東亜道路工業(1882)企業分析レポート
1. 企業情報
東亜道路工業株式会社は、道路舗装を主体とした建設事業と、建設材料の製造販売・環境事業を展開する企業です。独立系の道路舗装大手であり、特にアスファルト乳剤では国内でトップシェアを誇ります。
- 事業内容などのわかりやすい説明
高速道路や一般道の舗装工事、空港などの大型土木工事といった社会インフラの整備を主軸としています。また、道路舗装に必要なアスファルト乳剤やアスファルト混合物などの材料製造・販売、さらには土壌汚染対策などの環境事業も手がけています。 - 主力製品・サービスの特徴
主力は「道路舗装工事」と、道路舗装材の「アスファルト乳剤」です。アスファルト乳剤は道路、鉄道、景観、スポーツ施設など広範な用途で使用され、同社はこの分野で業界首位の生産・供給力を有しています。加えて、交通量の多い道路や寒冷地向けの高性能アスファルト、様々な用途に対応する舗装材料も提供しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
東亜道路工業は独立系道路舗装大手として、業界内で確固たる地位を築いています。特にアスファルト乳剤の分野では最大手であり、高品質な材料と施工技術を強みとしています。
- 業界内での競争優位性や課題について
同社の競争優位性は、長年培ってきた舗装・土木技術力と、アスファルト乳剤分野での高い市場シェアにあります。これにより、安定的な事業基盤を確保しています。一方、課題としては、建設業界全体に共通する原材料(アスファルト等)価格の変動、燃料費や人件費の高騰が収益を圧迫する可能性があります。 - 市場動向と企業の対応状況
日本の建設市場では、老朽化したインフラの維持補修需要に加え、防災・減災対策、国土強靭化、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)関連の公共投資が底堅く推移しており、同社の事業環境は安定的です。同社はこうした需要を取り込み、受注高を増加させています。
3. 経営戦略と重点分野
同社の経営陣は、中期経営計画に基づき成長投資と人材育成を継続していく方針を示しています。
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
具体的なビジョンや戦略の詳細については、提供されたデータからは明確な記述が見られませんが、長期的視点でのインフラ整備需要に応えつつ、収益力の向上を目指していると考えられます。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
中期経営計画の具体的な施策や重点分野に関する詳細な記述は、提供データからは確認できませんでした。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
新製品・新サービスの具体的な展開状況についての記述は、決算短信からは確認できませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、公共事業を中心に、インフラ整備という社会に不可欠なニーズに応える特性から、比較的安定した収益基盤を有しています。
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
道路舗装・土木工事および関連材料の製造販売という収益モデルは、国のインフラ投資計画に大きく左右されます。近年の防災・減災、国土強靭化といった政策により、市場ニーズは継続的に存在しており、これに対応することで事業の持続性を維持しています。 - 売上計上時期の偏りとその影響
建設事業は一般的に、年度末に向けて工事の進捗が加速し、売上計上が下期に集中する傾向があります。第2四半期(中間期)の営業利益進捗率が通期予想に対して低いことから、下期への収益貢献が重要であることを示唆しています。
5. 技術革新と主力製品
同社は国内最大手のアスファルト乳剤メーカーとして、その技術力は高く評価されています。
- 技術開発の動向や独自性
アスファルト乳剤の分野でトップシェアを維持していることは、その製造技術や品質における独自性が高いことを示唆しています。アスファルト混合物や特殊舗装材を提供していることからも、多様なニーズに応える技術開発を行っていると考えられます。具体的な研究開発投資や特許に関する情報はデータから確認できません。 - 収益を牽引している製品やサービス
収益を牽引しているのは、連結事業の構成比から「建設事業」と「製造販売・環境等事業」です。特に、中間決算では建設事業の受注高が大幅に増加しており、これが今後の収益に貢献すると期待されます。
6. 株価の評価
現在の株価1,688.0円に対して、発表されている各種指標を基に評価します。
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 1株当たり利益(EPS): (連)88.92円 (会社予想)
- 1株当たり純資産(BPS): (連)1,121.15円 (実績)
- 現在の株価1,688.0円は、EPSの約19倍、BPSの約1.5倍に相当します。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): (連)19.02倍
- PBR(実績): (連)1.51倍
- 業界平均PER: 14.0倍
- 業界平均PBR: 1.1倍
同社のPERおよびPBRは、いずれも業界平均と比較して割高な水準にあります。
7. テクニカル分析
直近の株価推移と各種指標からテクニカルな評価を行います。
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は1,611円から1,695円の範囲で推移し、上昇基調にあります。現在の株価1,688円は、この直近高値圏に位置しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値が1,730円、年初来安値が1,240円です。現在の株価は年初来高値にかなり近い水準であり、高値圏にあると言えます。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日の出来高は70,300株、売買代金は118,604千円です。平均出来高(3ヶ月平均317.02k株、10日平均263.39k株)と比較すると、本日の出来高は低く、市場の関心度は平均以下であると考えられます。
8. 財務諸表分析
