テイ・エス テック (7313) 企業分析レポート

1. 企業情報

テイ・エス テックは、ホンダグループを主要顧客とする大手自動車部品メーカーです。主に自動車用シートや内装品、二輪車用シート、二輪車部品・アクセサリーの設計、製造、販売を手掛けています。売上高の約9割がホンダグループ向けであり、この強固な関係性が事業の安定性をもたらしています。また、世界各地で事業を展開しており、海外売上高比率が高いグローバル企業です。近年は医療用椅子などの「その他」事業も展開しています。

  • 主力製品・サービスの特徴
    • 四輪事業のシートおよび内装品:売上収益の大部分を占め、自動車の快適性や安全性に貢献しています。主要顧客であるホンダ車のシート製造において高い技術力と実績を持ちます。
    • 二輪事業のシート・部品:二輪車の快適性やデザイン、機能性を高める製品を提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

テイ・エス テックは、自動車用シート業界において、ホンダグループ向けのサプライヤーとして確固たる地位を築いています。

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性: ホンダグループとの長年にわたる強固な関係は、安定した受注基盤であり、最大の競争優位性です。グローバルな生産体制も整っています。
    • 課題: 売上の大部分がホンダグループ向けであるため、特定顧客の生産動向や車種構成に業績が大きく左右されるリスクがあります。直近では米州の主要顧客向け減産が業績を圧迫しています。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 自動車市場は地域によって生産状況が異なり、特に米州やアジア地域での生産調整が同社の業績に大きな影響を与えています。為替変動(特に円高)も業績にマイナスに作用しています。
    • 企業はコスト削減努力を継続し、新事業の取り込みも図ることで、市場の変化への対応を進めています。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    • 決算短信には詳細なビジョンや戦略は記載されていませんが、「新事業売上の取り込みやコスト削減努力を継続」する方針が示されています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 提供された情報には、中期経営計画の具体的な数値目標や施策についての詳細な記述は限定的です。現状では収益性の回復が中期目標達成の前提とされています。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    • 提供データには、新製品・新サービスの具体的な展開に関する情報はありません。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    • 主に自動車メーカー(特にホンダ)への部品供給というBtoBモデルが中心です。自動車業界の電動化や自動運転技術の進化に伴い、内装空間への要求も変化しており、これらに対する技術開発や製品投入が今後の適応力を左右します。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    • 特定の時期に売上計上が偏るという記述は提供データにはありませんが、自動車メーカーの生産調整が四半期ごとの業績に影響を及ぼす可能性があります。直近の中間期決算では、主要顧客の減産が売上・利益の減少につながっています。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    • データからは具体的な技術開発の動向や独自性に関する詳細な情報は読み取れません。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • 四輪事業が売上の93%を占めており、自動車用シートや内装品が収益の大部分を牽引しています。特にホンダ車のシート供給が重要です。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 現在の株価: 1,833.5円
    • 予想EPS (連): 58.86円
    • 予想PER 31.15倍 × 予想EPS 58.86円 = 1,833.67円。現在の株価水準とPERは、会社予想EPSに基づけばほぼ一致しています。
    • 実績BPS (連): 2,564.56円
    • 実績PBR 0.71倍 × 実績BPS 2,564.56円 = 1,824.24円。こちらも現在の株価水準とPBRは、実績BPSに基づけばほぼ一致しています。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 会社予想PER 31.15倍は、業界平均PER 13.3倍と比較して大幅に高い水準であり、利益面からは割高感があります。
    • 実績PBR 0.71倍は、業界平均PBR 0.8倍と比較してやや低い水準であり、純資産面からは割安感があります。
    • 低い利益水準でPERが高く、高い自己資本比率でPBRが低く評価されている状況と言えます。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 直近10日間の株価は1,783円~1,844円のレンジで推移しており、ほぼ横ばいからやや上昇傾向です。
    • 現在株価1,833.5円は、50日移動平均線1,814.65円や200日移動平均線1,753.57円よりも上回って推移しており、比較的底堅い動きを示しています。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 1,938円
    • 年初来安値: 1,396円
    • 現在株価1,833.5円は、年初来高値に近く、高値圏に位置しています(年初来高値から約5%低い水準)。年初来安値からは大きく上昇しています。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    • 本日の出来高: 149,100株、売買代金: 273,750千円。
    • 3ヶ月平均出来高: 271,820株、10日平均出来高: 213,670株と比較すると、本日の出来高は平均を下回っており、市場の関心度はやや低下しているか、様子見の状況と判断できます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上収益: 2022年3499.58億円 → 2024年4417.13億円と、過去数年で伸長傾向にありましたが、2025年3月期(予想)4605.14億円から2026年3月期(修正予想)4200.00億円と減収の見込みです。
    • 営業利益: 2022年229.99億円をピークに、近年は減益傾向にあり、2026年3月期は120.00億円の修正予想と大幅な減少を見込んでいます。
    • ROE: 過去12ヶ月実績2.56%と、企業財務指標のベンチマーク(10%)を大きく下回る低水準です。
    • ROA: 過去12ヶ月実績1.82%と、企業財務指標のベンチマーク(5%)を大きく下回る低水準です。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • 売上高は成長してきましたが、為替や特定の顧客の減産影響により、近年は利益が不安定で、全体として収益性が低下傾向にあります。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    • 2026年3月期第2四半期の中間期実績では、売上収益進捗率が通期修正予想の49.4%とほぼ上期想定ペースであるのに対し、営業利益進捗率は22.5%、親会社帰属当期利益進捗率は18.3%と大きく遅れており、下期での大幅な利益回復が通期達成には不可欠な状況です。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率: 70.8% (直近四半期73.7%) と非常に高く、極めて良好な水準です。
