以下は、松尾電機(6969)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
松尾電機は、コンデンサや回路保護素子といった電子部品を製造・販売する企業です。特にタンタルコンデンサに強みがあり、自動車用や産業用機器向けの需要を取り込んでいます。主要顧客の一つにデンソーがあり、自動車分野への供給が全体の3割強を占めます。 - 主力製品・サービスの特徴
- タンタルコンデンサ: 高性能で小型化されており、カーエレクトロニクスや医療機器などの高信頼性が求められる分野で活用されています。
- 回路保護素子: 過電流などから回路を保護する部品で、特に車載向けでの需要が拡大しています。
- フィルムコンデンサ: その他事業として展開されており、特定の用途に利用されています。
- 2025年3月期時点のセグメント別売上構成比は、タンタルコンデンサ66%、回路保護素子31%、その他3%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
同社はコンデンサ大手の一角を占め、特にタンタルコンデンサや車載向け回路保護素子の分野で強みを持っています。デンソー向けの供給実績は、高い品質と信頼性が求められる自動車業界における競争優位性を示しています。しかし、電子部品業界は技術革新が激しく、グローバルな競争に晒されており、常に新たな需要開拓とコスト競争力の維持が課題となります。 - 市場動向と企業の対応状況
カーエレクトロニクス化の進展や医療機器の高度化に伴い、電子部品、特に同社製品への需要は増加傾向にあります。同社は、回路保護素子事業において車載向けの伸長が顕著であり、この市場の追い風を享受しています。一方で、一部製品(リード付きタンタルコンデンサおよびフィルムコンデンサ)の生産終了と事業構造改革を進めており、市場ニーズの変化への適応と収益体質の改善を図っています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
中期経営計画「更なる成長の追求」を2025年3月期から2027年3月期にかけて展開しており、事業構造改革を通じて企業価値の向上を目指しています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
- リード付きタンタルコンデンサおよびフィルムコンデンサの生産終了を決議し、収益性の低い製品ラインからの撤退を進めています。
- これにより発生する特別損失を計上しつつ、中長期的な収益体質改善を図ることが重点施策となっています。
- 新製品・新サービスの展開状況
決算短信からは、具体的な新製品や新サービスの展開に関する詳細な記載はありませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
同社の収益モデルは、主にタンタルコンデンサや回路保護素子といった電子部品の製造販売です。カーエレクトロニクスや医療機器といった成長分野に注力することで、市場ニーズの変化に対応しようとしています。特に、電動化や自動運転技術の進展に伴う車載部品需要の拡大は、同社の事業持続性にとって重要な要素です。生産終了を決めた製品群は、市場ニーズや収益性との整合性を考慮した結果であり、事業構造改革を通じて変化への適応能力を高めようとしています。 - 売上計上時期の偏りとその影響
データなし
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
具体的に言及された技術開発の動向はありませんが、長年のコンデンサ製造における専門技術とデンソーといった主要顧客との取引実績は、同社の技術的信頼性を示唆しています。 - 収益を牽引している製品やサービス
直近の決算短信によると、回路保護素子事業が売上高で前年同期比+29.3%、セグメント利益で+44.9%と顕著な伸長を見せており、現在の収益を最も牽引している主力製品であると考えられます。タンタルコンデンサ事業も売上を伸ばしていますが、利益寄与は回路保護素子が大きい傾向です。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在の株価: 843.0円
- EPS(会社予想): 122.23円 → 株価はEPSの約6.9倍
- BPS(実績): 931.40円 → 株価はBPSの約0.91倍
- 業界平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 6.90倍
- 業界平均PER: 12.9倍 と比較して、PERは大幅に割安です。
- PBR(実績): 0.91倍
- 業界平均PBR: 0.8倍 と比較して、PBRはやや割高です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価推移を見ると、本日終値843円は高値868円や873円を下回り、比較的安値圏にあります。やや下落傾向が見られます。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値1,120円、年初来安値372円に対し、現在の株価843円は高値から約25%下落した水準であり、安値からは約126%上昇しています。レンジの中間よりやや高めですが、直近では調整局面です。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
本日の出来高は700株、売買代金は592千円と非常に少なく、市場の関心度は低いと言えます。流動性が低い点には注意が必要です。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去数年で増減がありますが、2024年の4,209百万円から2025年の4,545百万円、そして「過去12か月」の4,896百万円と回復・成長傾向にあります。
- 純利益: 2022年3月期に赤字を計上しましたが、2023年3月期以降は黒字を維持し、2025年3月期(449百万円)および「過去12か月」(598百万円)では大幅な増益となっています。ただし、変動が大きい傾向があります。
- ROE(実績): (単)17.72%と、良好な水準です。
