1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
丸八倉庫は、東京に本社を置く1934年設立の老舗の物流企業です。主な事業は、貨物の保管、荷役、運送を含む物流事業と、賃貸マンションやオフィスなどの不動産賃貸事業の二本柱で展開しています。特に、首都圏を中心に東北地方にも倉庫を展開し、文書保管サービスに注力しているのが特徴です。不動産事業は東京や仙台などで強化しており、物流事業に次ぐ収益の柱として位置づけています。 - 主力製品・サービスの特徴
- 物流事業: 倉庫における貨物の保管、入出庫作業、運送サービスを提供しています。既存倉庫の稼働率は高水準を維持しており、効率的な運営に努めています。文書保管サービスは専門性が高く、需要に応じた付加価値を提供しています。
- 不動産事業: 賃貸マンションやオフィスビルなどの賃貸収入が主力です。近年、東京23区内の賃貸マンション2棟を取得するなど、収益基盤の安定化と多角化を図っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
丸八倉庫は倉庫業界の中堅企業として、長年の実績と首都圏を中心とした拠点網を強みとしています。特に文書保管への注力は、他社との差別化ポイントとなり得ます。しかし、物流業界全体では人手不足、物価高騰がコスト上昇を招き、競争が激化していることが課題です。不動産事業の強化は、物流事業の変動リスクを補完し、安定した収益源を確保する競争優位性となります。 - 市場動向と企業の対応状況
物流業界はコスト構造の変化や労働力不足といった課題に直面していますが、同社は既存倉庫の高稼働率維持とコスト削減で利益率の確保に努めています。同時に、不動産事業を「第2の柱」として強化することで、市場の変動に強い収益構造への転換を進めています。新規の賃貸用不動産取得はその具体的な対応策です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
具体的なビジョンに関する詳細な記載はありませんが、中期経営計画(2022-2026)に基づき、事業基盤の強化、収益性の向上、株主還元の推進を目指していると見られます。物流事業では既存顧客との取引拡大、新規顧客獲得、料金適正化、コスト削減を掲げ、不動産事業では賃貸用不動産の取得による収益基盤強化を重点戦略としています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
- 物流事業の安定的な高稼働率維持とコスト削減。
- 不動産事業における賃貸用不動産の積極的な取得と収益貢献。
- EBITDA(償却前利益)を主要KPIとして事業全体の収益性を追求。
- 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信には、具体的な新製品・新サービスの展開に関する記載はありませんでした。不動産投資は事業強化の一環として進行しています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の事業モデルは、安定した需要が見込める物流事業と、収益性が高く景気変動の影響を受けにくい賃貸用不動産事業の組み合わせにより、持続可能性を高めています。物流事業で培った顧客基盤やノウハウを活かしつつ、不動産事業で収益の多角化を図ることで、市場ニーズの変化やリスクへの適応力を強化しています。 - 売上計上時期の偏りとその影響
決算短信に売上計上時期の偏りに関する特段の記載はありません。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
決算短信に技術開発に関する具体的な動向や独自性についての記載はありませんでした。 - 収益を牽引している製品やサービス
物流事業においては、倉庫における保管料および荷役料、運送料が収益の大部分を占めます。不動産事業においては、賃貸マンションやオフィスビルからの賃貸収入が収益を牽引しています。特に、近年取得した賃貸マンション2棟が収益に貢献し始めています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価1,050円に対し、会社予想EPSは59.11円、実績BPSは2,146.53円です。BPSは株価の約2倍と高く、資産価値に対して株価は割安に見えます。一方、予想PERは17.76倍(株価1,050円 ÷ EPS59.11円)です。 - 業界平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 17.76倍(業界平均11.8倍より割高)
- PBR(実績): 0.49倍(業界平均0.5倍とほぼ同水準)
PERは業界平均と比較して割高ですが、PBRは業界平均とほぼ同水準であり、資産面では特に割高感はありません。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価推移を見ると、1,011円から1,073円のレンジで推移しており、現在の株価1,050円はレンジの中央よりやや高値寄りです。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値は1,073円、年初来安値は735円です。現在の株価1,050円は年初来高値に非常に近く、高値圏に位置していると言えます。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は2,600株、売買代金は2,730千円と非常に少なく、市場の関心は低い状況です。これは市場流動性が低いことを示唆しており、株価の急激な変動には注意が必要です。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去数年間は47~49億円台で推移しており、横ばい傾向です。2025年11月期第3四半期累計の売上高は3,693百万円で、前年同期比△0.8%と微減でした。
