ハリマ化成グループ(4410)企業分析レポート

1. 企業情報

ハリマ化成グループは、松ヤニ(ロジン)を主原料とする化学品を製造・販売している企業です。日本に加え、中国、アジア、南北アメリカ、ヨーロッパなどグローバルに事業を展開しています。

  • 事業内容などのわかりやすい説明
    • 主な事業は「樹脂・化成品」「製紙用薬品」「電子材料」「ローター」の4つのセグメントに分かれています。
    • 「樹脂・化成品」では、塗料、印刷インキ、合成ゴム用乳化剤、接着剤などに使われる樹脂を提供しています。
    • 「製紙用薬品」では、紙の強度を高める紙力増強剤やサイズ剤などを製造しています。
    • 「電子材料」では、はんだ付け材料や熱交換器用ろう付け材料、半導体レジスト用樹脂などを手掛けています。
    • 「ローター」は松ヤニを原料とする粘接着剤や印刷インキ用樹脂などを提供しています。
    • また、不動産管理サービスも行っています。
  • 主力製品・サービスの特徴
    • 松ヤニ化学の分野では草分け的存在であり、製紙用薬品やトール油(松ヤニから抽出される油分)では高い市場シェアを誇っています。
    • 米国子会社のローター社を通じてロジン製品を展開しており、グローバルな供給体制を確立しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

ハリマ化成グループは、松ヤニ化学を基盤とした特殊化学品メーカーとして、特に製紙用薬品やトール油において高いシェアを持つとされています。

  • 業界内での競争優位性や課題について
    • 競争優位性: 長年の経験と技術力に裏打ちされたロジン原料化学品におけるノウハウ、および製紙用薬品・トール油における高シェアが強みです。グローバルな事業展開により、特定の地域経済への過度な依存を避け、リスク分散を図っています。
    • 課題: 原材料価格の変動が利益に大きな影響を与えることが直近の決算短信でも指摘されており、コスト管理や製品への価格転嫁能力が重要となります。また、一部市場(印刷インキ用樹脂など)の縮小に対応するための事業構造転換も必要となる可能性があります。
  • 市場動向と企業の対応状況
    • 世界経済の不透明感(中東情勢、中国経済減速、金利上昇圧力)や欧州需要の低迷がマクロリスクとして存在します。
    • 地域別では北米市場が堅調に推移しており、同社の海外売上高比率(中間累計で約58.7%)の高さが地域別の景況変化に大きく影響します。特に製紙用薬品では米国での販売先拡大が奏功し、売上・利益を大きく伸ばしました。
    • 電子材料やローターセグメントでは、原材料・燃料費の上昇が利益を圧迫しており、コスト転嫁や効率化が今後の課題として挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営陣が掲げるビジョンや戦略
    • 決算短信からは具体的な中期経営計画の数値進捗は明示されていませんが、各セグメントにおける販売数量および販売価格の改善、利益率向上、原材料コスト管理が主要な経営課題・戦略と推測されます。
    • 特に、製紙用薬品事業における米国市場での販売先拡大は、具体的な戦略として成果を上げています。
  • 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
    • 資料中では中期経営計画の詳細な数値目標や施策についての具体的な記述はありません。
    • 既存事業の強化としては、樹脂・化成品における新製品の拡販、製紙用薬品における海外市場の深耕が挙げられます。
  • 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
    • 樹脂・化成品セグメントにおいて、新製品の拡販により売上は微増し、営業利益の大幅な改善に寄与しています。製品具体名については記載なし。
    • 電子材料セグメントでは、はんだ事業の人員増加が見られ、事業拡大のための投資が行われていることが示唆されますが、足元では原材料高騰の影響で利益が圧迫されています。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
    • 同社の収益モデルは、広範な産業向けに多岐にわたる化学品を提供する多角化されたものです。主要セグメントである「樹脂・化成品」「製紙用薬品」「電子材料」「ローター」は、それぞれ異なる市場ニーズに対応しています。
    • 市場ニーズの変化への適応については、製紙用薬品の米国市場での成功事例や、電子材料分野での投資(はんだ事業の人員増)が見られます。しかし、印刷インキ用樹脂など一部市場の縮小や、原材料高騰への対応が課題であり、今後も事業ポートフォリオの見直しや高付加価値製品へのシフトが重要となります。
  • 売上計上時期の偏りとその影響
    • 特別な売上計上時期の偏りを示すデータは提供されていません。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術開発の動向や独自性
    • 松ヤニ(ロジン)を主原料とした化学品開発において、長年の経験を持つ日本の化学メーカーとして独自の技術を有しています。これは、同社が「ロジン原料化学品草分け」と評されることからも伺えます。
    • 決算短信からは具体的な最新技術開発の詳細な動向は読み取れませんが、電子材料分野や機能性コーティング剤など、高機能・高付加価値分野への展開が見られます。
  • 収益を牽引している製品やサービス
    • 直近の中間期決算(2026年3月期第2四半期)では、「製紙用薬品」セグメントが売上高+13.9%、営業利益+43.1%と最も好調であり、全体の収益を牽引しています。特に米国での販売先拡大が好調の要因とされています。
    • 「樹脂・化成品」も新製品拡販と販売数量増により営業利益を大幅に改善させ、収益に貢献しています。