- ROA(過去12か月): 1.52%と提供されていますが、ROEとの乖離が大きく、データ期間が異なる可能性があります。最新の決算短信の利益状況から判断すると、もう少し高い可能性があります。
- 過去数年分の傾向を比較
2022年3月期の大幅赤字から回復し、売上高は回復基調、利益も変動はあるものの直近は伸長しています。収益性は改善傾向にあります。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期 第2四半期決算は以下の通りです。- 売上高: 通期予想 (5,000百万円) に対し49.9% (2,497百万円) と概ね計画通り。
- 営業利益: 通期予想 (620百万円) に対し44.0% (272百万円) とやや進捗が遅れています。下期での巻き返しが期待されます。
- 純利益: 通期予想 (392百万円) に対し58.2% (227百万円) と進捗は良好です。特別損失の計上予定があるため、通期目標達成にはその影響を注視する必要があります。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績): (単)41.9%。2026年3月期中間期末では44.7%。目安とされる40%以上を維持しており、財務健全性は良好です。
- 流動比率(中間期): 172%。流動資産が流動負債を大きく上回っており、短期的な支払い能力は高いと評価できます。
- 負債比率: 中間期末で負債合計3,690百万円に対して純資産合計2,987百万円であり、負債比率(負債/純資産)は約123.6%です。自己資本比率が良好なため、安全性に大きな懸念はありません。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率および流動比率から、財務安全性は維持されており、安定した資金繰りが期待されます。営業キャッシュフローも前年同期のマイナスからプラスに改善しており、資金面の余裕が増しています。 - 借入金の動向と金利負担
中間決算短信には短期借入金1,430百万円の存在が指摘されていますが、その他詳細な借入金動向や金利負担に関する具体的な記載はありません。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績): (単)17.72%。非常に高い水準であり、株主資本を効率的に活用して収益を上げていることを示します。
- ROA(過去12か月): 1.52%。提供データに基づくと低い水準ですが、ROEとの乖離が大きく、データ期間の整合性に疑義があります。しかし、この数値を採用すると、資産全体を使った収益性は改善余地があることを示しています。
- 営業利益率(2026年3月期中間): 10.9%。前年同期の約7.8%から改善しており、事業の収益性が向上していることを示します。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
- ROE (17.72%) はベンチマークの10%を大きく上回っており、非常に優秀な水準です。
- ROA (1.52%) はベンチマークの5%を下回っており、改善余地があります。(ただし、このROAのデータについては別途注記のとおり)
- 収益性の推移と改善余地
損益計算書からは、過去数年間で利益変動が大きいものの、直近では利益が大きく改善しています。特に回路保護素子事業が好調で、事業構造改革を通じて低収益製品をなくすことで、さらなる収益性向上が期待されます。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値 (5Y Monthly): 0.76。市場全体の動きに対する感応度が低い(1.0未満)ため、比較的ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。市場全体の変動を受けにくい傾向があります。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値1,120円、52週安値372円。現在の株価843円は高値から約25%下落した水準であり、レンジの中央よりやや上の位置にあります。 - 決算短信に記載のリスク要因
- リード付きタンタルコンデンサおよびフィルムコンデンサの生産終了に伴う特別損失の計上および固定費移管による一時的なコスト増。
- 為替変動が営業外損益に影響を与える可能性(為替差益/差損)。
- 原材料・調達コストの変動、主要顧客(特に車載向け)の需要変動。
- 過去に上場維持基準適合に向けた取り組みがあったものの、現状は適合済みです。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- PER(会社予想): 6.90倍。業種平均PER12.9倍と比較して、大幅に割安です。
- PBR(実績): 0.91倍。業種平均PBR0.8倍と比較して、わずかに割高です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 業種平均PER基準目標株価: 122.23円 (EPS) × 12.9倍 = 2,408円
- 業種平均PBR基準目標株価: 931.40円 (BPS) × 0.8倍 = 710円
- 割安・割高の総合判断
PER基準で見ると現在の株価は非常に割安ですが、PBR基準ではやや割高です。このPERの低さは、市場が将来の利益成長に懐疑的であるか、流動性の低さや過去の利益変動リスクを織り込んでいる可能性があります。総合的には、PERに基づく割安感が強いものの、PBRと流動性を考慮すると、単純な割安とは言えない状況です。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残が335,800株と多く、信用売残は0株のため、信用倍率は0.00倍です。信用買残の積み上がりは、将来的な株価上昇の足かせとなる可能性があります。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
大株主には釜屋電機(27.29%)や自社投資会(5.55%)、自社従業員持株会(3.21%)があり、安定株主が多く支えています。経営陣による持株比率も45.79%と高く、経営の安定性が期待されます。 - 大株主の動向
