東京証券取引所に上場するオルガノ(6368)の企業分析レポートを個人投資家向けに作成します。

1. 企業情報

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    オルガノは、水処理に関する総合的なソリューションを提供する企業です。主に、半導体工場などで使用される超純水製造装置や、工業用水・排水処理プラントの設計・建設を行う「水処理エンジニアリング事業」と、水処理に必要な薬品、フィルター、小型の純水装置などを提供する「機能商品事業」を展開しています。東ソーのグループ会社であり、特に電力・半導体分野での純水製造装置に強みを持ち、台湾の半導体市場でも存在感を示しています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    主力は、半導体工場で不可欠な「純水・超純水製造システム」です。高い技術力で微細な不純物も除去し、半導体製造プロセスの品質維持に貢献しています。また、工業用水処理、排水処理、海水淡水化などの大型プラント建設に加え、プラントのメンテナンスや、高付加価値なソリューション提供にも注力しています。機能商品事業では、水処理に必要な各種水処理薬品、フィルター、イオン交換樹脂なども提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • 業界内での競争優位性や課題について
    オルガノは、特に超純水技術において高い競争優位性を確立しており、先端半導体製造で不可欠な存在となっています。高純度な水処理技術は参入障壁が高く、長年の実績とノウハウが強みです。また、設備の設計・製造から運転・保守管理までを一貫して手掛ける体制も強みです。課題としては、競合他社との技術開発競争、海外市場での展開拡大、原材料価格や為替変動の影響などが挙げられます。
  • 市場動向と企業の対応状況
    世界の半導体市場、特に生成AI向けなどの最先端半導体分野では活発な設備投資が続いており、同社の主力事業に追い風となっています。一方で、EV関連(パワー半導体等)では需要の弱含みも見られます。オルガノは、好調な半導体市場向けに大型プラント案件を推進し、高採算のソリューション比率を高めることで、収益性の向上を図っています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    決算短信からは明確なビジョンや戦略の詳細は読み取れませんが、高採算ソリューションの比率拡大と原価低減策の推進により、収益性の改善を重点課題としていることが示されています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    中期経営計画の具体的な数値進捗は今回の決算短信では限定的ですが、高収益化を目指す戦略の一環として、半導体向けを中心とした大型プラント受注、設備保有型サービスやメンテナンス・ソリューションの強化が進められています。
  • 新製品・新サービスの展開状況
    「高採算ソリューション」の提供拡大が、特に水処理エンジニアリング事業の収益を牽引しており、これが新しい付加価値を提供するサービスとして機能していることが分かります。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    水処理エンジニアリングは装置産業であり、大型プロジェクトの受注に依存する面もありますが、メンテナンスや薬品供給といったストック型収益も確保しており、安定性のある事業モデルです。半導体産業の成長は継続しており、そのプロセスで不可欠な水処理技術を提供することで、市場ニーズの変化(より高性能な純水・超純水への要求)に適応し、事業の持続可能性を高めています。高採算ソリューションへのシフトも、競争力強化と利益率向上に寄与しています。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    大型プラント案件が主力の水処理エンジニアリング事業では、引き渡し時期によって売上の計上時期が偏る傾向があると考えられます。ただし、2026年3月期第2四半期決算では、大型半導体向け案件の売上進捗が順調で、利益面では通期上方修正につながっており、中間期に大きく偏りがあったというよりは、高採算案件が安定的に進捗している状況と見られます。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    オルガノは、極限まで不純物を除去する純水・超純水製造技術において業界をリードしており、半導体製造の微細化・高度化に対応する技術を継続的に開発しています。また、環境負荷低減に貢献する水処理技術の開発も進めています。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    現在、収益を牽引しているのは、半導体市場向け、特に生成AI関連の需要増に伴う最先端半導体工場向けの大型純水プラント案件です。これに加え、高採算な設備保有型サービスやメンテナンス・ソリューションの提供も利益拡大に貢献しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    会社予想EPSが587.32円であり、現在の株価12,960円で計算すると、PERは約22.07倍(12,960円 ÷ 587.32円)となります。PBR(実績)は4.63倍です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    業界平均PER 16.6倍、業界平均PBR 1.4倍と比較すると、オルガノのPER 22.07倍、PBR 4.63倍はともに業界平均よりも高い水準にあり、現在の株価は割高感があると考えられます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    直近10日間の株価は、12,145円から13,050円の範囲で推移し、本日終値12,960円は比較的高値に近い水準です。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    年初来高値は14,795円、年初来安値は4,770円です。現在の株価12,960円は、年初来高値に近づいており、安値からは大きく上昇した高値圏に位置しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    本日の出来高は120,500株、売買代金は1,562,756千円です。平均出来高(3ヶ月平均250.93k株、10日平均157.53k株)と比較すると、本日の出来高はやや少ないですが、依然として一定の市場関心は継続していると見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    過去数年の損益計算書を見ると、Total Revenue、Gross Profit、Operating Income、Net Income Common Stockholdersの全てが2022年3月期から2025年3月期、さらに過去12か月(2025年3月期予想含む)にかけて継続的な成長を示しています。特に営業利益は2022年の10,850百万円から過去12か月で37,019百万円へと大幅に伸長しており、利益率の改善が顕著です。ROE(実績)は21.67%、ROA(過去12か月)は12.31%と非常に高い水準を維持しており、資本効率性も優れています。