6. 株価の評価

  • EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
    • 株価: 917.0円
    • EPS(会社予想): 49.41円
    • PER(会社予想): 18.56倍 (917.0円 / 49.41円)
    • BPS(実績): 1,520.18円
    • PBR(実績): 0.60倍 (917.0円 / 1,520.18円)
    • 同社のPER18.56倍は、EPSに基づくと現在の株価がやや高めの評価に見える可能性がありますが、PBR0.60倍は実績BPSに対して割安感がある状態です。
  • 業界平均PER/PBRとの比較
    • 業界平均PER: 20.4倍
    • 業界平均PBR: 1.1倍
    • 同社のPER18.56倍は業界平均20.4倍より低い水準であり、PER基準では割安感があります。
    • 同社のPBR0.60倍は業界平均1.1倍を大きく下回っており、PBR基準ではかなりの割安感があります。

7. テクニカル分析

  • 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
    • 直近10日間の株価は875円から917円の間で推移しており、本日の終値917円は直近10日間の高値圏にあります。
  • 年初来高値・安値との位置関係
    • 年初来高値: 933円
    • 年初来安値: 753円
    • 現在の株価917円は、年初来高値にかなり近い水準(52週レンジ内位置: 51.9%)にあり、高値圏に位置していると言えます。
  • 出来高・売買代金から見る市場関心度
    • 出来高: 36,300株、売買代金: 33,265千円。
    • 平均出来高(3ヶ月: 51.02k株、10日: 44.95k株)と比較すると、本日の出来高は平均を下回っており、市場の関心はやや低い可能性があります。しかし、直近の株価上昇を伴っているため、買い意欲は一定程度あると見られます。
  • 長期トレンド分析
    • 1ヶ月リターン: +1.03%
    • 3ヶ月リターン: +2.20%
    • 6ヶ月リターン: +0.80%
    • 1年リターン: +10.82%
    • 短期的なリターンは緩やかな上昇傾向にあり、1年では二桁の上昇を見せています。
    • 日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス: データなし(ただし、52 Week Change 3: 4.09% に対してS&P 500 52-Week Change 3: 17.32%であるため、主要指数には劣後している可能性が高いです)。
    • 移動平均線(5日、25日、75日、200日)との位置関係:
      • 現在株価917円は、5日移動平均線(871.20円)、25日移動平均線(867.84円)、75日移動平均線(862.57円)を上回っています。これは短期・中期的な上昇トレンドを示唆します。
      • ただし、200日移動平均線(891.66円)を上回っており、長期的な上昇トレンドへの転換も視野に入ります。
    • サポート・レジスタンスレベルと現在株価の位置:
      • 1ヶ月レンジ: 825.00円 – 886.00円。現在の株価917円は、直近のレンジを上抜けて推移しているため、短期的なレジスタンスをブレイクした可能性があります。
      • 3ヶ月レンジ: 825.00円 – 890.00円
    • ゴールデンクロス/デッドクロスのシグナル確認: 5日MAが25日MA、75日MAを上回っているため、短期的なゴールデンクロスが発生している可能性があります。200日MAとの位置関係も良好で、長期トレンドの好転が期待されます。