過年度および直近の損益計算書から、業績の傾向を評価します。
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去数年で緩やかな増加傾向(2022年:1,121億円 → 2025年予想:1,265億円)。
- 粗利益: 概ね横ばいから微増傾向。
- 営業利益: 過去数年で変動はあるものの、2025年予想は前年比で大幅な改善を見込んでいます。
- 純利益: 過去数年で変動はあるものの、増加傾向にあります。
- ROE(実績): (連)7.50%、過去12か月では7.79%。
- ROA(過去12か月): 4.00%。
- 過去数年分の傾向を比較
売上高は安定的に成長している一方で、利益は原材料費高騰などの影響を受けやすい特性が見られます。経常利益は2025年予想で過去最高の6,600百万円を見込んでいます。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期(中間期)の通期予想に対する進捗率は以下の通りです。- 売上高: 40.5%
- 営業利益: 6.3%
- 経常利益: 8.4%
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 11.4%
売上高の進捗は中間期としては妥当な可能性がありますが、営業利益および純利益の進捗率が非常に低く、下期での大幅な回復が通期目標達成の鍵となります。前中間期は投資有価証券売却益があったため、純利益は前年同期比で減少しています。
9. 財務健全性分析
貸借対照表の主要指標から財務の安全性を評価します。
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績): (連)61.1% (中間期末63.7%)。非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
- 流動比率(直近四半期): 2.02倍。200%を超えており、短期的な支払能力は非常に良好です。
- 負債比率(Total Debt/Equity、直近四半期): 5.95%。負債が純資産に対して非常に少なく、財務安全性は極めて高いと言えます。
- 財務安全性と資金繰りの状況
上記の指標から、同社の財務安全性は非常に高く、資金繰りも安定していると評価できます。 - 借入金の動向と金利負担
直近中間期には短期借入金の2,500百万円の返済実績があり、借入金は低水準で推移しており、金利負担も限定的です。
10. 収益性分析
収益性を示す各種指標を評価します。
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(過去12か月): 7.79%。
- ROA(過去12か月): 4.00%。
- 粗利率(過去12か月): 約11.19%。
- 営業利益率(過去12か月): 約4.22%。
- 中間期の売上高営業利益率: 約0.79%。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE(7.79%)は一般的なベンチマークである10%を下回っており、ROA(4.00%)も同様に5%を下回っています。これは、資本を効率的に活用して利益を生み出す点で改善の余地があることを示唆しています。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年の営業利益率は変動があるものの、直近の中間期においては売上総利益率が改善傾向にあります。しかし、通期予想に対する営業利益の進捗が低いため、下期での収益性改善が不可欠です。原材料価格のコントロールや工事採算性の管理が収益性改善の主要な課題となります。
11. 市場リスク評価
市場全体に対する感応度や特定の外部環境リスクを評価します。
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.28です。これは市場全体の動きに対して、同社の株価が非常に感応度が低いことを示しています。株価の変動が市場全体の変動に比べて小さく、ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は1,730円、52週安値は1,240円です。現在の株価1,688円は、52週高値圏に位置しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信に記載されている主なリスク要因は、原材料(アスファルト等)価格の変動、燃料費や人件費の高騰です。また、工事進捗の遅延や受注の採算性、地政学リスクなども潜在的なリスクとして挙げられています。為替リスクについては、国際事業の比率が低いため直接的な影響は小さいと考えられます。
12. バリュエーション分析
現在の株価が割安か割高かを判断します。
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 同社 PER(予想): 19.02倍
- 同社 PBR(実績): 1.51倍
- 業種平均 PER: 14.0倍
- 業種平均 PBR: 1.1倍
同社のPERおよびPBRは、いずれも業界平均を上回っており、現在の株価は業界平均の水準から見て割高と評価されます。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 業界平均PER基準の目標株価: 1,209円
- 業界平均PBR基準の目標株価: 1,233円
- 割安・割高の総合判断
現在の株価1,688円は、業界平均PER・PBRで算出した目標株価レンジ(1,209円~1,233円)を大きく上回っており、バリュエーションの観点からは割高であると判断できます。
13. 市場センチメント分析
市場参加者の動向や株主構成からセンチメントを評価します。
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 363,900株
- 信用売残: 14,300株
- 信用倍率: 25.45倍
信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率も高水準です。これは、将来の値上がりを期待して買っている投資家が多いことを示唆しますが、一方で将来の売り圧力となる可能性があり、需給バランスはやや悪化傾向にあると言えます。
- 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