  • 過去数年分の傾向を比較
    2022年3月期から売上高、営業利益、純利益ともに継続的な成長傾向にあります。特に、粗利率、営業利益率が上昇していることから、収益構造の改善が進んでいることが伺えます。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    2026年3月期第2四半期決算の中間実績は、売上高が通期予想の47.3%、営業利益が48.3%、純利益が42.7%の進捗となりました。売上高はほぼ想定通り、利益面は会社の上方修正後の予想に対して概ね順調に進捗しており、通期目標達成の可能性は高いと判断されます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    直近四半期の自己資本比率は66.0%と非常に高く、財務基盤の安定性を示しています。流動比率は3.07(307%)と流動性も非常に良好です。Total Debt/Equityは16.14%と、負債が少なく資本に比べて負債の割合が低いことを示しており、財務健全性は極めて高い水準にあります。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    強固な自己資本比率と高い流動比率から、財務安全性は非常に高いと言えます。手元現金も16.53B円と潤沢であり、安定した資金繰りが期待できます。
  • 借入金の動向と金利負担
    総負債は20.76B円に対して現金が16.53B円であるため、ネット有利子負債は小幅です。Interest Expenseは過去12か月で252,000千円と少なく、金利負担は小さいと考えられます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    ROE 23.25%、ROA 12.31%(過去12か月)と、非常に高い資本収益性を達成しています。営業利益率(過去12か月)は23.33%であり、粗利率(Gross Profit / Total Revenue)も約36%と高水準です。
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    ROE 10%、ROA 5%という一般的な優良企業のベンチマークを大きく上回っており、極めて高い収益性を示しています。
  • 収益性の推移と改善余地
    過去数年で売上高営業利益率は継続的に改善しており、特に直近の中間期決算では21.0%と高水準を達成しています。高採算ソリューションの比率向上がこの改善を牽引しており、今後もこの戦略を継続することでさらなる改善余地があると考えられます。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    Beta(5Y Monthly)は1.00であり、市場全体の動きとほぼ同じ感応度を持つと評価されます。市場リスクに対して平均的な反応を示す銘柄であると言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    52週高値は14,795.00円、52週安値は4,770.00円です。現在の株価12,960円は、52週高値圏に位置しており、大幅な上昇を遂げています。
  • 決算短信に記載のリスク要因
    決算短信に記載されている主なリスク要因は、以下の通りです。
    • 半導体市場やEV市場の動向:特に最先端半導体と汎用半導体で需給差が見られます。
    • 地政学的リスク・保護主義の台頭:国際情勢の不安定化は事業環境に影響を与える可能性があります。
    • 為替・原材料価格の変動:海外事業比率が高いため、為替変動や原材料価格の高騰は収益を圧迫する可能性があります。
    • 連結範囲変更:子会社の一部株式譲渡による持分法適用関連会社への変更が連結業績に影響を与える可能性があります。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    オルガノのPER(会社予想)22.07倍は業種平均16.6倍を上回っており、PBR(実績)4.63倍も業種平均1.4倍を大幅に上回っています。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 業種平均PER基準:EPS 587.32円 × 業界平均PER 16.6倍 ≒ 9,748円
    • 業種平均PBR基準:BPS 2,797.54円 × 業界平均PBR 1.4倍 ≒ 3,917円
      上記の算出結果は、現在の株価12,960円と比較して低い水準です。これは、事業内容や収益性が業界平均とは異なる特性を持つこと、市場が同社に高い成長期待やプレミアムを付与している可能性も考慮すべきですが、単純な業界平均からの類推では、現在の株価は割高感を示唆する数値です。
  • 割安・割高の総合判断
    現在の株価は、業界平均PERおよびPBRと比較して、割高と判断されます。ただし、高い収益性や成長性、強固な財務基盤が市場から評価されている可能性も考慮されるべきです。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    信用買残は146,700株、信用売残は34,600株、信用倍率は4.24倍です。買残が売残を大きく上回っており、信用買いに傾斜している状況です。これは、今後株価が上昇する際に売り圧力となる可能性がありますが、直近週では信用買残が減少傾向にあります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    筆頭株主は東ソーで43.96%を保有しており、安定した大株主が存在します。日本マスタートラスト信託銀行や日本カストディ銀行などの信託銀行も大株主として名を連ねており、機関投資家の保有も多い状況です。
  • 大株主の動向
    東ソーによる43.96%の保有は、経営の安定性に寄与します。その他大株主は信託銀行が多いため、パッシブ運用(インデックス運用など)による安定的な保有が中心と考えられます。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    配当利回り(会社予想)は1.47%、1株配当(会社予想)は190.00円です。配当性向は32.4%であり、利益の約3分の1を配当として株主に還元する方針です。これは中程度の株主還元と考えられます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    今回の決算短信では自社株買いに関する明確な言及はありませんでしたが、配当予想の増額(通期で190円)が示されており、配当による株主還元を強化する姿勢が見られます。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    データなし