8. 財務諸表分析

  • 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
    • 売上高:
      • 2022年3月期: 76,093百万円
      • 2023年3月期: 94,510百万円
      • 2024年3月期: 92,330百万円
      • 過去12ヶ月: 103,114百万円
      • 2025年3月期(会社予想): 101,006百万円 (損益計算書参照)
      • 2026年3月期(会社予想): 108,000百万円 (決算短信参照)
      • 売上高は長期的に増加傾向にあり、特に過去12ヶ月では顕著な伸びを見せています。
    • 営業利益:
      • 2022年3月期: 3,250百万円
      • 2023年3月期: 1,709百万円
      • 2024年3月期: -209百万円(赤字)
      • 過去12ヶ月: 2,469百万円
      • 2025年3月期(会社予想): 2,087百万円
      • 2026年3月期(会社予想): 3,000百万円
      • 営業利益は2024年3月期に赤字に転落しましたが、過去12ヶ月および通期予想では大幅に回復・増加する見込みです。
    • 純利益:
      • 2022年3月期: 1,746百万円
      • 2023年3月期: 885百万円
      • 2024年3月期: -1,161百万円(赤字)
      • 過去12ヶ月: 1,002百万円
      • 2025年3月期(会社予想): 763百万円
      • 2026年3月期(会社予想): 1,200百万円
      • 純利益も営業利益と同様に2024年3月期に赤字となりましたが、足元で回復傾向にあります。
    • ROE(実績): (連)2.05% (過去12ヶ月: 2.51%)
    • ROA(実績): (連)1.51% (過去12ヶ月: 1.51%)
      • ROE、ROAともに低水準であり、収益効率には改善の余地があります。
  • 過去数年分の傾向を比較
    • 売上高は堅調に増加しており、規模の拡大は進んでいます。
    • 利益面では2024年3月期に原材料高騰などが影響し大きく落ち込みましたが、その後は回復基調にあります。特に過去12ヶ月および2026年3月期の予想では、売上高の増加に伴い利益も回復・成長が見込まれています。
  • 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
    • 2026年3月期第2四半期(中間期)の実績は以下の通りです。
      • 売上高: 51,248百万円(通期予想108,000百万円に対する進捗47.5%)
      • 営業利益: 1,633百万円(通期予想3,000百万円に対する進捗54.4%)
      • 経常利益: 1,296百万円(通期予想2,000百万円に対する進捗64.8%)
      • 親会社株主帰属中間純利益: 834百万円(通期予想1,200百万円に対する進捗69.5%)
    • 売上高の進捗率は約半分ですが、営業利益、経常利益、純利益の進捗率は通期予想に対して50%を超えており、利益面では順調な進捗を見せています。このまま推移すれば通期予想を達成する可能性は高いと言えます。

9. 財務健全性分析

  • 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
    • 自己資本比率(実績): (連)37.3% (直近四半期: 36.5%)
      • 一般的な目安とされる40%を下回っており、やや低めの水準です。前期末比で微減しています。
    • 流動比率(直近四半期): 1.24倍 (約124%)
      • 流動資産53,381百万円に対し流動負債43,131百万円。目安とされる200%には届きませんが、100%は超えており短期的支払能力は確保されています。
    • 負債比率(直近四半期): Total Debt/Equity 108.86% (負債合計63,558百万円 / 純資産37,581百万円 = 約169%)
      • 負債に対する自己資本の比率で、自己資本が負債の半分程度であることを示します。ややレバレッジが高いと評価できます。
  • 財務安全性と資金繰りの状況
    • 自己資本比率が40%を下回り、Total Debt/Equity比率が100%を超えていることから、財務安全性は中程度であり、改善の余地があると言えます。
    • 現金及び現金同等物は直近四半期で4,964百万円となっており、期首より増加していますが、前年同期比では減少しており、資金繰りの状況は注視が必要です。
  • 借入金の動向と金利負担
    • 直近四半期では、固定負債が増加しており、その主因は長期借入金の増加(+4,197百万円)とされています。これは投資活動に伴う資金調達の一環と考えられます。
    • 決算短信の損益計算書を見ると、Net Interest Incomeはマイナスであり、利息負担が存在します。2024年3月期から2025年3月期予想にかけてInterest Expenseが増加傾向にあることから、借入金増加に伴う金利負担も上昇していると推測されます。

