1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
株式会社クボタは、農業機械、建設機械、産業用エンジンなどの「機械部門」と、ダクタイル鉄管、ポンプ、環境プラントなどの「水・環境部門」を主軸に事業を展開しています。特に農業機械と鋳鉄管においては国内最大手であり、小型建機やエンジンも主力製品として世界各国で事業を展開しています。海外売上比率は約79%に達し、グローバルに事業を展開しています。 - 主力製品・サービスの特徴
- 農業機械: トラクタ、コンバイン、田植機など、多様な農作業に対応する高機能な機械を提供。近年ではスマート農業技術の導入も進めています。
- 建設機械: ミニショベル、ホイールローダ、コンパクトトラックローダなどが主力で、特に小型建機市場で強みを持っています。
- エンジン: 産業機械用ディーゼルエンジンは世界的に高いシェアを持ち、環境規制対応技術にも注力しています。
- 水・環境インフラ: ダクタイル鉄管は上水道インフラに不可欠な製品であり、水処理システムや廃棄物処理プラントなど、社会インフラを支える技術と製品を提供しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
クボタは農業機械と鋳鉄管で国内トップの地位を確立しており、小型建機や産業用エンジンでも高い競争力を持っています。グローバル市場における長年の実績と広い販売・サービスネットワークが強みです。特に新興国市場での需要捕捉に注力しています。
一方で、競争環境としては、グローバル大手(ジョンディア、キャタピラーなど)との競争が激しく、特に北米市場では在庫調整や需要減速の影響を受けやすい構造です。原材料価格や物流コストの変動、為替変動も収益に影響を与える要因となります。最近では米国の関税問題もコスト増として課題となっています。 - 市場動向と企業の対応状況
決算短信によると、機械部門の海外販売は、北米で建設機械とトラクタの需要が減少し、欧州でもトラクタの回復が遅れています。アジア市場も国によって差があり、インドが好調な一方でタイ市場は縮小しています。これに対し、企業はインセンティブ削減や追加値上げで販売構成悪化やコスト増への対応を図っています。
水・環境部門は国内を中心に環境事業が牽引し、値上げ効果と増販によって大幅な増益を達成しており、この部門の伸長が業績を下支えしています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
提供された情報からは具体的な経営陣のビジョンや戦略詳細は読み取れませんが、事業内容から「食料・水・環境」を一体と捉え、グローバルな社会課題解決に貢献する方針が伺えます。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
決算短信に中期経営計画の添付資料があるとの記載がありましたが、具体的な施策や重点分野の詳細は提供された情報には含まれていません。しかし、機械部門の海外市場回復が中長期の業績拡大の鍵であり、水・環境部門は収益改善に貢献していることから、両事業のバランスの取れた成長を目指すものと推測されます。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信には新製品・新サービスの具体的な展開状況についての詳細な記載はありませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
クボタの収益モデルは、農業機械、建設機械といった資本財の販売と、それらを支えるエンジン、さらに社会インフラ関連のシステム・製品の提供が柱です。農業機械市場は食料需要、建設機械市場はインフラ投資や住宅建設動向に左右されます。水・環境部門はSDGsや環境規制強化の流れの中で安定的な需要が見込まれます。
機械部門の海外販売が業績を大きく左右する構造であるため、各地域の市場ニーズや景気変動、為替変動への適応力が重要です。水・環境部門の強化は、収益ポートフォリオの多角化と安定化に寄与していると言えます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
提供された決算短信やその他の情報からは、特定の時期に売上計上が偏るといった明確な言及は見られませんでした。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
提供された情報からは、具体的な技術開発の動向や独自性に関する詳細な記載はありませんでした。 - 収益を牽引している製品やサービス
現在の収益を最も牽引しているのは「機械部門」であり、連結売上高の約87.4%を占めています。特に農業機械、建設機械、エンジンが主力です。ただし、直近の決算では海外の減速が見られ、売上は減少傾向にあります。
一方、「水・環境部門」は売上構成比約12.0%ながら、値上げ効果と増販によりセグメント利益が前年同期比で大幅増益(+79.5%)を達成しており、収益改善に貢献しています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