    • 流動比率: 直近四半期で2.90倍(290%)と、高く良好な水準であり、短期的な支払い能力に問題はありません。
    • 負債比率: 直近四半期で29.3%(負債合計93,242百万円 / 資本合計318,424百万円)と非常に低く、財務は極めて健全です。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    • 自己資本比率、流動比率、負債比率のいずれも高水準であり、財務安全性は非常に高いと言えます。
    • 総現金は直近で930.9億円と潤沢ですが、過去12ヶ月の営業キャッシュフローは88億円に対し、フリーキャッシュフローは-102.7億円とマイナスとなっており、資金繰りの状況は注視が必要です。特に中間期の営業キャッシュフローは赤字化しています。
  • 借入金の動向と金利負担
    • 損益計算書におけるインタレスト費用は過去数年で非常に低い水準であり、借入金は少ないと推測され、金利負担は軽微です。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE (過去12ヶ月): 2.56%
    • ROA (過去12ヶ月): 1.82%
    • 売上総利益率 (過去12ヶ月): 13.2%
    • 営業利益率 (過去12ヶ月): 2.8% (うち、直近中間期実績では1.30%へ大幅低下)
    • 純利益率 (過去12ヶ月): 1.21%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    • ROE、ROAともに一般的なベンチマークを大きく下回っており、収益性は非常に低いと評価されます。特に営業利益率の低下が顕著です。
  • 収益性の推移と改善余地
    • 営業利益は2022年3月期をピークに減少傾向にあり、収益性は悪化しています。主要顧客の減産や為替影響が主な要因ですが、構造的なコスト改善や付加価値向上による収益性改善が急務です。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    • ベータ値(5Y Monthly): 0.34。この低いベータ値は、市場全体の変動に対する感応度が低いことを示しており、ディフェンシブな特性を持つ銘柄と言えます。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 1,937.50円
    • 52週安値: 1,396.50円
    • 現在株価1,833.5円は52週高値圏にあり、安値からは大きく上昇しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 主要顧客の生産調整(特に米州市場)。
    • 為替変動(円高によるマイナス影響)。
    • 原材料価格の高騰。
    • 地政学リスクやサプライチェーンの不確実性。
    • 営業キャッシュフローの短期的悪化。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 会社予想PER 31.15倍 vs 業種平均PER 13.3倍: 予想PERは業界平均を大幅に上回っており、割高感があります。これは、現在の利益水準が低いことに起因している可能性が高いです。
    • 実績PBR 0.71倍 vs 業種平均PBR 0.8倍: PBRは業界平均を下回っており、純資産面からは割安感があります。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 600円
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 2,052円
  • 割安・割高の総合判断
    • PER基準では現在の株価は大幅に割高、PBR基準では割安という相反する結果が出ています。これは、高い財務健全性(高自己資本比率)に対して、収益性が極めて低い状態が併存しているためです。直近の業績下方修正や収益性悪化を考慮すると、PERの割高感が目立ち、総合的には適正株価もしくはやや割高と評価できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 70,900株
    • 信用売残: 72,400株
    • 信用倍率: 0.98倍
    • 信用売残が買残を上回っており、信用倍率が1倍を下回る状況は、需給が引き締まっていることを示唆します。将来的に空売りの買い戻しによる株価上昇圧力となる可能性があります。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • 本田技研工業が20.66%を保有する筆頭株主であり、非常に安定した株主構成です。
    • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)や日本カストディ銀行(信託口)など、複数の機関投資家も大株主として名を連ねています。
    • 経営陣の持株比率(Insiders)は29.81%と高く、経営陣が株価を意識した経営を行うインセンティブがあると考えられます。
  • 大株主の動向
    • データなし。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 4.91%と高水準です。
    • 1株配当(会社予想): 90.00円(中間44円、期末46円)。
    • 配当性向(会社予想): 192.90%。予想EPSを大幅に上回る配当計画であり、直近の業績悪化を考慮すると、現在の利益水準でこの配当水準を維持することは持続可能性に懸念があります。内部留保を活用した一時的な手厚い還元策と推測されます。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    • 自社株式の取得・消却の実施歴があり、当中間期にも自己株式消却を実施しています。株主還元へ積極的な姿勢が見られます。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    • データなし。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(2026年3月期第2四半期決算短信)
    • 通期業績予想の下方修正: 主要顧客(特に米州)の減産と為替の円高が影響し、売上収益、営業利益、親会社帰属当期利益が下方修正されました。これは業績にとってネガティブな材料です。
    • 中間配当の増額と年間配当予想の維持: 中間配当は前年より増額し44円となりましたが、通期90円の予想は維持されており、株主還元への意欲は高いものの、高すぎる配当性向が今後の課題です。
    • セグメント別動向: 米州セグメントの営業利益が前年中間期比で80%の大幅な悪化となりました。中国は売上は減少したものの、経費抑制で利益は維持しました。
  • これらが業績に与える影響の評価
    • 下方修正は既に織り込み済みである可能性もありますが、収益性の悪化は深刻であり、今後の株価にネガティブな影響を与える可能性があります。特に営業利益の通期進捗率の低さは、下期の業績回復への懸念材料です。為替の円安転換や顧客の生産回復がなければ、業績改善は難しいでしょう。