10. 収益性分析

  • ROE、ROA、各種利益率の評価
    • ROE(過去12ヶ月): 2.51%
    • ROA(過去12ヶ月): 1.51%
    • Gross Profit Margin(過去12ヶ月): 21.71% (22,388,000 / 103,114,000)
    • Operating Margin(過去12ヶ月): 3.42%
    • Profit Margin(過去12ヶ月): 0.97%
  • 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
    • ROE 2.51%は一般的なベンチマーク(10%)を大きく下回っており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力は低いと評価されます。
    • ROA 1.51%も一般的なベンチマーク(5%)を大きく下回っており、総資産を効率的に活用して利益を生み出す能力は低いと評価されます。
    • 売上総利益率は20%台ですが、販管費やその他の費用を差し引いた営業利益率、最終的な純利益率は低く、収益性には改善の余地が大きいです。
  • 収益性の推移と改善余地
    • 2024年3月期は赤字に転落しましたが、過去12ヶ月および中間期決算では営業利益率が約3.2%に改善しており、収益性は回復基調にあります。特に製紙用薬品セグメントが利益を大きく伸ばし、全体の収益貢献度を高めています。
    • セグメント間の収益性のばらつきが大きく、電子材料やローターセグメントでは原材料高騰による利益圧迫が課題となっており、これらのセグメントにおけるコスト管理と価格転嫁がさらなる収益性改善の鍵となります。
  • 利益の質分析
    • 営業キャッシュフロー(過去12ヶ月): 4.28B円
    • 純利益(過去12ヶ月): 1B円
    • OCF/純利益比率(営業CF/純利益比率): 4.28
    • キャッシュフローが利益を上回るか: 4.28倍であり、キャッシュフローが利益を大幅に上回っています (1.0以上が健全)。
    • 利益の質評価: S (優良(キャッシュフローが利益を大幅に上回る))
    • 営業活動によるキャッシュフローが純利益を大きく上回っているため、利益の質は非常に高いと評価できます。これは売掛金や棚卸資産の質の高さを示唆し、実態を伴った利益計上であることを意味します。

11. 市場リスク評価

  • ベータ値による市場感応度の評価
    • ベータ値 (5Y Monthly): 0.05
    • 非常に低いベータ値であり、市場全体の動き(株価指数)に対して株価が連動しにくい、リスクの低い銘柄であると評価されます。この企業は、市場全体の変動よりも、個別の企業要因や業界要因の影響を受けやすい特性を持つ可能性があります。
  • 52週高値・安値のレンジと現在位置
    • 52週高値: 933.00円
    • 52週安値: 753.00円
    • 現在の株価917.0円は、52週高値に近い水準(52週レンジ内位置: 51.9%)にあり、高値圏に位置しています。
  • 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
    • 外部環境: 世界経済の不透明感(中東情勢、中国経済減速、金利上昇圧力)や欧州の需要低迷がリスク要因として挙げられています。
    • 為替: 海外売上高比率が高いため、為替変動が業績に与える影響は大きいです。
    • 原材料・燃料価格の変動: 主要製品の原材料である松ヤニだけでなく、各種原材料や燃料費の価格変動が収益を圧迫する可能性があります。
    • 競合: 競合他社との価格競争激化もリスク要因となり得ます。

12. バリュエーション分析

  • 業種平均PER/PBRとの比較
    • 同社PER(会社予想): 18.56倍
    • 業種平均PER: 20.4倍
    • 同社PBR(実績): 0.60倍
    • 業種平均PBR: 1.1倍
    • PER、PBRともに業種平均を下回っており、割安感があります。特にPBRは業種平均の半分程度と大きく下回っています。
  • 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
    • 目標株価(業種平均PER基準): 842円 (EPS 41.25(過去12ヶ月) × 20.4倍)
    • 目標株価(業種平均PBR基準): 1,672円 (BPS 1,520.18円 × 1.1倍)
    • EPSとPBRの評価方法で、現在の株価に対する目標株価に大きな乖離が見られます。(提供データ「目標株価(業種平均PER基準): 842円」は、計算したEPS(過去12ヶ月)41.25と業界平均PER20.4を掛けても841.5円となり近い数値です。会社予想EPS49.41円で計算すると1,008円となります。)ここでは提供データを採用します。PER基準では現在の株価がやや割高、PBR基準では大幅な割安という結果です。
  • 割安・割高の総合判断
    • 現在の株価917.0円は、業界平均PER基準の目標株価842円を上回っていますが、業界平均PBR基準の目標株価1,672円を大きく下回っています。
    • PBRの割安感が特に顕著です。利益率や財務健全性に課題はあるものの、足元の利益回復傾向とキャッシュフローの質を考慮すると、現在の株価はPBR基準で強い割安感があると判断できます。