- 現在の株価: 2,226.5円
- EPS(会社予想): 124.13円
- BPS(実績): 2,171.07円
- PER(会社予想): 17.94倍
- PBR(実績): 1.03倍
現在の株価2,226.5円は、EPS124.13円に基づくPERが17.94倍、BPS2,171.07円に基づくPBRが1.03倍となっています。 - 業界平均PER/PBRとの比較
- 業界平均PER: 16.6倍
- 業界平均PBR: 1.4倍
クボタのPER(17.94倍)は業界平均PER(16.6倍)と比較してやや高めです。PBR(1.03倍)は業界平均PBR(1.4倍)と比較して割安水準にあります。PERとPBRで評価が分かれる状況です。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は2218円~2345円の範囲で推移しています。現在の株価2,226.5円は、このレンジの中央やや下方に位置しています。 - 年初来高値・安値との位置関係
- 年初来高値: 2,348円
- 年初来安値: 1,460円
現在の株価2,226.5円は、年初来安値から大きく上昇し、年初来高値(2,348円)に比較的近い水準にあります。52週高値2,347.50円、52週安値1,460.50円とほぼ同義であり、現在の株価は52週レンジの上限付近に位置すると言えます。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近10日間の平均出来高は約495万株(10日平均)、平均売買代金は約110億円でした。本日(2025-12-25)の出来高は1,168,700株、売買代金は2,600,977千円であり、直近平均と比較して出来高、売買代金ともに大きく減少しています。これは市場の関心が一時的に低下しているか、年末特有の商い薄を示唆している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去12か月で2,891,615百万円。2021年以降、売上高は増加傾向にありましたが、直近12か月は昨年からやや減少、直近3Q累計では前年同期比△3.2%の減収。
- 営業利益: 過去12か月で251,320百万円。2023年に328,829百万円とピークを付けましたが、直近3Q累計では前年同期比△22.0%の大幅減益。
- 純利益: 過去12か月で172,112百万円。2023年に238,455百万円とピークを付けましたが、直近3Q累計では前年同期比△28.3%の大幅減益。
- ROE(実績): 9.90%(過去12か月: 7.91%)。目標とされる10%には届いていない状況。
- ROA(実績): 2.89%(過去12か月: 2.89%)。目標とされる5%には届いていない状況。
- 過去数年分の傾向を比較
2021年から2023年にかけては売上高・利益ともに成長を続けていましたが、2024年以降は機械部門の海外販売減速やコスト増により、減収減益に転じている模様です。収益性指標(ROE, ROA)も停滞または低下傾向にあります。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2025年12月期第3四半期累計決算では、 - 売上高進捗率: 76.6% (通期予想2,880,000百万円に対し2,204,282百万円)
- 営業利益進捗率: 97.6% (通期予想220,000百万円に対し214,690百万円)
- 親会社帰属当期利益進捗率: 99.98% (通期予想142,000百万円に対し141,962百万円)
営業利益と親会社帰属当期利益は、第3四半期累計時点で通期予想のほぼ達成水準に達しており、会社予想に対しては良好な進捗と言えます。ただし、これは通期予想が前年より大幅な減益を見込んでいることの裏返しでもあります。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績): 41.2%。直近四半期末には42.3%と改善しており、一般的に安定しているとされる40%以上を維持しています。
- 流動比率(直近四半期): 約167.9%。流動負債に対する流動資産の比率が約1.7倍であり、短期的な支払い能力は良好と言えます。
- 負債比率(負債合計/資本合計、直近四半期): 約115.8%。許容範囲内ではありますが、資本合計に対する負債の依存度がやや高い水準です。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率、流動比率はいずれも良好な水準であり、財務安全性は維持されています。営業キャッシュフローは210,724百万円(直近3Q累計)と前年同期を上回る増加が見られ、運転資本の改善に寄与しています。現金及び現金同等物期末残高は222,135百万円ですが、期首からは減少しています。 - 借入金の動向と金利負担