16. 総評

テイ・エス テックは、ホンダグループを主要顧客とする自動車部品メーカーとして、技術力とグローバルな供給体制を持つ企業です。極めて高い財務健全性と安定した株主構成を強みとしていますが、直近の業績は、主要顧客の減産と為替変動により大きく悪化し、収益性が大幅に低下しています。通期業績予想も下方修正され、現在の配当水準は利益を大幅に上回っており、持続可能性に懸念があります。

- **強み**: 高い自己資本比率と潤沢な現金、ホンダグループという安定した顧客基盤、低いベータ値による市場変動への耐性があります。
- **弱み**: 特定顧客への高い依存度、収益性の著しい低下(ROE・ROAともに低水準)、特に米州事業の不振、過度な配当性向による配当の持続可能性への懸念があります。
- **株価**: PBRは業界平均より割安ですが、PERは現在の低い利益水準から見て割高です。年初来高値圏にありつつ、市場の関心度はやや低下しているようです。
- **今後の注目点**: 米州市場における主要顧客の生産回復、為替の動向、そして収益性改善に向けた具体的な施策の進捗が、今後の業績と株価を左右する主要因となります。
  • 強み・弱み・機会・脅威 (SWOT) の整理
    • 強み (Strengths):
    • ホンダグループとの強固な連携による安定的事業基盤。
    • 非常に高い財務健全性(自己資本比率、流動比率)。
    • 潤沢な現金保有。
    • 市場変動に強い低いベータ値。
    • 弱み (Weaknesses):
    • 特定顧客(ホンダ)への高い売上依存度。
    • 収益性の著しい低下(ROE、ROA、営業利益率)。
    • 営業キャッシュフローの短期的赤字化。
    • 配当性向が極めて高く、配当の持続可能性に懸念。
    • 機会 (Opportunities):
    • 自動車市場(特に米州)の生産回復。
    • 新事業展開によるポートフォリオの多様化。
    • 為替の円安方向への推移。
    • 脅威 (Threats):
    • 主要顧客のさらなる減産や生産計画の不安定化。
    • 為替の円高傾向の継続。
    • 原材料価格の高騰や地政学リスク。
    • 自動車業界の構造変化(EV化など)への対応遅れ。

17. 企業スコア

  • 成長性: C
    • 2026年3月期は減収予想であり、主要顧客の減産による影響が顕著です。新製品展開の情報も限定的で、成長ドライバーが不透明な為、評価は中立より低いと判断します。
  • 収益性: D
    • 過去12ヶ月のROE 2.56%、ROA 1.82%はベンチマークを大幅に下回っています。直近の中間期営業利益率も約1.3%と極めて低く、収益性は低いと評価します。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率70.8%(直近四半期73.7%)と非常に高く、流動比率290%も極めて良好です。負債比率も低く、現金保有も潤沢であることから、極めて健全性が高いと評価します。
  • 株価バリュエーション: C
    • 予想PER 31.15倍は業界平均13.3倍と比較して大幅に割高であり、現在の低い収益性を考慮すると、割高感が強いです。PBRは業界平均を下回りますが、現在の利益水準では割安とは言い切れません。

企業情報

銘柄コード 7313
企業名 テイ・エス テック
URL http://www.tstech.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 自動車・輸送機 – 輸送用機器

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,834円
EPS(1株利益) 58.86円
年間配当 4.91円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 7.2% 29.7倍 2,467円 6.4%
標準 5.5% 25.8倍 1,985円 1.9%
悲観 3.3% 21.9倍 1,518円 -3.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,834円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,001円 △ 83%割高
10% 1,250円 △ 47%割高
5% 1,578円 △ 16%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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