株: 9778 株式会社 昴
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
株式会社昴は、主に鹿児島を地盤とし、宮崎、熊本、福岡、沖縄で学習塾事業を展開しています。幼児から高校生までを対象とした集団指導塾を中心に、個別指導や映像授業なども提供しています。小中学生向けの集団学習塾が事業の中核を占めています。 - 主力製品・サービスの特徴
主力は小中学生向けの集団指導塾で、地域に根ざした指導が特徴です。近年は、AIを活用した自立学習支援システム「昴LMS」の導入や、映像配信設備の強化、ライブ授業の実施など、デジタル技術を用いた教育サービスにも注力しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
昴は長年にわたり鹿児島県内で高いブランド認知度と地域での実績を築いてきたことが競争優位性と考えられます。しかし、近年は全国的な少子化の進行、高校授業料無償化による私立高校進学の選択肢拡大、および生活防衛的な消費志向の高まりにより、通塾ニーズが弱含んでおり、厳しい市場環境に直面しています。 - 市場動向と企業の対応状況
学習塾業界全体で、デジタル化や個別最適化のニーズが高まっています。昴はAIを活用したLMSの導入、映像・オンライン授業の強化、校舎の統廃合・最適化などにより、これらの市場動向に対応しようとしています。特に個別指導部門や高等部東進部門では入塾減少が見られ、構造改革を進めている段階です。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
具体的なビジョンに関する詳細な開示はありませんが、決算短信からはデジタル技術を活用した教育サービスの拡充と、それによる生徒一人ひとりに最適化された学習環境の提供を目指していることがうかがえます。また、地域特性に応じた校舎戦略(統廃合、開設)や、学年構成の変化への対応も重視しています。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
本資料に中期経営計画の具体的な数値目標は記載されていませんが、AIを活用した自立学習支援システム(昴LMS)の導入・普及、模試データ連携による個別最適化、映像配信設備の強化、ライブ授業の実施を通じて、学習効果の向上と顧客満足度向上を図ることが重点分野と推察されます。 - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
AIを活用した自立学習支援システム「昴LMS」の導入促進、映像配信設備強化によるライブ授業の一部地域での実施、個別オンライン指導の準備など、オンライン・デジタル分野でのサービス拡充が進められています。高等部では浪人生減少に対応し、現役高校生中心の指導へのシフトも図られています。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
月謝制を主とする学習塾事業が収益モデルです。少子化や教育環境の変化(高校無償化など)により、既存の集団指導モデルだけでは成長が困難になりつつあります。AI活用やオンライン化を進めることで、新時代の学習ニーズへの適応を図っていますが、これらの投資が収益に結びつくには時間を要する可能性があります。 - 売上計上時期の偏りとその影響
学習塾事業は、新年度の生徒募集活動が活発化する春先や、夏期・冬期講習、受験直前の特別講座などにより、特定の時期に売上が集中する傾向があります。中間期(2月期決算の場合、3月~8月)は比較的閑散期にあたり、通期目標達成には下期(9月~2月)での大幅な生徒数増加と講習売上確保が不可欠となります。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
AIを活用した自立学習支援システム「昴LMS」の導入は、個別最適化された学習プログラム提供を目指すもので、学習塾業界における重要な技術革新への対応と見られます。模試データとの連携による学習進捗管理もその独自性の一つです。 - 収益を牽引している製品やサービス
提供された情報においては、中学部が売上高の最大の割合を占めており(中間期で772百万円)、引き続き主要な収益源です。しかし、各部門で売上が前年割れしており、特に個別指導部門や高等部東進部門では落ち込みが見られます。
6. 株価の評価
現在の株価6,290.0円は、以下の指標と比較して評価されます。
- EPS(会社予想): 133.58円
- PBR(実績): 1.07倍
- PER(会社予想): 47.09倍
- 業界平均PER: 15.0倍
- 業界平均PBR: 1.2倍
現在の株価は、会社予想EPSに基づくPERが47.09倍と、業界平均(15.0倍)を大幅に上回っており、割高感があります。PBRは1.07倍と業界平均(1.2倍)よりやや低い水準ですが、収益性の低さを考慮すると、特に割安とは言い切れません。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近10日間の株価は6,160円から6,350円の間で推移しており、現在の株価6,290円はその中にあります。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値は8,560円、年初来安値は6,160円です。現在の株価6,290円は年初来安値に近い水準に位置しています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近の出来高は800株、売買代金は5,041千円と非常に少なく、市場の関心度は低い状態にあると考えられます。流動性が低い点に留意が必要です。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上高: 過去5年間で3,539百万円から3,398百万円(過去12ヶ月)と微減傾向にあります。直近中間期は前年同期比3.2%減とさらに減少しています。
- 営業利益: 過去5年間で359百万円から79百万円(過去12ヶ月)へと大幅に減少しており、直近中間期では△60百万円の営業損失を計上しています。収益性の悪化が顕著です。