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    2026年3月期第2四半期(中間期)決算短信にて、会社は2025年8月4日に通期業績予想を上方修正済みであり、今回の第2四半期決算は、主に水処理エンジニアリング事業における大型半導体向け案件の売上進捗と、高採算のソリューション比率拡大、原価低減策が奏功したことによる増収増益でした。
  • これらが業績に与える影響の評価
    上記要因により、営業利益、経常利益、当期純利益が大幅に改善し、通期予想の上方修正につながっています。この利益成長は、特定の大型案件と収益構造改善の両面からのものであり、今後の業績にもプラスの影響が期待されます。ただし、連結子会社の一部株式譲渡による持分法適用関連会社への変更の影響も考慮する必要があります。

16. 総評

オルガノは、半導体市場、特に生成AI向けなどの最先端分野で不可欠な超純水製造技術を強みとする水処理エンジニアリング企業です。高い技術力と安定した顧客基盤を背景に、売上・利益ともに堅調な成長を続けており、特に利益率の大幅な改善が顕著です。

強み:

  • 高い収益性: ROE、ROA、営業利益率がいずれも業界平均や一般的なベンチマークを大きく上回る非常に高い水準にあります。高採算ソリューションへのシフトが奏功しています。
  • 強固な財務健全性: 自己資本比率が高く、無借金経営に近い安定した財務基盤を持っており、流動性も極めて良好です。
  • 半導体市場の恩恵: 最先端半導体製造で不可欠な技術を提供しており、生成AI需要の高まりなど半導体市場の拡大を直接的な成長ドライバーとしています。
  • 技術力と市場優位性: 超純水技術における高い技術力と長年の実績が、高い参入障壁となり、業界内での競争優位性を確立しています。

