以下は、株式会社今村証券(証券コード:7175)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    株式会社今村証券は、富山、石川、福井の北陸3県を主な地盤とする独立系の老舗証券会社です。個人投資家向けに、対面営業とインターネット取引の両方を通じて、株式の売買、投資信託の販売、債券の取り扱いなど、幅広い投資・金融サービスを提供しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 受入手数料: 株式の委託手数料や投資信託の販売手数料など、顧客からの取引で得られる手数料収入が収益の柱です。特に株券と受益証券(投資信託)からの手数料が主力となっています。
    • トレーディング損益: 自己勘定で有価証券の売買を行い、その損益を計上します。市場の動向によって収益が大きく変動する特徴があります。
    • 金融収益: 預金などから得られる利息収入などです。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    今村証券は、北陸地域における長年の歴史と地域密着型の対面営業による強固な顧客基盤を競争優位性としています。独立系であるため、親会社の影響を受けずに独自の経営戦略を遂行できる点も特徴です。しかし、市場全体の動向に業績が左右されやすいトレーディング損益の変動性が課題となっています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    当中間期は、日経平均株価が史上最高値圏まで上昇するなど、国内外の株式市場が活性化し、個人投資家の取引意欲が高まりました。これを受けて同社は受入手数料を増加させています。また、市場変動に強い収益構造を構築するため、投資信託の預り資産を増やすことでストック型収益を拡大させることを中長期的な重点戦略としています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    経営陣は、市場変動に左右されにくい安定した収益基盤の確立を目指し、ストック型収益の拡大を重視しています。具体的には、投資信託などの受益証券による経費カバー率向上と、預り資産の継続的な増加を主要な目標として掲げています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • “受益証券による経費カバー率”目標: 2029年3月期末で36%超、長期で50%超を目指しており、当中間期は30.4%と進捗が見られます。
    • “預り資産”目標: 2032年3月期までに4,752億円を目指しており、当中間期は3,864億2百万円と増加傾向にあります。
    • “新たなお客様の獲得”目標: 5年間で15,000口座(単年度3,000口座)を掲げていますが、当中間期は1,847口座であり、単年度の目標達成はまだ課題です。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    顧客サービス向上のため、「家族サポート証券口座」の提供を開始しました。また、セキュリティ強化と利便性向上のため、パスキー認証を導入するなど、デジタル対応にも注力しています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    同社の収益モデルは、顧客からの取引手数料と自己勘定でのトレーディング損益が中心です。トレーディング損益は市場環境に大きく左右される性質がありますが、投資信託などのストック型収益(受益証券手数料)を強化することで、収益の安定化を図っています。これは、長期的な資産形成のニーズが高まる市場動向への適応として評価できます。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    データなし

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    パスキー認証の導入など、セキュリティと顧客利便性向上に向けた取り組みは見られますが、画期的な技術革新に関する情報はありません。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    主に株式の委託手数料や投資信託販売手数料など、「受入手数料」が収益を牽引しています。特に株式の売買高増加や投資信託預り資産の拡大がこれに寄与しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 1,236.0円
    • BPS(実績): 2,436.67円
    • PBR(実績): 0.51倍 (株価1,236円 ÷ BPS2,436.67円 ≈ 0.51倍)
    • EPS(過去12ヶ月): 131.36円
    • PER(過去12ヶ月ベース): 約9.41倍 (株価1,236円 ÷ EPS131.36円 ≈ 9.41倍)
      現在の株価は、1株当たり純資産(BPS)に対しては低い水準にあります。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • PER(過去12ヶ月ベース)約9.41倍に対し、業界平均PERは8.7倍であり、業界平均とほぼ同水準かやや割高です。
    • PBR(実績)0.51倍に対し、業界平均PBRは0.8倍であり、業界平均と比較して割安な水準にあります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は上昇傾向にあり、現在の株価1,236円は年初来高値1,250円に非常に近い水準に位置しており、高値圏にあると判断できます。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 1,250円
    • 年初来安値: 900円
    • 現在の株価: 1,236円
      現在の株価は年初来高値に迫る水準であり、年初来高値から約1.1%低い位置です。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は11,700株、売買代金は14,512千円でした。過去3ヶ月平均の出来高3,700株、過去10日平均の出来高5,670株と比較して、本日の出来高は大幅に増加しており、市場からの関心が高まっている状態を示唆しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 過去12ヶ月の売上(Total Revenue)は4,057百万円、営業利益(Operating Income)は866百万円、純利益(Net Income Common Stockholders)は672百万円でした。
    • ROE(実績):5.50%
    • ROA(実績):2.99%
      営業利益率は高い水準にありますが、ROEとROAは一般的なベンチマークと比較して低めです。
  • 過去数年分の傾向を比較
    過去5年間の損益計算書を見ると、Total Revenue、Operating Income、Net Income Common Stockholdersはいずれも年度によって大きく変動する傾向があります。特に、トレーディング損益の変動が全体の収益性・利益に大きく影響していると見られます。直近12ヶ月および2025年3月期は、前年度に比べて減収減益となりました。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    会社は通期業績予想を開示していないため、通期予想に対する進捗状況を評価することはできません。2026年3月期第2四半期(中間期)の実績としては、営業収益が前年同期比△5.7%の減収、営業利益が同△19.7%の大幅な減益となりました。主な要因はトレーディング損益の急減でした。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績):61.3% (中間期末は52.3%)。非常に高い水準であり、財務の安定性を示しています。
    • 流動比率(直近四半期):1.74倍(174%)。流動負債に対する流動資産の比率が高く、短期的な支払能力に問題はありません。
    • 負債比率:データなし。
    • 自己資本規制比率(中間期末):714.4%。金融商品取引業における健全性の指標として極めて高い水準を維持しており、盤石な財務基盤です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    直近四半期の総現金は15.19B円(151億9千万円)と潤沢で、過去12ヶ月の営業キャッシュフローは1.28B円(12億8千万円)を確保しています。自己資本比率や自己資本規制比率の高さ、潤沢な現金保有から、財務安全性は非常に高いと評価できます。
  • 借入金の動向と金利負担
    データなし