13. 市場センチメント分析

  • 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
    • 信用買残: 188,000株(前週比 -17,400株)
    • 信用売残: 3,200株(前週比 +1,400株)
    • 信用倍率: 58.75倍
    • 信用買残が多く、信用売残が少ない状況で、信用倍率は高水準です。これは、将来の株価上昇を期待して買い建てが増えていることを示唆していますが、信用買いの残高が積み上がっているため、将来の売り圧力(整理売り)となる可能性も内包しています。信用買残の減少傾向は好材料です。
  • 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
    • % Held by Insiders (経営陣含): 42.88%
    • % Held by Institutions (機関投資家): 8.49%
    • 上位大株主には、長谷川興産、松川(筆頭株主と同じ持株比率)、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、自社(自己株口)、自社共栄会、公益財団法人松籟科学技術振興財団など、安定株主と見られる企業や団体が多く名を連ねています。
    • 経営陣や関連する安定株主の持株比率が高いことは、経営の安定性や長期的な視点での事業運営につながりやすい一方で、流動性が低い要因にもなりえます。
  • 大株主の動向
    • 大株主の具体的な売買動向については情報が提供されていません。ただし、上位に安定株主が多いことから、比較的安定した株主構成であると推測されます。

14. 株主還元と配当方針

  • 配当利回りや配当性向の分析
    • 配当利回り(会社予想): 4.58%
    • 1株配当(会社予想): 42.00円 (中間21円、期末予想21円、年間合計42円)
    • 配当利回り4.58%は、現在の株価に対して非常に魅力的な水準です。
    • Payout Ratio (過去12ヶ月): 101.82%
    • 過去12ヶ月の配当性向が100%を超えていることから、利益以上の配当を支払っている状態であり、自己資本を毀損するまでではないにしても、成長のための内部留保を犠牲にしている可能性があります。ただし、2026年3月期通期予想純利益1,200百万円に基づくと、年間配当総額(42円 * 24.31M株 = 1,021百万円)は予想純利益を下回るため、配当性向は約85%となり健全な範囲に収まります。
  • 自社株買いなどの株主還元策
    • 決算短信には、自社株買いに関する新たな公表事項は記載されていませんでした。ただし、大株主のリストには「自社(自己株口)」があり、過去に自社株買いを実施している実績があります。
  • 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
    • 資料中に株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する記載はありません。

15. 最近のトピックスと材料

  • 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
    • 2026年3月期第2四半期決算短信によると、以下の点が大きなトピックスとして挙げられます。
      • 製紙用薬品の米国販売先拡大: 米国での販売が好調で、売上・利益の大幅伸長に貢献しています。これは具体的な事業戦略の成果として評価できます。
      • 樹脂・化成品の新製品拡販: このセグメントの利益改善に寄与しています。
      • 電子材料セグメントの課題: 原材料高騰と、はんだ事業の人員増加が利益を圧迫しています。事業領域拡大に伴うコスト増と市場環境の変化への対応が求められています。
      • ローターセグメントの課題: 原材料・燃料費上昇により利益が大幅減となっています。
  • これらが業績に与える影響の評価
    • 製紙用薬品と樹脂・化成品における好調な動きは、全体の売上および利益回復を牽引しています。特に、海外市場での成功は今後の成長ドライバーとなる可能性があります。
    • 一方で、電子材料とローターセグメントの利益圧迫は、全体の収益性を抑制する要因となっています。これらの課題への対応(コスト転嫁、効率化、高付加価値化)が今後の業績に大きく影響すると考えられます。
    • 全体として、増収増益基調にあり、特に利益面では良好な進捗を見せていますが、セグメント間の明暗が分かれている状況です。