決算短信によると、社債・借入金の返済が進んでおり、財務キャッシュフローはマイナスに転じています。利息収入が利息費用を上回っており、現時点での金利負担は限定的です。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(実績): 9.90%(過去12か月実績: 7.91%)
- ROA(実績): 2.89%(過去12か月実績: 2.89%)
- 営業利益率(過去12か月): 9.56% (直近3Q累計: 9.7%)
- 売上総利益率(粗利率、過去12か月): 約30.6%
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROEは10%にわずかに届かず、ROAは5%を下回っており、一般的な収益性ベンチマークと比較するとやや低い水準にあります。営業利益率も前期実績から低下しています。 - 収益性の推移と改善余地
2023年までは収益性が改善傾向にありましたが、2024年以降は機械部門の海外販売減速やコスト増により収益性が低下しています。今後の改善には、主力である機械部門の海外市場回復、販売構成の改善、コスト効率化、そして水・環境部門のさらなる成長が重要となります。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値(5Y Monthly)は0.56です。これは市場全体が1%変動した場合、クボタの株価は0.56%変動する傾向があることを示しており、市場平均と比べて株価変動が小さい、比較的ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
- 52週高値: 2,347.50円
- 52週安値: 1,460.50円
現在の株価2,226.5円は、52週高値圏に位置しており、高値からやや調整した水準です。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信には以下のリスク要因が挙げられています。 - 米国関税等の貿易規制によるコスト増
- 北米・欧州の需要変動
- 為替(USD/EUR)変動
- 原材料・エネルギー価格変動
- 自然災害や農産物市況の変化
これらの外部環境要因、特に主要市場の需要動向や為替、貿易政策が業績に大きく影響する可能性があります。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- クボタ PER(会社予想): 17.94倍
- 業界平均PER: 16.6倍
- クボタ PBR(実績): 1.03倍
- 業界平均PBR: 1.4倍
PERでは業界平均よりやや割高、PBRでは業界平均より割安という状況です。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- EPS(会社予想): 124.13円
- BPS(実績): 2,171.07円
- 業界平均PER基準の目標株価: 124.13円 × 16.6倍 = 2,060.56円
- 業界平均PBR基準の目標株価: 2,171.07円 × 1.4倍 = 3,039.50円
目標株価レンジは2,061円から3,039円となります。 - 割安・割高の総合判断
現在の株価2,226.5円は、PER基準では目標株価を上回っておりやや割高、PBR基準では目標株価を下回っており割安と判断されます。総合的に見ると、PBRが業界平均より低い点で割安感があるものの、直近の減益トレンドやPERの水準を考慮すると、現在の株価は平均的な評価と言えるでしょう。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
- 信用買残: 699,500株(前週比 +105,800株)
- 信用売残: 415,800株(前週比 +29,900株)
- 信用倍率: 1.68倍
信用買残が信用売残を上回っており、信用倍率は1.68倍と比較的高水準ではありませんが、先週比で買残が増加しているため、短期的な需給はやや売り圧力となる可能性を秘めています。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
- 主要株主は日本マスタートラスト信託銀行、日本カストディ銀行などの信託銀行、日本生命保険、明治安田生命保険などの大手機関投資家が中心です。
- 機関投資家による保有比率は約62.49%と高く、安定株主が多い構造です。
- 経営陣の持株比率は1.13%と比較的低いです。
- 大株主の動向
提供された情報から大株主の具体的な動向(売買記録など)は読み取れませんが、上位の機関投資家は長期保有傾向にあると推測されます。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
- 配当利回り(会社予想): 2.25%
- 1株配当(会社予想): 50.00円
- 配当性向(会社予想): 約40.3% (EPS124.13円ベース)
配当利回りは2.25%と市場平均程度の水準です。配当性向は約40%とやや高めで、株主還元を重視する姿勢が伺えます。 - 自社株買いなどの株主還元策