- ROE(実績): 1.58%(過去12ヶ月)と低く、資本を効率的に活用できていない状況です。
- ROA(実績): 2.99%(過去12ヶ月)と、資産全体に対する収益性も低い水準にあります。
- 過去数年分の傾向を比較
総売上高は横ばい〜微減傾向である一方、売上総利益、営業利益、経常利益、純利益は過去数年で明確な減少傾向を示しています。特に営業利益は大幅に減少し、直近中間期では赤字に転落しており、収益構造の悪化が継続しています。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年2月期第2四半期(中間期)の売上高進捗率は通期予想(3,519百万円)に対して45.0%とやや遅れが見られます。営業利益、経常利益、純利益は中間期で赤字を計上しており、通期予想(それぞれ143百万円、148百万円、79百万円の黒字)を達成するためには、下半期に大幅な業績改善が不可欠です。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率: 51.6%(実績)と比較的高い水準にあり、財務基盤は安定していると考えられます。
- 流動比率: 0.68(直近四半期)、決算短信の中間期でも約48.1%と、100%を大きく下回っており、短期的な支払能力に懸念があります。
- Total Debt/Equity(負債/自己資本比率): 50.70%(直近四半期)と、自己資本に対して借入が過度に多いわけではありません。
- 財務安全性と資金繰りの状況
自己資本比率は安定しているものの、流動比率の低さは短期的な資金繰り面での課題を示唆しています。現金及び預金残高も期首から減少しており、資金管理の状況を注視する必要があります。 - 借入金の動向と金利負担
長期借入金は減少傾向にありますが、短期借入金100百万円を計上しています。支払利息が増加傾向にあることから、金利負担も業績に影響を与えている可能性があります。
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE: 1.58%(過去12ヶ月)
- ROA: 2.99%(過去12ヶ月)
- Operating Margin(営業利益率): 10.09%(過去12ヶ月)
- Profit Margin(純利益率): 3.80%
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE(1.58%)およびROA(2.99%)は、それぞれ一般的なベンチマークとされる10%および5%を大きく下回っており、収益性は低いと評価されます。直近中間期では営業損失を計上しており、営業利益率も悪化しています。 - 収益性の推移と改善余地
過去数年間で、売上総利益率および営業利益率、純利益率ともに低下傾向にあります。これは、売上高の伸び悩みとコストの高止まり、特に販売費及び一般管理費や減価償却費、支払利息などが利益を圧迫しているためと考えられます。収益性を改善するためには、生徒数の増加による売上向上と、コスト構造の見直しが不可欠です。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.20と非常に低く、市場全体の変動に対して株価の感応度が低いことを示しています。これは、安定した地域顧客基盤を持つ事業モデルに起因している可能性があります。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は8,560.00円、52週安値は6,160.00円です。現在の株価6,290.0円は、52週安値に近い水準に位置しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信には、入塾動向の低迷、教育政策の変更(高校無償化等)、原材料・エネルギーコストの高止まり、地政学リスク、および日本の人口動態の変化(少子化)がリスク要因として挙げられています。特に、少子化は学習塾事業の根本的な市場縮小リスクとなります。流動比率の低さから短期資金繰りのリスクも考えられます。
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
- 現在のPER(会社予想)47.09倍は、業種平均PER 15.0倍と比較して著しく割高です。
- 現在のPBR(実績)1.07倍は、業種平均PBR 1.2倍と比較してやや低い水準ですが、割安感は限定的です。
- 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 目標株価(業種平均PER基準): 1,396円 (提供データより)
- 目標株価(業種平均PBR基準): 6,934円 (提供データより)
- 割安・割高の総合判断
PER基準では現在の株価が目標株価を大幅に上回っており、非常に割高と判断されます。一方、PBR基準では現在の株価と目標株価が近い水準であり、比較的適正と評価できます。ただし、PERが異常に高いのは、会社予想EPSの変動や現在の純利益水準の低さに起因している可能性があり、信頼性が低いと考えられます。収益性の低さを考慮すると、現在の水準で割安感は乏しいと判断されます。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は5,200株、信用売残は0株であり、信用倍率が0.00倍となっています。これは、信用買いが信用売りを大きく上回っている(売りがない)状態であり、将来の売り圧力となる可能性を秘めています。需給は良くない状況です。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
筆頭株主は(有)学友社で36.91%を保有、次いで自社(自己株口)が9.66%を保有しています。日本カストディ銀行、鹿児島銀行などの金融機関や持株会、創業家関連が上位を占めており、安定株主が多い構造です。経営陣及びその関連会社の持株比率も高く、経営の安定性はあると考えられます。 - 大株主の動向
