響を及ぼす可能性はあります。

5. 技術革新と主力製品

同社は直接的な研究開発型の企業ではありませんが、新しい技術やビジネスモデルを取り入れ、事業に統合する能力に長けています。

  • 技術開発の動向や独自性
    • 環境技術の導入: グリーンスチールや再生可能エネルギー、リサイクル技術の導入・事業化を推進しており、環境意識の高まりと共にこれらの分野でのプレゼンスを強化しています。
    • デジタルソリューション: サプライチェーンの効率化や新たなサービス提供のために、ICTやDX(デジタルトランスフォーメーション)技術の活用にも注力しています。
    • 独自性: トヨタグループとの連携により、自動車産業における最新技術トレンドを捉え、サプライチェーンに組み込む能力は、同社の大きな独自性です。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • モビリティ事業: 自動車本体の販売から部品供給、物流、組立に至るまで、自動車関連のバリューチェーン全体が引き続き収益の主要な柱です。
    • アフリカ事業: アフリカ地域での多角的な事業展開が、高い成長率を維持し、利益貢献を拡大しています。中間決算でも前年同期比16.9%増と堅調です。
    • グリーンインフラ事業: 風力発電など再生可能エネルギーへの投資が拡大し、収益貢献度を高めています。中間決算では一過性利益も寄与し、前年同期比27.4%増と高い伸びを示しています。

6. 株価の評価

現在の株価は、業界平均と比較して割高感があります。

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 株価: 5,303.0円
    • 会社予想EPS: 341.00円
    • 実績BPS: 2,688.06円
    • 現在のPER (株価 ÷ EPS): 5,303.0円 ÷ 341.00円 = 15.55倍
    • 現在のPBR (株価 ÷ BPS): 5,303.0円 ÷ 2,688.06円 = 1.97倍
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 12.1倍
    • 業界平均PBR: 1.0倍
      豊田通商のPER15.55倍は業界平均12.1倍と比較して高く、PBR1.97倍も業界平均1.0倍と比較して高い水準にあります。これは、同社への成長期待や市場からの評価が高いことを示唆する一方で、相対的な割高感があるとも言えます。

7. テクニカル分析

直近の株価は年初来高値圏にあり、市場からの関心も高い状態です。

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    現在の株価5,303円は、直近10日間の高値が5,419円(12月16日)であり、ほぼその水準に近い位置にあります。50日移動平均線(4,776.88円)と200日移動平均線(3,605.24円)を大きく上回っており、上昇トレンドが継続している高値圏に位置すると判断できます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 5,419円
    • 年初来安値: 2,072円
      現在の株価5,303円は、年初来高値に非常に近く、年間レンジの上限にいます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日出来高4,114,600株、売買代金21,751,390千円。これは過去3ヶ月平均出来高2.17M株、過去10日平均出来高2.3M株と比較して大幅に増加しており、本日の株価上昇に伴い市場の関心が非常に高かったことを示しています。

8. 財務諸表分析

売上高、利益ともに順調な成長を示しており、収益性は改善傾向にあります。

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上(Total Revenue): 過去5年で一貫して増加傾向にあり、2022年3月期の8兆円から2025年3月期予想の10兆3千億円、直近12か月では10兆6千億円と力強く成長しています。
    • 営業利益(Operating Income): 売上と同様に増加傾向で、2022年3月期の2,998億円から直近12か月で5,130億円と大幅に伸びています。
    • 純利益(Net Income Common Stockholders): 2022年3月期の2,222億円から直近12か月で3,678億円と着実に増加しています。
    • ROE(実績): 14.24% (企業財務指標の過去12か月では14.09%)。一般的な目安である10%を大きく上回る高い水準であり、株主資本を効率的に活用して利益を上げていることを示しています。
    • ROA(過去12か月): 4.39%。一般的な目安である5%にはわずかに届きませんが、安定した水準で推移しており、総資産に対する収益力も堅調です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    損益計算書のデータからは、売上、営業利益、純利益、EPS全てにおいて過去数年間にわたり継続的な成長トレンドが見られます。これは、グローバルな事業拡大と事業ポートフォリオの最適化が進んでいることを示唆しています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期(中間期)の親会社帰属中間利益1,869億円は、通期予想3,600億円に対して約52%の進捗であり、好調に推移していると評価できます。収益も5兆4,143億円で、通期予想10兆3,095億5千万円の約52.5%の進捗となっており、通期目標達成への期待が高まります。