16. 総評

ハリマ化成グループは、松ヤニ化学を基盤とした特殊化学品メーカーとして、国内外で事業を展開しています。

  • まとめと全体的な見解
    • 売上: 過去数年で増収傾向にあり、直近の過去12ヶ月および通期予想も好調に推移しています。
    • 利益: 2024年3月期に一時的に赤字となったものの、足元では回復基調にあり、特に2026年3月期の利益進捗は順調です。しかし、セグメント間で明暗が分かれており、電子材料やローターセグメントでのコスト圧迫が課題です。
    • 財務健全性: 自己資本比率はやや低く、負債比率は高めであるため、更なる財務体質の強化が望まれます。投資活動に伴う長期借入金の増加も見られます。
    • 収益性: ROE、ROAともに業界ベンチマークを下回っており、資本効率の改善が課題です。一方で、営業キャッシュフローが純利益を大幅に上回っており、利益の質は高いと評価できます。
    • 株価バリュエーション: 業界平均PERを下回り、特にPBRは業界平均を大きく下回る水準にあり、割安感があります。
    • 株主還元: 高い配当利回りが魅力です。
  • 投資判断の参考となるポイントの整理
    • ポジティブ:
      • 事業基盤である松ヤニ化学での高シェアと、製紙用薬品など一部セグメントの好調な業績。
      • PBRが業界平均を大きく下回り、バリュエーション面での割安感。
      • 営業キャッシュフローが純利益を大幅に上回り、利益の質が高い。
      • 高い配当利回り(4.58%)で、株主還元への意識が高い。
      • 年初来高値圏にあるものの、移動平均線が上向きで短期・中期トレンドは良好。
    • ネガティブ:
      • 一部セグメント(電子材料、ローター)での原材料高騰やコスト増による利益圧迫が継続。
      • 自己資本比率が40%を下回り、財務健全性に改善の余地がある。
      • ROE、ROAが低水準であり、資本効率の改善が課題。
      • 信用買残が多く、信用倍率が高い需給状況は注意が必要。
  • 強み・弱み・機会・脅威の整理(SWOT分析)
    • 強み (Strengths)
      • 松ヤニ化学品における長年の経験と高い技術力、市場シェア。
      • 製紙用薬品やトール油における高シェアと競争優位性。
      • グローバルな事業展開と多様な製品ポートフォリオ。
      • 利益の質が高く、キャッシュフロー創出能力が良好。
    • 弱み (Weaknesses)
      • 一部セグメントでの収益性低迷と原材料コストの上昇による利益圧迫。
      • 自己資本比率が相対的に低く、財務体質の改善余地。
      • ROE、ROAが低く、資本効率が課題。
    • 機会 (Opportunities)
      • 製紙用薬品における米国など海外市場でのさらなる販売拡大。
      • 高機能・高付加価値製品(電子材料など)へのシフトによる収益性改善。
      • 原材料価格の安定化またはコスト転嫁の進展。
    • 脅威 (Threats)
      • 世界経済の不透明感や地政学リスク、欧州需要の低迷。
      • 原材料・燃料価格のさらなる高騰。
      • 為替変動による業績への悪影響。
      • 特定の市場における需要縮小と競合の激化。

17. 企業スコア

  • 成長性: B (中立)
    • 売上高は増加傾向にあり、直近の年間リターンもプラスですが、四半期売上成長率は0.8%と低いです。一部主力セグメント(製紙用薬品)は好調ですが、全体としての力強い成長ドライバーは限定的です。
  • 収益性: C (懸念)
    • 粗利率は20%台ですが、営業利益率3.42%、純利益率0.97%と低水準です。ROE2.51%、ROA1.51%も一般的なベンチマークを大きく下回っており、資本効率・収益効率に課題があります。ただし、営業CF/純利益比率が4.28と高く、利益の質は優良です。
  • 財務健全性: C (懸念)
    • 自己資本比率36.5%は目安とされる40%を下回っており、D/E比率108.86%とレバレッジが高い状態です。流動比率1.24倍は短期的支払能力を確保していますが、資金繰りへの注視が必要です。
  • 株価バリュエーション: A (割安)
    • PER18.56倍は業界平均20.4倍を下回り、PBR0.60倍は業界平均1.1倍を大きく下回っており、PBR基準では強い割安感があります。現在の株価が年初来高値圏にあることを考慮しても、バリュエーション上は割安と判断できます。

企業情報

銘柄コード 4410
企業名 ハリマ化成グループ
URL http://www.harima.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 917円
EPS(1株利益) 49.41円
年間配当 4.58円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 7.5% 21.7倍 1,536円 11.3%
標準 5.8% 18.8倍 1,231円 6.5%
悲観 3.5% 16.0倍 938円 1.0%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 917円

目標年率 理論株価 判定
15% 626円 △ 47%割高
10% 781円 △ 17%割高
5% 986円 ○ 7%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.6)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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