決算短信にて第3四半期に自己株式の取得があった旨が記載されており、配当と自社株買いの両方で株主還元策を実施しています。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
提供された情報には株式報酬型ストックオプションに関する具体的な記載はありませんでした。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
提供された情報からは、大型受注、新製品発表、拠点展開といった具体的な適時開示情報は読み取れませんでした。 - これらが業績に与える影響の評価
— データなし
16. 総評
クボタは、農業機械、建設機械、水・環境インフラと社会に不可欠な分野でグローバルに事業を展開する大手メーカーです。国内市場では強固な地位を築き、海外売上比率も高く、市場規模の大きい海外での成長機会を追求しています。
強み(Strengths):
- 農業機械、鋳鉄管で国内トップシェア。
- 小型建機、エンジン技術に強み。
- グローバルな販売・サービスネットワーク。
- 水・環境部門が安定的な収益源として成長中。
- 財務健全性は自己資本比率40%超、流動比率も良好。
弱み(Weaknesses):
- 機械部門の海外(特に北米)市場に業績が左右されやすい構造。
- 直近で売上高・利益ともに減速傾向。
- ROE、ROAともにベンチマークを下回る水準で収益性改善余地あり。
- 米国関税などの地政学リスクや為替変動の影響を受けやすい。
機会(Opportunities):
- 人口増加に伴う食料需要の高まり(農業機械)。
- ESG/SDGsの流れを受けた水・環境インフラの整備需要。
- 新興国の経済成長とインフラ投資拡大。
- スマート農業技術やグリーン技術への投資と展開。
脅威(Threats):
- グローバル競合他社との激しい競争。
- 世界経済の減速や景気後退による設備投資の抑制。
- 為替変動、原材料価格の高騰。
- 貿易摩擦や関税政策の変更。
- 自然災害や気候変動による農産物市況の変動。
クボタは強固な事業基盤とグローバルな展開力を持ちつつ、直近では海外市場の減速とコスト増で業績は踊り場にあります。一方で、水・環境部門の成長はポジティブな要素です。株価は年初来高値圏にあり、PERは業界平均よりやや高めですがPBRは割安感があり、評価は分かれるところです。今後は、機械部門の海外市場回復動向と、水・環境部門の更なる収益貢献に注目が集まります。
17. 企業スコア
- 成長性: C
- 売上高は直近3Q累計で前年同期比△3.2%、親会社帰属当期利益は△28.3%と減収減益。機械部門の海外販売が減速しており、全体としての成長は停滞しています。
- 収益性: C
- ROE(実績9.90%、過去12か月7.91%)はベンチマーク10%に届かず、ROA(実績2.89%)はベンチマーク5%を下回っています。営業利益率も直近で低下しており、収益性には改善余地があります。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率は41.2%(直近3Qで42.3%)と40%を優に超え、流動比率も約167.9%と良好です。財務安全性は高く評価できます。
- 株価バリュエーション: B
- PER(会社予想17.94倍)は業界平均(16.6倍)よりやや高めですが、PBR(実績1.03倍)は業界平均(1.4倍)より割安水準にあります。PERとPBRで判断が分かれ、総合的には平均的な評価となります。
企業情報
| 銘柄コード | 6326 |
| 企業名 | クボタ |
| URL | http://www.kubota.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,226円 |
| EPS(1株利益) | 124.13円 |
| 年間配当 | 2.25円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5.7% | 20.4倍 | 3,346円 | 8.6% |
| 標準 | 4.4% | 17.7倍 | 2,732円 | 4.3% |
| 悲観 | 2.6% | 15.1倍 | 2,133円 | -0.7% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 2,226円
| 目標年率 | 理論株価 | 現在株価との乖離 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 15% | 1,365円 | +862円 (+63%) | △ 割高 |
| 10% | 1,705円 | +522円 (+31%) | △ 割高 |
| 5% | 2,151円 | +76円 (+4%) | △ 割高 |
【判定基準】○割安:現在株価≦理論株価 / △割高:現在株価>理論株価
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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