1. 企業情報

株式会社オープンアップグループは、製造業、建設業、IT企業向けに技術者を派遣・請負・委託する事業を国内外で展開しています。2023年1月に旧社名「BeNext-Yumeshin Group Co.」から現社名に変更しました。

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    主に日本の製造業(自動車関連や電機メーカー)、建設業、IT企業に対し、専門性の高いエンジニアや技術者を派遣・請負するサービスを提供しています。近年はアジア地域への展開も強化しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    開発系エンジニア(機電、IT領域)と建設技術者の派遣が事業の柱です。特定の技術分野に特化した高付加価値なサービスを提供し、顧客企業の技術力強化やプロジェクト推進を支援しています。オンラインプログラミング教育や障がい者雇用支援など、多角的な事業も手掛けています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    同社は、製造業における自動車関連や電機メーカー、そしてIT領域におけるデジタルニーズに対応する技術者派遣において強みを持っています。専門性の高い技術者育成・確保に努めている点が競争優位性と考えられます。一方で、人材業界全体として、少子高齢化による労働人口減少、DX化の進展に伴う技術の変化の速さ、生成AIによる業務自動化の進展などが課題として挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    DX需要は拡大基調であり、IT領域の事業は成長機会があります。建設領域では人手不足や労働規制強化により需給がタイト化しており、技術者派遣のニーズは高いと見られます。機電領域では防衛・航空機分野が政策支援で成長基調にある一方、半導体装置や自動車分野は地域・投資動向によって変動があります。同社は英国事業売却を行い、アジア市場に注力するなど、事業ポートフォリオの最適化を通じて市場環境の変化に対応しています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    決算短信から直接的なビジョンは読み取れませんが、「事業ポートフォリオ最適化」「採用強化」「M&Aによる事業拡張」を戦略として掲げていることが示唆されています。英国事業の売却と、国内の株式会社エイセブホールディングスの子会社化(自動車領域強化)は、この戦略に基づく具体策と考えられます。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    中期経営計画の具体値に関する記述はデータに含まれていませんが、上記の戦略から、成長性の高い領域への集中投資と、採算性の改善を重視していることがうかがえます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    決算短信には具体的な新製品・新サービスの展開状況の明記はありませんが、IT領域における生成AIの動向が競争環境を変化させているとの認識があり、これに対応したサービス提供が期待されます。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社の収益モデルは、技術者派遣・請負が中心であり、景気変動や設備投資動向、あるいはDX需要などの市場ニーズに大きく左右されます。英国事業売却後のポートフォリオ最適化や、高収益事業への集中は、市場ニーズの変化に対応し、収益性を高めるための戦略と見られます。これにより売上総利益率が改善しており、適応力は一定程度あると考えられます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データには売上計上時期の偏りに関する具体的な記述はありません。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    決算短信によれば、IT領域では生成AIの普及など、技術革新が競争環境を変化させているとの認識があります。同社自身の具体的な技術開発や独自性についての情報は本データにはありません。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    事業セグメントから見て、「機電領域」と「建設領域」、そして「IT領域」の技術者派遣・請負サービスが現在の収益を牽引している主力事業と考えられます。特に建設領域、機電領域が売上を伸ばしています。

6. 株価の評価

現在の株価1,876.0円に対し、以下の指標が示されています。

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • EPS(会社予想):137.64円
    • BPS(実績):868.49円
    • PER(会社予想):13.61倍(株価1,876.0円 ÷ EPS 137.64円 ≒ 13.63倍)
    • PBR(実績):2.16倍(株価1,876.0円 ÷ BPS 868.49円 ≒ 2.16倍)
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER:17.0倍
    • 業界平均PBR:1.8倍
      現在のPER(13.61倍)は業界平均PER(17.0倍)を下回っており、PER基準では割安感があります。一方、現在のPBR(2.16倍)は業界平均PBR(1.8倍)を上回っており、PBR基準ではやや割高感があります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は1,781円から1,888円の範囲で推移しており、現在の1,876円は直近では比較的高値圏にあります。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値:1,979円、年初来安値:1,481円。現在の株価1,876円は年初来高値に近づいており、年初来レンジの上限約89%の位置にあります。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日出来高:39,500株、売買代金:73,817千円。3ヶ月平均出来高223.33k株、10日平均出来高190.59k株と比較すると、本日の出来高は大幅に減少しており、市場の関心はやや低い状態にあると見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上収益(過去12か月):187,954百万円
    • 営業利益(過去12か月):16,244百万円
    • ROE(過去12か月):17.82%
    • ROA(過去12か月):8.71%
      ROE、ROAともに高水準であり、資本効率・資産効率は良好です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • Total Revenue: 2022年148,573M → 2023年150,697M → 2024年173,225M → 2025年187,954M(予測)と、売上は堅調に増加トレンド。
    • Operating Income: 2022年10,104M → 2023年12,164M → 2024年14,294M → 2025年16,244M(予測)と、営業利益も同様に増加トレンドを継続しています。
    • Net Income Common Stockholders: 純利益も同様に増加傾向です。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年6月期第1四半期(7~9月)の連結業績は、売上収益が前年同期比14.9%減の41,160百万円でしたが、これは英国事業売却によるものです。営業利益はほぼ横ばいの4,120百万円(前年同期比0.7%減)を確保し、親会社株主に帰属する四半期利益は16.4%増の2,777百万円となりました。売上総利益率が2.8ポイント改善し27.1%となったことが利益を支えています。
    通期予想(売上収益171,000百万円、営業利益16,500百万円、親会社帰属当期利益11,800百万円)に対する第1四半期の進捗率は、売上収益が約24.1%とやや遅れ気味ですが、営業利益は約25.0%と計画通りの進捗です。純利益は約23.6%とやや遅れですが、会社は通期予想を据え置いています。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価