弱み:

  • 株価の割高感: 現在の株価は、業界平均PER・PBRと比較して割高と判断される水準にあります。市場の成長期待がすでに織り込まれている可能性があります。
  • 受注残高の減少: 水処理エンジニアリング事業の受注高は増加しているものの、繰越受注残高は前年同期比で減少しており、中長期的な受注の安定性には注視が必要です。
  • 機能商品事業の伸び悩み: 機能商品事業は売上が微減しており、低採算取引の整理は進むものの、今後の成長ドライバーとしてどのような戦略を打ち出すかが注目されます。

機会(Opportunity):

  • 世界的な半導体需要の継続的な拡大: 特に生成AIやデータセンター関連の投資拡大は、同社の純水装置事業に引き続き大きな需要をもたらします。
  • 高付加価値ソリューションへのシフト: 設備設置後のメンテナンスやソリューション提供を強化することで、安定的な収益源の確保と利益率の一層の向上を図ることができます。
  • 海外市場での展開拡大: 台湾市場での存在感に加え、他の成長市場での事業拡大余地があります。

脅威(Threat):

  • 半導体市場の変動: 半導体サイクルの変動や、特定の分野(EV関連など)での需要減速は業績に影響を与える可能性があります。
  • 地政学リスク・為替変動: 主要顧客がグローバルに分散しているため、地政学的な緊張や為替レートの大きな変動が、プロジェクトの進捗や収益性に影響を及ぼす可能性があります。
  • 原材料価格の高騰: プラント建設に必要な原材料価格の高騰は、原価を押し上げ、利益率を圧迫するリスクがあります。

オルガノは非常に高い収益性と強固な財務基盤を持つ優良企業であり、成長市場である半導体分野の恩恵を受けています。ただし、現在の株価は業界平均と比較して割高感があり、高い成長期待が織り込まれている可能性を考慮する必要があります。同社の今後の受注状況や、高採算ソリューションのさらなる浸透、機能商品事業の改善、そして外部環境リスクへの対応能力が、今後の株価動向を左右するでしょう。

17. 企業スコア

  • 成長性:A
    売上・利益ともに堅調な成長を続けており、特に利益成長は非常に高い水準です。高採算ソリューションへのシフトが功を奏しており、半導体市場の恩恵を継続的に受けています。受注残高の減少は注意点であるものの、現在の事業進捗は良好と評価できます。
  • 収益性:S
    ROE 23.25%、ROA 12.31%、営業利益率 23.33%(過去12か月)と、いずれの指標も一般的なベンチマークを大きく上回り、極めて高い収益性を誇ります。継続的な収益改善努力も評価されます。
  • 財務健全性:S
    自己資本比率 66.0%、流動比率 3.07、Total Debt/Equity 16.14%と、全ての指標で極めて優良な水準を維持しており、盤石な財務基盤です。
  • 株価バリュエーション:C
    PER 22.07倍、PBR 4.63倍ともに業界平均(PER 16.6倍、PBR 1.4倍)を大幅に上回っており、現在の株価は割高感がある水準と評価されます。

企業情報

銘柄コード 6368
企業名 オルガノ
URL http://www.organo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 機械 – 機械

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 12,960円
EPS(1株利益) 587.32円
年間配当 1.47円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 19.6% 24.4倍 35,073円 22.0%
標準 15.1% 21.2倍 25,158円 14.2%
悲観 9.0% 18.1倍 16,345円 4.8%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 12,960円

目標年率 理論株価 判定
15% 12,514円 △ 4%割高
10% 15,628円 ○ 17%割安
5% 19,721円 ○ 34%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

関連情報

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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