提供された情報からは、具体的な大株主の動向については確認できません。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想の配当利回りは1.91%、1株配当は120.00円です。過去12ヶ月のEPS 93.09円に対するPayout Ratioは129.24%と非常に高水準です。これは利益以上の配当を行っていることを示唆しており、将来的な配当維持能力に懸念が生じる可能性があります。通期予想EPS 133.58円に対しても約89.8%と高配当性向です。 - 自社株買いなどの株主還元策
自社株買いなどの株主還元策に関する新規の開示は、本資料中には見当たりません。自己株口として9.66%を保有しています。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する記載は、本資料中には見当たりません。
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2026年2月期第2四半期決算短信が最新の適時開示情報です。内容は中間期における減収減益、営業損失・純損失の拡大です。一方で、通期業績予想は据え置かれています。 - これらが業績に与える影響の評価
中期決算の赤字拡大は既存事業の厳しさを反映しており、通期目標達成には今後の事業回復と費用削減が不可欠です。AIシステム導入や校舎戦略は、中長期的な競争力強化に資する可能性がありますが、業績への即効性は限定的と見られます。現在のところ、ポジティブな材料に乏しい状況です。
16. 総評
昴は、鹿児島を拠点に学習塾事業を展開する企業ですが、足元の業績は厳しい状況にあります。
全体的な見解:
同社は安定した自己資本比率を維持しているものの、少子化や高校授業料無償化といった外部環境の変化、および事業コストの高止まりにより、収益性が大幅に悪化し、直近の中間期では赤字に転落しています。通期業績予想は据え置いていますが、これを達成するためには下期の抜本的な改善が求められます。株価は年初来安値圏にありますが、期待PERは業界平均を大幅に上回っており、高いリスクに対してプレミアム評価を受けている状態です。配当性向も非常に高く、持続可能性に懸念があります。
- リスク要因: 継続的な少子化、教育政策の変化、競争激化による生徒数減少、それに伴う売上・利益のさらなる減少。流動比率の低さによる短期資金繰りリスク。
- ポジティブ要因: 地域に確立されたブランド力、AI活用など新しい教育サービスへの取り組み。
- 要警戒点: PERの異常な高さ、低い流動比率、高配当性向の持続可能性。
強み・弱み・機会・脅威の整理 (SWOT分析):
- 強み (Strengths)
- 長年の歴史と地域に根ざしたブランド力
- 比較的高い自己資本比率による財務安定性(資本構成面)
- AI活用など、新しい教育技術への投資意欲
- 弱み (Weaknesses)
- 長期的な売上高の伸び悩みと利益の大幅な減少傾向
- 直近の中間決算における営業損失計上
- 低いROE・ROAなど資本効率の悪さ
- 流動比率の低さによる短期的な資金繰りリスク
- 高い配当性向の持続可能性への懸念
- 低い市場流動性(出来高・売買代金)
- 機会 (Opportunities)
- 個別最適化教育やオンライン教育ニーズの高まり
- 地域における競合他社の撤退や再編機会
- AI技術の進化による新たな学習サービスの創出
- 脅威 (Threats)
- 全体的な少子化の進行による市場規模縮小
- 高校授業料無償化など、教育政策の変更による市場環境の変化
- オンライン教育市場での競争激化
- 物価上昇などによる固定費・変動費の増加
17. 企業スコア
- 成長性: D
- 売上高は過去数年で微減、直近四半期も前年同期比で減収。利益も大幅に減少傾向にあり、下期での大幅な回復が見込まれない限り、成長性は低いと評価されます。新製品展開は進めているものの、直ちに業績に寄与するレベルではありません。
- 収益性: D
- ROE 1.58%、ROA 2.99%と、ベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)を大幅に下回っています。直近中間期は営業損失を計上しており、各種利益率も悪化傾向にあるため、収益性は低いと評価されます。
- 財務健全性: C
- 自己資本比率51.6%は安定した水準ですが、流動比率が0.68と低く、短期的な資金繰りに懸念があります。借入金は減少傾向ですが、流動性リスクが評価を押し下げています。
- 株価バリュエーション: D
- PER 47.09倍は業界平均15.0倍と比較して著しく割高です。PBRは業界平均並みですが、低い収益性や将来の不確実性を考慮すると、割安とは判断できません。現在の株価は業績とは乖離した高評価と言わざるを得ません。
企業情報
| 銘柄コード | 9778 |
| 企業名 | 昴 |
| URL | http://www.subaru-net.com/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 6,290円 |
| EPS(1株利益) | 133.58円 |
| 年間配当 | 1.91円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 0.0% | 43.1倍 | 5,755円 | -1.7% |
| 標準 | 0.0% | 37.5倍 | 5,004円 | -4.4% |
| 悲観 | 1.0% | 31.8倍 | 4,471円 | -6.6% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 6,290円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 2,493円 | △ 152%割高 |
| 10% | 3,113円 | △ 102%割高 |
| 5% | 3,928円 | △ 60%割高 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。