    • 自己資本比率(実績):64.2% (2025年度実績) / 62.3% (2026年6月期1Q)

      高い水準であり、財務基盤は非常に安定しています。

    • 流動比率(直近四半期):1.09

      100%は超えていますが、余裕は限定的で、短期的な支払能力については注意が必要です。

    • 負債/資本比率(直近四半期):約60.3% (Total Debt/Equity 13.57%)

      D/E比率で見ると非常に低い水準であり、負債は非常に少ない状態です。

  • 財務安全性と資金繰りの状況
    自己資本比率の高さから財務安全性は高いと言えます。ただし、流動比率が1倍台前半であること、および第1四半期に短期借入金が5,000百万円増加している点は資金繰りの動向を注視する必要があるかもしれません。

  • 借入金の動向と金利負担
    直近四半期で短期借入金が5,030百万円から10,015百万円に増加しています。これは、株主還元策(自社株取得や配当金支払)による現金減少を補うための調達と見られます。利息費用は年間305百万円(過去12ヶ月)と総利益から見ると小さく、金利負担は現状では大きくありません。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12か月):17.82%
    • ROA(過去12か月):8.71%
    • Operating Margin(過去12か月):10.01%
      これらの指標は非常に優れており、効率的な経営がなされていることを示しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE(17.82%)はベンチマークの10%を大きく上回り、ROA(8.71%)もベンチマークの5%を大きく上回っています。これは、資本や資産を効果的に活用して利益を生み出していることを意味します。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年にわたって売上・利益ともに成長しており、収益性は改善傾向にあります。第1四半期では英国事業売却による売上減少があったものの、売上総利益率が向上しており、ポートフォリオ最適化が収益構造の改善に寄与していることが伺えます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly):0.67と市場全体の変動に対し、比較的連動性が低い(価格変動が小さい)ことを示しており、市場全体の下落局面では株価も下落しやすいが、その幅は市場平均よりも小さい傾向にある可能性があります。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値:1,979円、52週安値:1,481円。現在の株価1,876円は52週レンジの上限付近(約89%の位置)にあり、高値を意識しやすい水準です。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信には以下のリスク要因が挙げられています。
    • 生成AI等による業務自動化で一部サービス需要や単価が変動する可能性
    • 組織統合に伴う生産性低下
    • M&Aによるシナジー不発・のれん等の会計上影響
    • 為替・海外事業の不確実性(海外売上比率の変動)
    • その他、景気変動による顧客企業の投資抑制や、人材獲得競争の激化なども一般的なリスクとして挙げられます。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PER(会社予想)13.61倍に対し、業種平均PERは17.0倍であり、割安感があります。
    • PBR(実績)2.16倍に対し、業種平均PBRは1.8倍であり、やや割高感があります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業界平均PER基準の目標株価: 2,454円
    • 業界平均PBR基準の目標株価: 1,563円
  • 割安・割高の総合判断
    PER基準では目標株価を大きく下回っており割安と判断できますが、PBR基準では目標株価を上回っており割高と判断が分かれます。高ROEを達成しており、成長期待のある企業の場合、PBRが業界平均を上回ることは一般的です。PERの割安感がPBRの割高感を相殺していると考えられ、現在の株価は中立からやや割安寄りと評価できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残:125,600株
    • 信用売残:56,800株
    • 信用倍率:2.21倍
      信用買残が信用売残を上回っており、信用倍率は2.21倍と1倍を超過しています。信用買残の解消には一定の買い圧力が必要となりますが、信用買残(前週比-46,000株)が減少傾向であり、需給バランスは改善方向にあると言えます。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • % Held by Insiders:30.93%
    • % Held by Institutions:29.31%
      経営陣による持ち株比率が約3割と高く、経営の安定性が伺えます。また、機関投資家も約3割を保有しており、一定の信頼を得ていると見られます。
  • 大株主の動向
    大株主には日本マスタートラスト信託銀行(信託口)や日本カストディ銀行(信託口)といった金融機関、および中山隼雄氏やアミューズキャピタルといった個人・法人が名を連ねています。自社(自己株口)も5.13%保有しており、株主還元策の一環として自己株式取得を積極的に行っている状況が分かります。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想):4.54%
    • 1株配当(会社予想):85.00円
    • 配当性向(会社予想):51.96% (通期EPS137.64円、年間配当85円 → 61.76%) / 62.6% (決算短信記載)
      配当利回りは高水準であり、配当性向も50%を超えており、株主還元に積極的な方針であることが伺えます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信によれば、配当増額と積極的な自己株式取得を継続しており、第1四半期中に約3,983百万円の自己株式を取得しています。これは、株主への利益還元を重視する強い意思の表れです。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データには株式報酬型ストックオプションに関する記述はありません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 2025年10月1日付で株式会社エイセブホールディングスを子会社化(取得対価3,110百万円)。これにより、自動車領域における事業基盤強化を図っています。
    • 英国事業の売却に伴い、事業ポートフォリオの最適化を進めています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    英国事業の売却は一時的に売上収益を減少させましたが、高収益事業への集中を促し、売上総利益率の改善に寄与しています。エイセブホールディングスの子会社化は、自動車領域の専門性強化と規模拡大に繋がり、中長期的な売上・利益成長への貢献が期待されます。