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12ヶ月):5.50%
    • ROA(過去12ヶ月):2.99%
    • Profit Margin:16.64%
    • Operating Margin:27.09%
      営業利益率と売上総利益率は高水準にありますが、ROEとROAは一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を下回っています。これは、自己資本が厚い一方で、資本を効率的に活用して利益を生み出す力が相対的に低いことを示唆しています。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE 5.50%はベンチマーク10%に、ROA 2.99%はベンチマーク5%にそれぞれ達しておらず、収益性の改善余地があると見られます。
  • 収益性の推移と改善余地
    年度別の損益計算書が示すように、トレーディング損益の変動が収益性全体に大きな影響を与えています。直近の中間期においては、トレーディング損益の大幅な減少が利益を押し下げました。今後は、株券や受益証券の受入手数料増加を着実に進めることと、トレーディング損益の安定化が収益性改善の鍵となります。特に、ストック型収益である受益証券による経費カバー率の継続的な向上は、収益体質の強化につながる可能性があります。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    ベータ値(5Y Monthly)は0.42です。これは、市場全体(S&P 500)が10%変動した場合、今村証券の株価はおおよそ4.2%変動する可能性を示しており、市場全体と比較して株価の変動率が低い、比較的安定した銘柄であることを示唆しています。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 1,250.00円
    • 52週安値: 900.00円
    • 現在の株価: 1,236.0円
      現在の株価は52週高値に迫る水準であり、高値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    決算短信に記載されている主なリスク要因は以下の通りです。
    • 国内外の株式・債券市況の変動が、トレーディング損益や手数料収入に直接影響を与える可能性。
    • 為替市場の変動、米国の通商政策、中東情勢などのマクロ経済的・地政学的な要因が、市場全体に不確実性を与えるリスク。
    • オンライン取引における不正アクセス等のサイバーセキュリティリスク。
    • 債券(特に米ドル建て社債)を取り巻く環境の不確実性。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • PBR(実績)は0.51倍であり、業種平均PBR0.8倍と比較して割安です。
    • PER(過去12ヶ月ベース)は約9.41倍であり、業種平均PER8.7倍と比較するとほぼ同水準からやや割高感があります。ただし、会社の業績予想は未開示である点に留意が必要です。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • EPS(過去12ヶ月131.36円)と業界平均PER(8.7倍)を適用した場合の目標株価: 1,143円
    • BPS(実績2,436.67円)と業界平均PBR(0.8倍)を適用した場合の目標株価: 1,949円
      PER基準とPBR基準で目標株価に乖離が見られます。
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価(1,236円)はPBRで見ると業界平均より割安感がありますが、PERで見ると業界平均とほぼ同水準かやや割高です。BPSが高いことから、相対的に割安と判断することもできますが、PERは直近12ヶ月の利益が変動性のあるトレーディング損益に大きく影響されているため、評価には注意が必要です。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は59,000株、信用売残は0株、信用倍率は0.00倍です。信用売残がなく、信用買残がある状態は、需給が買い方に偏っており、将来的に需給悪化のリスクとなる可能性も考えられます。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    今村直喜氏(代表者)が25.54%、今村コンピューターサービス、今村不動産といった関連会社が大株主として名を連ね、経営陣および関連会社による持株比率が66.43%と非常に高いです。これは安定株主が多く、経営の安定性を示す一方で、市場での流通株式数が少なく、流動性が低い可能性があります。
  • 大株主の動向
    データなし