- 利益: 2024年11月期は一過性益により純利益が大きく増加しましたが、それ以外は営業利益5~7億円、純利益3~5億円で安定していました。2025年11月期第3四半期累計では、営業利益437百万円(前年同期比△5.8%)、経常利益425百万円(同△11.6%)、純利益284百万円(同△10.6%)と減益傾向にあります。
- ROE: 直近実績で7.77%(過去12ヶ月では7.16%)と、一般的なベンチマークである10%を下回っています。
- ROA: 直近実績で1.92%と、一般的なベンチマークである5%を大きく下回っています。
- 過去数年分の傾向を比較
売上高はほぼ横ばいで堅調に推移しているものの、利益水準は2024年11月期に一過性の利益が計上された影響を除くと、やや低下傾向にあります。これは新規投資に伴うコスト増や金利負担の増加が影響している可能性があります。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2025年11月期第3四半期累計の通期予想に対する進捗率は、売上高73.9%、営業利益79.5%、経常利益81.7%、純利益81.3%となっており、売上高は計画に沿ったペースで、利益はやや前倒しで進捗しています。会社は通期予想を据え置いています。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率: 64.3%(実績)、62.1%(第3四半期末)といずれも極めて高く、財務基盤は非常に安定しています。
- 流動比率: 0.83(直近四半期)と100%を下回っており、短期的な資金繰りには注意が必要です。これは現金及び預金の減少と借入金の増加が影響しています。
- 負債合計/純資産比(D/E比率): 約0.61倍(第3四半期末)と、一般的には許容範囲内ですが、昨年から増加傾向にあります。
- 財務安全性と資金繰りの状況
高い自己資本比率により長期的な財務安全性は高いものの、不動産取得に伴う投資により、現金及び預金が大幅に減少し、短期的な流動性には懸念が見られます。これは、現預金が投資として固定資産に振り替えられた結果です。 - 借入金の動向と金利負担
賃貸用不動産の取得に伴い、長期借入金が前期末の3,554百万円から4,597百万円へ増加しています。これにより、支払利息が増加し、経常利益を圧迫する要因となっています。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績): 7.77%(過去12ヶ月:7.16%)
- ROA(過去12ヶ月): 1.92%
- 売上高営業利益率(過去12ヶ月): 12.99%
売上高営業利益率は比較的良好な水準ですが、ROEおよびROAは、それぞれベンチマークの10%および5%を下回っており、資本効率・資産効率の改善が課題です。
- 過去数年分の傾向を比較
過去数年間の粗利益率は安定していますが、営業費用や金利負担の増加により、営業利益、経常利益、純利益の伸びは芳しくありません。特に賃貸用不動産取得に伴う経費と支払利息の増加が収益性を圧迫しています。 - 収益性の推移と改善余地
物流事業ではコスト削減により利益は改善傾向ですが、全体としては収益性指標は低調です。新規取得した不動産の安定稼働と収益貢献、物流事業における更なる効率化や付加価値向上による料金適正化が収益性改善の鍵となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.27と非常に低い値であり、市場全体の変動に対する株価の感応度が低いことを示しています。これはディフェンシブ銘柄としての特性を持つ可能性を示唆します。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は1,073円、52週安値は735円です。現在の株価1,050円は52週高値に非常に近く、レンジの上限付近で推移しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
- 国内荷動きの急減
- 物価・人件費上昇による採算悪化
- 金利上昇や借入金負担の増大
- 不動産市況の変動による賃料下落リスク
- 為替や地政学リスクについては具体的な記載はありませんでしたが、国内外の経済動向を前提としています。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 17.76倍(業界平均11.8倍より約1.5倍割高)
- PBR(実績): 0.49倍(業界平均0.5倍とほぼ同水準)
PERで見ると割高感がありますが、PBRで見ると業界平均並みで、資産価値との比較では特段の割高感はありません。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 業種平均PER基準目標株価: 1,706円
- 業種平均PBR基準目標株価: 1,073円
上記提供された目標株価に基づくと、PBR基準では現在の株価に近く、PER基準では現在の株価より高いレンジ算出されています。
- 割安・割高の総合判断