日本マスタートラスト信託銀行や自社(自己株式)、横浜銀行、三井住友銀行、りそな銀行などの金融機関や安定株主が多い構造です。経営陣持株比率は12.06%と一定の割合を占めています。 - 大株主の動向
大株主リストに大きな変動を示す記述はありません。安定的な株主構成を維持していると見られます。
14. 株主還元と配当方針
株主への還元策を評価します。
- 配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 5.32%。非常に高水準であり、株価を支える要因の一つと考えられます。
- 1株配当(会社予想): 90.00円。
- 配当性向(実績Payout Ratio): 156.30%。予想ベースでも約101.5%と、1株当たり利益を上回る高水準となっており、持続可能性については注意が必要です。
- 自社株買いなどの株主還元策
当中間期に自己株式の取得・処分を実施しており、自社株買いによる株主還元も積極的に行っていることがうかがえます。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
譲渡制限付株式による処分が行われており、インセンティブ施策も導入されています。
15. 最近のトピックスと材料
直近の決算短信等から重要な情報を抽出します。
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2026年3月期第2四半期決算短信において、受注高が68,171百万円(前中間期比+19.6%)と大幅に増加したことが注目すべき点です。また、次期繰越高も44,768百万円に増加しており、将来の売上を裏付けるポジティブな材料となっています。 - これらが業績に与える影響の評価
受注高と次期繰越高の増加は、今後の売上高の安定性・成長性に寄与する重要な要素です。一方、前年中間期にあった投資有価証券売却益(607百万円)の反動により、当中間期の純利益は前年同期比で減少しており、これは一時的な要因として留意が必要です。通期目標達成には、下期におけるこれらの受注案件の円滑な工事進捗と、工事採算性の確保が重要となります。
16. 総評
東亜道路工業は、日本のインフラを支える道路舗装・土木事業と、アスファルト乳剤で高い市場シェアを持つ独立系の建設企業です。
強み
- 安定した事業基盤: 公共事業中心の安定した需要と、アスファルト乳剤における国内トップシェア。
- 強固な財務体質: 自己資本比率60%超、流動比率200%超、低負債と非常に高い財務健全性を誇ります。
- 高い株主還元: 5%を超える高配当利回りと積極的な自社株買い。
- 将来の売上見通し: 直近の中間期で受注高と次期繰越高が大幅に増加しており、今後の売上を支える要因として期待されます。
弱み
- 収益性の課題: ROE、ROAともに業界ベンチマークを下回り、利益率も高水準とは言えません。特に中間期の営業利益進捗率が通期目標に対して低く、下期での大幅な改善が求められます。
- 原材料価格リスク: アスファルトをはじめとする原材料や燃料、人件費の高騰が収益を圧迫するリスクがあります。
- 高すぎる配当性向: 配当性向が100%を超えており、持続可能性に疑問符がつきます。
- バリュエーションの割高感: PER、PBRともに業界平均を大きく上回っており、現在の株価は割高と評価されます。
機会
- インフラ投資の継続: 老朽化対策、防災・減災、国土強靭化計画など、政府主導のインフラ投資が継続的に行われる見込みです。
- GX/DX関連需要: 環境対応やデジタル技術導入に関する新たなインフラ需要が生まれる可能性があります。
脅威
- コストの上昇: 原材料、燃料、労務費の高騰が続く場合、利益率がさらに圧迫される可能性があります。
- 金利上昇: 今後の金利上昇局面においては、借入金が少ないとはいえ、財務費用が増加する可能性も視野に入れる必要があります。
- 競争激化: 建設業界内での価格競争や人材獲得競争の激化。
- 財務は非常に健全であり、企業の安定性は高い。
- 高配当利回りは魅力的だが、配当性向の高さは継続性に注意が必要。
- 現在の株価はバリュエーション上割高感があり、特にPER/PBRに基づく目標株価は低い水準。
- 受注高の伸びはポジティブだが、中間期の営業利益進捗の低さから、下期の実績と原材料費の動向を注視する必要がある。
- ベータ値が低く、市場全体の変動に左右されにくいディフェンシブ銘柄としての特性を持つ。
17. 企業スコア
- 成長性: A (中間売上は減少も、受注高の大幅増加と次期繰越高増が将来の売上を牽引する期待。安定的に売上高が向上している傾向も評価。)
- 収益性: C (ROE、ROAはベンチマークに届かず、営業利益率も低水準。中間期の営業利益進捗率が通期予想に対し6.3%と極めて低い進捗。)
- 財務健全性: S (自己資本比率61.1%、流動比率202%、D/E比率5.95%と非常に高水準であり、極めて健全な財務状況。)
- 株価バリュエーション: D (PER 19.02倍、PBR 1.51倍が業界平均PER 14.0倍、PBR 1.1倍と比較して大幅に割高。)
企業情報
| 銘柄コード | 1882 |
| 企業名 | 東亜道路工業 |
| URL | http://www.toadoro.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,688円 |
| EPS(1株利益) | 88.92円 |
| 年間配当 | 5.32円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8.5% | 21.0倍 | 2,806円 | 11.0% |
| 標準 | 6.5% | 18.3倍 | 2,228円 | 6.0% |
| 悲観 | 3.9% | 15.5倍 | 1,673円 | 0.2% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,688円
| 目標年率 | 理論株価 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,124円 | +564円 (+50%) | △ 割高 |
| 10% | 1,403円 | +285円 (+20%) | △ 割高 |
| 5% | 1,771円 | -83円 (-5%) | ○ 割安 |
【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。