データなし
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想の1株配当は0.00円であり、配当利回り0.00%、配当性向0%と、現在は無配です。過去のEx-Dividend Dateも2016年と古く、長期的に株主還元としての配当は行われていない傾向にあります。 - 自社株買いなどの株主還元策
中間決算短信には、期中に自己株式数の増加が見られるものの、大規模な自社株買いの計画や具体的な施策は開示されていません。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
データなし
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
- 2026年3月期 第2四半期決算: 増収増益で着地し、特に回路保護素子事業が好調。通期業績予想に対して純利益の進捗が良好。
- 事業構造改革の決議: 取締役会でリード付きタンタルコンデンサおよびフィルムコンデンサの生産終了を決定。これにより、特別損失の計上および通期業績予想の修正を実施。
- 上場維持基準適合: 2025年8月に「上場維持基準適合に関するお知らせ」を公表し、2025年7月末時点で全基準に適合した旨を開示。
- これらが業績に与える影響の評価
回路保護素子事業の好調は足元の業績を牽引しており、ポジティブな材料です。事業構造改革は一時的な特別損失を伴うものの、中長期的には収益体質の改善に繋がる可能性があります。また、上場維持基準適合は市場からの信頼性向上に寄与し、ガバナンスへの意識を示すものとして評価できます。
16. 総評
松尾電機は、コンデンサおよび回路保護素子を主力とする電子部品メーカーであり、特に車載・医療機器向け需要の拡大を背景に、直近の業績は回復傾向にあります。特に回路保護素子事業の伸長が顕著で、全体的な収益性も改善されています。
- 強み
- 車載用・医療機器用電子部品という成長市場での需要獲得。
- 回路保護素子事業の目覚ましい成長。
- 高い自己資本比率と流動比率に裏打ちされた良好な財務健全性。
- 非常に高いROE。
- PER基準での株価の割安感。
- 弱み
- 過去の業績が変動しやすい傾向。
- 極めて低い出来高による流動性リスク。
- 無配当であり、株主還元策が限定的。
- 一部製品の生産終了に伴う一時的な特別損失。
- 提供データではROAが低く、資産効率に改善余地(データの不整合性は要考慮)。
- 機会
- 自動車の電装化、IoT、DXの進展など、デジタル化社会における電子部品需要の継続的な増加。
- 事業構造改革によるさらなる高収益体質への転換。
- 脅威
- 世界経済の景気変動や、米国関税政策などの外部環境変化。
- 原材料価格の高騰や部品調達リスク。
- 為替変動が損益に与える影響。
- 流動性の低い市場での株価変動リスク。
17. 企業スコア
提供されたデータと決算短信の情報を基に、以下の評価を行います。
- Piotroski F-Scoreの収益性スコア「0/3」、ROE「-15.67%」、ROA「1.52%」、Operating Margin「3.31%」は「過去12か月」または「直近四半期」の異なる、または古いデータに基づいている可能性が高く、最新の決算短信や各種指標の「ROE(実績): (単)17.72%」「営業利益率: 10.9%」と大きく乖離するため、スコア評価においては最新のデータに基づいて判断します。
- 成長性: B
- 売上高は回復基調で、第2四半期も前年同期比+16.3%と堅調に増加しており、特に回路保護素子事業が大きく伸長しています。しかし、中期経営計画での事業構造改革や一部製品の生産終了など、事業環境の再編中であり、具体的な新製品展開についての記載は不足しています。
- 収益性: A
- ROEは17.72%と非常に高く、株主資本の利用効率は優れています。営業利益率も第2四半期で10.9%に改善しており、収益体質は良好です。ただし、提供されたROAの数値が低い点については注意が必要です。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率41.9%(中間期末44.7%)と安定した水準を保っており、流動比率も172%と短期的な支払い能力に問題はありません。借入金も存在するものの、財務の安全性は高いと評価できます。
- 株価バリュエーション: B
- PERは6.90倍と業界平均12.9倍に対して大幅に割安感があります。しかし、PBRは0.91倍と業界平均0.8倍に対しやや割高です。また、出来高が極めて低い点も考慮すると、単純に割安とは判断しにくい側面があります。
企業情報
| 銘柄コード | 6969 |
| 企業名 | 松尾電機 |
| URL | http://www.ncc-matsuo.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 843円 |
| EPS(1株利益) | 122.23円 |
| 年間配当 | 0.00円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 15.7% | 7.9倍 | 2,008円 | 19.0% |
| 標準 | 12.0% | 6.9倍 | 1,490円 | 12.1% |
| 悲観 | 7.2% | 5.9倍 | 1,016円 | 3.8% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 843円
| 目標年率 | 理論株価 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 741円 | +102円 (+14%) | △ 割高 |
| 10% | 925円 | -82円 (-9%) | ○ 割安 |
| 5% | 1,167円 | -324円 (-28%) | ○ 割安 |
【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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