9. 財務健全性分析

積極的な事業投資により負債は増加傾向にありますが、流動性は確保されており、財務安全性は維持されています。

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): 37.2%(決算短信では親会社所有者帰属持分比率36.9%)。総合商社としては中程度の水準ですが、「自己資本比率40%以上でS〜A、30%以上でB」の基準からするとB評価圏内です。多額の負債を伴うM&Aや大規模プロジェクトが多い商社ビジネスの特性を考慮すると、一定の健全性は保っていると言えます。
    • 流動比率(直近四半期): 1.55 (155%)。目安とされる120%以上を大きく上回っており、短期的な支払い能力は良好と判断できます。
    • 負債比率(負債合計/資本合計): 約160%(決算短信より算出: 4,733,473百万円 / 2,961,742百万円)。商社ビジネスは一般に負債比率が高くなる傾向がありますが、比較的高水準であり、負債依存度はやや高めです。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    営業キャッシュフローは順調にプラスを維持しており、本業で資金を生み出す力はあります。しかし、投資キャッシュフローが大幅なマイナスとなっている(M&Aやグリーン分野への積極投資)ため、その不足分を財務キャッシュフロー(借入増など)で調整している状況です。現預金残高は増加していますが、大規模な投資が続く中で、効率的な資金運用と負債管理が重要となります。
  • 借入金の動向と金利負担
    中間決算において、投資キャッシュフローのマイナスを補う形で財務キャッシュフローがプラスに転じており、これは借入が増加したことを示唆しています。総負債も増加傾向にあり、今後金利が上昇した場合、金利負担が増加するリスクがあります。ただし、現在のところ、Net Non Operating Interest Income Expenseは大きく悪化しておらず、利払い能力は維持されています。

10. 収益性分析

ROEは非常に良好な水準であり、収益性は高いと言えます。

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12か月): 14.09%。
    • ROA(過去12か月): 4.39%。
    • 粗利率(Gross Profit Margin): 過去12か月で1,164,507百万円 / 10,658,015百万円 ≒ 10.93%。
    • 営業利益率(Operating Margin、過去12か月): 4.78%。
    • 当期純利益率(Profit Margin): 3.45%。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    • ROE 14.09%: 一般的な目安である10%を大きく上回っており、非常に良好な収益性であると評価できます。
    • ROA 4.39%: 一般的な目安の5%にはわずかに届きませんが、商社ビジネスの特性(総資産に対する利益率)を考慮すると、安定した水準にあると言えます。
    • 営業利益率: 4.78%。総合商社としては堅実な利益率と言えます。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年間の損益計算書を見ると、売上総利益、営業利益、純利益ともに継続的な増加傾向にあり、収益性は改善しています。積極的な成長投資(M&A、グリーン事業など)が将来的な収益性向上に寄与すると期待されますが、一方でそれらの投資が負債増や金利負担増につながる可能性も考慮する必要があります。

11. 市場リスク評価

市場全体との相関は低いものの、特定の外部環境要因に影響を受けやすい特性があります。

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は0.70です。これは市場全体の動き(S&P 500など)に対して、豊田通商の株価が比較的連動しにくい、あるいは市場変動に対して値動きが小さいことを示しています。安定志向の投資家にとっては魅力的な特性ですが、市場が大きく上昇する局面では、他銘柄に比べて上昇率が鈍い可能性もあります。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 5,419.00円
    • 52週安値: 2,072.00円
      現在の株価5,303円は52週高値に非常に近く、年間を通して高い水準に位置しています。過去1年で株価が97.84%上昇しており、大きな値上がりを経験しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因
    • 外部環境リスク: 為替変動(特に円安トレンドの反転)、鋼材などの素材価格の下落、米国の通商政策(高関税など)、地政学リスク(ウクライナ情勢、中東情勢など)。これらの要因はグローバルに事業展開する商社にとって大きな影響を与え得ます。
    • 金利負担増: 積極的な投資に伴う借入増加により、金利が上昇した場合の財務負担増。
    • M&A統合リスク: 買収した子会社(Radius社など)の統合が計画通りに進まないリスク。
    • 棚卸資産リスク: 棚卸資産が増加傾向にあり、市況変動によっては評価損発生のリスクがあります。