16. 総評

オープンアップグループは、堅調な技術者派遣市場を背景に、売上・利益ともに成長を続けている企業です。英国事業売却と国内M&Aにより事業ポートフォリオの最適化を図り、収益性の改善に成功しています。高いROE・ROAは資本効率の良さを示し、自己資本比率も高く財務基盤は安定していますが、直近の流動比率と短期借入金の増加には注意が必要です。株主還元にも積極的で高配当利回りも魅力です。株価評価はPERでは割安感があるものの、PBRではやや割高感があり、成長期待が株価に一定程度織り込まれている可能性も考慮されます。

-   **ポジティブ要因**:
-   本業の堅調な成長と収益性の優れた財務指標(ROE、ROA)。
-   事業ポートフォリオの最適化(英国売却、国内M&A)による収益構造改善。
-   積極的な株主還元策(高配当利回り、自社株買い)。
-   現在のPERは業界平均と比べて割安感あり。
-   **ネガティブ要因**:
-   M&Aによるのれんや統合後のシナジー不確実性。
-   生成AIの普及など外部環境の変化による事業モデルへの潜在的影響。
-   短期借入金の増加と流動比率の余裕の限定性。
-   PBRは業界平均と比較してやや割高。
  • 強み・弱み・機会・脅威の整理
    • 強み (Strengths):
    • 安定した財務基盤と高い資金効率(高ROE、ROA)。
    • 市場ニーズに合わせた事業ポートフォリオ最適化の実行力。
    • 主要セグメント(機電、建設、IT)での専門技術者派遣体制。
    • 積極的な株主還元姿勢。
    • 弱み (Weaknesses):
    • 海外事業売却による一時的な売上高の減少。
    • 流動比率に余裕が限定的であり、資金繰り動向への注視が必要。
    • 機会 (Opportunities):
    • DX需要拡大、建設業の人手不足を背景とした恒常的な技術者ニーズ。
    • M&Aによる事業領域拡大とシナジー創出。
    • アジア市場での成長機会。
    • 脅威 (Threats):
    • 生成AIなど技術革新による業務自動化や競争環境の変化。
    • 景気変動による顧客企業の投資抑制。
    • 優秀な人材確保に向けた競争激化。

17. 企業スコア

  • 成長性: A
    英国事業売却による一時的な売上減はあるものの、国内主要事業セグメントは堅調に成長しており、M&Aによる事業強化も図られています。ポートフォリオ最適化による収益構造改善も寄与し、中長期的な成長が期待されます。
  • 収益性: S
    ROE 17.82%、ROA 8.71%とベンチマークを大きく上回り、売上総利益率も改善傾向にあります。非常に高い収益性を示しています。
  • 財務健全性: A
    自己資本比率64.2%と非常に高く財務基盤は強固です。負債比率も低水準です。ただし、流動比率は1.09とやや余裕がなく、短期借入金増加の動向は注視が必要です。
  • 株価バリュエーション: B
    PERは業界平均と比較して割安感がある一方で、PBRは業界平均をやや上回っています。成長期待と株主還元策を考慮すると、中立からやや割安寄りの水準と判断されます。

企業情報

銘柄コード 2154
企業名 オープンアップグループ
URL https://www.openupgroup.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – サービス業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,876円
EPS(1株利益) 137.64円
年間配当 4.54円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 10.4% 15.7倍 3,535円 13.7%
標準 8.0% 13.6倍 2,754円 8.2%
悲観 4.8% 11.6倍 2,013円 1.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,876円

目標年率 理論株価 現在株価との乖離 判定
15% 1,383円 +493円 (+36%) △ 割高
10% 1,728円 +148円 (+9%) △ 割高
5% 2,180円 -304円 (-14%) ○ 割安

【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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