PBRは業界平均並みであり、実績BPSと比較すると現株価は資産面では割安感がある一方、予想PERは業界平均より割高です。足元の利益水準に対しては株価は高めに評価されていると考えられます。総合的には、PBRの割安感がPERの割高感を一部相殺する形となり、評価は中立からやや割安寄りと言えるかもしれません。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残が17,800株ありますが、信用売残は0株であり、信用倍率も0.00倍となっています。これは信用売りがほとんど入っておらず、信用買いのみがある状況を示唆しています。流動性が低いため、需給バランスの偏りが株価に影響を与える可能性はあります。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
- 筆頭株主は尾張屋土地(22.45%)、次いで自社(自己株口)が18.89%を保有しています。
- 経営陣である峯島一郎氏も2.39%を保有。
- 大株主には山﨑商事、東京海上日動火災保険など安定株主となり得る企業が名を連ねています。
- % Held by Insidersは42.60%と高く、経営陣や関係者による安定した株式保有が伺えます。
- % Held by Institutionsは7.29%と低く、機関投資家の関与は限定的です。
- 大株主の動向
データなし
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想の年間配当は24.00円であり、現在の株価1,050円に対する配当利回りは2.29%です。
予想配当性向は40.6%と、比較的高い水準にあります。これは株主還元に積極的な姿勢を示唆します。 - 自社株買いなどの株主還元策
決算短信には自社株買いに関する具体的な記載はありませんでした。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2025年11月期第3四半期決算短信では、東京23区内の賃貸マンション2棟の新規取得が最も重要なトピックとして挙げられています。これは不動産事業の収益拡大に向けた積極的な投資を意味します。 - これらが業績に与える影響の評価
新規取得した賃貸マンションは、賃料収入として不動産事業の売上及び利益に貢献を開始しており、今後の収益基盤の強化に寄与すると見込まれます。ただし、取得に伴う借入金増加と支払利息の増加が利益を圧迫する要因ともなっています。投資フェーズであり、今後の収益貢献状況が注目されます。
16. 総評
丸八倉庫は、長年の実績を持つ物流事業と、収益の多角化を進める不動産事業を柱とする企業です。財務基盤は高い自己資本比率で安定していますが、直近の不動産投資により、現預金の減少と流動比率の低下が見られます。足元の売上は横ばい傾向で、利益も一過性の要因を除くと伸び悩んでおり、収益性指標は業界平均を下回ります。株価はPBRで見ると割安感があるものの、PERでは業界平均より割高と評価され、市場の関心度は低い状況です。
- **強み**: 高い自己資本比率による財務安定性、首都圏を中心とした物理的資産(倉庫・不動産)、物流と不動産の二本柱による事業の多角化。
- **弱み**: 売上・利益の成長性不足、流動比率の低さ、ROA・ROEといった収益性指標の低さ、出来高の低さによる市場流動性の欠如。
- **機会**: 賃貸用不動産の継続的な取得による収益基盤の強化、物流事業における効率化・付加価値向上による利益改善。
- **脅威**: 国内荷動きの不安定化、金利上昇による借入金負担増大、不動産市況の変動、人件費・物価高騰によるコスト増。
17. 企業スコア
- 成長性: C
売上高は横ばい傾向であり、直近の四半期成長率もマイナスです。不動産事業の成長は期待されますが、全体としての高い成長性は見出しにくい状況です。 - 収益性: C
ROE(7.16%)とROA(1.92%)は、一般的なベンチマーク(それぞれ10%、5%)を下回っており、資本効率・資産効率に課題があります。営業利益率は比較的良好ですが、最終的な収益性は低いと評価されます。 - 財務健全性: B
自己資本比率64.3%と極めて高く、長期的な安定性は優れています。しかし、流動比率が0.83と100%を下回っており、現金及び預金も投資により減少しているため、短期的な流動性には注意が必要です。 - 株価バリュエーション: C
PER(17.76倍)は業界平均(11.8倍)より割高ですが、PBR(0.49倍)は業界平均(0.5倍)とほぼ同水準です。PBRでの割安感はあるものの、PERの割高感が目立つため、総合判断は中立からやや割高寄りとなります。
企業情報
| 銘柄コード | 9313 |
| 企業名 | 丸八倉庫 |
| URL | http://www.maru8.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,050円 |
| EPS(1株利益) | 59.11円 |
| 年間配当 | 2.29円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 20.6% | 19.4倍 | 2,923円 | 22.9% |
| 標準 | 15.8% | 16.9倍 | 2,079円 | 14.8% |
| 悲観 | 9.5% | 14.3倍 | 1,334円 | 5.1% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,050円
| 目標年率 | 理論株価 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,043円 | +7円 (+1%) | △ 割高 |
| 10% | 1,302円 | -252円 (-19%) | ○ 割安 |
| 5% | 1,643円 | -593円 (-36%) | ○ 割安 |
【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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