12. バリュエーション分析

業界平均と比較すると現在の株価は割高と判断されますが、成長期待が織り込まれている可能性があります。

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 現在のPER: 15.55倍
    • 現在のPBR: 1.97倍
    • 業界平均PER: 12.1倍
    • 業界平均PBR: 1.0倍
      豊田通商のPER、PBRともに業界平均を大きく上回っており、成長性や収益性への期待が株価に織り込まれていると解釈できます。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • EPS(会社予想): 341.00円
    • BPS(実績): 2,688.06円
    • 業界平均PER基準の目標株価: 12.1倍 × 341.00円 = 4,126.1円
    • 業界平均PBR基準の目標株価: 1.0倍 × 2,688.06円 = 2,688.06円
      (提供されたデータの目標株価:業種平均PER基準4,216円、業種平均PBR基準2,688円)
  • 割安・割高の総合判断
    業界平均のバリュエーション指標と比較すると、現在の株価は割高であると判断されます。ただし、これはあくまで過去の業界平均との比較であり、同社の成長戦略、トヨタグループとの連携による強固な事業基盤、持続的な高ROE(14%超)といった特定の優位性が市場から評価され、より高い株価水準が正当化されている可能性もあります。今後の業績進捗や市場の成長期待の変化が株価に影響を与えるでしょう。

13. 市場センチメント分析

安定株主が多く、信用取引の状況も改善傾向にあります。

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 623,400株(前週比 -76,500株)
    • 信用売残: 100,800株(前週比 +4,100株)
    • 信用倍率: 6.18倍
      信用買残が減少し、信用売残が増加しているため、需給バランスは改善傾向にあると言えます。信用買いが積み上がっている状況は解消に向かっており、株価の上値が軽くなる可能性があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 大株主: トヨタ自動車(21.57%)、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)(14.25%)、豊田自動織機(11.12%)、日本カストディ銀行(信託口)(6.43%)など。
    • 安定株主: トヨタ自動車や豊田自動織機といったトヨタグループ各社が大株主として名を連ねており、強力な安定株主基盤を持っています。これにより経営の安定性が高いと言えます。
    • インサイダー保有比率: 34.90%。特定の企業や経営陣が一定の持ち株比率を維持しています。
  • 大株主の動向
    提供されたデータからは、大株主による特筆すべき売買動向は読み取れません。ただし、トヨタ自動織機に関連した同社の自己株式公開買付の開始時期見込みに関する情報があり(決算短信参照)、これが株価に影響を与える可能性があります。

14. 株主還元と配当方針

配当性向は適度な水準で安定しており、中間配当の増額や自己株式取得の動きも見られます。

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 2.19%
    • 1株配当(会社予想): 116.00円
    • 配当性向(予想): 年間配当116円 / 予想EPS341.00円 ≒ 34.0%
      配当利回りは標準的な水準であり、配当性向34.0%は利益成長と株主還元のバランスが取れた適度な水準と言えます。同社の安定的な利益成長を背景に、安定配当が期待されます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信には、トヨタ自動織機に関連した自己株式の公開買付けに関する記述があり、自社株買いによる株主還元も視野に入れていることが示唆されています。これは1株当たり価値の向上に繋がる可能性があります。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    提供データには株式報酬型ストックオプションに関する記載はありません。

15. 最近のトピックスと材料

通期業績の上方修正は、既存事業の堅調と積極的な投資の成果を示しています。

  • 適時開示情報の分析
    • 通期業績の上方修正: 2026年3月期の親会社に帰属する当期利益予想を3,400億円から3,600億円に上方修正しました。これは中間期の好調な業績進捗と、今後の成長への自信を示しています。
    • 中間配当の増額: 中間配当を前年同期の50円から58円に引き上げました。これは株主還元への意欲と、業績好調の裏付けとなります。
    • M&Aとグリーン分野への投資: 廃棄物リサイクル企業のRadius社の完全子会社化や、風力発電所の商業運転開始など、サーキュラーエコノミー・グリーンインフラ分野への積極的な投資を継続しています。これらは中長期的な事業基盤強化と収益貢献が期待されます。
    • Suezターミナルの開設: アフリカでの自動車物流インフラ強化に向けた取り組みも進んでいますが、今回の決算短信では特に詳細な記述はありませんでした。
  • これらが業績に与える影響の評価
    通期業績の上方修正は、既存事業の堅調な推移に加え、アフリカ事業やグリーンインフラ事業といった成長分野への先行投資が着実に利益に結びついていることの表れと評価できます。積極的なM&Aや設備投資は、短期的には投資キャッシュフローの流出や負債の増加を伴いますが、中長期的な収益源の確保と事業価値の向上に大きく貢献すると考えられます。ただし、これらの投資に対する外部環境リスク(為替、市況、地政学等)は引き続き注視が必要です。