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • Forward Annual Dividend Yield(予想配当利回り)は4.02%であり、比較的高い水準です。
    • Payout Ratio(予想配当性向)は38.06%と健全な水準にあります。
    • 当中間配当は20.00円(前中間期は25.00円からの減配)であり、期末配当は未定と発表されています。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    決算短信に自社株買いに関する特記事項はありませんでした。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2026年3月期第2四半期決算短信において、新サービスとして「家族サポート証券口座」の開始や、利便性・セキュリティ強化のための「パスキー認証」導入が発表されています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    これらの取り組みは、顧客サービスの向上とセキュリティ強化に繋がるものであり、中長期的な顧客満足度向上や新規顧客獲得に寄与する可能性があります。しかしながら、短期間で直接的な業績(売上や利益)に大きな影響を与えるものではなく、事業基盤の強化に向けた投資と見られます。

16. 総評

今村証券は、北陸地域に根差した強固な顧客基盤と、極めて高い自己資本比率に裏打ちされた盤石な財務基盤を持つ独立系証券会社です。潤沢な現金と安定的な営業キャッシュフローも評価できます。市場全体の値動きに対する感応度が低い(ベータ値0.42)ため、比較的安定志向の投資家にとっては魅力的な側面もあります。
一方で、業績はトレーディング損益の変動に大きく左右される傾向があり、直近の中間期ではその減少が大幅な減益要因となりました。ROE、ROAといった収益性指標は業界平均や一般的なベンチマークと比較して低く、資本効率の改善が課題です。また、新規口座獲得のKPIが目標を未達であり、中間配当の減配も発表されました。
同社は、投資信託などストック型収益の拡大を中長期の経営戦略として推進しており、預り資産と受益証券による経費カバー率は着実に改善が見られます。これらの取り組みが収益基盤の安定化に繋がり、ひいては業績の安定成長と資本効率の向上に結びつくかが今後の注目点となります。

  • 強み:
    • 地域密着型の堅固な顧客基盤
    • 極めて高い自己資本比率と自己資本規制比率による財務健全性
    • 安定的な営業キャッシュフローと潤沢な現金保有
  • 弱み:
    • トレーディング損益の変動による業績の不確実性
    • ROE、ROAが一般的なベンチマークを下回る収益性
    • 新規顧客獲得の進捗が遅れている点
    • 中間配当の減配と期末配当が未定であること
  • 機会:
    • 個人投資家の資産形成ニーズの高まりとストック型収益(投資信託等)の拡大余地
    • 国内外の株式市場の活性化継続
    • デジタル技術を活用したサービス強化による顧客満足度向上
  • 脅威:
    • 国内外の経済・金融市場の不確実性と変動リスク
    • 競合他社との競争激化
    • 地政学リスクなどの金融市場全体を揺るがす外部要因

17. 企業スコア

  • 成長性: B (中立)
    • 直近の収益は減益傾向が見られるものの、四半期売上成長率はプラス。中長期目標である預り資産は増加しており、ストック型収益の拡大は見られます。新規顧客獲得目標は未達です。
  • 収益性: C (低い)
    • 営業利益率は高いものの、ROE (5.50%) およびROA (2.99%) は一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を下回っており、資本効率の改善が望まれます。トレーディング損益の大きな変動が収益の不安定要因となっています。
  • 財務健全性: A (高い)
    • 自己資本比率52.3%(期末61.3%)、流動比率174%、潤沢な現金保有、自己資本規制比率714.4%と、極めて高い財務健全性を維持しています。
  • 株価バリュエーション: B (中立)
    • PBR実績0.51倍は業界平均0.8倍と比較して割安です。一方で、PER(過去12ヶ月ベース約9.41倍)は業界平均8.7倍とほぼ同水準かやや割高です。BPSを基準とすると割安感はありますが、PERは業績変動が大きく一過性でないものの安定性という点では単純に割安かの判断は難しい側面があります。

企業情報

銘柄コード 7175
企業名 今村証券
URL http://www.imamura.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 金融(除く銀行) – 証券、商品先物取引業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,236円
EPS(1株利益) 131.35円
年間配当 50.00円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 4.6% 10.0倍 1,647円 9.4%
標準 3.6% 8.7倍 1,361円 5.8%
悲観 2.1% 7.4倍 1,079円 1.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,236円

目標年率 理論株価 判定
15% 815円 △ 52%割高
10% 1,018円 △ 21%割高
5% 1,284円 ○ 4%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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