16. 総評

豊田通商は、トヨタグループを背景とした強固な事業基盤と、成長市場・成長分野への積極的な投資により、持続的な成長を実現している総合商社です。

  • 全体的な見解
    財務面では、ROAが一般的なベンチマークをわずかに下回るものの、ROEは高水準を維持しており、株主資本の効率的な活用が進んでいます。積極的な事業投資に伴う負債増はありますが、流動性は確保されており、全体的な財務健全性は維持されています。市場リスクとして為替変動や資源市況、地政学リスクは存在しますが、多角的な事業展開と特定の分野(アフリカ、グリーン)への強みでリスク分散を図っています。
    • ポジティブ:
    • トヨタグループとの強固な連携による安定的かつ高収益な事業基盤。
    • アフリカ事業やグリーンインフラ・循環型ビジネスといった成長分野への積極的な投資と成果。
    • 継続的な増収増益、高ROEに裏付けられた高い収益性。
    • 通期業績の上方修正と中間配当の増額。
    • 信用買残減少による需給改善の兆し。
    • 安定的な株主構成。
    • ネガティブ/注意点:
    • 業界平均と比較して現在の株価はPER、PBRともに割高感がある。
    • 積極的な投資に伴う負債増加と、将来的な金利上昇による財務負担増のリスク。
    • 自動車産業や資源市況、為替変動、地政学的な外部環境リスクに影響を受けやすい。
    • 直近の株価は年初来高値圏にあり、急激な上昇に対する反動リスクも潜在。
  • 強み・弱み・機会・脅威の整理 (SWOT)
    • 強み (Strengths):
    • トヨタグループとの強力なビジネス連携と安定的な収益源。
    • アフリカ市場における先行者優位性と広範な事業展開。
    • 多角的な事業ポートフォリオによるリスク分散。
    • 高いROEに示される株主資本の効率的な活用。
    • 優れた資金繰り管理能力。
    • 弱み (Weaknesses):
    • 自動車関連事業への収益依存度が高い。
    • 業界平均と比べて割高な株価バリュエーション。
    • 積極的な投資に伴う負債依存度の高さ。
    • 機会 (Opportunities):
    • グリーンスチール、再エネ、循環型経済など、環境関連市場の成長。
    • アフリカおよび新興国市場における経済成長とインフラ需要増大。
    • デジタルトランスフォーメーションによる既存事業の高効率化と新規事業創出。
    • 脅威 (Threats):
    • 世界的な景気減速、米国の通商政策などの外部経済環境の変化。
    • 為替レート、原燃料価格などの市況変動。
    • 地政学的リスク(紛争、国際関係の悪化など)。
    • 金利上昇による借入金利負担の増大。
    • 競合他社との激化する競争。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    売上高は過去数年で堅調に成長しており、直近四半期も前年比11.70%増を記録しています。通期利益予想も上方修正され、M&Aや新たなグリーン分野への投資も積極的であり、今後の成長期待が高いと評価できます。
  • 収益性: A
    ROEは14.09%と一般的なベンチマーク(10%)を大きく超える高い水準です。ROAは4.39%でベンチマーク(5%)にわずかに届かないものの、営業利益率4.78%、純利益率3.45%を維持しており、全体として良好な収益性を有しています。
  • 財務健全性: B
    自己資本比率は37.2%(決算短信では36.9%)と「30%以上でB」の基準を満たします。流動比率は1.55と良好ですが、積極的な投資に伴う負債増により負債比率が約160%とやや高めです。資金繰りは営業CFがプラスで推移していますが、投資CFは大幅なマイナスであり、借入への依存度も高まっています。
  • 株価バリュエーション: C
    現在のPER15.55倍、PBR1.97倍は、業界平均PER12.1倍、PBR1.0倍と比較してかなり割高な水準にあります。高い成長期待が織り込まれている可能性はありますが、相対的な割安感は低いと判断されます。

企業情報

銘柄コード 8015
企業名 豊田通商
URL http://www.toyota-tsusho.com/
市場区分 プライム市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 5,303円
EPS(1株利益) 341.00円
年間配当 2.19円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 7.6% 17.3倍 8,515円 10.0%
標準 5.9% 15.0倍 6,818円 5.2%
悲観 3.5% 12.8倍 5,181円 -0.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 5,303円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 3,396円 +1,907円 (+56%) △ 割高
10% 4,242円 +1,061円 (+25%) △ 割高
5% 5,352円 -49円 (-1%) ○ 割安

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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